転生とらぶる
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Fate/stay night
1114話
衛宮の令呪によりどこからともなく転移してきてセイバーの見えない剣は、間違いなく一瞬前に俺がいた場所へと振り下ろされていた。
その攻撃を後方へと跳躍して回避し、凛の隣へと着地する。
「まさか、令呪を使ってセイバーを呼ぶなんてね。衛宮君、もしかして最初からそのつもりだったのかしら? 自分を囮にして、襲ってきたサーヴァントとマスターをセイバーで倒す」
若干称賛すら籠もっている凛の褒め言葉だったが、間違いなく衛宮はそんな事を考えてないぞ。
ほら、実際凛の言葉に意表を突かれた表情を浮かべている。
「けど残念ね。衛宮君のサーヴァントがセイバーでも、純粋にサーヴァントの能力として考えればアークエネミーの方が上よ。作戦は良かったけど、サーヴァント同士の能力差に関してまでは考えが及ばなかったようね」
『凛、あまり挑発するな。俺が宝具を使えない以上、いざとなればこっちが不利になる事も有り得るんだぞ。特にセイバーは最優のサーヴァントとか言われてるんだろ?』
凛に向かって念話で告げる。
実際、純粋なステータスでは俺の方が圧倒的に有利だ。
けど、そこに宝具という要素が関わってくると、未だに宝具が???と表示されている俺としては手の打ちようがない。
「だから言ったのです、シロウ。学校に行くのは危険だと」
「いや、けどセイバー」
「けども何もありません」
俺達が念話で会話をしている間、衛宮とセイバーもまた自分達で話を進めていた。
「まぁ、いいわ。うちのアークエネミーならセイバーとだってやり合える。そして私は衛宮君を仕留める。それでいいわね?」
「あいよ」
「……そう簡単にシロウに手を出されては困ります」
俺と凛の会話が聞こえたのだろう。セイバーが手に持っている見えない剣を俺の方へと向けて構える。
どうやら向こうもやる気になったか。
「凛」
「ええ」
短いやり取りだったが、それだけで俺達の間では意思疎通は完了する。
先程の凛の言葉通りに、凛が衛宮に。そして俺がセイバーに対するという意思は。
「じゃあ……戦いを始めようか!」
その言葉と共に、床を蹴りセイバーとの間合いを詰めて行く。
俺の武器は格闘。つまり攻撃を仕掛ける為にはどうしても間合いを詰める必要がある。
だが、セイバーとて英霊となるまでに名の通った剣士だ。
そんな俺の行動は当然予想しており、俺を近づかせてなるものかと見えない剣を振るう。
その気持ちは分からないではない。俺のステータスは、バーサーカーですら一撃で数度殺すだけの威力を持っているのだから。
更にセイバーはその光景を間近で見ていたしな。
素早く振るわれる剣を、セイバーの腕の位置から斬撃の軌道を読んで回避する。
袈裟懸けに振り下ろされた一撃を身体を半身にして回避。
続けざまに横薙ぎに振るわれた一撃を床にしゃがみ込んで回避。
ちっ、透明な剣だってのは分かってるんだけど、具体的にはどのくらいの長さの刀身か分からないってのは痛いな。
それが分かれば、ギリギリで回避して一気に間合いを詰められるものを。
セイバーの攻撃を回避しながら考える。
ここまでして徹底的に剣の素性を隠すとなると、恐らくこの剣の知名度はかなりのものなんだろう。それこそ、剣の姿を見れば真名が分かってしまう程に。
正直、羨ましいような、羨ましくないような。
そこまで有名なものであれば、もし俺みたいに記憶喪失になったとしてもすぐにその正体を探る事が出来る筈だ。
振るわれる剣の連続攻撃を回避し、懐に飛び込む隙を狙いながらそんな事を考える。
もっとも、英霊というのは基本的に弱点を持っている事が多い。
つまり相手の真名が判明すれば、その弱点を突くのもそう難しくない訳だ。
そういう意味では、俺の真名が不明なのはラッキーだったのかも……
「しれないなっ!」
その一声と共に、こちらの胴体を狙って横薙ぎに振るわれたセイバーの剣をしゃがみつつ回避し、前へと進み出る。
セイバーの一撃はさすがと言うべきか、しゃがんだ瞬間に俺の髪を数本切断していく。
ただ、受けたダメージと言えばそれだけ。
そのままセイバーの足目掛けて刈り取るかのような回し蹴りを放つ。
地を這うようにしてに放たれた一撃は、セイバーが軽く跳躍しながら見えない剣を俺の頭部へと振り下ろしてきたことで回避される。……どころか、俺が回避しなければならなくなる。
「ちぃっ!」
厄介な、と回し蹴りをした体勢のまま床に両手を突き、逆立ちをするように足を伸ばして剣の一撃を回避しながら、セイバーの顎を下から狙う。
顎を蹴るというよりは、蹴り砕くという意思を込めて放たれたその一撃を、セイバーは後方へと跳躍する事で回避した。
そのまま、少し離れた場所で向かい合う俺とセイバー。
ちっ、ステータスでは俺の方が圧倒的に有利だが、向こうがセイバーらしく剣を……それも見えない剣を持っている事で互角に近い状態になっているな。
今更だが、本当に何で俺の武器はないんだ?
