最後の突撃
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第二章
「明日敵軍にだ」
「攻撃ですね」
「大隊全てで」
「そうする」
実際にとだ、彼は答えた。
「いいな」
「敵は機械化部隊です」
斥候のハリル=キュリー少尉が報告した。
「戦車と装甲車、それにサイドカーもありました」
「そうか」
「戦車は一号戦車でした」
「あの機銃と回転砲塔のか」
「それでした」
「わかった、二号戦車はないな」
このことをだ、マリシュがキュリーに確認した。
「あの戦車は」
「私が見た限りでは」
「そうか、二号戦車が相当に厄介と聞くが」
「こちらに来ている戦車はです」
その機械化部隊が編成しているだ。
「一号戦車でした」
「わかった、あの戦車はな」
「まだ、ですね」
「戦いやすい」
「そうだな、ならだ」
また言ったナストゥラだった。
「まだ安心出来る」
「一号戦車ならですね」
「我々でも十分に戦える」
戦力分析を頭の中でしたうえでだ、ナストゥラはマリシュに答えた。野営地の司令部のその中においてである。
「やってやる」
「戦車、装甲車にはどうして攻撃をしますか」
「手榴弾だ」
それでとだ、ナストゥラはマリシュに答えた。
「馬で近寄りだ」
「そしてその中にですか」
「手榴弾を放り込むか、か」
「投げつける」
「それで倒す」
その一号戦車なり装甲車をというのだ。
「銃もサーベルも効かない、それならな」
「手榴弾ですね」
「それで攻める」
こうマリシュの髭のない顔を見つつ答えた、二人の目はどちらも青い。このことは斥候だったキュリーもだ。
「わかったな」
「わかりました、では」
「いいか、敵に突撃する」
ナストゥラは部下達に強い声で告げた。
「いいな」
「騎兵隊らしく」
「果敢にですね」
「そうだ、わかったな」
またしても強い声でだ、ナストゥラは告げた。
「我々は騎兵隊だ」
「はい、それならば」
「勇敢に突撃して敵を倒す」
「例えそれが戦車や装甲車が相手でも」
「そうしますね」
「命を惜しむな」
こうもだ、彼は言った。
「いいな」
「わかっています、そのことは」
「我等も騎兵です」
「それならですね」
「敵に背を見せず」
「勇敢に突撃を行う」
「そうするのですね」
「我々はポーランド騎兵だ」
ナストゥラは腕を組んでこうも言った。
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