FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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十の鍵と二の鍵
前書き
今ふと思ったとんでもなくどうでもいいこと・・・
大魔闘演舞公式マスコットのマトー君ってもしかして魔闘君ってことなのかな?
いや、知らんけどもね(笑)
それはともかく明日FAIRY TAIL関連の物いっぱい発売されるなぁ・・・新しいロード買いたいのにお金が貯まらない・・・
ハニーボーンにて・・・
俺たちは宿の前にいたユキノさんを部屋へと招き入れる。テーブルにユキノさんと向かい合いルーシィさんが座り、俺とウェンディ、ナツさんはルーシィさんの後ろに立っている。
ただ、ナツさんが剣咬の虎ということでかなりユキノさんを睨んでおり、ユキノさんも黙ったままのため大変空気が重い・・・
「ねぇ?お腹空いてない?魚食べる?」
「そうじゃないでしょ」
「ハッピー黙ってて~」
重たい空気の中、ハッピーはユキノさんに持っている魚を進めるがシャルルとセシリーが呆れながら突っ込みを入れる。
「実は・・・」
ハッピーの間抜けな発言でようやくユキノさんが口を開く。
「ルーシィ様にご用があって・・・」
「用事?あたしに?」
「はい。ルーシィ様に大切な用事があり、伺いました」
どうやらユキノさんはルーシィさんに何かあって来たようだ。
「セイバーが何の用だよ」
「そんなに敵意を出さなくてもいいじゃないですか」
「話くらいは聞いてあげましょう?」
剣咬の虎というだけでナツさんはどうも嫌ならしく、嫌悪感丸出しでユキノさんにそう言う。俺とウェンディはナツさんをなだめながらユキノさんの話に耳を傾ける。
「あつかましい申し出ではありますが・・・これを」
ユキノさんがそう言いテーブルの上に置いたものは、2本の金色の鍵。
「双魚宮の鍵と天秤宮の鍵、この2つをルーシィ様に受け取っていただきたいのです。
「え!?」
ユキノさんの突然の申し出にルーシィさんだけでなく、俺やウェンディたちも全員が驚く。
「そんな・・・無理よ、もらえない」
「1日目、あなたを見た時から決めていました。大会が終わったら、この鍵をお渡ししようと」
鍵をもらえないと言ったルーシィさんに対してユキノさんはそう言う。
「大会終わってねぇじゃん」
「まだあと3日も残ってますよ?」
ナツさんと俺がそう言うと、ユキノさんは顔をうつむかせる。
「私の大会は終わりました」
「「「「「「「?」」」」」」」
ユキノさんの言葉の意味がわからず、?を浮かべる。
「私の代わりには、恐らくミネルバ様が加わるでしょう」
ミネルバ?誰だそれ。
「これで、剣咬の虎を変えた最強の6人が揃います」
「それって・・・」
「マックスくんが言ってた~?」
大会に参加を決める前にマックスさんが俺たちに話してくれたことを思い出す。剣咬の虎が強くなったのは、マスターが代わったのとものすごい魔導士が6人加わったのが理由って言ってたな。
「あんたは入ってなかったのね」
「私などまだまだ新米でした。仕事中だったミネルバ様の代わりを任されたに過ぎません」
そういえば実況のチャパティさんが初参戦とか言ってたような気がするな。よく考えれば最強の6人の1人じゃないってことがわかるか。
「でもどうしてですか?それはあなたの大切な星霊ですよね?」
「だからこそ、私より優れた星霊魔導士であるルーシィ様の元に置いていただいた方が星霊たちも幸せなのです」
「そういうもんかなぁ・・・」
ユキノさんの言い分もわかるけど、俺はどうしても納得いかないなぁ・・・
「嬉しい申し出だけど、やっぱりあたしには・・・」
「あなたは既に、黄道十二門の鍵を10個も揃えています。この2つと合わせて十二の鍵全てが揃うのです。
世界を変える扉が開く」
「世界を変える扉?」
「なんだそりゃ?」
「聞いたことないですけど・・・」
ユキノさんの言葉に俺たちは呆然としている。
「何か見えるの?シャルル」
