ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
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リクエスト3!『温泉旅行』!
前書き
前回の海編と繋がっていまーす。
「旅館に着いたぞ」
「「おおー!広ぇーー!! 」」
「久しぶりに来たな。相変わらず綺麗だな」
「旅館なんて僕初めてだよ!ミサキちゃんは来たこととかあるの? 」
「ない……」
着いたとたんに、それぞれリアクションを見せまじまじと旅館内を見渡している。
「遠路遥々ご苦労様です。この旅館の女将を務めさせてもらってますヨシナ ユリと言います。よろしくお願いします」
「わざわざすいませんユリさん。今日からよろしくお願いします」
「いえいえリンドウ。気にしないでください。せっかくお客さんを連れてきてくれたんですから」
ヨシナ……だと後々面倒なので、ユリと言われる女将がヨシナと話をしている。
「あ、荷物はここに置いといて下さい。後で私達が部屋に持っていきますので」
「「「「「「「「「「ありがとうございます!! 」」」」」」」」」」
「感謝するユリさん」
「どうも」
そのまま俺達は旅館の人達に男女別に別れて部屋に案内される。
ーーー--
「さあお風呂だ! 」
洗面所に着くなりトウイがまた叫んだ。お前叫ぶキャラだったか?
「とりあえずわかった。だから黙ってろ」
「いやー。温泉なんて初めてなもので……今日だけで僕は海、旅館、温泉、お泊まりという人生初の事ばかりでテンションが上がっているのさ」
「はいはいそうか。んじゃあ俺は先に入ってくるから」
タオルを腰に巻いて扉を開けると、それと同時に、俺の横から黒い影が四つ通り過ぎていった。
「「「「一番風呂は俺だーーー!! 」」」」
コムカイ、サカキ、クオン、ジュンイチが露天風呂に向かって走っていった。クオンとジュンイチは中学生だからまだいい。だが!コムカイ!サカキ!お前ら高校生だよな!?
「うわっ! 」
「わっ! 」
「痛っ! 」
「しまっ! 」
走っていったせいか四人同時に滑って転び、その場で悶絶していた。俺はそれを横目で見ながら身体を洗い流して先に露天風呂に入った。残念だな。別にどうでもいいが一番風呂は頂いたぞ。
「ヒロヤ君何気にノリノリなのでは? 」
「気のせいだ」
そのあとトウイ、ヨシナ、ヒナタ、リンヤが風呂に入ってきて、悶絶組は背中を洗いっこしてた。
「あ゛~~~~~~~~~~」
「黙れハルカゼ」
「静かにしろアホンダラ」
俺とヒナタに注意されても、いまだにあ゛~と言っている。うるさいんだけどマジで。
「む?何をしているのだ? 」
ヨシナが悶絶組の方を向いて聞くと、なにやら竹の策に耳を当てていた。………あいつらまさかやる気じゃないよな?
「中坊は右側を!左側は俺達が探す! 」
「「サー!イエッサー!! 」」
「いいか!?決して見落とすんじゃねえぞ!! 」
「「サー!イエッサー!! 」」
すると、悶絶組は影分身で出来るんじゃないかという速度で竹一つ一つを見回した。
「…………いや何やってんだよお前ら!!? 」
一足遅れてツッコミを入れるも、既に声は届いておらず、そのまま何かを探し続けている。
ちっ!無理矢理止めるしかないか!
止めようと思い立ち上がると、トウイが肩に手をかけて止めてきた。
「ヒロヤ君。ここはあえてスルーしよう。だって……その方が面白そうじゃん!! 」
「そのセリフは二回目じゃーーー!! 」
「風呂場で暴れるな」
トウイにジャーマンスープレックスをお湯に目掛けて放つと、ヒナタに注意された。原因はコイツなんだよ。
「サカキ先輩!見つけました! 」
「よくやった中坊! 」
「どこだ!? 」
「ここです! 」
「………穴が小せぇじゃねぇか!! 」
すると悶絶組……いや、覗き組の頭上から湯桶や石鹸やら石やらが降ってきて見事全員に命中した。
この命中精度……まさか!?
