転生とらぶる
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Fate/stay night
1117話
最初に視界に入って来たのは、2月の夜の闇に溶けるかのような扇情的な服を着ているライダーの姿。
数時間前に戦ったばかりのその女は、見間違えようがない。
そのライダーに掴まれている女も見覚えがあった。
凛の友人でもある美綴だ。
ライダーに肩を掴まれ、身動きが出来ない状態になっており、それでも尚泣いたりはせずにライダーを……そして、この場にいる第3の人物である男を睨み付けていた。
まぁ、俺の姿に気が付いたのか、目を大きく見開いていたが。
そう。ライダーがここにいるのであれば、当然そのマスターであるワカメもここにいるのはおかしくない。
そのワカメはライダーに捕らえられている美綴に嘲笑を浮かべており、まだ俺がここにいるのに気が付いていない。
ライダーは俺がここに姿を現した時に一瞬ピクリと反応した事から、当然気が付いているのだろう。
「あはははは、どしたんだい美綴! いつも僕に偉そうな口を利いてる割りには全くだらしがないじゃないか! ほら、どうしたのさ! もうちょっと暴れて僕を楽しませてくれよ」
心底面白いといった具合ではしゃぐワカメだったが、美綴はそんなワカメを無視して叫ぶ。
「逃げろ、アーク!」
「誰だ!?」
美綴にしてみれば、俺は一般人でしかない。
そうなれば当然この場にいては危険だと思って忠告したのだろう。
だが……
「俺だよ。数時間ぶりだな、ワカメ。お漏らしの処理はもういいのか? にしても、お前の行動に責任を持つ筈の衛宮はどうした? 一般人を襲うとか、その責任を取って貰う必要があるんだがな」
「ばっ、なんでこいつがここにいるんだよ! おい、ライダー! 何だってこいつが姿を現す前に教えなかった!?」
「ですがシンジ、この男の速度は私よりも上です。その速度に……」
「うるさい、この身体だけの無能がっ! くそっ、こいつがここにいるってことは、多分遠坂の奴もすぐに来る筈だ。どうする、このままここにいたら……」
「凛が来る来ない以前に、今はお前自身の命の心配をした方がいいと思うがな。数時間前は衛宮が……より正確にはセイバーがいたから、ライダーとセイバーの2人を相手にすれば厳しいから見逃した。だが……ここにはお前を庇ってくれる衛宮も、ライダーと一緒に敵に回したくないセイバーもいない。さて、この状況でお前はどうする気だ?」
ゆっくり……ゆっくりと近づいて行く。
ワカメに対して恐怖を覚えさせるのと同時に、美綴の方に意識を向けさせない為だ。
今の美綴はライダーに掴まれており……つまりは、人質になっているも同然なのだから。
美綴が聖杯戦争の関係者ならともかく、そっちには全く何の関係もない一般人だ。
である以上、この戦いに巻き込む訳にはいかない。
これが衛宮やセイバーであれば、全く関係のない一般人を巻き込むという事は絶対にしなかっただろう。
だが、このワカメは話が別だ。
現に今日の放課後には学校で女子生徒を1人ライダーに襲わせているのだから。
つまり、こいつは魔術の秘匿とかそういうのに全く意識を向けていない。
あるいは、魔術とかを見せたとしても殺してしまえばいいと思っているのか。
ともあれ、このワカメに好きなように行動させれば絶対に面倒な出来事にしかならない。
それを防ぐ為に、俺だけに意識を向けるようにして近づく。
だが、この時の俺はさっきの美綴の反応を忘れていた。……いや、正確には深く考えていなかったというのが正しいだろう。
美綴にしてみれば、俺はサーヴァントとかそういう存在ではなく、1人のクラスメイトでしかないのだと。
「駄目だ、来るなって言ってるだろアーク! 逃げて誰かを呼んできてくれ!」
必死に叫んでくる美綴に、安心させるように口を開く。
「安心しろ、美綴。お前は俺が助けるから、そこで大人しく俺の活躍を見ててくれ。それこそ、ヒロインのようにな」
「ク、アーク!?」
「はっ、はははは! 何だよ、正義の味方気取りか!? い、いいか。そこから動くな。動いたら美綴を殺すぞ! ライダー、そいつが少しでも動いたら、美綴を殺せ!」
勝機を見つけたとばかりに叫ぶワカメ。
ちっ、美綴の声でやっぱり人質の可能性に気が付いたか。
さて、どうするか。ワカメはとにかく、ライダーの方はサーヴァントだけあって厄介だ。
出来れば何かで意識を……
そう判断した、その時。
「くそっ、おい、慎二! 馬鹿な真似は止めろ!」
ライダーに捕まっている美綴がそう叫び、手に持っていたバッグをワカメへと投げつける。
俺の方に意識を集中していたワカメにそれが回避出来る筈がなく、美綴の手から離れたバッグは思い切りワカメの後頭部へと命中する。
