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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  1062話

 視界一杯に広がっているのは、鬼の骸。
 結局は攻めて来た鬼の全てが死に絶えるまでの戦いとなった。
 鬼達は自分達を率いてきた酒呑童子が死んだと聞かされても退く事はないままに戦い続け、その結果が今の見渡す限りの鬼の骸だった。
 鬼は全員がその命を絶たれたが、陰陽師、神鳴流の剣士、そして俺達の中には死者は1人も存在していない。
 普通であれば考えられない事だ。どれだけ圧倒的な戦いであったとしても、必ず数人の死者が出るのは当然だろう。
 特にお互いが命を懸けて戦っているのだから。
 だが……今回死者がこちらに1人も出なかった理由は簡単だ。近衛という存在に限る。
 近衛というたった1人の魔法使いだったが、それ程に近衛の回復魔法は高い効果を発揮したのだ。
 さすがネギよりも大きな魔力を持った状態で、回復特化という方向に進んだだけの事はある。
 その回復魔法の効果は非常に高く、本来であれば命を失ったであろう重傷者の命を軒並み救う結果となった。
 勿論近衛だけで全員を治療出来た訳ではない。魔法に関しては全てをオールマイティに使いこなす事が出来るあやかや、陰陽師の中でも回復の術を得手としている者の力もあり、重症で手足の1本2本をもぎ取られ、食い千切られた者はいるが、それでも最低限命だけは助かった。

「いや、お嬢様の力は物凄いですね。シャドウミラーに行かず、このまま関西呪術協会に戻ってきませんか? 長もいる事ですし」
「そうやねぇ。確かにお嬢様の力を考えると、他の組織に行ってまうのは残念やわぁ」

 それ故、そんな風に言ってくる者達がいるのも当然だろう。
 実際、神楽坂や桜咲といった面々も近衛を褒めちぎっているのを見れば、色々と凄かったのは確かなのだと思われる。

「アクセル代表、酒呑童子の方をお任せして申し訳ありませんでした。どうやらそちらも無事に対処出来たようで何よりです」

 大太刀の入った鞘を腰にぶら下げつつ、詠春がそう告げてくる。
 その口元に笑みが浮かんでいるのは、やはりこちら側に死者が1人も出なかった為か。
 鬼を率いていた酒呑童子を相手にしていた時は、それなりに苦戦して千日手に近い状況になっていた詠春だったが、その実力は確かに本物だった。
 こちらの援軍に来てからは、紅き翼のネームバリューが伊達ではないというだけの力を発揮し、多くの鬼をその刃で仕留めていたのだから。
 特に神鳴流の決戦奥義でもある真・雷光剣は他にも使っている者がいたが、その威力は段違いと言ってもいい。
 最盛期よりも腕が落ちてはいても、その実力は本物だ。
 拳闘士として活動してきた円にしても、美砂と一緒に戦いを挑んで何とか互角……か?
 勝率が2割程度といったところだろう。
 ラカンを相手にした時はある程度やり合えたが、それでも勝ち目が全くなかったと言っていたのを考えると、その差は大体理解出来るだろう。
 ……まぁ、今更ではあるが、関西呪術協会の長が陰陽師じゃなくて神鳴流の剣士であるのには多少の違和感を抱かざるを得ないが。

「特に問題はなかったよ。確かに俺の魔法障壁を破壊したりと、色々危険な力はあったみたいだったが、それでも倒すのは難しくなかった。……もっとも、戦った方としては色々と思うところがあったが」
「思うところ、ですか。……なるほど」

 詠春にしても、尊敬すべき敵というのはこれまで戦ってきた中にいたのだろう。俺の言葉に疑問を抱かず、寧ろ納得したように頷きを返す。

「それで……ここの後始末はどうするんだ? こいつら実体持ちだろ」
「ええ」

 以前の修学旅行で天ヶ崎が召還したような鬼の場合、それは実体ではなく仮初めの肉体だった。
 だからこそ、倒されたり神楽坂のハリセンで一撃されれば何も出来ない状態で還されていたのだ。
 だが、今俺達の視線の先にある鬼の骸は違う。実体を持ったままこの地に攻めて来たのだから、当然その死体は本物の死体となる。
 このままここに置いておけば、8月の暑さ……それも、京都の夏だ。変な病気とか呪いとか、怨霊とかを撒き散らしかねない。

「ええ、そちらに関してはこちらの方に任せて下さい。陰陽師や神鳴流の剣士としては、そちらに対応する方法も十分に理解していますから」
「……そうか? まぁ、詠春がそう言うのなら完全に任せるが……本当にいいんだな?」

