Fate/Monster
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バーサーカー差し替え編
フランドール・D・A・B・H・ヴィクトリアの場合
#02
前書き
オケアノスはよ(ソワソワ)
第四次聖杯戦争に於ける全てのサーヴァントが召喚されてより二日。アサシン、遠坂邸にてアーチャーにより敗退。
その際にフランは、高い気配遮断スキルを持つアサシンをアーチャーが迎撃するまでのタイムラグが短過ぎる疑問が一瞬過ぎったが、その疑問はアーチャーを見た途端に消し飛んだ。
それなりに興奮していたフランだが、雁夜に諌められて落ち着きを取り戻したフランは、アサシンのマスターがアーチャーのマスターからの攻撃が全く無いまま無傷で教会の保護を受けた事が引っかかり、霧化して教会に赴いていた。
「「「「「「「「我等影の英霊。今度こそ、本物の影になる」」」」」」」」
その言葉と共に、無数のアサシンが出現し、教会内部の礼拝堂を埋め尽くしていた。
―――なるほど。多重人格の存在が、その身に宿す自我の数だけ存在其の物を分割する宝具、か。成程成程、コレならアーチャーのマスターがアサシンのマスターに追撃を加えなかった事にも得心が行く。
教会内の礼拝堂に、フランの声が響き、霧が立ち込める。
ソレを見聞きした八十前後のアサシンは瞬時に霊体化し、二人の神父は警戒を強めた。
そして、礼拝堂に立ち込めていた霧が集約し、人の姿を象る。徐々に輪郭がハッキリとし、そのヒトガタに色が付く。
そして完全に人の形として実体化した。
「ククク。まさか此度の聖杯戦争のアサシンが十九代目だったとは。遠坂の現当主は何とも言えない運気を持ち合わせているようだな」
実体化したフランは礼拝堂の入口付近に現れ、二人の神父を見ながらそう言った。
「…………ふむ。貴公は、サーヴァントだな。何用かな? ここ、冬木協会は完全な中立地帯であり、聖杯戦争に携わる存在は例外の場合を除き、この教会に対して不可侵の取り決めがある。即刻、マスターの下へ戻られよ。戻られぬと言うのであらば、最悪の場合貴公のマスターより令呪を一画剥奪せねばならなくなるぞ?」
と、老人の方の神父が、フランに対してそう言い放った。
「ふん。ならば、この場に居る八十を超えるアサシン達に関してはどう説明するつもりなのだ?」
フランはそう言って右腕を持ち上げ、虚空を凪ぐ。するとどうだ。霊体化した筈のアサシン達がどんどん実体化していくではないか。
「こ、コレは……ッ!?」
「どういう事だ? 何故実体化したのだアサシン」
「わ、わかりません。突然の事ですので」
慌てる八十超のアサシンと神父二人。それを見たフランはカラカラ笑いながら落ち着いた口調でアサシン陣営の疑問に答えた。
「なに、私の能力を用いて空気中に分散されていたアサシンの霊子を萃めて密度を高めただけだ」
フランはそう言うと、徐に踵を返し、教会の正面出入口に向かった。
「ククク。心配せずとも、貴様らの事は私のマスター以外には黙っておいてやるよ。召喚された時点で願いが叶っている英霊と、矛盾しながらも簡単な事で悩んでいる神父。歪ながらも面白い組み合わせだ。コレよりの局面に於いてどの様に立ち回るのか、酒の肴程度には見栄えあるものになるだろう」
そう言い残すと、フランは教会から立ち去った。後に残されたのは、困惑の表情のアサシン陣営(+マスターの父)と、奇妙な沈黙の領域だった。
しかして、幾人かのアサシンと言峰綺礼は、フランに言われた言葉の意味を考える。自身の望みの何が叶っているのか。自身の悩みはそんなに簡単なことなのだろうか。と。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
深夜。
日本の地方都市、冬木市の港湾区の一角を占める広大なコンテナターミナル。
魔術によって人払いがされたその地で、四体のサーヴァントが睨み合いの体制に入っていた。四体全てが世界に名の知れた遙か昔の英傑豪傑。一般人なら総身が震え上がるを通り越して気絶するか、下手すると死んでしまうのではないかと思えるほど殺気と緊張に支配された空間。
最初はセイバーとランサーの二騎が戦っていた。そしてその戦闘の勝敗が喫するか否かのタイミングで、戦闘をぶった斬り、雷鳴と共にALaLaLaLaiとライダーが乱入した。
そしてライダーは乱入するや否や、自身の真名をバラした上でセイバーとランサーを旗下に勧誘。当然と言うべきか、拒否されてライダーは敵意をぶつけられた。その上で実に残念そうにし、マスターらしきおかっぱ頭の少年はライダーに当たり散らした。
その後、ライダーはランサーのマスターに揖斐られる自身のマスターを擁護し、自身のマスター足る条件を述べた上でランサーのマスターを腰抜けと断じて大笑いをした。
