魔法少女リリカルなのは ~Emperor of the ⅣGOD~
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ジュエルシード編Ⅰ
前書き
ご無沙汰しております。不死廃人です。
更新のほど、大変遅れてしまい申し訳ありません。
せっかく読んでいただいているのになにも連絡もなしに長期放置してしまいお恥ずかしい限りです。
というのもここしばらく病院のほうでお世話になっていましてpcを使用できない事態に陥っていました。入院の理由は仕事上のトラブルが原因です。
これから更新のほうを頑張っていきたいのでまだ応援をしてくださる方がいらっしゃれば何卒よろしくお願い申し上げます。
真っ白な空間。どこを向いても果てしなく続く純白の世界になぜ自分はいるのか。考えてみたが特に思い当たる節がない。最後の記憶をたどって思い出すと、自分は昨晩までは自室にいて夜の十時を回ったころにベッドにいき、そのまま眠りについた。それが今思い出せる一番最近の記憶。
本当に自分はなぜここにいるのだろう。そもそもここはどこなんだ。他に誰かいないのか。次々と思い浮かぶ疑問にだんだんと頭が混乱してきた。考えるのはもうやめようと思った時、背後で誰かの喋り声が聞こえた気がした。俺は真っ白い世界の中、前か後ろかもわからないまま、ただ声のする方へと進んでいった。ある程度進むと声もはっきり聞こえてきて、目の前に白ではない鮮やかな朱、落ち着きのある翡翠、ぬらりと揺れる漆黒の三色の色が光り輝いて浮かんでいるのが視えた。
《白虎が新しい主を見つけたみたいね。》
《そうみたいだなぁ、どうやらこの感じやつらの血筋の末裔が宿主みたいだぞ。》
《.............。》
不思議なことにあの光達?が会話をしているみたいだ。順番的には朱→黒→翡翠のように聞こえた。白虎の名前が出ていたからおそらく白虎の知り合いであろう。光達はまだ会話を続けている。
《歳はいくつだろうなぁ?ん?なんだ、まだガキじゃないか。ほんとにこいつが白虎を起動させたのか?》
《........そうじゃなければ、我々はこのように目覚めてはいない。》
《そうよ~、まだ子供のようだけど魔力量はっと....。あらあら!随分高いのねびっくりしたわ!》
《むむむ、これなら白虎を扱えたことを認めざるを得ないな...。しっかし、世の中ってのは随分と変わるものなのだな。このようなガキンチョが魔法を使えるような時代になるなんて》
《その辺はまあ、あの人たちの子孫ってことで納得いくんじゃない?血筋が色濃く出る世代ってやっぱり一つや二つあるものよ。覚醒遺伝ってやつよ、きっと!》
少し貫禄が漂う口調で男性っぽいのが黒いので女性のような口調が朱、あまりしゃべらない若い女性の口調が翡翠のようだ。
《まあ、こやつが我らの担い手になれるかどうかは後々わかっていくことだろう。》
《そうね、順調にいけば次から次へ表に出ていけるものね。となると、次に出られるのは...。》
《.....自分だ。》
《あ、やっぱり?じゃあ今回も私が一番最後になりそうねぇ。退屈になりそう...。》
《我は出番があれば行くだけだがのう。できることなら最後までのんびりしてたいもんだ。》
《とかいって、出れたときいっちばんはしゃぐのは貴方でしょう?ふふっ》
《呼ばれりゃいつでも全力で応えるのが、我の主義なのでな。手抜きはできるだけしたくない。》
《そういうところなぜか真面目だよねぇ。あれ?もう休むの、せいちゃん?》
《.............ああ。》
《じゃあ、お開きにしましょうか。またお話しましょ♪》
《次に会うときは外だと思うがな。》
三つの光達の会話が終わると、翡翠色が先にフッと消えて続いて朱色、黒色と消えていった。すると俺の視界もそれにつれ次第に暗くなってゆき、目の前が真っ暗になった。
_________リリリリリリッ____________
「んん.....、う~ん...........。」
_____リリリリリッ、がちゃんっ______
「.....Zzzz、ん?...........................朝ぁ!?」