「げぽっ!」
おかしな悲鳴が上がったワカメ。
いや、それ自体は別にいい。
重要なのは、そのおかしな悲鳴に一瞬……ほんの一瞬だが、ライダーの意識がワカメに向けられた事だ。
その瞬間、殆ど反射的に俺は地を蹴っており、真っ直ぐにライダーへと向かう。
ライダーよりも上の敏捷A++という能力値を最大限に生かして接近すると、そのまま強引に美綴を奪い取る。
そのまま袋小路の最奥へと移動して、美綴を後ろへと庇う。
同時に背後から聞こえてきた飛翔音と、ジャラララという鎖の音。
そのまま回避しようとして振り向き……こちらに向かって飛んできている巨大釘は、このまま俺が回避すれば後ろにいる美綴に当たる軌道である事を理解する。
幾ら何でも俺が傷を付けてまで美綴を庇う必要はないと判断しつつも、殆ど反射的な行動で手を前に差し出す。
次の瞬間には、ザクリと肉に巨大釘が突き刺さる音が周囲に響く。
「ぐおっ!」
差し出した右掌に激痛。
だが、その激痛を半ば無視しながら強引に俺の右腕に突き刺さった巨大釘を強引に引っ張る。
筋力の差で、あっさりとライダーがこっちに引っ張られ……だがその本人は空中で体勢を立て直すと、近くにあった壁を蹴って再びこちらと距離を取る。
「ばっ、何だって美綴をあっさり奪われてるんだよ! この無能が!」
「申し訳ありません、シンジ。ですがこの場であの男と戦うのはこっちにとっては不利しかありません。ここは一旦退きます」
「ぐっ!」
そう告げ、俺の腕に突き刺さっていた巨大釘を強引に引き抜く。
再びの激痛と、周囲に散らばる血。
その痛みを無視しながら、ワカメを横抱きにしたライダーに向かって一気に間合いを詰めようとし……
「ああああああああああああっ!」
突然背後から響いてきた声に、動きを止める。
聞こえてきたのは間違いなく美綴の声であり、そちらに意識を捕られた次の瞬間、ライダーはこの場からワカメを連れたまま離脱に成功していた。
「ちっ!」
舌打ちをしつつ、視線の背後へと……美綴の方へと向ける。
そこで見たのは、何故か地面で物凄く苦しんでいる美綴の姿。
何だ? ライダーが何か置き土産でもしていったのか?
どうする? 俺の能力は戦闘特化と言ってもいい。回復の類に関係する能力がない以上、美綴をどうする事も出来ない。
けど、このまま美綴を放っておく訳にも……
そんな風に美綴をどうするか考えていると、不意にこっちに近づいてくる足音が聞こえてくる。
「ああああああああああああああああああああぁぁっ!」
ちっ、美綴の悲鳴を聞いた奴か!?
どう誤魔化そうか迷い、結局誤魔化しようがないと知り、聖杯戦争に巻き込まれただけの美綴を放っておく訳にもいかず、しょうがないので抱き上げてここから一旦避難した方がいい。
そう考えた俺に、念話が聞こえてきた。
『アークエネミーッ! そっちから悲鳴が聞こえてくるけど、一体何!?』
っ!? そうか、この足音は凛か。
『分からない。ただ、悲鳴を上げているのは美綴だ』
『っ!?』
『ライダーとワカメが美綴を襲っている場面に出くわして、それを止めたのはいいけど、何だかライダーが逃げる際に置き土産か何かをしていったらしくて、いきなり美綴が苦しみ始めた!』
『待ってて、もうすぐそっちに……着いた!』
その言葉と同時に、凛が到着する。
「アークエネミー、綾子は!」
「こっちだ」
「ああああああああああああああああああぁっ!」
地面に倒れたまま、頭部を膝の上に乗せて、いわゆる膝枕の状態になりながら叫んでいる美綴を凛に見せる。
「ちょっと待ってて」
それだけを言うと、そのまま叫びながら倒れている美綴を調べ始め……次の瞬間、真っ青な表情を浮かべて俺の方を見る。
「ちょっと、これって何!?」
「何がだ!?」
激昂、それとも興奮? ともあれ、とてもではないが普通の状態ではない凛だったが、何が理由でそうなっているのか、俺には全く理由が理解出来ない。
だが凛の方はそうではないらしく、懐からハンカチを取り出すと何やら短く呪文を唱えてから、暴れている美綴の顔へと近づけ……
「っ!? アークエネミー、ちょっと綾子が動かないように押さえてて!」
その指示に疑問を抱きつつ、美綴が動かないように押さえる。
美綴の身体が暴れないように押さえている時に気が付いたのだが、いつの間にかライダーの巨大釘によって受けた傷は塞がっている。
痛みがなくなるのは俺にとっていい事だし、今はそれを気にしなくてもいいか。
ともあれ、幾ら美綴が普通の人間にしては鍛えているとしても、俺の力を撥ねのけられる程のものではない。
「あああああああああああぁぁぁっ!」
身動きが出来なくなった美綴の顔へとそっと手を伸ばし、何らかの魔術を使ったハンカチでそっと顔に飛び散っていた俺の血を拭き取る。
……俺の、血?
