魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~
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第1章:平穏にさよなら
第8話「“夢”と熱」
前書き
これリリなのである必要あるんだろうか?(おい
展開がなかなか進めれません...。いえ、自業自得ですけど。
=優輝side=
―――これは、夢だ。
その光景を見た時、すぐさま僕はそう思った。
豪華だけど、所々ボロボロになっている城。見渡す限り荒れている荒野。倒れている戦士のような人間達。...まさに戦場。そんな光景だった。
「■■■■、どこだ...?どこにいる...?」
そんな光景の中、夢の中の“僕”は誰かを探していた。...名前はノイズが掛かったようで聞き取れなかったが。
「まさか...くそっ...!」
何か心当たりがあるのか、“僕”は舌打ちした。
「魔力反応....あっちか!」
そう言って“僕”は飛び立つ。魔力が感じた方向と思われる場所へ。
―――場面が変わる。
「■■■■!しっかりしてくれ!」
「あぁ...あぁあアあアア...!」
ノイズが掛かって聞き取れない名前を、目の前の...緋雪に似た人物に呼びかける。しかし、彼女は正気ではないようだった。
「っ....!仕方ない...!」
そう言って“僕”はデバイス...リヒトを展開して彼女を止めに動いた...。
―――意識が暗転する...。
「はっ....!?」
飛び起きるように目を覚ます。ふと時計を見ればいつもより少し早い時間だ。
「...なんなんだ、あの夢...?」
起きたばかりの頭で、僕はただたださっきの夢について疑問に思っていた。
=緋雪side=
―――何....これ....?
その光景を見た時、私はそうとしか言えなかった。
血に濡れた荒野。無残な姿で倒れている人間の亡骸。戦場の真っただ中とも言えるその光景は、私に多大なショックを与えた。
「え...ぁ....■■■...?」
「ぐ...ごほっ....!」
そして、私を庇うように抱きしめているお兄ちゃんに似た人物。夢の中の“私”は彼の名前を言ったはずだけど、ノイズが掛かったように聞き取れなかった。
「■■■!?■■■!!」
「は...はは...ヘマ...しちゃったな...。」
腹部にいくつかの貫通した傷。...そして、何よりも心臓辺りにある傷。...致命傷だった。
「どうして!どうして私なんか...!」
「...そう言うなよ■■■■...。庇ったのは、僕の勝手なんだから...。」
庇った事に何か言おうとする“私”に、彼は力なくそう言った。
「くそっ...!なんでそんな化け物を...!」
すると、彼に傷を与えた犯人であろう人物がそう言った。
「このっ....!」
「黙れっ!!」
“化け物”と言う単語よりも、彼を非難した事に何か言おうとした“私”を遮り、彼は致命傷を負っているとは思えない声量でそう言った。
「お前に...■■■■の何が分かる...!次、同じ事を言ってみろ...!地を這ってでもお前を...殺してやる...!!」
「■■■....。」
致命傷を負ったと思えない気迫で、彼はその人物へそう言った。
「ひっ...!?」
「...まぁ、そんな機会、二度と来させないがな...!」
そう言って彼は一つの剣をどこからともなく出現させ、それを射出するように繰り出してその人物を殺した。
「ぐっ...!?」
「■■■!?しっかりして!今、治療を...!」
「...ダメ..だよ。心臓を貫かれてる。...今、こうやって喋れるのはリヒトの補助のおかげだよ...。」
「そんな...!?」
治療を施そうとする“私”に、彼はそう言って止める。...あれ?“リヒト”?それって、お兄ちゃんのデバイスの名前だったような...?