がばぁっと勢いよく布団をはねのける。苦手な朝特有の寒さも気持ちの焦りに押しのけられ、ただ急いで支度を済ませる。時刻は五時三十分、いつもよりはるかに早い起床だ。いつもならこんな時間に起きたら眠くてベッドに即逆戻りの二度寝をするのだが、今日からはそんなことをできる余裕はなくなってくる。じいちゃんは人を待たせることがあまり好きではない。それは自分に課しているルールでもあって、周囲の人たちにも口うるさく言っていることでもある。稽古の時間はなおさらだ。遅れたときは一日中不機嫌になって稽古がだいたいきつくなる。袴のような胴着を身につけて部屋を飛び出した。
庭を横切り、ものの10秒でいつもの道場の前まで行く。
時刻は五時四十五分。五十分に道場に来なさいと言われたので割と余裕をもって来れた。乱れた呼吸を整え、道場の入り口、引き戸に手をかけゆっくりと開ける。
「おっ、ちゃんと起きられたな。寝坊してくると思って特別厳しい稽古を考えておったのにこれは残念だ。」
道場にはすでにじいちゃんが来ていた。おれと同じような胴着をきており、おれのとは違って厳しい修練の跡であろう傷が胴着のところどころについている。いつものようにニカッと笑って冗談だか本気だかわからないことを言ってくる。
「そ、そんなわけないよ~。こんな日におれが寝坊するなんてさすがにしないさ。」
とおれは目を逸らして返事をする。.......言えない、結構ギリギリだったなんて言えないぞ。次は絶対早く起きよう。特別稽古なんてやった日には学校に行けるかどうかもわからない。
そんなことを考えてるとさっきまで笑っていたじいちゃんが表情を引き締めたので自然とおれの意識も稽古を始めるときのように引き締まった。
「さて、と。燈嗣よ、いままでわしはお前に基礎や型、躱し方、捌き方などを教えてきた。だが、今後ジュエルシードと対峙していく中でそれだけでは対抗できないだろう。そこで今日から我が武術の攻めるための型を教える。これを教えるにあたって3つ掟がある。」
「掟?」
「そうだ、剛士にもこれを伝えてから稽古に臨ませておる。まずは一つ!己が力は己のためのみに非ず。一つ!我らが拳は人を制するものに非ず。そして一つ!己の全てを信じよ。」
「………わかったよ、じいちゃん。」
しばらく、真剣な面もちをしてこちらを視ていたじいちゃんはニカッと笑い満足そうな表情をした。
「よしっ!これで燈嗣も立派な我が武術の門下生だな!」
「え!?まだ門下生ですらなかったの!?」
「当り前よ、いままでのはただの初歩中の初歩。教えたうちにも入らんわ、はっはっはっは!!」
いままででも時々つらいと思っていたけどあれが本当に初歩の最初の部分だなんて.......。おれの体持つかなぁと心配になる燈嗣なのであった。
「では、さっそく攻めの型に移ろうじゃないか。そうだな、準備運動が終わったのちわしと組み手だな。」
「ええぇ!!?く、組み手っておれまだ正拳突きくらいしか攻める手段ないんだけど!?」
「ああそれでいいぞ。ただ、攻められるかな?まずは捌いて、躱して、視るのだ。そこから動きをつかんでいけばいい。型から教えるのはそのあとだな。」
「うえぇぇ.....。ハードだなぁ。」
「ほれ、そんなモタモタしてるなら準備運動無しで始めてしまうぞ?」
「い、行ってきま~す!!」
じいちゃんならそういうこともやりかねないと思い、準備運動をせずに動きを追えるはずはないので急いでランニングを始める。
ストレッチなども終えてじいちゃんと組み手を始めたら案の定、防戦一方。ほとんどの時間を攻め続けられる組み手をして初めての朝の稽古は終わっていった。
稽古が終わったのは7時。おれはクタクタになってお風呂へと足を運んだ。思いのほか朝稽古あとのお風呂は気持ちがよくそのまま眠ってしまいそうになる。湯船につかりながら今後どうしていこうか考えようと思い白虎を呼ぶ。
「白虎、起きてる?」
《起キテルゼ、ブラザーガジジイニボコボコニサレテル時クライカラ目ハ覚メテタゼ。》
「あれは、だって、じいちゃん攻撃の手を全然緩めてくれないんだもの。あんなの反撃できっこないよ........。」
《ホント、アノジジイ元気ダヨナァ。ジイサンノ動キジャネェゼアリャ。タダ、ブラザーモヨクアンダケ捌キキレテタモンダゼ。》
「そうかな?」
