僕のサーヴァントは魔力が「EX」です。
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絶体絶命の二回戦
聖杯戦争二回戦の七日目。今日はついにフローラとバーサーカーとの決戦の日だ。
バーサーカーの真名とその能力を知った時は僕もアヴェンジャーもあまりの勝ち目のなさに気落ちしたが、すぐに「一回戦も勝ち目が薄い戦いだった」と気を取り直して(開き直ったとも言う)戦いの準備に取りかかった。
アリーナで戦闘訓練を繰り返しまり、教会にいる魔術師の姉妹に魔術回路を改竄してもらったり、出来うる限りの準備をして僕とアヴェンジャーは二回戦に挑んだのだが……。
「■■■■■ーーー!」
「うわあああっ!?」
「きゃあああっ!?」
試合開始から僅か三十秒でヒュドラ……というかヤマタノオロチに変身したバーサーカーに追い込まれました。……というかこのバーサーカー、絶対におかしいって!
試合開始と同時に変身しようとしたところを攻撃しても何だか光るシャボン玉みたいなバリアーで攻撃を弾き飛ばされるし、
変身が終わって身体が硬直していた隙を攻撃しても今度は鱗一つ傷つかないし、
そして今、バーサーカーの攻撃を何とか避けたんだけど、その時に生じた攻撃の余波でアヴェンジャーと一緒に何メートルも飛ばされるしで、もう勝ち目とか全然見えないんだけど?
しかも二回戦の決勝の舞台はどこまでも広がる草原。
これはムーンセルが僕とアヴェンジャーよりフローラとバーサーカーの方が有利だと判断して、バーサーカーに合わせた風景にしたんだろうけど、この隠れる所がどこにもまい地形は巨体のバーサーカーの方に利点がある。戦闘力は向こうの方が圧倒的に上で、地の利も向こうにあるなんて笑えないって。
「マスター、どうしようか?」
「さあ、どうしようかな?」
アヴェンジャーが意見を聞いてくるが、どうしたらいいかなんて僕の方が聞きたい。
幸いというか、ヤマタノオロチとなったバーサーカーはその巨体ゆえに攻撃が大雑把だし、一度攻撃すると次の動作まで時間がかかる。フローラはここからではよく見えないけど何かをする素振りは見えないし、反撃する隙は充分すぎるくらいにある。……でも、いくら反撃する隙があっても、こちらの攻撃が全然通用しないんだよな。
「……あれ? マスター、バーサーカーの様子が……」
どうやって戦おうかと考えていたその時、アヴェンジャーが声をかけてきた。彼女に言われてバーサーカーを見てみると、ヤマタノオロチとなっているバーサーカーは、その八つある頭を全て天にと向けていた。……あ、何だか猛烈にイヤな予感。
「アヴェンジャー! 防御だ! 急いで!」
「り、了解 『呪塊・玄武』!」
天に頭を向けるバーサーカーを見てイヤな予感を感じた僕はアヴェンジャーに指示を飛ばし、彼女は即座に防御用のスキルを発動させると自身が操る骸骨の人形から大量の泥を出してドーム状の膜を作った。泥の膜は僕とアヴェンジャーを包み込んで視界が真っ暗になった。
呪塊・玄武は僅かな時間しか効果がないが、相手の攻撃を完全に防ぐ絶対防御。これならあのバーサーカーがどんな攻撃をしてきても大丈夫だろう。
ブシャアアア! ジュウウウウウ……!
膜の外側から何やら不吉な音が聞こえてきた。呪塊・玄武の発動時間が終わり、泥の膜がなくなると……僕達の周りの地面がドロッドロに溶けていた。これはもしかしなくてもバーサーカーの仕業だろう。
「……え? な、何コレ? 酸?」
「……いや、この微かに香る甘ったるい香りは毒だな。間違いない」
つまりさっき僕らが聞いた音はバーサーカーが酸性の毒を吐いた音で、もし防御が間に合わなかったら今頃僕らは骨も残らずに溶けていたということになる。
「……マスター? 伝説のヤマタノオロチって毒吐いたっけ?」
「毒を吐いたって記述はないけど、ヤマタノオロチもヒュドラなんだから毒くらい吐けるんじゃないの?」
「「………。………」」
僕とアヴェンジャーはそんな会話をした後、どちらともなくお互いの顔を見てから次にバーサーカーの巨体を見上げてやっぱり同時に呟いた。
「「コレ、どうやって倒そう?」」
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