転生とらぶる
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マブラヴ
1064話
「ああ、悪いがそういう事で。じゃあ、頼む」
『ええ、お任せ下さい。こちらの方できちんと調べておきますから。では、アクセル代表は夏の京都をしっかりと楽しんできて下さい。確かに夏の京都は暑いですが、その代わりに夏でしか楽しめないものもありますからね』
そう告げられ、電話が切れる。
現在俺達がいるのは、清水寺の近くにある喫茶店。……いや、純和風の店なんだし、甘味処とでも表現すべきか? ともあれ、先程の約束通りにあやか、円、神楽坂、近衛、桜咲の5人と一緒に俺の奢りで餡蜜を注文して到着するのを待っている訳だ。
で、その間に念の為ということで詠春に連絡を取って先程の件を伝えておいた。
ちなみに連絡を取ったのは、いつも使っているゲートシステムを使った通信機だ。
元々多少なりとも関西呪術協会との取引は行われている。
本来であれば今日行われる筈だった交渉は、その規模を拡大させるというものでしかない。
つまり、貿易相手である関西呪術協会にはこっちと連絡を取る為の通信機はきちんと渡されている。
……まぁ、貿易の規模が規模だから1つだけだが。
技術班の技術力を考えれば普通に携帯の電波に割り込む事とかも出来そうなんだが、それをすると色々と犯罪になって後々面倒臭い事になりそうなんだよな。
これがギアス世界、SEED世界、マクロス世界のように俺達の存在が全世界的に認識されているのであれば、その辺の心配もいらないんだろうが。
ともあれ、今俺が詠春に連絡を取った理由は簡単だ。
先程絡んできた男3人のうちの1人が、京都でも有名な家だとか何とか言ってたからな。
ならそれに一番分かりやすく対抗出来るのは、京都に本部を置く関西呪術協会だろう。
表の組織と裏の組織という面では色々と畑違いかもしれない。しかし表の組織が裏の組織に手を出すのは難しいが、その逆はそれ程難しい話でもない。
まぁ、つまりはそういう訳だ。
向こうの家とやらがどんな家なのかは知らないが、真っ当な家であれば詠春も軽く忠告するだけで済ませるだろう。だが、もしも何らかの違法行為をしているような家であれば……その結果どうなるのかは考えるべくもない。
関東魔法協会に劣るとはいえ、関西呪術協会が日本で有数の戦闘集団であるのは事実だ。そして関東魔法協会よりも遙か以前から日本を守ってきた組織である以上、権威やその手の影響力というのは下手をすれば関東魔法協会よりも上だろう。
……実質的な能力では負けているのだろうが。
そういう訳で、その影響力を十分に発揮して貰っている訳だ。
詠春にしても、自分の愛娘にちょっかいを出してきた相手だけに手加減はしないだろう。それとシャドウミラーの代表である俺や、交渉相手でもあるあやかに対してもああいう態度をしてきたんだ。この地を守る関西呪術協会としての面子が思い切り潰された形だろう。
まぁ、表向きの組織ではない以上知らなかったと言われればそれまでなんだろうが。
ただ、やっぱり近衛にもちょっかいを出そうとしたのは色々な意味で不味かった。
「アクセル君、餡蜜が来ましたわよ? 電話の方は……」
「ん? ああ。悪い。電話はもう終わったよ」
あやかに呼ばれて席へと戻ると、確かにそこには人数分の餡蜜が並べられていた。
既に皆が食べ始めている中、俺もまた席に座る。
俺を入れて6人である為か、比較的大きなテーブルを用意して貰っていた。
「で、どうだったの? このかの家に電話したんでしょ?」
「まぁ、何とかなるだろ。特にこっちが気にする必要はないと思う」
餡蜜を口に運びながら神楽坂へと返す。
関西呪術協会とか、その手の名前を出さない辺り、神楽坂も意外と成長しているのかもしれないな。
そんな風に考えつつ、洋菓子特有のガツンとした甘さではなく、和菓子特有のゆっくりと広がる甘さを楽しむ。
甘い物はそれなりに好きなので普通に食べているが、甘い物が苦手な奴でも結構普通に食べられそうな甘さだ。
程良い甘さというか、甘すぎないというか……そんな感じ。
「うーん、美味しいわ。さすがネットとか本とかで紹介されるようなお店ね」
「その割には人の数があまりいないけどな」
円の言葉を聞きながら店の中を見回す。
実際こうして店の中を見る限りだと、俺達以外にも客がいる事はいるが、流行っているって程じゃない。
「でもこの美味しさよ? 流行んないって事はないんじゃないの?」
「じゃあ偶然か? まぁ、その可能性もあるだろうけど」
そんな風に話をしつつ餡蜜を食べ進めながら会話をしていくと、次にどこに行くかの話になる。