「そうそういつも何でも見えるわけじゃないわ」
「だよね~」
ウェンディの質問にシャルルが答える。
「ただの古い言い伝えです。私にもその意味はわかりません。もうお気づきかもしれませんが、この数年で星霊魔導士の数は激減しました。
先日のゼントピアの事件もあり、もはや星霊魔導士は私たちのみかもしれません」
そういえば、無限時計の時に六魔将軍に生体リンクを切られた星霊魔導士たちは魔力を失ってしまい、魔導士じゃなくなってしまったって話を聞いた気がする。
「あなたは星霊に愛され、星霊を愛する方です。十二の鍵を持って星霊と共に歩むべきです」
ルーシィさんはテーブルに置かれた2本の鍵に視線を落とす。
「やっぱり受け取れない」
「!?」
ルーシィさんに断られ、ユキノさんは驚く。
「星霊魔法は絆と信頼の魔法・・・そんなに簡単にオーナーを変わるわけにはいかない」
「簡単・・・な決意ではないのですが」
「え?」
ボソッとユキノさんは何かを呟くとスッと立ち上がる。
「いいえ、あなたならそう言うと思っておりました。いずれ時がくれば十二の鍵はおのずと揃うでしょう」
そう言うユキノさんの顔はさっきまでの暗い表情とは違い、晴れやかなものだった。
ルーシィさんもユキノさんのその表情を見て笑顔を返す。
「またお会いできるといいですね」
そう言ってユキノさんは部屋を後にする。
「行っちゃった」
「そうだね」
俺とウェンディはそう言う。
「私、先にお風呂に入っちゃおうかしら」
「僕も一緒に入る~」
シャルルとセシリーはそう言うと寝室の隣にあるシャワールームへと入っていく。
「・・・」
「ナツさん?」
ナツさんがユキノさんが出ていった扉をじっと見つめている。
「どうしたんですか?」
「俺、あいつに言い忘れたことあった」
そう言うとナツさんは扉を勢いよく開けて部屋から出ていってしまう。
「あいつってユキノさんのことだよね?」
「何を伝え忘れたのかな?」
ナツさんは剣咬の虎を毛嫌いしてたし、ユキノさんに何か変なこと言わないといいんだけど・・・
「ウェンディ、早くいらっしゃいよ」
「一緒に入ろうよ~」
俺とウェンディがナツさんが開けっぱなしにしていた扉を閉めると、シャワールームからシャルルとセシリーが顔を覗かせる。
「うん。今いく」
ウェンディはそう言うと替えの服を持ち、シャワールームの扉に手をかける。
「シリル、絶対覗かないでよ」
「俺が今まで覗いたことがあったかよ・・・」
ウェンディが意外と俺のことを信用してないことにガッカリとする。ウェンディはそれに気づき謝罪して来るがセシリーたちにまた呼ばれるとシャワールームの方に足を進める。
「そんなに落ち込まなくてもいいじゃない」
「いや・・・まぁ・・・」
ルーシィさんに笑顔でそう言われ、とりあえず気持ちを落ち着かせる。
「というかルーシィさんはよかったんですか?」
「何が?」
「黄道十二門の鍵、全部揃うなんてもうないかもしれませんよ」
「ああ、そのこと」
俺がそう言うとルーシィさんはポンッと手を叩く。
「いいの、あたしも昔は全部揃えるんだぁ、なんて思ってたけど、今はそうでもないから」
「そうなんですか?」
「うん。剣咬の虎の人とは言え、あの人も星霊のことをとても大切に思ってる。
あたしには、あの人と星霊の絆は切れない。ううん、切りたくないの」
ルーシィさんのその言葉に納得する俺。ルーシィさんらしくていい考えだと思います。
「それにしてもナツ、ユキノに何の用なのかしら?」
「あんまり余計なことしないといいですけど・・・」
ルーシィさんと俺はナツさんが何をしに行ったか不安だったけど、ハッピーもついてるしそれほど気にしなくてもいいかということになり、それぞれ自由時間を過ごしてナツさん、グレイさん、エルザさんの帰りを待つことにした。
第三者side
王宮のある一室、アルカディオスはその暗い部屋で小さなランプを灯し、何かの資料に目を通している。
「十の鍵を持つ少女と二の鍵を持つ少女。
十二の鍵が揃う!!エクリプスは完全に起動する!!
