selector KAMENRIDE WIXOSS
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第1話『その蜜柑は開幕』
例え勝っても、負けたとしても、苦痛の未来しか待っていないカードゲーム、セレクターバトル。それは一人の、親からも名前で呼ばれることもなく、誰にも気付かれず死んで行った少女が生み出した、外への思い。その少女、繭と自称した少女は今、天国で幸せな日々を送っていた。
「最近は面白いバラエティー番組も無くてつまらないわぁ。試しにテレ朝でもつけてみよ、っと。」
何故天国にアナログテレビがあるかなんて気にしてはいけない。どうやら、この日は日本時間で日曜日の朝7時30分だったらしい。テレビからCMが流れる。
『「日曜朝も観てくれよな!」
ヒーローは、一度死んで、甦る!新番組、仮面ライダーゴースト!』
「仮面…ライダー?」
ヒーロー番組を知らない繭にとって、仮面ライダーという存在は斬新であったようだ。
「仮面ライダーって確か、沢山いたよね。確か、、、あった!」
繭はてれびくんの2015年9月号を取り出す。付録の仮面ライダーカレンダーを見て繭は驚く。
「へぇ、仮面ライダーってこんなにいるんだ?そうだ!良いこと思いついた!またるう子達と遊ぼうっと。」
繭は早速、天国中のおもちゃ屋、中古ホビーショップを駆け巡った。
その頃の東京都の某所
「ねえるう子、今日はるう子に合わせたい人が居るんだ!」
セレクターバトルを終わらせた少女、小湊るう子。彼女の友達の紅林遊月はある2人の少女をるう子の前に喚んだ。
「るう、お久しぶり。」
「るう、タマ、また会えて嬉しいよ!」
「ユキ…それに、タマ!良かった。るうの願い、ちゃんと叶ったんだ。」
るう子の前に居たのは、かつてセレクターバトルでるう子のパートナーであったユキとタマが人間になった姿であった。るう子は2人との再会に感動しているが、
「るう、会えて早々嫌な話になるんだけど、ここでは話し辛いから、るうの家に行きましょう。」
ユキが大事な話があるらしく、るう子達お友達メンバーはるう子の家に向かう。
るう子が家に入ると、
「るうちゃん、繭って方からお荷物が届いているわよ。」
るう子の祖母のハツがるう子に荷物を渡す。
るう子は、荷物を受け取り、友達と自分の部屋に入る。
「何だろう、これ?」
るう子は荷物を開けようとする。
「待って!」
遊月は荷物を開けようとするるう子を止める。
「その荷物を開ける前に、確認したいことがあるんだけど。」
「何、遊月?」
「るう子は、またセレクターバトルみたいな戦いを、したいと思う?」
「嫌、もうセレクターバトルみたいな、悲しい戦いはしたくない!みんなで、明るく楽しいバトルがしたいよ!」
遊月の質問にるう子は激しく反論する。
「その宛先、繭ってなっているでしょう。私達の所にも来て、私達は知らず知らずの内に開けちゃって、参加することになったの。」
るう子のもう一人の友達、植村一衣がるう子に説明する。
「それなら、尚更開けないと!」
るう子はみんなの忠告を無視して荷物を開ける。中には、仮面ライダー鎧武が使う変身ベルト、戦極ドライバーとロックシードが一式入っていた。
「なるほど、るうには鎧武が回ってきたのね。」
「るう子、手紙が入っているでしょう。読んでみて。」
「うん。えと…
『るう子へ
お久しぶりねるう子。私、テレビで仮面ライダーって番組を観てね、またるう子達と遊びたくなったの。それでね、今回はみんなに配った仮面ライダーのベルトを使って仮面ライダーになってもらって一番強い人を決めるの。でも安心して。るう子が悩まないように、負けても失うものが無い、みんなで楽しく遊べるルールになっているから。それから、もちろん最後まで勝ち残った元セレクターには賞金代わりに次回発売されるWIXOSSの最新弾〝チェインドセレクター〟をなんと、10カートンプレゼント!それじゃ、頑張ってね。そうそう、この荷物を開けた場合は強制参加だから、よろしくね。
繭より』
何これ!」
「どこぞのライアーゲーム並みに始末悪いでしょ!?」
「だから、遊月達は参加するんだね。」
「そりゃ、10カートンには目が眩むって。ほら、私まだ高校生でしょ。香月とデートするにも、金がかかるし。」
遊月は、相変わらず煩悩垂れ流しである。
