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戦国異伝

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第二百二十一話 肥後の戦その一

                  第二百二十一話  肥後の戦
 家康は己の兵と大友、龍造寺の兵達を率いて肥後に入った。だが肥後に入った時に服部から言われた。
「そうか、前にか」
「島津の兵がいます」
「してその数は」
「七千です」
「七千か」
「前に布陣していますが」
「そこにもう三千おるな」
 家康はすぐjにだ、こうも言った。
「伏兵として」
「そう思われましたか」
「周りに茂みか森があろう」
「はい、道があり」
 その通りだとだ、服部も答えた。
「島津の軍勢はその森を抜けて平地におりますが」
「その森にじゃな」
「伏兵がいました」
「そうか、やはりな」
「どうされますか」
「このまま進む」
 すぐにだ、家康は服部に答えた。
「島津の軍勢までな」
「あの、それでは」
「むざむざその伏兵にです」
 大友、龍造寺の者達が家康に慌てて言って来た。
「攻められます」
「そうなりますが」
「それでもですか」
「前に進まれるのですか」
「あえて」
「ははは、心配なされますな」
 家康はその彼等に笑って返した。
「この度は」
「伏兵がいろうとも」
「それでもですか」
「あえて、ですか」
「島津の軍勢の前に出ますか」
「そうです、そしてです」
 そのうえでというのだ。
「勝って見せましょう」
「では一体」
「どうされますか」
「島津との戦は」
「どの様に戦われますか」
「それがしに策があります」
 家康は彼等に謙虚な態度で述べた。
「それを御覧下さい」
「徳川殿の」
「それをですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「ではそれでよいでしょうか」
「はい、我等も」
「島津を破って下さるのなら」
「それならです」
「お任せします」
「では」
 彼等はそれでよかった、島津が退けられ自分達の領地が安堵されるのなら。
 その彼等を見てだ、大久保は首を傾げさせつつ家康に言った。
「どうも大友、龍造寺の方々は」
「守りに入っておるな」
「はい、立花殿と高橋殿は違いますが」
 この二人はというのだ。
「そして鍋島殿は」
「流石にな」
「はい、この方々は違います」
「やはりな」
「傑物でありますが」
「しかしじゃ」
 それでもとだ、家康は自分から言った。
「両家の方々はな」
「戦に敗れたせいですな」
「どちらも手酷く敗れた」
 大友、龍造寺どちらもだ。島津との戦に惨敗した。龍造寺に至っては主の隆信の首まで取られている始末だ。 
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