ゼレフゼレフゼレフゼレフ!!フフフフフッ・・・フハハハハハハッ!!」
部屋の外にまで響いてくる笑い声。その声をあるものが聞いていた。
「なんだ・・・謎の魔力はそういうことだったのか」
緑色の髪をした男はアルカディオスの笑い声を聞いてガッカリしてしまう。彼にとってそれは悲報以外の何物でもなかった。
「ゼレフが関わっているのなら、帰るための何かを見つけようと思ってたけど・・・」
男は踵を返し兵隊たちに見つからないように王宮から離れていく。
「もうここに用はない。イワンの目的を達成させて、早々に消えるか」
そう言い男は胸ポケットから1枚の紙を取り出す、そこに書かれていたのは大魔闘演舞三日目のバトルパートの対戦表だった。
男はそのある部分を書きかえ、対戦表を奪ってきた部屋に戻ると元々あった場所にそっと戻す。
「これであとは明日のバトルパートを行うだけだ」
男はそう言い、自らの現在所属しているギルドの宿へと帰っていった。
その頃、クロッカスガーデンでは・・・
ドゴォォン
「何だ?」
「ん~?」
すでに明日のために眠りについていたスティングとレクターは突然の爆音で目を覚ます。するとスティングたちの眠っていた部屋の扉が勢いよく開かれる。
「起きろスティング!!」
「侵入者だ」
「レクター起きて!!」
「う~ん・・・」
慌てた様子で入ってくるグラシアン、ローグ、フロッシュ。キセキはさっきまで眠っていたのか、目をゴシゴシと擦りながら部屋に入ってくる。
「侵入者!?剣咬の虎の全メンバーが泊まっている宿だぞ!?」
裸で眠っていたスティングは近くに置いてある自分の服に袖を通し、グラシアン、ローグと共に部屋から飛び出す。
「何者だ!?」
「まだ何の情報も来てねぇからわかんねぇ」
「だが、生きて帰るつもりはないんだろうな」
侵入者がいると思われる方向へと走っていく3人。ようやく目的地に着いたかと思うと、ギルドのメンバーの1人が飛んでくる。
「「「「「「「「「「ぐわぁぁぁぁ!!」」」」」」」」」」
侵入者を止めようと交戦しているメンバー。だが、そのほとんどが炎によって飛ばされていく。
「マスターは・・・どこだぁ!?」
そう言い目の前の魔導士を蹴りあげる男にスティングたちは目を疑う。
「どこだ!?」
侵入者の名前はナツ・ドラグニル。大魔闘演舞に出場しているギルド妖精の尻尾の一員である。
「ワシに何か用か?小童」
戦闘中のメンバーたちの後ろから剣咬の虎マスタージエンマが現れ、剣咬の虎のメンバーは道を開ける。
「お前がマスターか?一度の敗北でクビだって?ヘヘッ、なかなか気合い入ってんなぁ」
「ああ?」
「だったらお前も」
右手の拳と左掌を合わせるナツ。そして荒々しい炎を左手に纏う。
「俺に負けたら、ギルドやめんだな!?」
手を顎に当てているジエンマとそれを睨むナツ。周りの剣咬の虎メンバーたちには緊張が走っていた。
「妖精の尻尾?」
「ナツ・・・さん?」
ナツが何を言っているのかルーファスとスティングにはわからず、そう声を振り絞るのでやっとであった。
「マスターにケンカを売りに来ただと?」
「自殺行為だ・・・」
「フローもそうもう・・・」
「あの人、自分で何言ってるかわかってるの?」
オルガ、レクター、フロッシュ、キセキがそう言う。
「本気で抜かしておるのか?小童」
「自分とこの仲間を仲間と思えねぇ奴は許せねぇんだ!!」
ナツのその言葉でローグ、スティング、グラシアンはなんでこんなことをしているのかを察知した。
(ユキノのことを言っているのか?)
