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ハイスクールD×D大和の不死鳥

作者:sou×yuki
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89VSロキ二戦目Ⅰ



◇木場

決戦の時刻、既に日は落ちて、夜となっている。僕達はオーディンと日本の神々が会談を行う都内のとある高層高級骨付の屋上にいた。風の音が心地よく感じるこの空間……この場にいるのはグレモリー眷属、ヤマト眷属からヤマトさん(魔)、女王のいのりさん、僧侶の真名さん、祭さん。騎士のアリサさん、オレーシャさん。兵士のアーシアさん。シトリー眷属(ダイオラマ魔法球で二年鍛えられた)から王のソーナ会長。兵士の匙君。葬儀社からヤマトさん、城鐘さん、ウェンディちゃん。オーディンの護衛のロスヴァイセはん。堕天使側からヴァーリとシュウ、バラキエルさん。天界からイリナさんの計17人。上空には龍王のタンニーン様がいる。

「小細工なしか。恐れ入る」

 ヴァーリとヤマトさんが苦笑した。リアス部長たちが空を見上げる。

 バチッ! バチッ!

 ホテル上空の空間が歪み、大きな穴が開いていく。

 そこから姿を現したのは――悪神ロキと巨大な灰色の狼、フェンリルだった

 正面から来るとは馬鹿か?

三人目のヤマトさんが俺たちとロキ、フェンリルを戦場に転移させるため、大型魔法陣を発動させた。

 ロキがそれを感知するが、不適に笑むだけで抵抗は見せなかった。

 そして、俺たちは光に包まれた。

次の瞬間に俺達がいたのは岩肌だらけの古い砕石場跡地だ。古びれており、跡地だとよく分かる空間だ。あの場にいたメンバー全てが揃っている。さてと、後は戦うだけだ!

「逃げないのね?」

「逃げる必要はない。どうせ抵抗してくるのだろうから、此処で始末してその上であのホテルに戻ればいいだけだ。遅いか早いかの違いでしか無い。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく」

「貴殿は危険な考えにとらわれているな」

 バラキエルさんがそう言う。

「危険な考えを持ったのはそちらが先だ。各神話の協力など……。元はと言えば、聖書に記されている3大勢力が手を取り合ったことから、すべてが歪みだしたのだ」

「話し合いは不毛か」

 バラキエルさんが手に雷光を纏わせ始めた。その背中には10数枚もの黒き翼が展開していく。

「――神を殺す牙、それを持つ我がフェンリル!一度でも噛まれればたちまち滅びをもたらすぞ!」

 ロキの指示、それを受けてフェンリルが動き出そうとした瞬間、フェンリルの周囲に魔法陣が展開され、鎖が射出される。その鎖は魔法の鎖、グレイプニルだ。

グレイプニルは持ち運ぶのが難しかった為、ヤマトさんが仙術でしまい込んでいた。

「ふはははははっ! 無駄だっ! グレイプニルの対策など、とうの昔に――」

「それはどうかな?」

「何!?」

 バヂヂヂヂヂヂッ!

 ロキの哄笑むなしく、ダークエルフによって強化されたグレイプニルは意思を持つかのようにフェンリルの身体に巻きつき、その動きを封じる。その様はまるで神封じの悪魔の鎖とでも言えるような様子だ。フェンリルはその鎖に対し、苦しそうな悲鳴を辺りに響かせる。

 だが、だというのにロキは焦らずに不敵な笑みを浮かべる。

「フェンリルよりスペックは落ちるが、出し惜しみはできないようなのでな」

 ロキの両サイドの空間が激しく歪み出した。

 空間の歪みから、何かが新たに出てくる。

 灰色の毛並み。鋭い爪。感情がこもらない双眸。

 そして、大きく裂けた口!

「スコルッ! ハティッ!」

 ロキの声に呼応するかのようにそれらは天に向って吼えた。

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 夜空の雲が晴れ、金色に輝く満月が姿を現す。

 月の光に照らされて、二匹の巨大な獣……二匹のフェンリルが咆哮を上げた。

2匹の新たなフェンリルを従え、ロキが言う。

「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの2匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。十分に神、そして貴殿らも屠れるだろう」

 ロキが二匹のフェンリルに指示を送りだす

「さあ、スコルとハティよ! 父を捕らえたのはあの者たちだ! その牙と爪で――」

 ズバァァァァァァァァン

「――なっ!?」

 叫ぼうとしていたロキが驚愕の声をあげる。

 当然だ。轟音が鳴り響いたかと思えば、新たに出現した2匹のフェンリルの内、1匹が血だらけになって地面に沈んでいたんだ。誰だって驚く。

「スコル!?」

 ロキは狼狽しながら傷ついたフェンリルに治癒魔法をかける。僕達は、治癒魔法をフェンリルにかけているロキを止めることも忘れて、無慈悲な攻撃を放ったであろう人物へ視線を集めた。

「話が長いです。神っていちいち長話しないと戦えないのですか?」

あの!アリサさん!?不意打ちはひどすぎませんか?

ロキは治療を終え、再びこちらを睨んで両手を広げた。

「先ほどは油断してしまったが、もう油断も容赦もしない! さあ、スコルとハティよ! その牙と爪で奴らを食い千切るがいいっ!」

 ビュッ!

 風を切る音と共に二匹の狼が僕達の方に向かってきた。

グレイプニルは親フェンリルのほうに使ったからもう無い!

「ふん、ただの犬ころが……本物の狼を見せてやるよ!」

「あっ、ヤマト、それだけは可哀想ですよ!」

「そうだよ!」

アリサさんとオレーシャさんがヤマトさんを必死に止めていた…ヤマトさん……どんなことをしようとしてるのだろうか?

「『アラガミ化・マルドゥーク』!」

ヤマトさんの姿が白い狼になった。


続く 
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