凛の行動に疑問を抱くも、俺がやれるべき事が何もない以上、今はただ黙って凛の事を見守っているしか出来ない。
「ああああああああああぁっ!」
その行動が間違っていなかったのは、凛が美綴の顔から血を拭き取った事により、美綴の暴れ方が大人しくなったことが証明していた。
「……ふぅ」
「凛?」
「もうちょっと待ってて。まだこれで大丈夫って訳じゃないんだから」
俺の問い掛けに短く返し、そのまま血を拭き取ったハンカチで懐から出した宝石を包み込んでしまいこむ。
その様子は、まるで大事な物を傷つけないようにそっとしまいこむようにも、あるいは爆弾のような危険物を処理するような手つきにも、どちらにも見えた。
「……ねぇ、アークエネミー。綾子の顔についてた血って、もしかしてあんたの?」
「ああ。ライダーの攻撃から美綴を守る為に素手であの巨大釘の攻撃を受けてな。幸いその時の傷は勝手に回復したみたいだけど」
その言葉を聞いた凛は、今まで以上に真剣な目を俺の方へと向ける。
「あんた、本当に何者なのかしら? いえ、今はそれどころじゃないわね。今は一刻も早く綾子を私の家に運ばなきゃ」
「ああああぁぁぁああああぁあっ!」
叫んでいる美綴に視線を向けながら告げる凛。
「何でだ? 聖杯戦争のせいで被害を受けたんだったら、教会の方に連れていけばいいんじゃないか?」
「駄目よ。綺礼のところにこんな状態の綾子を連れて行ったりしたら、色んな意味で不味いわ。今は私の家に連れて行くわよ」
「……けど、どうやってだ?」
騒いでいる状態では、連れて行くにしても目立つ。
で、あれば……
「しょうがないわね。アークエネミー、悪いけど綾子の意識を」
「分かった」
凛の言葉に頷き、そっと美綴の首筋を握る。
手刀でも良かったけど、体勢的に無理だったからな。
軽く力を入れて首筋を刺激し、意識を失わせる。
「取りあえずこれでいいわ。後は、なるべく早く私の家に連れて行きましょ。アークエネミー、お願い」
凛の言葉に従い、美綴を背負う。
そのまま凛と共に新都の街並みを移動していく。
正直、俺が1人で美綴を背負っていれば、色々と怪しむような目を向けてくる相手もいただろうけど、凛が一緒にいるおかげで、友人を送っていくという風に見られている……と、思う。
『アークエネミー、綾子はライダーに襲われていたのね? それは、ライダーだけ? それとも……』
『あのワカメもしっかりその場にいたよ。それどころか、美綴に対して悪意全開といった表情で笑っていた』
万が一にでも、他の人に聞かせる訳にはいかなかったからだろう。念話で話し掛けてきた凛に、そう言葉を返す。
『……そう』
戻ってきた言葉はそれだけ。
ただし、そこにあるのは間違いなく殺意すら籠もっている一言だった。
『正直、柳洞寺の方と新都のどっちに行こうか迷ってたんだけど……新都の方に来て正解だったわね』
『柳洞寺? そう言えば家を出る時にもそんな事を言ってたな。そこに何があるんだ?』
『うん? 言ってなかったかしら。あそこは冬木でも最大の霊地でもあるの。そうである以上、どこかのサーヴァントがちょっかいを出していてもおかしくないんだけど』
『それなら、優先して調べるべきだとは思うけどな。……まぁ、凛の判断のおかげで美綴を助け出す事が出来たんだが。もし凛が新都を選択していなければ、あのワカメは美綴にどんな手を出してたのか、分かったもんじゃないし』
そんな風に言いながら、美綴の肉体の重みを感じつつ道を歩き続ける。
『それで、結局なんだって美綴はあんな風になったんだ?』
『それは……悪いけど、今この場では言えないわ。もう少しきちんと調べてみる必要があるの。ただ……もしかしたら、綾子をこっちの世界に巻き込んでしまったかもしれない』
苦々しげに呟く凛の念話に首を傾げつつ……俺達は家へと到着するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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