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ペナルティ

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2部分:第二章


第二章

「廊下に立たされるとかじゃないかな」
「廊下に」
「ひっぱたかれるとか」
 幸一はさらに言いました。
「そういうの?」
「そうだね。先生怒ると怖いし」
「本当にどうしよう」
「壺隠す?」
 仙一はこう提案しました。
「それじゃあ」
「隠したら隠したらで怪しいじゃない」
 けれどです。幸一はそれも駄目だというのです。
「だからそれもね」
「やったら駄目だよね」
「そう、壺はクラスに絶対あるものだから」
「隠してもわかるね」
「だから駄目だよ」
「それじゃあ」
 隠しても駄目ならばです。あらためてでした。
 仙一は切羽詰った顔で幸一に述べました。
「他のクラスの壺と交換しない?」
「他のクラスのと?」
「そう、それなら僕達が割ったってばれないよ」
「それも駄目だろうね」
 けれどこれもです。幸一は駄目だと言うのでした。
 そしてそれが何故かともです。彼は言いました。
「だって。それぞれ壺は違うんだよ」
「あっ、形も色も」
「そう、違うじゃない」
「だからなんだ」
「そうだよ。取り替えても無駄だよ。それにね」
「それに?」
「やっぱりさ。割ったのは事実だから」
 それでだとです。幸一は仙一に言うのです。
「謝らない?先生にもクラスの皆にも」
「僕達が壺割ったことを」
「うん、謝らない?」
 こう仙一に言うのでした。
「割ったことは事実なんだし」
「けれどそのことを言ったらどうなるのか」
 仙一は幸一の提案に困った顔になってです。
 そのうえで、です。こう言うのでした。
「わかってるよね、幸一も」
「うん、怒られるね先生に」
「それじゃあ駄目じゃない」
 これが仙一の考えでした。
「怒られるんだったら」
「けれど。壺を割ったのは悪いことだし」
「だからだっていうんだ」
「悪いことをしたら謝ろう」
 仙一は悪いことをしたその時はだと言うのです。
「そうしないと何かおかしいよ」
「ううん、悪いことをしたら謝る」
「仙一もそう思うよね、本当は」
「お父さんにもお母さんにもいつも言われてるし」
 それでだと答える仙一でした。仙一もそうしたことは教えてもらっているのです。彼にしても悪いことは悪い、そうした考えは確かにあります。だからこそ。
 幸一の言葉を聞くのでした。そしてこう答えました。
「じゃあやっぱり」
「うん、明日の朝のホームルームでね」
「皆と先生になんだね」
「謝ろう」
 幸一はまた仙一に言いました。
「そうしよう。悪いことをしたから」
「そうしないと駄目なんだ」
「仙一が嫌だったら僕だけでも謝るから」
「そんなことしたら駄目だよ」
 幸一だけが悪者になることがです。駄目だと思ってでした。
 仙一は強い声で幸一に応えました。そしてでした。
 あらためてです。幸一に言いました。
「じゃあ明日の朝のホームルームね」
「うん、一緒に皆と先生に謝ろう」
「そうしよう」
 仙一は渋々ながらも幸一の言葉に頷きました。そうしてです。
 次の日のホームルームにでした。二人は教壇のところに出て来ました。
 
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