確かに勇猛のスキルを持っている俺だから格闘なのはしょうがないんだが、セイバーとこうして戦っている限りだと、格闘が俺の本当の戦闘スタイル……って感じはしない。
恐らく俺の失われた記憶に何か問題があって、更には???と表示されているスキルや宝具にその辺の事情があるんだろうが……
「厄介だな」
思わず呟く。
だが、セイバーはその一言に何を勘違いしたのか、握っている見えない剣の柄を更に強く握りしめて口を開く。
「私からすればアークエネミー、貴方の方が余程に厄介な相手です。ですが、このまま戦いを長引かせる訳にはいきません!」
そう告げると、一気に俺へと向かって突っ込んで来るセイバー。
何を焦っているのかと一瞬悩むが、すぐに理解する。
ここからは見えないが、少し離れた場所では相変わらずガンドの掃射音が聞こえていた。
つまり、凛と衛宮の戦いは未だに続いているのだ。
けど元々魔術師としての能力では、凛が圧倒的に勝っている。
つまり、俺がここでセイバーを抑えていれば、それだけでこちらにとっては有利展開なのだ。
セイバーが言っているのもそれなんだろう。
……となると、こっちとしても無理にセイバーを倒さず、時間稼ぎに専念した方がいいか?
いや、何だかんだとセイバーは間違いなく凄腕の剣士であるのは間違いない。
ここで迂闊に時間稼ぎでいいと判断しようものなら、一気にこっちが押し込まれる可能性が高い。
やるのなら、きちんとセイバーを倒すつもりで戦うべきだ。
「そうか? なら、俺は戦いを引き延ばす方に全力を使わせて貰おうか」
まぁ、わざわざそれを口に出したりはしないけどな。
相手が焦ってくれるのなら、それは十分過ぎる程こっちが有利になる証だ。
どうしたって間合いの面でこっちが不利な以上、ステータス差で押し切る為にもセイバーには動揺して貰いたい。
そんな思いで告げたんだが、生憎とセイバーにしてもここで自分が動揺すればすぐに負けてしまうというのは理解しているのだろう。見えない剣を構えたまま、特に焦った様子もなく口を開く。
「そう簡単にはいかせません。確かにシロウは貴方のマスターよりも魔術師としての腕は下でしょう。ですが、生き延びるということに関しては決してひけを取りません」
「だといいがな。俺のマスターの凛は生粋にして一流と言ってもいい程に腕の立つ魔術師だ。衛宮程度であれば、あっさりと勝負がつくだろうよ」
「それはありませんね。現実に、未だ戦闘音は続いているのですから」
ガンドの連射による音が聞こえてくるのを、セイバーが笑みを浮かべて受け止める。
ちっ、こういう時には、あのガンド・マシンガンは色々と不便だな。
「そうか。なら、こっちとしても相応に対処させて貰おうとするか」
ジリ、とセイバーとの間合いを詰めて行く。
セイバーも、俺が近づいてくるのに合わせて見えない剣を上下に揺らしながらタイミングを取る。
こうなると、見えない剣の長さが具体的にどの程度なのか分からないのが痛いな。
特に格闘をメインにしている以上、間合いの読み違えは致命的なまでに痛い。
「こちらとしても、ここで無駄に時間を掛ける訳にはいきません。……いきます!」
機先を制するという意味では、これ以上はないというタイミングで地面を蹴ってこちらに迫ってくるセイバー。
俺を目掛けて振り下ろされる剣は、まさしくセイバーの名に相応しいだけの迫力を持っていた。
「けど、こっちとしてもそう簡単にさせる訳にはいかないんだよ!」
確かに正確な剣の長さや刀身の太さというのを見る事が出来ない以上、ギリギリで回避してカウンターの一撃を入れるという真似は出来ない。
けど逆に考えれば、カウンターを入れる程にギリギリの動きで回避するのではなく、余裕を持って回避すれば問題ないという事でもある。
床を蹴って振り下ろされた剣の一撃を大きく回避し、同時に更に壁を蹴って三角跳びの要領でセイバーに迫る。
学校の廊下という場所だからこそ出来た行為だったが、その一撃はさすがにセイバーでも回避出来ない……そう思ったのだが、三角跳びで勢いの付いた拳がセイバーの顔面へと触れる瞬間に、セイバーは後方へと大きく跳び退る。
「……アークエネミー、貴方はやはり危険だ」