《アア、最後ラヘンハドコデ反撃スルカ考エテタロ?初メテニシチャ良イ戦イシテタゼ。》
「え、なんでそんなことわかるの?」
確かに途中までは防戦一方だった俺は避けたり捌いたりするだけしかできなかった。だけどそのうちじいちゃんの動きにも慣れてきて何度か反撃しようとは思った。が、結局できなかったしただ考えていただけなのに。それより、なんで白虎はそんなことを知っているんだろう。
《アア、話シテナカッタカ。オレサン達ガ魔法ヲ使ウ為ニ存在スルデバイスッテノハ知ッテイルダロウ?ソノデバイスニモ色ンナ種類ガアッテナ。例エバ、アノ白イ嬢チャンガ持ッテイル赤イ宝石ノ形ノヤツハ『インテリジェント・デバイス』ッテ言ッテナ。AIッテイウ人格ヲ搭載シテイルモンダ。主ニ所有者ノ補助、支援ヲ目的トシタデバイスダナ。マ、簡単ニ言ウトコミュニケーションデキル魔法発動媒体ッテコトダ。》
「なるほど。おしゃべりできるデバイスなんだね。」
《ソウイウコトダ。デ、他ニモアルンダガソノ中デモオレサン達ハ特殊ナ例デナ。一応、インテリジェント・デバイスナンダガ宝石ノヨウナ形トカハ今持ッテイナインダ。》
そういえば初めて白虎に会ったときは宝石のような形をしていたことを思い出した。一体どこから話しかけているんだろう。
《オ前サンノナカカラダゾ。》
「え?」
《ダカラオレサンハ今ブラザーン中ニイルンダッテ。》
「俺の中?え、どういうこと....体のどこに入ってるの?」
《ドコトイウカ見エルヨウナトコデハナインダヨナ。オレサン達ニハAIトイウカソレゾレニ1ツノ生命体ガアルンダガ、開発者カラ全ク、自分達ノコトニツイテ知識ヲプログラムサレテイナクテナ。詳シイコトハ全クワカラン。インテリジェント・デバイスカドウカモアヤシイトコナンダ。》
「開発者って誰?その人に聞いてみればいいんじゃないの?」
《残念ナガラモウコノ世ニハイナイ。ミッドチルダノ時代ヨリモ前ニオレサン達ハ作ラレタカラナ。》
「......そっか。それで俺の中っていうと心の中にいるってことでいいのかな?」
《ウーントダナ、魔導士ナラダレデモ持ッテイルリンカーコアノ中。心臓ノヨウナモノニオレサン達ガリンクシテイル。意識的ナ部分デブラザーノ心ト融合シテイルッテコトニナルナ。》
「だから俺が考えていたことが筒抜けだったの~?なんか恥ずかしいなぁ。」
《ソレダッタラ思考共有補助ヲ切レバイイゾ。》
「思考共有補助?」
《思考共有ッテイウ魔法機能ガオレサン達ニハアッテナ、魔法戦闘中ニイチイチ会話シナクテモ考エテイルコトガ瞬時ニ共有デキルッテイウモンダ。オレサン達ハ常ニオ前サントリンクシテイルカラ日常的ニ魔法機能ガ点イテイル状態ナンダ。思考共有ハオ互イノ考エガワカルガ思考共有補助ッテノハ一方的ナ意思ノ伝達ヲスル為ニ使ウ。ダカラ、ブラザーノ考エハオレサンニハ伝ワッテイタガオレサンノ考エハブラザーニハ伝ワッテイナカッタワケダ。》
「すごいね、白虎。そんなことも魔法でできるんだ。すごいんだけど、ちょっと恥ずかしいから日常生活の時はその機能は使わないでおいてね?あと魔法を使っているときは、補助じゃなくてお互いの思考が伝わりあうほうでお願い。」
《了解ダゼ。》
白虎が持つ魔法の力のすごさを再認識した俺は会話しているうちにお風呂からあがった。自室に戻り学校の制服へと着替える。そのまま朝ごはんを食べるためにリビングのほうに向かった。リビングに入ると母さんと父さんが朝ごはんを作って待ってくれている。
「父さん、母さんおはよ~。」
「おー、おはようトモ。今日も早いの、か......。おや?」
「お父さんどうしたの、ってあらら。」
「?」
なんか二人とも俺のほう見てキョトンとしている?あれ、寝癖でもたっているのかな。いや、朝稽古の後シャワー浴びたしそんなはずは。あ、また早起きが珍しいって思ってんのかな。
「........トモ、今日はどちらへ?」
「え?学校だけど、そういや父さん仕事は?」
「父さんな、今日は休みだ。そして今日はな、日曜日だ。」
「.................................あ。」
「ぷふっ、今日は学校ないわよ、トモっ!」