「...リヒトも、悪いね...。ここで終わってしまってさ...。」
〈...いえ。私は、マスターの相棒ですから...。〉
「はは...。でも、僕が死んだらちゃんと違う主を探せよ...?」
彼の首に掛かっている白いクリスタルに彼は話しかける。
〈お断りします。例え、貴方が生まれ変わるのを待ってでも、私は貴方以外に仕える気はありません。〉
「..は、はは..。それは、困ったなぁ...。」
クリスタル...リヒトの言葉に、彼は苦笑いしながらもどこか嬉しそうだった。
「...■■■■。」
「....なに?」
“私”は涙を流しながら、彼の言葉を聞く。
「....助けてあげられなくて....ごめん...な....?」
「ぇ.....。」
そう言って、“私”の頬に触れるぐらいまで手を伸ばした後、その腕は力なく落ちた。
「■■■....?■■■ってば...。起きて...起きてよ...!」
間違いなく、死んだ。それでも“私”は彼の体を揺さぶる。
「お願い...!起きてよ...!私を...独りにしないで....!」
懇願するように“私”は彼を揺さぶり続ける。...だけど、彼はもう、目を覚まさない。
「あ...あぁ...ああああああああああ!!!」
突きつけられた現実に、“私”は絶叫した。
―――!――!
周りから、人がやってくる。それに“私”も気づいた。
「....お前たちの....お前たちのせいで....!!」
“私”から魔力が溢れ出す。怒り、悲しみ、憎しみ...様々な感情と共に溢れ出して行く。
「■■■は...!■■■は!!」
彼を抱きしめるように私は悲痛の叫びをあげる。その運命を呪うように。認めたくない現実を怨むように。ただただ涙を流した。
「....もう、いい。」
集まってきた人達が、“私”に向けて魔法を放ってきた時、“私”そう呟いた。
「....もう、いいよ。皆...ミンナ、壊レチャエ!!」
膨大な魔力が解き放たれた。
その魔力は、“私”に向かってきた魔法を消し去るだけでなく、集まってきた人たちを全員消し去る程までだった。
「アハ、アハハハハハハハハハハ!!」
狂った。そう、昨日の私のように、夢の中の“私”も狂った。そして、嗤っていた。狂って、嗤って、それでいて、涙を流していた。
―――まるで、愛しき人を亡くした事を、後悔するように。
「―――っ....!!?」
飛び起きた。それはもう、被っていた布団が吹き飛ぶくらいに。
「はぁ...はぁ...ゆ、夢....?」
そう、夢だった。...とびっきりの悪夢とも言える程、哀しい夢だった。
「なんで...あんな夢を....?」
怖かった。悲しかった。辛かった。そして、何よりも...。
「―――悔しかった。」
夢の中の“私”が、彼を失った事が、何よりも悔しく思えた。
「...お兄ちゃんに、似てたからかな...?」
夢の中の彼が、あまりにもお兄ちゃんに似ていたから、私も悔しく思ったのだと思った。
「っ....。」
体がふらつく。夢の影響だろうか?そう思って私は額に手を当てた。
「あ、熱だこれ。」
...ただの熱だった。
=優輝side=
「...40,2度...とんでもない高熱だな...。学校は休むか。」
緋雪の熱がとんでもない事になった。
「ごめんね...。お兄ちゃん...。」
「...いや、別に緋雪は悪くないさ。でも...。」
「お兄ちゃん?」
歯切れ悪くする僕に緋雪が心配してくる。
「...僕も、熱が出てるんだよな。」
「...えっ?」
39,1度。さっき測った結果がこれだった。
「兄妹揃って風邪を引くとは...ついてないな...。」
とりあえず、学校に連絡しておこう。
トゥルルルル
【はい、こちら私立聖祥大附属小学校です。】
「すみません。5年2組の志導優輝です。4年1組の志導緋雪と共に高熱が出てしまったので今日は休みます。」
【わかりました。担任の先生に伝えておきます。お大事にね?】
「はい。」
...よし、これで大丈夫だろ....っとと...。
「あー...結構辛いな...。」
「お兄ちゃん...無理しないで...。」
「いや、緋雪の方が熱があるんだから、無理せず寝とけって。」
とりあえず、緋雪が寝ているベッドにもたれるように座り込む。
「...こんな状態じゃ、緋雪の吸血鬼化をどうにかする事もできないな。」
