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びっくりバコ

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1部分:第一章


第一章

                        びっくりバコ
 白犬のコロと三毛猫のチビは。今目の前に大きな箱を見ていました。
 そのうえで。びくびくしていました。
「中には何があるのかな」
「そうだよね。何が入っているのかな」
 コロとチビはどちらもまだ子供です。それで好奇心旺盛なのですがそれと同じ位です。子供なのでとても怖がりです。今実際に怖がっています。
「調べてみる?」
「そうする?」
「けれど。まさか中に」
「そうだよね」
 チビは少し震えながらコロに応えます。
「若し怖いものが入っていたら」
「あの黒猫のジョニーがいたらどうしよう」
 二人の隣の家のとても大きな黒猫です。いつも子供の二匹に対して物凄い顔で威嚇してきて睨んできます。そんな猫なのです。
「そうしたら僕達襲われるよ」
「そうだよね。ジョニーがいたら」
「ジョニーじゃなくても」
 チビはさらに話します。
「ほら、あれが出て来たら」
「あれって?」
「怖い人だよ。外にいるだろ?」
「ああ、いるよね」
 コロはここで窓の外を見ました。二匹は今二匹のお家の中にいます。この箱は二匹の飼い主の一人の男の子のおもちゃなのです。
「一杯ね」
「怖いおじさんとかおばさんとか」
「えっ、この箱の中にいるの?」
「だからいたらどうしよう」
 チビが言うのはこのことでした。
「そうだったら」
「そんなの嫌だよ」
 コロは怖がる顔でチビに言います。耳が縮こまって前にいっています。
「僕お家の人以外の人皆怖いんだから」
「僕もだよ。パパとママとね」
「男の子と女の子以外はね」
「皆怖いよね」
「うん、怖い」
 こうに悲喜で話をします。
「そんな人が中から出て来たか」
「だよねえ。本当に何がいるのかな」
 二匹は考えます。そして今度はです。コロが言うのでした。
「若しかしたら」
「若しかしたら?」
「中にはお化けがいるんじゃないの?」
 コロはこんなことを言い出しました。
「ひょっとしたら」
「お化けが?」
「うん、男の子や女の子が持ってる絵本の中に出てるじゃない」
「あの足がなくて白いのっぺりしたの?」
「そうだよ。あれが出て来たらどうしよう」
 コロは怖がる声でチビに話します。
「それで僕達を連れて行くんだよ」
「連れて行くって?」
「それも誰も知らない遠い遠い世界にだよ」
 自分と同じように耳を縮ませて前にやってしまっているチビに対して話します。二人よりもずっと大きい箱を見ながらです。
「パパもママもいない世界にね」
「えっ、そんなの嫌だよ」
 二匹にとってはこのお家の人間のうちお父さんとお母さんはまさに二匹にとってもお父さんとお母さんです。彼等は自分のことをそれぞれ犬とか猫とかは思っていないのです。
「パパもママもいない世界なんて」
「そうだよね。そのお化けが出て来たらどうしよう」
 コロは震える声でチビに話します。
「そうなったら」
「じゃあ開けないでおく?」
 チビはこうコロに提案しました。
「それだったら」
「けれど中に何かいるよね」
 コロはそのチビにまた話します。
 
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