こういう話になると、男の俺は付いていけない。……より正確には話題に入ることが出来なくなる。
自分達だけで次にどこへ行くのかを話しているのを、眺めている事しか出来なかった。
いやまぁ、京都とかにはそれ程詳しくないからいいんだけどな。
敢えて挙げるとすれば、マブラヴ世界で何度か行った二条城にはちょっと行ってみたい。
ああ、いや。他にも行ってみたい場所はあったな。
「土産用に、生八つ橋を含めて総菜とか買っていきたいんだけど、そっちに寄る時間は作ってくれ」
「え? でもアクセル、今日のうちにお土産買っても向こうに帰るまでには悪くなるんじゃない?」
首を傾げて尋ねてくる神楽坂に、小さく肩を竦めてから口を開く。
「空間倉庫の中は時間が止まってるからな。何度か前に説明しなかったか? ……まぁ、神楽坂の事だし、説明しても忘れてただけかもしれないけど」
「むっ、ちょっとアクセル。あんた喧嘩売ってるの? もしそうなら買うわよ?」
「ちょっ、アスナさん。こんな場所で暴れるのは……アクセルさんも、アスナさんに喧嘩を売るような真似は……」
慌てたように告げてくる桜咲の言葉に、神楽坂は何とか怒りを堪えるようにして再び餡蜜へと戻っていく。
……別に喧嘩を売ってる気はなかったんだけど。
「生八つ橋とか千枚漬けとかは、是非買っておきたいところだな」
「でもアクセル、アクセルのハーレムって日本人以外の人も多いんでしょ? なら生八つ橋のあの独特の風味って好まれないんじゃないの?」
数秒前に行われた会話を忘れたかのように言ってくる神楽坂に、俺が何かを言う前にあやかが口を開く。
「アスナさん、こういう場でハーレムがどうこうとか言うのは止めて貰えます? それと、確かに生八つ橋にはニッキが使われていますけど、ニッキとシナモンは似たようなものですわよ? 厳密には色々と違いがありますが、普通の人には対して変わらないと思いますし」
「え? ニッキとシナモンって同じなの!?」
「……へぇ」
驚く神楽坂と共に、俺もまたあやかのその言葉に小さく驚く。
生八つ橋の風味とも言えるニッキは、色々と個性の強いものがある。それがシナモンと同じと言われると……いや、そう意外でもないのか?
「あら? アクセル君も知らなかったんですの? 簡単に言うとシナモンというのは肉桂の皮で、ニッキは肉桂の根となります。もっとも、正確にはシナモンというのはスリランカのセイランにある肉桂の物だけをそういうらしいのですが」
「……皮と根か」
スリランカ産云々というのは、いわゆるブランド戦略の一種か何かなのだろう。
実際には肉桂の皮を使えばシナモンは作れる……と思う。
「シナモンにもニッキにも、血行促進、解熱作用、中性脂肪やコレステロールを押さえる、血圧や血糖値を下げる、抜け毛の予防と改善、胃腸を丈夫にするといった風に数々の健康美容効果があるとされています」
「また、随分と有用な素材なんだな」
「ええ。ですが、肉桂が育つには30年近くも掛かるという欠点もあるので色々と管理が難しい品でも……」
そこまで告げたあやかが、ピタリと言葉を止めて俺の方へと視線を向けてくる。
まぁ、何を言いたいのかは分かる。今の話を聞いて、俺も思いついたのだから。
シャドウミラーに存在する魔法球は、外の1時間が内部で48時間が経過する。つまり、内部時間での30年というのは現実世界の半年強でそれくらいの時間が過ぎる。
この手の、現実世界で時間が掛かるのに必要なものは他にも多くある。
それらを魔法区画で育ててシャドウミラーの輸出商品にするというのは結構いい考えかもしれないな。
普通であれば人件費とかで物凄いことになるだろうが、幸いシャドウミラーには量産型Wがいるし、なんならエヴァ辺りに人形を作って貰ってもいい。
大掛かりな作業をするのであれば、メギロートやイルメヤ辺りを入れるというのもありだろう。
問題があるとすれば、今ある魔法球ではそこまで大々的な真似は出来ないという事か。
勿論今の魔法球でも、広さはかなりのものがある。だが技術班が主に使っている以上は、妙な事故とかが起こらないとも限らない。
もし本当にそれをやるのであれば、魔法界まで足を伸ばして新しく魔法球を買うか……はたまた、エヴァの持っている魔法球を売って貰う必要がある。
ただし、そっちには時の指輪の効果を付与するつもりはないが。
そもそも、シャドウミラーのメンバーであればホワイトスターその物に融合させた時の指輪の効果を受け取る為の受信機がある。
この受信機を使えば、時の指輪を使っている者程ではないがある程度の寿命の延長は可能だ。
……いや、その辺の実験はまだやってなかったな。
確かにホワイトスターに時の指輪の効果は組み込んだ。そして、PTを始めとする兵器に乗っていてもその効果は発揮される。
