戦国異伝
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第二百二十七話 荒木謀反その五
「それがじゃ」
「僅か五千」
「他の家に命じられた数も少ないとか」
「有岡城をそれだけで攻め落とせるということですか」
「そうやも知れぬが」
しかしとも言う元就だった。
「主な者は全て来る様に命じられたな」
「はい、毛利家の者達も」
「左様ですな」
「そして他の家からも」
「九州からは立花殿も出られる」
立花宗茂、彼もというのだ。
「立花道雪殿、高橋紹運殿もな」
「鍋島殿もですな」
「島津家からは四兄弟が全て」
「武田、上杉、北条、伊達の諸将も出られるとのこと」
それぞれの二十四将、二十五将、二十八将もというのだ。
「徳川十六神将に浅井、長宗我部」
「織田家からも主な将帥は全て出陣されるとか」
「その顔触れに比して兵は少ない」
「そこがわかりませぬな」
「そうじゃな。どうしたお考えか、上様は」
鋭い元就も首を傾げさせる。
「わからぬ、しかし城に向かうぞ」
「はい、有岡城に」
「荒木殿が謀反を起こされたその城にですな」
「向かいましょう」
「ではな」
出す様に言われた兵の少なさにいぶかしみながらもだった、元就も出陣した。かくして天下の名のある者達が有岡城に向かうことになった。
その報は荒木にも届いた、彼と地獄までと誓った家臣達は荒木にこのことを報告した。だが荒木はそう聞いてもだった。
「わかった」
「それだけですか」
「あの、殿」
「天下の諸将が集まります」
「兵の数も十万は来るとか」
織田家の動かす兵にしては少ないが大軍だというのだ。
「それに対して我等の兵は僅か」
「二千もおりませぬ」
「しかも兵も来ませぬ」
「殿、今からでもです」
「兵を集めましょう」
「そうしましょうぞ」
「兵か、兵ならな」
ここでだ、荒木は言った。
「おそらく間もなくじゃ」
「間もなく」
「間もなく、ですか」
「集まると」
「そう仰るのですか」
「うむ」
その通りだというのだ。
「来るぞ」
「あの、兵を集めていませんが」
「銭も出そうとしていませんし」
「それで人が集まるのか」
「あの、殿何か」
「何処かにつてが」
「つてか、ないがしかしじゃ」
それでもというのだ。
「わしの読みが正しければ来るぞ」
「兵がですか」
「この城に」
「ならいいですが」
「それならば」
家臣達も荒木の言葉にここは下がった、だが兵が集まるとはとても思えなかった。それでこの謀反は終わるとさえ思った。
しかしだ、それでもなのだ。
この話からすぐにだった、まさに次の火にだった。
城に浪人達が次から次に来た、そして言うのだった。
「どうかです」
「わしをお使い下さい」
「荒木家の末席に立って戦います」
「ここを死に場所とします」
「飯になるのなら」
言うことはそれぞれだった、だが。
どの者も着ている服は暗い、そして。
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