空からのお礼
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第一章
空からのお礼
最初にその報告を聞いた時にだ、誰もが驚愕した。
「おい、大変だぞ」
「また地震か」
「すぐに救助だ」
「救援部隊を送るんだ」
「そして被災者の人達を助け出そう」
政府も即座に動いた、そしてだった。
震災が起こったその地域に即座に自衛隊が派遣され救助活動をはじめた。だがその派遣された彼等が見たものは。
地震により何もかもが破壊された街や村、道路に橋に傷付いている人達だった。死んだ人も大勢いた。その有様を見てだ。
まずだ、誰もが暗澹たる気持ちになった。
「思っていた以上だな」
「ああ、これは酷いぞ」
「建物も何もかもがな」
「人も大勢な」
「これはすぐにはじめないと」
「もっと酷いことになるぞ」
「各員すぐに作業にかかるぞ」
連隊長もこう命令を出した。
「いいな、それぞれの指揮に従いだ」
「はい、一人でも多くですね」
「被災者の人を助けましょう」
「そうするぞ」
こう言ってだ、そしてだった。
自衛官の人達は作業にかかった、その廃墟と化した震災地の中で。
助かった人達は体育館や公民館等に避難していた、その人達にもだ。
食料や水、生活用品を送った、そうした物資も持って来たもだ。
「人間食うものだけじゃない」
「はい、水も生活用品も」
「色々必要ですから」
「送ってよかったですね」
「被災者の人達も喜んでくれていますね」
「喜んでもらえてるんじゃ駄目だ」
連隊長は隊員達にこう返した。
「助かってもらわないと駄目なんだよ」
「一人でも多く、ですね」
「被災者の人達に」
「まだ土の中や壊れた建物の中にいる人もいますし」
「そうした人達を一人でも多く」
「一人でも多く助けるべきですね」
「そうだ、我々にはその力があるんだ」
自衛隊には、というのだ。
「そうしたことが出来る車両やヘリ、それに人もいて知識もある」
「組織力もですね」
「全部あるからこそ」
「我々がやらないとですね」
「いけませんね」
「そうだ、だからやるんだ」
被災者の人達を一人でも多く救出することをというのだ。
「いいな」
「了解です」
「それならですね」
「救助活動の方も」
「そして復興支援も」
「出来る限りのことを全力でやる」
連隊長は言い切った。
「いいな、休息は忘れてはならないが」
「全力で」
「被災者の人達を救けていきましょう」
部下達も応えてだ、そしてだった。
多くの被災者を救出していった、だが。
奥羽真一郎三曹は完全に倒壊した家からだ、被災者を見付け出したのはいいがだ、項垂れた顔で飯塚岳二曹に言った。
「駄目です」
「そうか」
飯塚はその報告に項垂れて応えた。
「ここにいた人は」
「そうでした」
「そうか、ご家族の人には俺が話しておく」
「二曹がですか」
「そうだ、駄目だった」
こう言うのだった。
「そうな」
「すいません」
「謝る必要はない」
苦々しい顔でだ、飯塚は奥羽に答えた。
「こうしたことは俺の務めだ」
「二曹のですか」
「だからいい、御前はよくやってくれた」
奥羽も労いもした、倒壊した家から死んでいたとはいえ人を見付け出してくれた彼にだ。
「だからな」
「今は休んで」
「また働いてもらうからな」
「わかりました」
奥羽は飯塚に敬礼して応えた、そのうえでだった。
彼は一旦休みまた働いた、その他の隊員達もだった。
救助活動を続けたがだ、助かっている命もあれば。
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