だが、魔法球の場合はちょっと話が違うのも事実。
魔法球の中身は一種の異空間になっている以上、本当に時の指輪の効果が発揮されるのか、どうか。
普通の時の指輪であれば何の問題もないだろう。それに関しては、既にエヴァとかから以前ちょっと聞いた話で確実だ。
だが、今回の場合は受信機で時の指輪の効果を受けるという一手間が掛かっている訳で……
「一旦、その辺をきちんと確認しておいた方がいいのかもしれないな」
「え? どうしたの、いきなり」
呟いた俺の言葉に、隣に座っていた円が尋ねてくる。
「いや、何でもない。あやかの言っていた事を考えていただけだ。上手くいけばシャドウミラーの新しい名産品が出来ると思ってな」
「ふーん。ま、そういうのはきちんとした政治班の人に考えて貰うといいと思うけどね」
「ちょっと円さん? 私も政治班の一員なのですが?」
円の言葉を聞き流せなかったのか、あやかがそう告げる。
「まぁ、確かに今回の交渉を任せられるくらいに認めれてはいるんでしょうけど……でも普段のあやかを見てると、ねぇ?」
「ねぇ? じゃありません、ねぇ、じゃ。全く、いいですか? 私も千鶴さんも毎日頑張って政治班としての勉強をしているんです。勿論エザリアさんやレオンさんといった方達にはまだ遠く及びませんが……」
「ああ、はいはい。ごめんって。別にあやかを蔑ろにした訳じゃないんだから。それよりもほら、折角の餡蜜なんだから、早く食べましょ。それからお土産を買いに出掛けるんでしょ? あやかも、皆にお土産を買っていかないと色々と言われるわよ?」
話を誤魔化すかのような円の様子に、若干不満そうな表情を浮かべるあやか。
それでも美味しいものは美味しいうちにというのに反対するつもりはないのか、餡蜜を攻略するべく取り掛かる。
「ふーん、結構上手くやってるのね。こうやって見る限りだと、釘宮といいんちょも」
今のやり取りを見ていた神楽坂が感心したように呟くが……
「アスナ、アスナ。ウチらもそのうちあの中に入るんやで? なら今から慣れておいた方がいいんちゃう?」
近衛のその一言で、思わず動きを止める。
そして、ギギギッと音を鳴らしそうな動きで隣に座っている近衛の方へと視線を向け、口を開く。
「ねぇ、このか? そのウチらって、もしかして私も入ってたりする? 何か今のニュアンスとかを考えると、その中に私も入っているように聞こえるんだけど」
「え? 当然やろ。アスナも大学を卒業したらシャドウミラーに入るんやし」
「いやいやいやいや、ちょっと待ってよ。このかがシャドウミラーに入るっていうのは分かるわよ? その為にこうして京都に来たんだし。それに刹那さんも。けど、私が来たのはあくまでもこのかの付き添いというか、護衛というか、そんな感じなのに、何で私まで将来シャドウミラーに入る事になってるのよ!?」
「えー……だってアスナは今もホワイトスターでバイトしてるやん」
「それは超包子の時給がよくて、五月さんと顔見知りだからよ。別にシャドウミラーに入るつもりなんかないわ」
「じゃあ、どこか入りたい会社とか、やりたい事とかあるん?」
そう尋ねてきた近衛に、神楽坂は数秒考えてそっと視線を逸らす。
「いや、別にそういうのはないけど……」
「じゃあ、せっちゃんやウチと同じくシャドウミラーに入るってのも選択肢に入れてもええんやないの?」
「うっ、そ、それはそうだけど……」
そんな2人のやり取りを眺めて考える。
近衛は治療という特技があり、桜咲は実働班という道がある。……まぁ、桜咲が近衛と違う班になるのを承知するのは難しそうだが。
だが、神楽坂がもしシャドウミラーに入るというのなら、どこの所属になるんだろうな。
普通に考えれば実働班だが、あの神楽坂に人を殺すという覚悟が出来るとは思えない。
あやか、千鶴、円、美砂にしてもそれは同様かもしれないが、それでもあの4人は修羅場を潜り抜けてきている以上、いざという時にはその決断が出来ると思う。
だが、神楽坂は……
「あー、もう! 分かったわよ! けど、シャドウミラーに入るって決めた訳じゃないからね! あくまでも候補の1つってだけだから!」
そんな言葉を聞きつつも、神楽坂がシャドウミラーに入るというのは意外と本人にとって向いていないのかもしれない。
そんな風に思うのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:355
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1180
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