オズのポリクローム
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第三幕その八
「カワウソもアシカもね」
「いないんだ」
「カワウソは見たって人もいるけれど」
それでもとです、恵理香はカルロスに残念そうにお話するのでした。
「多分ね、お父さんとお母さんが言うには」
「もう日本にはいないんだ」
「そうなの、だからね」
「そうした生きものがオズの国にいるから」
「二人は嬉しいんだと思うわ」
「ブラジルには狼はいないね、カワウソも」
カルロスはこう恵理香に答えました。
「アマゾンにはね、けれどね」
「生きものがいなくなることは、よね」
「わかるよ、そういうことって悲しいよね」
「ブラジルにもそうした生きものはいるのかな」
「うん、昔はオオナマケモノがいたらしいけれど」
カルロスはリョコウバトを見ながら自分に尋ねてきたジョージに答えました。
「あとオオアルマジロもね」
「今はだね」
「いないと思うよ」
こうジョージに答えました。
「まあアマゾンの奥はわからないけれど」
「多分だね」
「いないよ」
こうジョージにお話するのでした。
「もうね」
「そうなんだね」
「まあこの国は色々な動物がいてね」
そしてとです、カルロスも言うのでした。
「若しかしたらオオナマケモノもいるのかな」
「あの生きものなら密林の中にいるよ」
魔法使いがカルロスに答えました。
「オズの国のね」
「この国には密林もあるんですか」
「うん、そこにオオナマケモノやオオアルマジロもいてね」
『他のアマゾンの生きものもですか」
「大勢いるよ」
そうだというのです。
「だからオオナマケモノに会いたいならね」
「その密林に行けばいいですね」
「そうだよ」
「わかりました、じゃあ機会があれば」
「密林に行ってだね」
「会いに行きます」
その生きもの達にいうのです、こうお話してでした。
カルロスも窓の外を飛んでいるリョコウバト達を見るのでした、見ているのは五人もドロシーも魔法使いもです。勿論臆病ライオンと腹ペコタイガーもです。
その中でナターシャもです、こう言うのでした。
「ステラーカイギュウもいるんですよね」
「そうだよ」
魔法使いはナターシャにも笑顔で答えました。
「オズの海にね」
「そうなんですね」
「観に行くのかな」
「機会があれば」
その時にとです、ナターシャも答えます。
「お願いします」
「わかったよ、それじゃあね」
「はい、まだいるかどうか」
ナターシャも何時になく感情を出しています。
「わからないですけれど」
「まだ時々だよね」
「見たっていうお話がありますから」
「ステラーカイギュウはね」
「いて欲しいです」
ナターシャも切実なお顔になっています。
「凄く大人しくて優しい生きものですよね」
「あんな静かな生きものはいないよ」
実際にとです、魔法使いも答えます。
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