実は、昨日から緋雪の吸血鬼化は治っていない。吸血衝動自体は収まったけど、肝心の羽や赤い瞳などは元に戻っていない。
「羽って...結構邪魔なんだよね...。」
「背中に何か挟んでるようなもんだもんな。」
「うん...。感覚もあるから、背中に手を敷いてるみたいな感じ...?」
あー...なにもやる気が起きない...。というか体がだるい...。
「ちょっと...眠るか...。」
「うん...。あ、お兄ちゃん、そこでいいの?」
緋雪はベットに入ったままだけど、僕はもたれてるだけだったな。
「そうだったな。自室に戻r「待って。」...どうした?」
「えっと...一緒に寝てくれないかなぁ....って。」
手を掴まれて、上目遣いでそう言ってくる。
「...すっごく暑くなるけど..いいのか?」
「うん。今はお兄ちゃんといたい。」
...しょうがない。熱が引いたら布団を洗うか。
「...にしても、どうしたんだ?こんな事頼み込んでくるなんて...。」
「...ちょっと、嫌な夢を見たから...。お兄ちゃんと一緒なら、大丈夫かなって。」
夢か...。今朝のを思い出すな。
「そっか。...なら、安心して眠れるね。」
「うん。...お休み...。」
そうして、僕達は一緒の布団で寝た。
「....う、うーん....。」
ふと、目を開ける。すると、目の前には緋雪の寝顔があった。
「なんで緋雪が...って、一緒に寝たんだったな。」
寝る前に何をしていたのか思いだし、緋雪を起こさないように布団を出る。
「...うん。意識は大分はっきりするな。...熱は治まってないけど。」
もう眩暈とかはしてないため、家事とかもできるな。
「<ぐぅ~>...朝は何も食べなかったからな...。おかゆでも作るか。」
緋雪の分も作っておかないと...。
「うぅ....お兄ちゃーん....?」
フラフラとしながら緋雪が起きてきた。
「緋雪、無理しなくていいよ。」
まだ熱がある僕が言えた事じゃないけど。
「...お腹減った...。」
「今おかゆ作ってるから少し待って。」
「は~い...。」
そう言って緋雪はソファーに倒れこむように横になる。
「...よし、完成っと。」
僕の分と緋雪の分に取り分けて、テーブルに置く。
「熱いから冷まして食べなよ?」
「うん。」
食欲自体はしっかりあるのか、あっという間に僕らはおかゆを平らげた。
「...しかし、いきなり熱が出るなんて....。」
「昨日、疲れたから早く寝たのになぁ...。」
熱は治まってないものの、気分とかは大分楽になったので、リビングで少し緋雪と話す。
「風邪を引くような事はしてないのにな。」
〈それについては私から説明しましょう。〉
「リヒト?」
昨日の帰宅後から一切喋っていなかったリヒトが話に入ってきた。
〈簡単に言えば、お二人が熱を出したのは、リンカーコアの活性化と同時に、過剰な魔力運用をしたのが原因です。〉
「過剰な魔力運用?」
〈はい。昨日は、マスターは自身の魔力に見合わない使い方をしましたから。〉
...あの魔力AAAランク分の魔法か...。
「あ、じゃあ、私も...。」
〈はい。緋雪お嬢様も狂気に囚われていたが故、異常な魔力運用でした。〉
緋雪の言葉に、緋雪のデバイスが答える。
〈シャルラッハロート、貴女は緋雪様を止めようと思わなかったのですか?〉
〈私はお嬢様最優先ですので。〉
...あれ?なんか、デバイス同士で険悪な雰囲気に...。
「というか、知り合い?」
〈はい。それぞれの以前のマスターは親しい関係でしたので。〉
「わお。凄い偶然。」
...でもなんだろう。偶然であって偶然じゃない気がするのは。
「にしても魔力運用が原因かぁ...。」
〈今日一日安静にしていれば明日には治るのでご安心を。〉
リヒトがそう言うので、特に何かして治さなきゃいけない訳ではないと安心する。
「じゃ、今日は大人しくしておくか緋雪。」
「そうだね。」
そう言う事で、僕らはのんびりとその日を過ごして行った。
偶には平日にゆったりまったりしておくのもいいね。
後書き
今回は少し短めです。...今までが長かっただけですけど。
魔導師として覚醒したその時に過剰な魔力運用をすると今回のようになるのは独自設定です。ありえてもおかしくないと思ったのでこうしました。
感想、待ってます。
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