 念を押すように尋ねる。
 正直な話、俺の炎で燃やし尽くしてやればあっさりと片付ける事が出来るから尋ねたのだが……俺の炎云々よりも陰陽師の方がこの手の出来事で本職なのは間違いない。

「それで、酒呑童子の方は……」

 そう尋ねてくる詠春に対し、首を横に振る。

「いや、あいつの身体は既にこの世に存在していない」

 スライムにより、その身体を吸収された酒呑童子だ。既にその身体はこの世には存在せず、スライムの一部となって俺の空間倉庫の中に存在している。
 その身体はスライムとなってこれから俺の役に立ってくれるだろう。

「……そうですか」

 その言葉で全てを理解した訳ではないのだろうが、それでも詠春はそれ以上を口にはしない。
 恐らく何らかの事情があるというのを理解し、それを追求すると色々と不味いかもしれないと判断した……といったところか。
 あるいは、あやかとの交渉の手札とするつもりか?
 まぁ、混沌精霊の俺の姿を見て攻撃してきた陰陽師がいたのを考えると、それと帳消しに出来るという狙いがあるのかもしれない。

「とにかく、この場は私達に任せてくれて構いませんので、アクセル代表達は一度本部の方へお戻り下さい。今回はお手伝いいただき、ありがとうございました」

 深々と一礼すると、この異空間から出る為の案内だという陰陽師を付けられる。
 これは……俺達をここから早く追い出したがっている? だが、何でだ?
 既に鬼の生き残りがいない以上、ここで俺達を追い出す必要はないだろうに。
 何か俺達に見られたくないものでもある……とかか?
 考えられるのは幾つかあるが、やはり一番可能性が高いのは、今回の酒呑童子の襲撃に関係している何らかの証拠品の類とかだろう。
 ただ、もしもその証拠を酒呑童子が持っていた場合、既にスライムの中で吸収されて消滅してしまっているんだが。
 となると、先程の酒呑童子の骸に関して聞いてきたのもそれが原因か?
 あるいは、陰陽師としてこの地で死んでいった鬼達の怨念とかを浄化する術を見せたくないのか?
 ……なるほど。その可能性もあるか。
 けど、多少なりとも陰陽師の事を知っている桜咲がこっちにいるんだが、その辺は向こうとしてもどう考えているのやら。
 それとも桜咲が使える陰陽術は所詮神鳴流の補助程度。そっち関係の事には詳しくないのか?
 まぁ、その可能性も十分以上に考えられる。

「分かった。なら案内を頼む」

 ここで強引に居座ったとしても、関西呪術協会との関係を悪くするだけだと判断し、詠春の言葉に頷き、あやかや円、神楽坂、近衛、桜咲といった面子と共に陰陽師に案内されるようにして鳥居の中を進んでいく。
 ちなみに俺達の案内をしている陰陽師は、戦闘が始まる前に関西呪術協会の方へと駆け込んできた陰陽師ではなく、他の陰陽師だ。
 年齢的に見れば50代半ば。陰陽師としての能力は既に熟練の域に入っているだろう相手。

「では、少々お待ち下さい。……オン!」

 呪符を手に短く呪文のような者を唱えると、鳥居の続いている場所の中、俺達のすぐ前の前に空間の穴が空く。

「さ、どうぞ。ここを出れば通常の現実空間に出れますので」
「分かった。感謝する」
「いえ、お気になさらず。私は長に命じられただけですから」

 陰陽師にそう言われ、穴の空いた空間の中へと入っていく。
 そうすると、穴に入った次の瞬間には通常空間へと戻っていた。
 ……いや、こうして見る限りでは中とそれ程変わらない光景なんだが。
 あの異空間の中でも、普通に太陽とかはあったしな。
 勿論その太陽とかは本物じゃないんだろうが、それでも見た目的には普通の太陽のように見えた。
 恐らく外の光景を映し出しているとか、そういうタイプなんだと思うが。
 その辺を考えると、陰陽師の使っている陰陽術ってのは色々と利便性が高いよな。
 幸か不幸か、現在シャドウミラーが交流を持っているのは麻帆良の魔法使いのみだ。
 一応桜咲のように多少の陰陽術を使えるような者はいるだろうが、あくまでもそれは補助でしかない。
 陰陽術の専門家としての陰陽師は、全くシャドウミラーには存在していない。
 そもそも、シャドウミラーの魔法担当はエヴァだ。そのエヴァが使えるのが普通の魔法だけである以上、どうしてもそっちに偏るのはしょうがない。
 今回の関西呪術協会との交渉で、陰陽術を使う人物をこっちに派遣して人材交流するというのはいいかもしれないな。
 それとも、いっそ犯罪者で死刑を待っているだけの陰陽師とかがいれば、スライムで……というのもありなんだが。
 いや、鬼眼を吸収した為に残りのスキル枠は既に1つだけだ。レベルが10上がればスキル枠が増えるのだが、ここ最近のレベルは非常に上がりにくくなっている以上は迂闊な真似でしない方がいいだろう。