「サカキ先輩…コムカイ君…クオンにジュンイチ……覚悟してなさい」
…やはりシノか。おそらくユウの聴覚で気づかれ、そこに見事に投げ入れたのだろう。………まあ俺は何も知らないし見てないふりをしよう。
ーーー--
「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」
風呂から出て着物を着付け、そのまま夕食にありつける。なお覗き組は、俺が着付けを済ましてトイレに向かっていると、途中で倒れて気を失っているのを発見したので部屋に捨ててきた。どうやら成敗されたようだ。
「お疲れヒロヤ」
テーブル越しの目の前にシノが座ってきて、そんなことを言ってきた。どうやら俺が運んでいたのを目撃してたようだが………
「シノよ。一応言っとくが俺は無関係だぞ? 」
「わかっているわよ。ヒロヤがそんなことをしないってのは合宿の時にわかっ……」
シノが何かを言いかけると、そこで口をつぐんで顔を赤くした。合宿の時……?あっ。
「「………………」」
二人して顔を赤くして黙りこみ、無言で食事を口に運ぶ。
「はいそこ~。何二人して真っ赤になりながら食べてるんですか~?成り立ての初々しさ全開のカップルか何かで痛たーーーーい!!目が!目がーーーー!!! 」
トウイが横からからかってきたので、俺とシノは箸の先端を向けてトウイの目玉に突き刺した。えっ?危険?知らね。いやいっそそのまま失明してくれ。だってコイツボケる余裕あるし。
「ちょっと!ギリギリで目を閉じたはいいものを、間に合わなかったらどうするの!? 」
「知らないわよ」
「知らね」
「酷い! 」
トウイがそう叫ぶも皆笑って受け流し、次第に俺達も笑いだした。
ーーー--
「温泉旅行とい~え~ば~? ♪ 」
「「「「「「それっ♪それっ♪それそれそれそれっ♪ 」」」」」」
「「「「「「「枕投げ♪ !!! 」」」」」」」
「うるせーーーー!!小学生かお前らは!!? 」
食事を終え、部屋に戻ってコムカイ達を起こして布団を敷いていると、突然トウイが歌いだしコムカイ、サカキ、クオン、ジュンイチ、リンヤ………ヒナタ…お前だけは信じていたのに……枕投げ…やりたいんだな……。
「皆!そこのノリが悪い眼鏡に向けて集中放火! 」
「「「「おおっ!! 」」」」
するとコムカイ、サカキ、ヒナタ、ジュンイチが俺に向けて枕を投げつけてきた。
「あまい! 」
俺は自分の枕を掴んで、あいつらが投げてきた枕を次々と床に叩き落とした。しかし、流れ弾で後ろの方へといってしまい、振り替えるとヨシナの顔から枕が落ちてきた。
「………いいだろう。サオトメ君。加勢する」
「僕もこっちにつきますね」
「俺もくそ兄貴に投げつけたいんで」
ヨシナ、リンヤ、クオンが俺側につき、第一回枕投げ戦争が開催された。
「そこに僕達も参戦だよヒロヤ!! 」
突如襖が開き、そこには枕を構えた女性陣が現れた。てか部屋隣かよ!
「さあいくよ!! 」
「覚悟しなさい! 」
「…ん……」
「参戦させてもらいますね」
「くっ……挟み撃ちか!皆!後退して三角形を描くように相手と対峙しよう! 」
そのままトウイ側は後ろに下がり、ちょうどユウ側、トウイ側が見える位置に着いた。
「ユウ側は四人……トウイ側は五人……俺達は四人……戦力としては互角か…」
「けどサオトメ君が弾い枕でこちらの方が枕の数は上手だ。だが下手に投げるのは得策ではない」
「ああ……」
「どうしますかヒロヤ先輩…ぐはっ! 」
「クオン!? 」
クオンの顔に見事枕が命中して死んでしまった……この正確無比の攻撃は……
「またお前かよシノ………」
「伊達にスナイパーじゃないわよ? 」
「そうですよ。こちらには鷹の目がついているんですかキャア! 」
今度はアマミヤの顔に枕が命中し、そのまま倒れて死んでしまった。この方角はまさか!?