一通り笑った後で、ライダーは虚空に向けて覗き見してないで出てこい。と、叫んだ。そしてセイバーと一言二言会話した後、両手を広げ、声を大にして叫んだ。
「聖杯に招かれし英霊は、今ここに集うがいい。尚も顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れぃ!!」
その雄叫びより十秒もしない内に―――
「我と我が朋友を差し置いて王を称する不埒者が、一夜に二匹も沸くとはな」
―――近くの電光ポールの上にアーチャーが現れた。此度の戦争の開幕戦闘を一瞬で勝利し、遠坂の当主が召喚した圧倒的存在感を撒き散らす人類最古の暴君である。
ソレを聞き、アーチャーの姿を視界に収めたライダーは、困った様な顔をしながら頭を搔いた。そしてライダーのマスターは、恨み増し増しな視線をライダーにブツけた。
だが当然と言うべきか、ライダーはマスターの視線を気にする事無く、アーチャーの言に対して、独り言の様に言い返した。
「難癖を付けられた所でなぁ。……イスカンダルたる余は、世に知れ渡る征服王に他ならぬのだが……」
「たわけ。真の王たる存在は、天上天下に我と我が朋友のただ二人。あとは有象無象の雑種にすぎん」
ライダーのマスターは内心で『ライダー以上に傲慢な物言いだな』と思いつつ、アーチャーのステータスを見る為に視線を向けた。
そして、直ぐにステータス確認なんて馬鹿な真似をしたと、全力で後悔した。
「ライダー! 全力でここから逃げるぞ!!」
「こらこら、どうしたと言うのだ?」
『何で平然としてられるんだよ!?』と、ライダーのマスター――ウェイバー・ベルベットは内心でライダーに毒づく。まあ、サーヴァントはクラスがルーラーでも無い限り、相手のパラメーターどころか真名すら看破出来ない故に仕方ないのだか。
胸に涌き上がる疑問を問い質したかったウェイバーだが、それよりも一刻も早くライダーを納得させてこの場から離れるためにパッと読み取れた内容を口にした。
「あのサーヴァント! パラメーターにAより下のランクがない!」
「ほう!?」「「「なっ!?」」」
ほぼ同時に四人全員驚いた。
―――何でセイバーのマスターまで驚いてんだ?
―――あいつを見てたならパラメーターなんて解ってただろうに。
等の疑問が浮かんだウェイバーだが、そんな疑問より今はこの場から逃げる事を最優先とした。
「驚いてる暇があったらさっさと逃げるぞ! このままじゃ的にされちまうぞ!?」
「まあ落ち着け。いくらあいつが偉そうだからとて、王を名乗るならば不意打ちなどせん。しかしまぁ、そこまで余達を下に見るならまずは名乗りを上げたらどうだ? 貴様も王たる者ならば、まさか己の異名を憚りはすまい?」
刹那。ライダーがその問をアーチャーに投げた瞬間。倉庫街を怒気が支配した。
「問いを投げるか。雑種風情が。王たるこの我に向けて!!」
そう言って、アーチャーは自身が立っている街灯を軽く踵を上下させるだけで踏み壊した。
――その問は、アーチャー――英雄王『ギルガメッシュ』、彼女にとって違わず逆鱗であった。
「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない!」
ギルガメッシュがそう言うと、その背後に黄金の波紋が八つ。そしてその中心から現れるのは、紅の魔槍、黄の魔槍、原罪、佩刀、金剛杵、封印された赤槍、堪えの長剣、解放の小剣。何れも名のある宝具の原典達である。
「――と、何時もの我ならば申していたであろうな」
途端、ギルガメッシュから怒気が霧散し、張り詰めていた空気が幾分か緩和された。
「此度の聖杯戦争。見えた相手に寄っては我は慢心を捨て、本気を出すに値する。喜べ、有象無象共。我が至高の宝物によって消し飛ばされる栄誉を与えてやる。光栄に思え」
そして、ギルガメッシュがそう言うと、宝具の原典達のそれぞれがランサー、ライダー、ウェイバー、セイバー、セイバーの後ろにいる銀髪赤目の美女、ランサーの後方の倉庫の屋根の上に居る毛根前線後退男、倉庫街傍のクレーン近くのコンテナの上に居るスナイパーの男、その近くに居るおかっぱ頭の女に狙いを定めていた。
「先日の児戯はとても開幕戦に相応しくない。この戦闘は開幕にそこそこふさわしい。我が朋に捧ぐ、良き闘争の礎となれ。死に物狂いで謳えよ雑種共―――!」
その言葉と共に、ギルガメッシュの背後に控えていた宝具の原典が発射された。
そして、ギルガメッシュの宝具の原典が発射された。
―――ジャララララララ!! ガゥン! ガゥン! ガゥン! ガゥン!
後書き
オケアノスはよ(血涙)
フレンドの狂イオス、バサクレス、乱スロットのバーサーカートリオが優秀過ぎる。てか何で揃ってあないにレベル高いん? ワタス、未だ黒トリアが50レベル(一番高い)なのに。
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