リビングに二人の笑い声が響き渡った。俺はてっきり学校があるものだと思い宿題までやって着替えてきたのに。すごく恥ずかしい。父さんが「無理して早起きはよくないなトモ、あっはっはっは!」と笑いながら言ってくるのに対し俺は素早く自室に戻り、すぐに着替えてきて朝ごはんを食べたが今日一日中、このことで家族から笑いものにされるのであった。
お昼も過ぎる頃、俺は家で暇を持て余していた。てっきり学校があるもんだと思っていたので今日は何も予定を入れていなかったのだ。稽古はじいちゃんがどこかへ出かけていてできないし兄貴は部活だし、徹はまだ寝てるんだろうなぁ。
家で暇を持て余していてもなと考えた俺は散歩でもすることにした。出かける前に寝ている白虎を起こして家の玄関へと向かう。
「白虎、散歩でも行こうかなって思ってるんだけどどこか行きたい場所ある?」
すると白虎は眠そうに
《フワァァア、オレサンカ??特ニ行キタイ場所ナンテナイゼ。》
「でも俺たちの時代のことあんまりわからないでしょ、白虎は。行きたい場所の1つや2つくらい。」
《トハ言ッテモナァ、オレサン割トババアニ付イテイッタリシテタカラココイラデ知ラナイトコネェンダヨナ。》
「え、そうなの?じゃあ俺より知ってそうだね。」
《タブンナ。ア、ジャアヨジュエルシード探シニ行クッテノハドウダ?イイ暇ツブシニナルゾ、キット。》
「おお!名案だね、じゃあ今日はジュエルシードを見つけに出かけよう。」
《オー!!》
そうして俺と白虎は海鳴町へ散歩、もといジュエルシード探しに出かけるのであった。
海鳴町の木々が生い茂る場所を俺は重点的に探すことにした。草むらに落し物をしやすいという安直な考えだけどそもそもどこに落としたかわからないものを考えて探すほうが間違っているのだと思う。だがしかし、どこに落としたかもわからないジュエルシードはやはりというかなんというか、どこを探しても見つからなかった。
「んー、ないなぁ。どこにあるんだろう、ジュエルシードは。そもそも海鳴町にあるって考えていいの?もっと他の町に散らばっているとか。」
《ソノ辺ノコトハ大丈夫ダソウダ。チョウドコノ世界ノ上デジュエルシードガ散ラバッタミタイデ座標軸ヲミテモコノ海鳴町付近ニアルコトハ間違イナイ。》
「えーと、次元航空中の輸送船が事故で壊れてその中の荷物、ジュエルシードが落ちてしまった。その落ちた次元の座標軸が俺たちの住む海鳴町の近くでジュエルシードが散らばってしまった、だっけ?んー、次元とか座標軸っていうのはまだよくわかんないな。」
《マァ、大部分ガ海鳴町ヲ中心ニ落チタッテダケダシナ。トコロデブラザー、アレハナニヤッテルンダ?》
そういうと白虎は林の先に抜けたところにあるグラウンドがあることを教えてくれた。そこのグラウンドでは俺くらいの少年達がサッカーをしているのが見えた。どうやら今日は試合をやっているらしい。
「あれはサッカーっていうスポーツだよ。白虎は知らない?二つのチームが対抗してサッカーボールっていう丸いものを蹴ってゴールゾーンに入れる。それで点を競い合うものだよ。」
《......ヨクワカンネェガ蹴鞠ミタイナモンカ?》
「主旨は違うけど、まあそんなもん。ん?あれは...なのはにアリサとすずかだ。それになのはのお父さんもいる。あ、もしかしてなのはのお父さんが指導してる翠屋のサッカーチームが試合をしてるのかな。」
なのはのお父さんは高町士郎さんという。俺は昔からお世話になっているのもあって士郎さんと呼んでいる。士郎さんはカフェ「翠屋」をなのはのお母さんとともに経営している人だ。この翠屋のご飯がとても美味しいと近所で評判になっている。実際、俺も何回もごちそうになっていて特にスイーツなんかは絶品だ。その翠屋の士郎さんが指導している少年サッカーチームが翠屋JFCという。何度か俺もお邪魔したことがあるサッカーチームだ。
《ナンダ、嬢チャン達カ。フム、嬢チャン達ノチーム旗色ガ悪ソウジャアネエカ。》
「うん、前に出てるフォワードの子に上手くパスが回らないみたい。」
翠屋JFCの選手は必死にボールに食らいついているのが見える。その試合状況をみて応援席にいるなのは達が不安そうに見守っている。士郎さんも険しい表情している。
端から見ているのも見えにくいので俺も応援席のほうに寄っていくことにした。
「おーい、なのは!アリサ!すずか!」