「あまいねヒロヤ君……シノさん……僕のステルス性能を把握しておれば、こんなに枕に差がつかなかったものを……」
トウイ側にはなぜか山積みに枕が置かれており、気づくと押し入れにあった枕が全て無くなっていた。
「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる!乱れ撃つぜ!! 」
トウイ側から大量の枕が俺側とユウ側に向けて投げられた。
「ちっ!ヨシナ!俺は接近してアイツを仕留める!お前達は守りながらユウ側を片付けろ! 」
「任せたまえ」
「わかりました! 」
俺は枕を両手に二つ持ち、そのままトウイ側に向かっていった。その途中でユウ側とトウイ側から枕が飛んできたが、俺は自分の枕でうまくヨシナ達の方へと弾いてはかわし、コムカイ、サカキ、ヒナタ、ジュンイチの間を抜けると同時にの顔面に向けて枕で切りつけ倒し、トウイに接近した。
「この格闘馬鹿……! 」
「もらった! 」
そのまま枕を振り切ろうとすると、トウイも枕を掴んで防いできた。
「まさか一人でここまで来るとはね…」
「枕じゃやりづらないな! 」
枕のせいかすぐに仕留めきれず、全て防がれてしまった。その間に後ろを見ると、残されていたのはユウとシノのみで、枕をこちらに構えていた。
「!伏せろ! 」
俺とトウイは同時にしゃがみこんで枕を回避し、それと同時に二人で枕を投げつけた。
「おわっと! 」
ユウが枕を掴んで投げつけた枕を弾いた。
「今ので手元に残る枕はあと二つか……」
「けど私達も残り二つ…」
「「つまり次で勝敗が決まる」」
俺達は一つずつ枕を手に持つ。
「……行くぞ! 」
枕を構えてユウとシノに接近する。ユウも枕を構えて接近し、枕が届く範囲に入った瞬間、ユウ達が来た襖とは逆の襖が開いた。
「うるさいですよ皆さん!他のお客様のことを考えてください! 」
「「「「すいません……」」」」
俺達は動きを止めて、女将のユリさんに正座をさせられて怒られた。回りの奴等は倒れているので、なぜか俺達だけ。
そこから十分近く説教され、ユリさんが去った後、俺は倒れている奴全員に向けて枕を投げつけた。
ーーー--
「なんか無駄に疲れたな…」
俺達は電気を消して大人しく布団に入り込んだ。女性陣は部屋が隣ということですぐに戻っていった。
「……温泉旅行と」
「もう鬱陶しいから止めろボケ」
「はーい」
「にしても柄にもなくはしゃいでいたではないか」
「お前もなヨシナ。ヒナタは最初から乗り気だったのは意外だが…」
「悪いか? 」
「別に悪いとは言ってない」
「というか、いろいろなことで疲れたから寝ねぇか? 」
「確かに眠いですね……フワァ…」
コムカイが言うと、それにつられてリンヤが大きな欠伸をした。
「まあそだな。誰か電気消してくれ」
「お前が消しに行け」
サカキが布団を被ったか、すぐに枕を叩きつけて寝るのを阻止した。お前たまには自分で動けよ。
「ヒロヤ君、立ってるなら電気よろしく~」
コイツら……。
俺はしぶしぶ電気のスイッチを切ると、部屋は真っ暗な闇に包まれた。
「お休み~」
「「お休みなさいー」」
「よく寝るのだぞ」
「「あいよー」」
「お休み」
「はぁ……お休み」
布団に入り込んで目を瞑る。ようやく休めると思いきや、なにやらごそごそと物音がする。
「………痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! 」
「なんだ!? 」
布団から出てすぐ電気を点けると、トウイがクオンに腕十字固めを極めていた。いやなにやってんだよ!?
「痛い痛い痛い痛い痛い!!痛いっつってんだろくそ兄貴!離っ…痛い痛い!! 」
「アハハハハ」
「いやうるさいから止めろ! 」
注意をすると、トウイは大人しくクオンの腕から離れて自分の布団に戻った。
「おいトウイ。次騒ぎだしたらお前をぶっとばすからな」
「はーい」
本当にわかってんのかコイツ?
俺はまた電気を消して今度こそ布団に入って眠りに入ろうとすると、また物音が聞こえた。………さて電気点けるか。
「「痛い痛い痛い痛い痛い!! 」」
電気を点けた途端に叫び声が響き、トウイがクオンを。コムカイがジュンイチに卍固めを極めていた。増えとるし!だから何をやりたいんだよお前ら!?
