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正社員

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第六章

「ああして必死にしがみつくみたいにして」
「辞めずに」
「働いいていたんじゃないかしら」
「ブラック企業でも」
「ブラック企業でも何でもね」
 それでもだというのだ。
「生活と社会的な保障とか立場とか」
「そういうのを考えて」
「転職するって言っても再就職は難しいし」
 そのことも考えてしまってというのだ。
「残っておられるんじゃないかしら」
「そうなのね」
「それでじゃないかしら」 
 こう二人で考えつつ話した、そして。
 花純は自分の自転車の前に来たところでだ、優花に言った。
「最初にいい起業かどうか調べて」
「人のお話も聞いて」
「それで確かめてからね」
「私達みたいに」
「それで入社試験を受けないとね」
「駄目なのね」
「それで若しブラック企業だったら大変だし」
 それにとだ、優花に言うのだった。
「若しブラック企業でも過労死するよりましだから」
「退社すべきなのね」
「それで再就職しないと」
「命あっての物種ってことね」
「そう思うけれどどうかしら」
「そうかもね」
 優花もだ、花純の言葉に応えた。
「最初にじっくり調べないと」
「それで入社試験まで決めないとね」
「駄目よね」
「確かに就職は厳しいけれど」
「それでも入社する会社は見極めないと」
 そうしなければというのだ。
「もうね」
「逃げないとね」
「じゃあ」
 それならと言うのだった、優花は。
「あのお店の人達はちゃんと見ていなかったかも知れないわね」
「そうね、ブラック企業かどうか」
「そうなのね、それにしても」
 ここでだ、優花は電話の向こうの花純にこうも言った。
「あのお店というか会社どうなるかしら」
「危ないでしょ」
 花純はあっさりと答えた。
「それは」
「危ないの」
「うん、やっぱりね」
「倒産するっていうのね」
「まあ経営破綻か何かわからないけれど」
「どっちにしてもなのね」
「駄目でしょ」 
 最早企業としてはというのだ。
「悪評が知れ渡ったしお客さんも逃げるから」
「評判悪い企業にはお客さん行かないからね」
「そうそう、飲食店でもね」
 客へのサービスや料理の味やそうしただけでのことではないのだ、こうした社員の待遇等でも評判が悪いとだ。
 客足は遠のく、それでとだ。花純は言うのだ。
「だからもうアウトよ、やっぱりいい会社じゃないとね」
「社員の人も幸せにならないしお客さんも来なくなる」
「それで潰れるっていうことね」
「そういうことね、じゃあ私達も社員として」
「そのことは忘れないでいきましょうね、じゃあ今から私も家に帰るから」
「今度会ったらまた遊ぼうね」
「うん、そうしましょう」
 花純は優花の言葉に笑顔で応えだ、別れの挨拶を告げて。
 自転車に乗って自宅に戻った、そして自宅でのプライベートを楽しんだのだった。彼女のその時間を。


正社員   完


                        2015・4・22 
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