ソードアートオンライン VIRUS
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償い
前書き
最初はなんか、教養?見たいな感じ。
人殺し。それは,どの世界でも変わらない禁忌。しかし、この世界ではそれを快楽として行うプレイヤーがいる。俺はそれが許せなかった。人を殺した自分もそうだがそれは許されない。だから、ただの自己満足なだけかもしれないが少しでも、ほんの少しずつでもいいから罪を償うと決めた。そして、今回受けた依頼も罪を償えると思ったかも知れないから。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今は三十五層、迷いの森に来ていた。その理由は、四日前にまで遡る。いつものように朝一に迷宮区へ行こうと転移門の前に来たとき、一人の男性が現れた。その男性は、《シルバーフラグス》と言うギルドのリーダーで、ゲツガに物凄い勢いで頭を下げて頼み込んできた。ギルドを壊滅させたオレンジギルドを全員牢獄エリアに送ってほしいと。俺はその依頼を受けた。その時にその人から有り金を全て叩いて買った、回廊結晶を貰った。しかし、それではあちらがかわいそうに思えたので、普通に過ごせば中々の額のお金と中層クラスなら3~4は底上げできる武器と装備を渡した。
その後、キリトに出会い、依頼のことを話すとキリトもそれに同行させてほしいと言った。それを承諾して今は、情報を手に入れたため、このダンジョンに来ている。
「迷いの森にいるって言ってたけどなー……ここは移動ポイントが固定じゃないからさすがにエンカウントする確率全然ないだろ。えっと、ギルド名は《タイタンズハンド》、構成人数は十人ほどでリーダーの特徴は、赤髪の槍使いか。アルゴの情報は確かなんだが、ここだとなー……」
そう呟いて、次のエリアにワープする。次のエリアには、キリトと少女がいた。しかし、キリトが前に立ち、その少女は泣いている。この状況を見たら普通どう思うだろうか?
「キリト!!お前、何してんだよ!!」
そう叫ばずにはいられなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
キリトから事情を聞き、キリトが間違いを犯してないかの確認した。どうやらこの子が殺されそうになっていたときキリトが助けたらしい。とりあえず、その少女が泣き止むのを待った。
「……すまなかった」
キリトは泣き止んでない少女に謝っていた。しかし少女は首を振って答えた。
「……いいえ……あたしが……バカだったんです……。ありがとうございます……助けてくれて……」
キリトに礼を言った。その後、キリトは少女と目線を同じにして言った。
「……その羽だけどな。アイテム名、設定されてるか?」
キリトの言葉がすぐには分からなかったが、少女の手には水色の鳥の羽のようなものがあった。どうやら、彼女はビーストテイマーと言われる使い魔を使役するプレイヤーのようだ。そういえば、四十七層で使い魔専用のアイテムがあると聞いたことがある。キリトはそれを少女に教えた。
「ほ、ほんとですか!?」
キリトの言葉が終わらないうちに少女は勢いよく腰を上げた。さっきまでの顔とは違い、希望を見つけた顔だ。しかし、その顔をした後すぐに顔を下に向ける。
「四十七層……」
その言葉を聞いて、理解した。彼女はレベル的に無理なのだろう。言い方が悪いかもしれないが今の彼女が行ったって、死ぬだけだ。それがかわいそうだから何か言い案がないか考える。
「「うーん」」
どうやらキリトも考えてるらしい。その後、キリトが頭を掻きながら言った。
「実費と、報酬をぽっちり貰えれば俺たちが行ってきてもいいんだけどないいんだけどなあ。使い魔を亡くしたビーストテイマー本人が行かないと、肝心な花が咲かないらしいんだよな……」
「そうなんだよなー。俺が行ったときは、何も咲かなかったからな」
攻略に参加していないときのことを思い出す。あの時は、何もなくてガッカリ感がハンパなかった。そう言うと、少女は微笑み、言った。
「いえ……。情報だけでも、とってもありがたいです。頑張ってレベル上げをすれば、いつかは……」
「それがそうもいかないんだ。使い魔を蘇生できるのは、死んでから三日だけらしい。それを過ぎると、アイテム名の《心》が《形見》に変化して……」
「そんな……!」
また、少女はキリトの話を最後まで聞かずに叫んだ。そして羽を胸の前に持ってきて、泣きそうな雰囲気になる。ゲツガはどうにか励まそうとするが、その前にキリトが少女に向かって何かを送っていた。それに気付いた少女はトレード欄を見てどこか戸惑ったように聞いてきた。
「あの……」
「この装備で5、6レベルぶん程度底上げできる。俺たちも一緒に行けば、多分なんとかなるだろう。なっ」
ゲツガの方に目を向けてくる。どうやら、行かせるのは決定事項らしい。それを聞いたゲツガは短く答えた。
「ああ」
「えっ……」
それを聞いた少女は警戒してるのか聞いてきた。
「なんで……そこまでしてくれるんですか……?」
まあ、当たり前の反応だろう。こういう、話には裏があるのが常識なのだから。キリトは返答に困ったのか頭を掻きながら話すべきことを考えている。そして小声で呟いた。
「マンガじゃあるまいしなぁ。……笑わないって約束するなら、言う。ゲツガ、お前もだぞ」
俺にも念を押すように聞いてくる。こくりと頷き、少女も笑いませんと言った後、一呼吸置いて言った。
「君が、……妹に、似てるから」
あまりにもベタなことを言うと、今まで暗い顔だった少女から笑いを堪えた声が聞こえる。
「わ、笑わないって言ったのに……」
キリトは笑われて傷ついたようだ。うなだれている。しかし、キリトの妹、直葉は今は何をしているのだろうか?だが、現実世界への連絡手段が無い今、それを知ることはできない。そう思ったあと、少女はぺこりと頭を下げ、言った。
「よろしくお願いします。助けてもらったのに、その上こんなことまで……」
少女はメニューウインドウを動かした。そして、ゲツガとキリトの前にお金の掲示されたトレード欄が出てくる。
「あの……こんなんじゃ、ぜんぜん足りないと思うんですけど……」
「いや、お金はいいよ。どうせ余ってたものだし、俺たちがここに来た目的とも、多少被らないでもないから……」
そう言ってキリトとゲツガは金を受け取らず全額返した。
「すいません、何からなにまで……。あの、あたし、シリカっていいます」
少女、シリカが名乗った後、キリトとゲツガも名乗る。
「俺はキリト。しばらくな間、よろしく」
「ゲツガだ。よろしく」
こうして、ピナ蘇生パーティーができた。
後書き
誤字・指摘お願いします。
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