ソーサープリム

「全部毛織でね」
「刺繍も凄くて」
「いい服じゃない」
「子供が着るみたいで」
　それでいて、というのだ。
「ミレッラが着ても似合ってて」
「いい服ね」
「特に帽子がね」
　そのソーサープリムのこともだ、友人達は言った。その目で見つつ。
「いいわね」
「変わった形だけれど」
「何か凄く可愛くて」
「奇麗でね」
「何処でそんな帽子売ってたの？」
「服も」
「全部ケチュア族の服らしいわ」
　ミレッラは自分に口々に言う友人達に笑顔で答えた。
「この帽子はソーサープリムっていってね」
「ソーサープリムね」
「そう言うのね」
「それでね」
　ここで服の名前を全部話した。そのうえでまた問うた。
「覚えた？」
「名前はね」
「一応ね」
「覚えたわ」
　これが友人達の返事だった。
「私達洋服ばかり着てるけれど」
「私達の服もあったのね」
「ケチュア族の服も」
「そうなのね」
「そうなの、それでね」
　ミレッラもと言うのだった。
「私もお父さんとお母さんに言われてそのこと知って。服を渡されてね」
「実際に着てみて」
「それでなのね」
「今の格好なのね」
「そうなのね」
「そうなの、髪型も変えてみたの」
　今のだ、長い髪をそれぞれ左右でおさげにしたものにというのだ。
「似合うかなって思って」
「成程ね」
「髪型も変えたのね」
「服に似合う様に」
「そうしたの、いや私達の服もあって」
　それで、というのだ。
「それがこんなに可愛いなんてね」
「思わなかったのね」
「私達にもこうした服があるのね」
「ケチュア族も」
「だったら」
　一人がだ、目を輝かせてこんなことを言った。
「私達もこの服着ましょう」
「ミレッラみたいにね」
「そうするのね」
「そうしましょう、それで学校にも行ってね」
　外出の時だけでなく、というのだ。
「お互いに見ましょう」
「そうね、私達の服をね」
「お互いに見てね」
「そうしてね」
「楽しみましょう」
「うん、それがいいわよね」
　ミレッラもだ、友人達の話を聞いて笑顔で頷いて応えた。
「皆でね」
「そうしましょう、じゃあ今日は」
「皆で遊びに行きましょう」
「これからね」
　友人達はミレッラの言葉を受けてだ、そしてだった。　
　その日は皆で遊んだ、周りの人達は皆民族衣装を着たミレッラを見ていた。そして数日後その状況は学校全体ではじまった。
　女の子達は一人また一人そしてすぐに学校の娘達全員がだった。
　ケチュア族の服、チャケタにポエラ、リヒアを着てだった。ソーサープリムを被ってだった。