「皆、お疲れ様やったなぁ。うちの事に巻き込んでしまって申し訳ないわぁ。取りあえずお風呂用意して貰えるように頼むんで、ちょっと待っててなぁ」

 近衛がそう言うと、本部の中に入っていく。
 いや、近衛にしてみればここは関西呪術協会の本部じゃなくて、自分の家って認識なんだろうからおかしくないのか。

「あ、このちゃんウチも行くから待って!」

 そんな近衛の後を桜咲が追って行く。
 そうなると、この場に残ったのは俺とあやか、円、神楽坂の4人のみ。

「……アクセル、言っておくけどお風呂に入るとしてもあんたは別だからね」

 ジト目を向けてくる神楽坂は、何故か自分の身体を守るようにして抱きしめている。
 着ている服が夏服で結構生地の薄いワンピースである為か、自らの身体を抱きしめている影響でそのボディラインが大きく強調されていた。

「ちょっと、アスナさん。そんな言い方はないでしょう!?」
「ま、アスナの言いたい事も分かるけど、私としてはアクセル君と一緒にお風呂に入るのは初めてじゃないし、構わないわよ?」

 そんな円の言葉に、何を想像したのか……否、ナニを想像したのか、神楽坂の顔が急速に赤く染まっていく。

「な、ななななな、何言ってるのよ! そ、そんな……お風呂場でなんて……不潔よっ! って言うか、他の利用者の事も考えなさいよ!」
「うーん、アスナの言う事も分かるけど、私達がお風呂に入ったのはホワイトスターにある私達の家でよ? 別に他の誰にも迷惑を掛けたりはしてないから」
「そ、そ、それでも! その、女としての慎みとかあるでしょ! 何て言うか、いんちょも釘宮もアクセルと付き合い始めてからそういうのがなくなってるんじゃない!?」
「それは……うん、確かにそうかも。けど、ハーレム作ってるアクセル君と付き合うんだから、寧ろそうなるのは自然っぽい気が……」
「釘宮ぁっ! ショタコンの変態だったいいんちょと違って、釘宮は元々それなりに真面目だった筈でしょ!?」

 思わずといった様子で叫び、次の瞬間には再び神楽坂の視線が俺の方へと向けられる。

「……これが、アクセルの感染力なの? 何て感染力が強い……バイオハザードもいいところよ」

 そう告げながら俺の方を畏怖に満ちた視線で見てくる神楽坂だが……

「ちょぉっと、アスナさん? 私は別に変態じゃないですわよ?」
「何よ、いいんちょ。今の話を聞いて、どこをどう理解すれば変態じゃないって話になると思ってるの?」
「ムキーッ! アスナさんこそ、高畑先生にフラれて以来男の人に縁がないからって、妬むのを止めて下さいます!?」
「……いいんちょ。あんた、言ってはいけない事を言ったわね……」

 そう告げる神楽坂の目は、間違いなく先程よりも据わっている。
 超包子に神楽坂目当ての客が来るように、それなり以上にモテるのは間違いないんだが、神楽坂の場合は趣味がなぁ……
 超包子に来るのは当然若い客が多い。中には本気で神楽坂に惚れているような者もいるんだが、肝心の神楽坂の趣味が年上趣味……それも1歳や2歳とかじゃなくて、20歳、30歳も年上趣味なのだ。
 その辺を思えば、神楽坂の春はいつになる事やら。
 いつものように喧嘩をしている……というか、じゃれ合っている2人を見ながら円の方へと視線を向けて口を開く。

「円、お前の一言のせいでこんな結果になったんだが……何をしたかったんだ?」
「あれ? おかしいわね。アスナの性格なら……いや、けど、ツンデレ? まさか、アスナが? いえ、元々その要素は……あ、ごめんアクセル君。ちょっと計算違いだった」

 何か意味不明なことを呟きながらの言葉だったが、既に自分の言葉で納得した何かを得たのだろう。何かを誤魔化すような笑みを浮かべて頭を下げてくる。

「ごめん、ちょっと私の計算違いだったみたい。アクセル君の事だから、もうそこまで進んでると思ってたんだけど……」
「は? 俺がどうかしたのか?」
「ま、その辺はいずれ分かるわよ。それより、そろそろあの2人を止めた方がいいかも」

 円の視線の先では、あやかと神楽坂の2人が揃ってパクティオーカードを出し、いつでもアーティファクトを召喚できる状態になっている。
 その様子に、溜息を吐きながら俺は2人の方へと近寄っていくのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:355
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    ???

撃墜数:1180 
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