ドリトル先生と森の狼達
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第九幕その十
「僕も小学校でやってるね」
「子供凄い嫌がるそうですね」
「泣く子もいるっていうけれど」
「注射が好きな子供はいないよ」
それこそ一人もというのです。
「あれはね」
「うん、僕達だってね」
「日本に来てから注射される機会多くなったけれど」
「それはね」
「好きになれないね」
「どうもね」
「実際はそんなに痛くないけれど」
注射されてもです、ちくりとするだけで一瞬で済みます。本当に七秒もかかったりしない軽いものでありますが。
「先が尖っていて刺されるからね」
「それがどうしてもね」
「怖いんだよね」
「ぶつけるよりもずっと痛くないのに」
「それでもね」
「どうしても怖いんだよね」
それが注射だというのです。
「あれはね」
「何度されても抵抗あるね」
「というか日本って注射多くない?」
「僕達もやたらされて」
「予防接種ばかりしていない?」
「うん、日本では多いね」
確かにとです、先生も答えます。
「人も生きものもね」
「何かとね」
「皆にするよね」
「先生もしてるし」
「ちゃんとね」
「日本人は病気は事前にと考える傾向も強いんだ」
これも日本の考えだというのです。
「だから僕達も予防接種を受けることが多いんだ」
「何かとなんだ」
「予防接種受けるんだ」
「子供達も」
「注射は一瞬だけれどね」
それでもというのです。
「病気に罹ったら下手をすると一生後遺症が残るから」
「凄い熱とか出て」
「それでよね」
「大変なことになるから」
「それでなんだね」
「僕も子供達に注射してるよ、その時の僕はね」
先生が思うにはです。
「とても怖い人に思われてるかな」
「子供達にね」
「鬼とか悪魔とか」
「そうした感じかな」
「そうした風に思われてるだろうね」
「そうだろうね、それは困るね」
先生にしてみればです。
「これも子供達の為だからね」
「蚊に刺されたりして日本脳炎にならない為に」
「是非しないといけないからね」
「そのことはね」
「仕方ないね」
「いや、それでもね」
怖がられる先生にしてはです。
「僕としてはね」
「怖がられるのが嫌だよね」
「避けたいよね」
「先生にしても」
「注射をしてくる怖い先生とか」
「夢に見られたりとか」
「うん、絶対にそうした風に夢に出たくないね」
子供達の夢の中にです、注射をしてくるとても怖い役柄ではというのです。先生にしてもいいものではないからです。
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