戦国異伝
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第二百二十五話 馬揃えその十二
「今は織田家、そして織田信長を倒すことじゃ」
「そのことが先決と」
「そう仰るのですか」
「だからですか」
「今はよいのですか」
「そういうことじゃ、抜けた者は後で追えばよい」
それ故にというのだ。
「追ってそして始末すればな」
「では今はですな」
「我等は御前のお言葉に従い」
「そのうえで、ですな」
「織田家、織田信長を滅ぼすのですな」
「戦の用意もするのじゃ」
それも忘れるなというのだ。
「よいな」
「前は兵を挙げそびれましたが」
「今度はですな」
「織田信長を滅ぼした暁には」
「兵を起こし」
「天下を乱すのですな」
「天下を乱し再び戦乱の世に戻す為に」
「兵の用意もしておくのじゃ」
挙兵、それをというのだ。
「わかっておるな」
「無論」
「織田信長にかなりやられましたが」
「兵は幾らでも出ます」
「そして南蛮の中から奸物を見付けております」
「その者達も引き込み」
「そのうえで我等の手勢ともします」
南蛮の者達もというのだ。
「南の海で暴れている倭寇も引き込んでおります」
「陸からも海からも」
「闇でこの国を覆い」
「そのうえで」
「兵を挙げる用意をしております」
「南蛮に倭寇か。上出来じゃ」
そう聞いてだ、老人の声も満足した。
「どちらも怪しい者が多い」
「我等の仲間にはもってこい」
「そう思いまして」
「引き入れました」
「多くの者を」
「よいことじゃ、手駒は多く多彩であるに限る」
老人の声もよしとした。
「やはりな」
「ですか、では」
「これからもです」
「多くの者を引き込みます」
「南蛮からも明からも」
「そしてこの国からも」
「引き入れていきます」
他の者達も言う。
「そして戦に備えます」
「戦になればです」
「その時はその者達も闇の者です」
「我等に引き込みます」
「闇の心を持っているのならば。まつろわぬ者の魂を持っているのなら」
まさにだ、それならばというのだ。
「我等と同じじゃ」
「まつろわぬ者ですな」
「血族ではなくとも」
「左様ですな」
「そうなりますな」
「その通りじゃ、血族でないのなら血族にする」
そうしたこともするというのだ。
「血の交わりを経てな」
「これまで通りですな」
「十二家ではなくとも」
「それでもですな」
「我等の中に引き込む」
「そうしますな」
「そうじゃ、とかく闇におる者達も集めてな」
そのうえでというのだ。
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