「とりあえず、今はここに居ないけど、華代も私達に味方するみたいよ。それを考えて、今私達のチームのライダーは、るう子が鎧武、遊月がマッハ、一衣がインペラー、タマがデルタ、私がベルデ、それに華代がウィザード。戦力は遊月以外十分だからなんとかなるわ。」
「ちょっと待ちなさいユキ!」
「どうしたの遊月?」
「どうしたも何も、なんで私だけ不十分なんだよ!」
「あら、知らないの?マッハってビデオ作品含めると、雑魚敵に三回も殺されているのよ。」
「それは使い方の所為でしょ!」
「二人共落ち着いて。とりあえず、セレクター全員に配られたの?」
「るう子、仮面ライダーって全員合わせると百人越えるんだ。」
「そうなの?でも、これって…」
「とりあえず繭に手紙を出したらこのベルトは全部玩具のベルトを天国の技術で本物にしたらしいわ。まったく、なんて無駄なお金を使っているのか。」
「ユキ、仮面ライダーのベルトって高いの?」
「そうね。この中で一番安いのが遊月の2500円、次がるう子の3500円、次にタマの15000円で私と一衣のが19000円よ。但し、他のアイテムは抜きでね。」
「そんなにするの!?」
「当たり前でしょう。タマのなんて、見つかることが奇跡なレア物よ。」
「でもなんで、みんなこんなバラつきのある物何だろう。それに、私にこれが渡された理由も解らないし。」
「多分、本人とライダーの性格に反映された人と、ルリグ時代に使っていたデッキで選ばれた人といるからだと思うわ。兎に角、早く全てのライダーを倒して、こんな下らない遊びは終わらせましょう。」
「うん!」
るう子達は、チームでこの戦いを終わらせようとする。
to be continued
後書き
ライダー&セレクター一言図鑑
仮面ライダー鎧武:『仮面ライダー鎧武』に登場。最初は理由無く戦いに参加した青年、葛葉紘汰が変身する。後に、戦いを終わらせるために全力を尽くし、全てを統べる始まりの男となる。
小湊るう子:タマのセレクターとして最初は願いが無いまま戦っていたが、バトルの真実を知ってからはセレクターバトルを集結させる為に戦う。ラストバトルで、原初のルリグ、マユをパートナーにし、セレクターバトルを集結させた。おやつは蜜柑が多い。
仮面ライダーマッハ:『仮面ライダードライブ』に登場。追跡、撲滅、されるのがいずれもマッハであるが、それでも絶対的な自信を武器に戦った。姉に異様な愛情を示す。
紅林遊月:花代のセレクターとしてどんなことでも真っ正面に向き合った少女。双子の弟の香月と恋人同士になる願いの為にセレクターを追跡し、撲滅し、その願いが叶う。現在は世間の目に立ち向かいながら香月と幸せな日々を送っている。
仮面ライダーインペラー:『仮面ライダー龍騎』に登場。幸せになりたい、友達がほしい等、ごく普通の願いを賭けて戦ったが、あっさり負け、ミラーワールドで消滅した。契約モンスターはレイヨウ型のギガゼールと複数のガゼルモンスター。
植村一衣:緑子のセレクターとして、頑張った内気な少女。友達がほしいという純粋な願いを賭けて戦ったが、あっさり敗れ、ペナルティーとして友達との記憶を失い、友達に成り得る可能性の有る人に触れると心身ともに激痛が走る肉体になってしまったが、後に克服した。彼女がかつて使っていたデッキは陸上生物を大量展開するデッキである。
仮面ライダーベルデ:同じく『仮面ライダー龍騎』に登場。高見沢グループの会長であるが、富も権力も金で手に入る人生にうんざりしていた時にベルトをもらい、超人的な力を求めバトルに参加。彼にとってはライダーバトルこそ人生であった。
ユキ:るう子のもう一人のルリグ。セレクター時代はひたすら戦うことに喜びを感じ、自分を倒せる強いセレクターを探した。彼女にとってバトルとは、血であり肉であり骨である。
仮面ライダーデルタ:『仮面ライダー555』に登場。使用者の闘争本能を異常活性化させ、戦いに喜びを与えてしまう危険なベルト。最後の使用者、三原は正しく使い、その呪いを打ち破った。
タマ:るう子の最初のルリグ。白のデッキのルリグで、当初はバトルをすること以外考えることが出来ない闘争本能の塊であったが、成長するにつれセレクターバトルを終わらせることを考える。るう子の願いによってユキと一緒に人間になった。
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