アイドレスト!
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ステージ3後編 対決!ハットVS舞菜。痺れるパフォーマンスにご用心!?
前書き
前回までのあらすじ
ハットの罠によって過去のトラウマを呼び起こされた舞菜だったが、メイチアの助けにより、再び戦いの準備を始めるのであった。
会場は熱狂に包まれ、どこの国だか分からない声で歓声が飛ぶ。
「さーぁさぁさぁ始まりました世界最強決定戦!!!」
司会は中指を立ててマイクを握りしめた。
「司会は私、ロイワ・ハットがお送りします!」
(ククク……)
その盛り上がっている空気を他所に、静かに笑う男が1人!リワンゾウ・ハットだ!
「司会は事前ニぃ、僕の父さンとすり替えておォいた。これで僕が勝つ確率は、100.00000000000000000000000レレレレレレレレ……ゴホッ、ォホッ、%ダ……!」
ハットはむせながらもニヤリと笑った。
そんなことはつゆ知らずな我らが二ノ風 舞菜は……
「ひゃわわわわわあわわわわっわわわわわわわわわあわっわわわわわ」
ズボッ!
会場の天井を突き抜けながら降下し、
「わわわわセイバーチェンジ!」
突然光輝き、
ドゴォォォオオォォオオォオ!
舞台の中央に勢いよく落下した!
「おぉっとおおおぉぉおおおぉお!これはぁあああぁぁぁあ!」
司会が絶叫する中、舞菜はむくっと立ち上がった。
「あー、セイバースーツ汚れちゃったぁ」
舞菜はセイバーピンクのまま、体をパンパンと払った。
「なぁんとぉ!二ノ風さんの正体はぁ!セイバーピンクだったぁあああぁああ!!」
(あ、これ、本番で変身してたらみんなびっくりしてた?)
舞菜は慌てて変身を解いたが、手遅れなのは明らかだった。
舞菜が初めて変身した戦いは、一地方での大会にすぎない。今!舞菜は!自らの切り札を!白日の下に晒してしまったのだ!!
(……ま、いっか)
舞菜はセイバーピンクになると、穴の空いた舞台を修復した。
デーンデーンデデン!!
ハットがポーズを決め、音楽が止むと、割れんばかりの拍手が会場を覆った。
(凄い!まるでアイドルのコンサートに来たみたい!)
舞菜も、目を輝かせて拍手した。
「さーぁ、ありがとうリワンゾウ!次は!二ノ風さんだぁああぁぁああ!!」
「よーし……!」
舞菜がついに、世界最強を決める舞台に降り立つ……!
その瞬間、
(今だ!!)
ハットが心の中で叫ぶと、
ピシッ、ガラ……ガラガラガラドドドドドドドドドド
天井が崩れだした!
「っ!セイバーチェンジ!」
舞菜は急いで変身する。が、
空から何かの影が飛来する。
キィィイィィィイィィイィイィ!
それは全長10mはあろうかという巨大な鳥だ!
(ククク……そレはシビ王国ニのみ生息スる怪鳥、ラキアァ!性格は獰猛デ好戦的ぃ。あノ女の血ト肉はあッといウ間にメインディッシュサぁ!)
「っ!バンテージウィップ!」
舞菜の包帯を模した武器はラキアァの動きを止めるには不十分だった。
「パワーが足りない!」
力比べはグリーンに任せていた為、力まかせに向かってくる猛禽類は苦手な分野だった。
(食べられる……っ!)
舞菜が顔をかばったその瞬間、
ヒュッバゴオオォォオオオン!
「……え?」
舞菜は手をどけて顔を謎の爆発音の方に向けると、瓦礫は消し飛び巨大な鳥は大きなダメージを受け、フラフラと飛んでいた。
「……これで、フェアだね」
囁くような声のする方を振り向くと、
メイチア・エルターナが、重力に引かれたように、スタッと降り立っていた……!
「今の……呼び捨てが?」
「へ?……あ、うん、そうだよ」
金切り声がするので再び巨大な鳥の方を向くとバッサバッサと辛そうに飛びながらこっちに向かってきていた。その必死な様は、状況が状況なら、思わず応援してあげたくなる程だ。
「うーん、10発じゃ安定しないかなぁ……?」
そう言うと、メイチアは戦闘機に変形した。
「え!?」
「爆風とか気をつけてね!」
ドドドドドドドドドドドド、バァン、ドォン、ボガァアアアァァアン!
(一瞬の内に、12発も……!)
舞菜は、メイチアの強さに感嘆した。流石、トーキ国1のアイドルである!
「……さ、見せてね」
メイチアはニッコリと微笑んだ。
「へ?」
「あなたが今出来る一番のパフォーマンスを」
「……うん!」
メイチアは舞菜の元気いい返事を聞き満足そうに微笑むと、舞台から去った。
「ありがとーー!呼び捨てー!」
舞菜はその背中に声をかけた。
メイチアは、背中越しに手をひらひらと振った。
「優勝はぁぁぁぁぁああああぁぁぁああああ!エルターナさんでええええぇっぇえeえぇぇえええええぇぇええええす!」
舞菜はメイチアに対して、惜しみない拍手を送った。
(凄かった、凄いよ、おめでとう!呼び捨て!)
確かに敗れこそしたが、舞菜の心の中はただメイチアへの尊敬の気持ちでいっぱいだった。
舞菜は2位の証、銀色のメダルを受け取ると、今まで自分達のパフォーマンスを観てくれた客達へのサービスとして、それを噛み砕こうとしたが出来なかった。
(ててて……)
歓声の中に、笑い声が交じる。アイドルらしくないと思いながらも、舞菜の頬は緩んでしまう。
この日は、舞菜にとって一生の思い出となった…………!!
「くそぅ!何故僕が負けたんだ!」
涙と涎をたらしながら無心でメイチアに拍手を送る司会の顔を思い出しながら、ハットは毒づいた。
不機嫌になりながら道を歩いていると、フラフラと歩く1人の少年がいた。
「丁度いい」
ハットはニヤリと笑うと、少年に近づいた。
「もしお暇でしたら、あなたとアイドルバトルをしたいのですが……?」
(こいつを倒してスッキリしてやる!)
「……分かった」
少年はボソリと呟いた。
「それはありがたい、それで、あなた、お名前は何ですか?」
少年はその問いに一瞬躊躇うような素振りを見せた後、口を開いた。
「峰山堂 金剛」
「ハハハ、『ジェットツイスター』も大したことありませんね。では、ジェカ、ポンズ」
ハットは別れの挨拶を述べると軽い足取りで去っていった。
後書き
誤字脱字等ありましたらお待ちしております。
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