(あんたには関係ねぇだろ!!そんなこと乗り込んでくるかよ普通!!)
(ギルドのメンバーをどうしようが俺らの勝手だろうが)
そう、ナツはさっきルーシィを訪ねてきたユキノに失礼な態度を取ったため謝罪しようと追いかけたのだが、その時にユキノがカグラに破れたために剣咬の虎をやめさせられたことを知り、宿に戻る前にジエンマを殴ろうと襲撃してきたのだった。
「何の話かわからぬが、貴様には貴様なりの理があっての行動ということか」
「何の話かわからねぇだと!?」
ジエンマの言葉にナツはますます怒る。
「ドーベンガル、相手をしてやれ」
「はっ」
ジエンマの隣に黒い服に身を包んだ忍者のような格好の男が現れる。
「逃げんのか?」
「ギルドの兵隊兵隊ごときが100年早いわ。上のもんとやろうってんならそれなりの資格があるのか見せてみろよ」
「俺と勝負しろぉぉぉ!!」
ナツはドーベンガルなど気にする様子もなくジエンマへと突っ走る。
「マスターには近づけさせん」
ドーベンガルがナツを止めようとする。しかし、
「どけぇ!!」
「うおっ!!」
「お前に用はねぇ!!」
ナツは一撃でドーベンガルを宿の入り口の扉へと殴り飛ばす。
「ウソだろ!?」
「ドーベンガルが・・・」
「うわあああ!!」
「そんなぁ!!」
「うちで10番以内に入る強さなんですよ!!」
床に伸びているドーベンガルを見て動揺する剣咬の虎のメンバーたち。
「マスター、ここは俺が」
「手を出すな」
スティングがドーベンガルに代わりナツを戦おうとしたがジエンマがそれを制する。
「うおおおおおおおっ!!」
「うちにはいないタイプの小童よ。面白い!!」
ナツはジエンマに突進し、火竜の鉄拳を放つ。だが、それをジエンマは片手で防ぐ。
「ぐっ!!」
「その程度・・・か!!」
ジエンマは力を入れると覇気でナツを吹き飛ばす。
ナツはなんとかその攻撃に耐えると無防備になっている腹部へとアッパーを叩き込む。
「うっ!!」
「オラッ!!」
ナツはすかさず顔面にフックを入れ、さらには肘に炎を纏うことで拳を加速させ、顎を殴る。
その後もナツは次々に拳を繰り出しジエンマを攻め立てる。ジエンマはナツの猛攻の前に反撃のチャンスを掴めずにいる。
「雷炎竜の・・・」
ナツは拳に炎と雷の両方を纏い、
「撃鉄!!」
ジエンマへとその圧倒的な魔力をぶつける。
そのあまりの威力にクロッカスガーデンのロビーの壁が破壊され、外にいる住民たちは何事かとそちらを見ていた。
ギュアン
辺りに立ち込めていた煙、しかしその煙をジエンマとナツの間に立っている女が振り払う。その女の後ろにいたジエンマは全くキズがついている様子はなかった。
「ミネルバ!?」
「お嬢・・・」
「いつの間に・・・」
ジエンマ、スティング、グラシアンがその化粧を施した黒髪の女を見てそう言う。
この女こそ、ユキノが言っていた剣咬の虎の最強の6人のうちの1人、ミネルバである。
「今宵の宴もこの辺でお開きにしまいか?」
「ああ?」
手に集めていた魔力を解いたミネルバがナツにそう言う。
「ミネルバ貴様、勝手なことを・・・」
「もちろん、このまま続けていても父上が勝つであろうが」
「父上?」
どうやらミネルバはマスタージエンマの娘であるようだ。
「しかし世の中には体裁と言う言葉もあるものでな。攻めてきたのがそちらであったにせよ、剣咬の虎マスターが大魔闘演舞出場者を潰したとあっては我々としても立つ瀬がない」
「言っとくが、消されるとしたらそっちの方だぞ!!」
ミネルバの物言いにナツが怒鳴り声をあげる。
「父上も部下の手前、少々熱が入り引くに引けぬと見えた。どうだろう、ここは妾の顔を立ててはくれまいか?」