見えない剣を構えつつ告げるセイバーに、思わず苦笑を浮かべる。
「危険って言われてもな。今の一撃を楽に回避出来る様なお前が言っても、全く説得力はないぞ?」
身体を半身にし、改めてセイバーに向き直りながら告げる。
実際、今の一撃はかなり意表を突いた一撃だった筈だ。
だというのに、どんな手段を使ったのかは分からないがそれを察知し、そのまま後方へと跳躍して回避された。
その辺を考えると、かなり戦闘慣れをしていると見るべきだろう。
「お互い受肉して召喚というイレギュラーな要素のサーヴァントだが、な」
「何を言う。イレギュラーという意味では、アークエネミーなどというクラスを得ているそちらが勝る」
「さて、どうだろうな? そっちも大概だと思うけど」
お互いに言葉を交わしつつも、相手の隙を伺う。
もし明確な隙を見せれば、瞬く間に相手に食らいつき、あるいは食らいつかれる。
そんなやり取りをおこないつつ……再び殆ど同時にお互いが床を蹴って間合いを詰める。
振るわれる見えない剣の一撃を、大きく回避しながら……刀身を真横から、打つ!
まさかそんな風にいなされるとは思ってもみなかったのか、セイバーの表情が一瞬だけ唖然とする。
そして、俺にとってはその一瞬があれば十分だった。
「はああぁっ!」
ゴギャッ、という聞き苦しい音を立てて俺の拳がセイバーの腹部の鎧へとめり込み……何だ!?
鎧を殴った瞬間、手に妙な感触。
その感触のままにセイバーは廊下の先まで大きく吹き飛んでいく。
……いや、違う。自分から魔力を噴き出して吹き飛んだ!?
鎧の上から殴りつけた音に関してはかなりの音が出たが、実際にその威力の殆どを魔力を噴射して強引に自分の身体を移動させる事で受け流された。
ちっ、また厄介なスキルを!
「ぐっ、ごほっ、これだけの威力とは……」
幸い、セイバーの方は威力の殆どを受け流した状態ではあっても、ある程度のダメージはあったらしい。
苦しげに咳をしつつも、セイバーは剣を廊下に突き刺しながら立ち上がる。
バーサーカーの防御力すら貫いてダメージを与える一撃を受けて致命傷を負っていないというのは、やはりダメージの殆どを受け流したんだろう。
幾ら鎧を身につけているとしても、受けたダメージがあまりにも少なすぎる。
けど……確かに受けたダメージは少ないが、それでもダメージはダメージ。
骨の1本や2本折れていてもおかしくはない。
サーヴァントにしてみればすぐにでも回復出来るだろう怪我だろうが、それもマスターがいてこそだろう。
特に今のように衛宮が凛と戦っている状況では、セイバーにとってこの程度の傷でも大きく足を引っ張る。
故に……
「ここで決めさせて貰う!」
床を蹴り、セイバーへと向かって間合いを詰める。
当然セイバーは見えない剣を振るってくるが、微かではあって、明らかにその剣速は鈍っていた。
剣の振るわれる軌跡を見極め、鋭く床を蹴ってその一撃を回避、そのまま内側へと入り込み、再び拳を振るう。
「くっ!」
先程同様の軽い手応え。
再びこちらの攻撃を受け流したのだろう。
確かに魔力を噴射して強引に自分の身体を吹き飛ばすという方法は凄いと思う。
けど、それでも少なからずダメージを負う以上、いずれは押し切られる。
吹き飛ばされた先で足から着地したセイバーに追撃の一撃を……
「きゃあああああああああああああっ!」
放とうとした、その瞬間。そんな悲鳴が聞こえてくる。
何だ!?
『凛、今の悲鳴!』
『ええ、聞こえたわ。多分まだ校舎内に残っていた部外者! 悪いけどちょっと見てきて』
『セイバーは?』
『しょうがないわ。こっちも今そっちに向かってるから』
ちっ、しょうがない。
「惜しいところだったけど、今日はこれまでだ。命拾いした幸運に感謝するんだな」
「なっ!? アークエネミーッ!」
そんな怒声を聞きながら、俺はその場を後にする。
……霊体化を使えれば壁抜けとか出来るんだけどな。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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