「いやそれよりも離せよ!何したいんだよお前らは!? 」
「わかったー」
「へいへい」
クオンとジュンイチが解放され、トウイとコムカイは大人しく布団に戻った。
「もう次はないと思えよ」
「あいよー」
「お休み~」
パチッ
………………パチッ
「………お前ら一体なんなの!?何がしたいんだよ!? 」
念のためスイッチの所で待機し、少し間を空けてから点けるとサカキ、コムカイ、クオン、ジュンイチが何かをしでかそうと集まっていた。
「そしてヨシナ!お前も何にやけてんだよ!ヒナタとリンヤもだ! 」
俺は自分の枕で隣にいるヨシナと目の前にいるリンヤに枕を叩きつけた。ヒナタは若干距離があるのでやれない。
「もうお前らいい加減にしてくれ!疲れてるんだからもう寝かせてくれよ! 」
「「あいよー」」
「お休みなさいー」
「お休み~」
電気を消して布団に戻る。もうさすがにツッコミを入れすぎて疲れてきた………。
「……………最後に確認するか…」
俺は起き上がって電気を点けると、何故かトウイ、コムカイ、サカキ、クオン、ジュンイチ、リンヤ達が組体操の人間ピラミッドを完成させていた。しかもユウ達が一番上で。
「………どこからツッコメばいいかわからない…」
少し傍観し、そこから絞り出した言葉がこれだった。
「………降りよっか? 」
「ああ………そうしてくれ……」
返答するとすぐに人間ピラミッドは上から徐々に崩れていき、そのままユウ達は部屋に戻っていった。
「もぉ~!せっかく面白そうだから来たのに! 」
「ノリが悪いですよサオトメ君」
「はぁ……しっかりしてよねヒロヤ」
「ん……」
女性陣は襖を閉めながら、一人一人文句を言いながら去っていった。あ、一名は除いてか。
「……ふぅ………。さて、じゃあとりあえず俺はコイツらを片付けるか」
両手の拳を鳴らせてトウイ達に歩み寄る。
「えっ?ヒロヤ君? 」
「冗談でやってたに決まってんだろ?そんな怒んなって? 」
「そうだぞサオトメ?俺達はある動画で見た流れをやりたかっただけなんだ」
「それ言ったら逆に危ないんじゃないすか? 」
「確かに! 」
「僕は無理矢理やらされたのに…」
「よし。特別リンヤだけは見逃そう。他の奴等は覚悟はいいか? 」
「「「「「……お休みなさい!! 」」」」」
「死にさらせーーーー!!! 」
ーーー--
「ではユリさん。お世話になった」
「また来てくださいねリンドウ。またのご利用お待ちしております」
俺達は目を覚ました後、それぞれ荷支度と食事を済ませて旅館から出ていった。
「いやー楽しかったね」
「本当にそうね。また皆で来ましょう」
「僕達も、場所が近ければまた誘ってね! 」
「楽しみにしてる…」
「出来たらな」
新幹線で来たので、俺達は駅に向かっていた。旅館から駅まで結構距離があるので雑談でもしながら歩いている。
「てかバスとか使っちゃ駄目なのかよぉ」
「そうだぜ。バスの方が早くて楽なのによ」
「乗ったら帰りの新幹線に乗れなくなるので無理ですよサカキ先輩、コムカイ先輩」
「「あっぢぃ~~……」」
「ヨシナさん。扇とか持ってないんですか? 」
「すまないアマミヤ君。あいにく自分の分しか持ち合わせていない」
「鍛練が足らないなお前達」
「鍛練関係ないだろ」
二十分以上かけて俺達は駅に着き、それぞれの行き先への切符を買った。
「そんじゃまたね皆! 」
「バイバイ…」
「また会おう」
「おう。またな」
別れを済ませ、ユウ達は東京行きの新幹線に乗り、俺達は宮城行きの新幹線に乗った。
ーーー--
「……なぜだろう。新幹線が速いなのかな?全く酔ってないや」
「うん、どうでもいい事だなそれ」
「にしても疲れたわね。それ以上に楽しかったからいいけど」
「だな」
「次は何やろうかな? 」
「トウイ狩りなんてどうだ? 」
「いやいやいやいや!なんで僕なの!?その案、却下デース!! 」
ちっ!せっかくの名案だと思ったのに却下してきやがった!
「どこも名案ではないよい! 」
「素敵な案だろ」
「どこがさ!? 」
「まあまあ落ち着きなさいよ。車内で騒がないようにね」
シノに注意され、トウイは大人しく黙り、バックから堅あげポテトチップスを食べ始める。ちなみにシノはさっきからチョコレート系統を食べています。
「さて、次はいったい何をするのやら…」
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