ミネルバはそう言うと自分の胸の前に何かを召喚する。それはナツに取って大切なものの1つだった。
「さすれば、この子猫を無傷で返すこともできよう」
「ええーん!!」
「ハッピー!!」
ミネルバに抱き抱えられているのはロープで体を縛られて泣いているハッピーだった。
「ごめんナツぅー!!」
「くそっ!!」
ハッピーを人質に取られてしまった形のナツは表情を歪ませる。
「部下が何人かやられてはいるが、妾が今回の件不問に付しても良いと言っている。そなたに大人の対応を求めようぞ」
ハッピーの頭を撫でるミネルバ。ナツはそれをうなずくように顔を背ける。ミネルバはそれを肯定と受け取り、ハッピーを解放する。
「ナツぅー!!」
解放されたハッピーはナツの元へとかけていき、ナツはしゃがんでハッピーを抱き締める。
「オイラ入り口で捕まっちゃってごめんね・・・」
「いいんだハッピー。俺の方こそ放っておいて悪かった」
「ナツぅー!!」
ナツは泣いているハッピーを抱えたまま立ち上がる。
「帰ろう」
「あい」
2人はそう言い、出口に向かう。
「中々骨のある小童だ」
「決着は大魔闘演舞でつけよう。思う存分な」
ジエンマとミネルバがそう言うとナツはその場に立ち止まる。
「お前らなんかにゃ負けねぇよ。つーか、俺たちには追い付けねぇ」
ナツの言葉を聞いた剣咬の虎のメンバーは眉間に皺を寄せる。
「ギルドなら、仲間大切にしろよ。俺が言いてぇのはそれだけだ」
ナツはそう言うと再び歩き出し、クロッカスガーデンを後にする。
(仲間・・・俺たちのギルドにはない、絆なのか?)
(だが最後にモノを言うのは力だ。俺たちの歩んでいる道に間違いはないはず・・・)
ローグとグラシアンは離れていくナツの背中を見ながらそう思っている。
(こ・・・こんなに強かったのか・・・ナツ・ドラグニル・・・)
スティングは憧れていたナツの力を目の当たりにし、思わず笑みをこぼす。
「おい!!明日は俺が出るぞ!!こんな好き放題されて、黙ってられねぇ!!」
「黒雷の力を解放させるんだね?」
ナツに暴れられボロボロになった宿を見てオルガが興奮気味にそう言い、ルーファスが冷静を保ちながらそう言う。
「確かに、やられ放題になってしまったのぉ。しかしこれぐらいでなければ興が冷めるというもの。
ユキノの代わりも必要だの。1つ妾も遊ばせてもらおうか」
ナツの襲撃により王者剣咬の虎の闘志に火がついた。そんな中、ローグとグラシアンだけはこのままでいいのかと心に迷いを感じ始めていた・・・
シリルside
「はぁ!?剣咬の虎とケンカしてきた!?」
パジャマに着替えたルーシィさんが声を上げる。その後ろにはさっき帰ってきたグレイさん、エルザさん、そして隣のベッドには俺、ウェンディ、セシリー、シャルルが腰かけている。
「あぁ、もっと暴れてやりたかったんだけど、途中で終わっちまって残念だ!!」
「ごめんねナツぅ・・・オイラが捕まっちゃったせいで・・・」
ナツさんの隣に座っているハッピーが泣きながらそう言う。
「何言ってるの!!とりあえずそれでよかったのよ!!」
「そうですよ!!もし向こうの選手をケガさせちゃたら、失格になったかもしれないんですから」
「今回はハッピーのファインプレーってところだね~」
シャルル、ウェンディ、セシリーがそう言う。
「お?そういやミネルバって奴もそんなこと言ってたな」
ナツさんは立ち上がって悪びれた様子もなくそう言う。
「全くとんでもねぇバカだぜ!!ちったぁ頭を使えってんだ!!」
「いくらナツさんでもやっていいことと悪いことがありますよ!!」
「ホントそう!!グレイ!!シリル!!もっと言ってやって!!もっと!!」