「あれ、トモ?こんにちは。」
「どうしてあんたここにいるのよ。」
「こんにちは、どうしてってちょっと散歩していたらグラウンドのほうが騒がしいからなにかやっているのかな、って立ち寄ってみただけだよ。」
「そうなんだ~、散歩中だったんだねトモ君。」
「そうだよ。ところで、翠屋は苦戦しているみたいだね。」
と聞くとアリサが怒ったように
「そうなのよ、あの根性なし達!!なかなかゴール決めてくれないのよね、なんだか見てるこっちが不安になってきてイライラしちゃう!」
「アリサちゃん、そんなこと言ったらダメだよ~....。」
「にゃはは、前に出てきている子がうちのエースなんだけどその子になかなか繋げないようなんだ~。」
「ああ、やっぱりかぁ。」
相手のチームもエースの子を警戒しているようで執拗にマークしてくる。これではパスも回らないし決め手にかける。他のメンバーも必死に繋げようとはしているが相手のディフェンスに阻まれなかなか上手くいかない。
そんな悪戦苦闘している中、突然翠屋JFCの選手が足を滑らせて転んでしまった。応援席に座っている全員が息を飲む。試合が一時中断され、チームメイト達が転んだ子のもとへと駆け寄っていく。どうやら左足首を捻挫してしまったらしい。
「ああ、もう!こんな時に!!あっちが邪魔ばっかりしてくるからいけないのよ!正々堂々戦いなさいよぉ!!」
「あ、アリサちゃん落ち着いて~...!」
今にも飛び出していきそうなアリサをすずかが体を張って抑える。アリサは怒りを露にしてガルルとうなり声をあげている。隣のなのははそんな二人をみて苦笑しながらも倒れた選手が心配のようだ。
「うーん、困ったなぁ。これじゃあ出場させられないよ。」
「そ、そんなぁ。」
「どうしますか、士郎さん。」
「代わりの選手がいないんじゃあ、試合になるかもわからないぞ...。」
下で士郎さんと怪我した選手、そのチームメイト達が補欠メンバーがいないことを嘆いている。士郎さんの傍にいるマネージャーの子は落ち込んでいるエースの子をみてかなり心配そうだ。
「ど、どうなるんだろうなのはちゃん、アリサちゃん。このままだと試合終わっちゃうの?」
「選手の人数は最悪、足りなくても大丈夫なはずだよ。」
心配そうなすずかになのはが説明する。アリサは下を向いて黙っている。
「ん~、でもこのままじゃあ試合負けてしまうんじゃないかな....。」
「たぶん、そうなっちゃうよね....。」
「そ、そんな....。」
俺も加えなのはとすずか三人が暗い顔をして黙り込んでしまったその時、アリサがバッと顔をあげて士郎さんに声をかけた。
「なのはのおとうさぁーん!!代わりがいればいいのよね!?」
「ん、ああ、そうだがあいにくうちのチームは....。」
「いますよ、代わりの選手がここに!!」
「「え??」」
一同が揃って驚き、アリサを見る。得意げな顔をしたアリサは指をこちらに向けた。視線が一気に注がれたその先にいたやつとは........。
「え、えええええぇ!!?俺が出るの!?」
「他に男子があんたしかいないじゃない。男子サッカーよ、男子ならきっといいはず。それにトモ、何回か翠屋JFCでサッカーやってたじゃない。」
「あれは本当に時折で...。」
と説明しているとすでに士郎さんが相手チームと審判に話をしていた。有無を言わせぬ行動の速さに呆然と俺はその場に立ち尽くしている。俺、部外者なんだけど。
すると顔を輝かせた士郎さんがすぐに戻ってきた。親指を突き立ててこちらに向かって
「許可もらえたぞ!頼むぞ、トモ!!」
「選択権ないんですかっ、士郎さん!?」
___________to be continue______________
後書き
最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました。
執筆の仕方などを忘れてしまい、誤字脱字などもより一層多くあるかもしれません。
後々、修正していきたいと思っているのでご容赦ください。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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