グレイさんと俺がナツさんの考えなしの行動に怒ってそう怒鳴り、ルーシィさんが煽る。グレイさんは怒りに身を任せたまま、ナツさんの胸ぐらを掴む。
「かちこみかけるんなら俺も誘えって話だろうが!!1人だけいいとこ取りなんてずりぃってもんだ!!」
「そうですよ!!って違う!!グレイさんも怒るとこそこじゃないです!!」
「論点がずれてる!!」
グレイさんの怒っていたポイントが違かったため俺とルーシィさんが突っ込みを入れる。それを見ていたウェンディは苦笑いする。
「試合に負けて悔しいからと言って、場外戦で仕返しとは感心せんぞ」
「そんなつもりねぇよ。あのルーファスって奴に一言挨拶しときてぇだけだ!次は負けねぇってな!!」
グレイさんが掌と拳を合わせてそう言う。
「とにかくあいつらは許せねぇ。仲間ってのは助け合ってこその仲間だろうが」
「厳しいだけならともかく、女の子に恥ずかしい思いをさせて放り出すなんて最低ね」
「ユキノさんが可哀想だよ~」
ナツさんの怒りにシャルルとセシリーが賛同する。
「あのユキノって子、そんな辛い目にあったのにあたしに会いに来てくれたのね」
「今ごろどこにいるんでしょうね?心配です」
「帰る場所がないって言ってたもんね」
「まだクロッカスに留まってるんでしょうか?」
今ごろユキノさんがどこで何をしているのか、俺たちは心配になる。
「くそっ・・・まだ腹の虫が収まんねぇ!!やっぱもう一回ケンカしてくる!!」
「おし!!俺も行く!!」
「だからそれはダメ!!」
「大会で決着をつければいいじゃないですか!?」
「場外乱闘で失格なんてギルドの人たちに申し訳ないですよ!!」
ナツさんとグレイさんが殴り込みにいこうとするのでルーシィさん、ウェンディ、俺が懸命に止める。
「ていうか、剣咬の虎を怒らせた以上、明日からの試合はますます厳しくなるはずよ!!」
「競技パートで僕たちのこと絶対マークしてくるはずだからね~!!」
シャルルとセシリーの言う通り、明日からは剣咬の虎も俺たちを集中的に狙ってくるかもしれない。そう考えると厳しいものがあるな。
「そんなの俺がなんとでもしてやるぜ!!」
「おおよ!!俺たちは今すぐ殴り込みに行くぞ!!」
「「「ダメ(です)!!」」」
俺たちは2人を行かせないために扉の前に立つ。すると、
「オラァ!!」
「ふぎゃあ!!」
ナツさんが近くにあった枕を取って投げてくる。その枕は俺の顔面にヒットする。
「くぅ・・・このぉ!!」
「おっと!!」
とりあえず投げられた枕をナツさんに投げ返したが軽く交わされてしまい、ベランダに出ていたエルザさんの後頭部にぶつかる。
「えぇいどけ!!」
「行かせろ!!」
「やめなさいってば!!」
「2人とも落ち着いてください!!」
「ううっ!!」
ナツさんとグレイさんが枕の投げた枕がウェンディの顔にヒットする。
俺とルーシィさんもそれに対抗して近くの枕を手に取り投げ込む。
「ってお前たちぐっ!!」
「「「「「あっ・・・」」」」」
ルーシィさんの投げた枕がベランダから戻ってきたルーシィさんの顔にぶつかってしまう。枕が当たったエルザさんの顔は赤くなっており、誰の目から見ても怒っているのは確かだった。
「いい加減にせんか!!」
「「はい!!」」
結局エルザさんに怒られてナツさんとグレイさんは剣咬の虎に行くのを断念する。ていうか最初っからエルザさんが言ってくれればよかったんじゃないのか?俺にはそう思えてならない・・・
後書き
いかがだったでしょうか。
次回は3日目競技パートを行います。
次回もよろしくお願いします。
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