ドリトル先生と森の狼達
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第八幕その十
「穏やかに進めばいいんだよ」
「無理はしないで」
「そのうえで」
「そう、だから休もう」
「テントを作って」
「晩御飯も食べて」
「そう、御飯はちゃんと食べないと」
このことも忘れない先生でした。
「三食忘れずにね」
「何かこの辺りは」
「これといって食べるものないみたいだよ」
「僕達が食べるみたいなのは」
「近くにはね」
「そうだね、食べものを持って来ておいてよかったよ」
先生も言います。
「この辺りに食べるものがないのならね」
「だよね、本当に」
「食べるものがなかったら困るからね」
「お腹空いたら動けないよ」
「それで終わりだからね」
「そうなんだ、けれどそれは僕達のことであってね」
先生達のことであるというのです、この辺りに食べるものが見付からない理由は。けれどここで先生はまたこの人達のことをお話しました。
「山窩の人達は違うんだよ」
「こうした場所でもなんだ」
「食べるものを見つけられるんだ」
「凄いね、それって」
「こんな場所でも食べるもの見付けられるって」
「特別な人達なんだね」
「超能力か魔法を使えるのかな」
こうまで言います、ですが。
ここで先生は皆にこうも言いました。
「それは山があの人達の住んでいる場所、家に近いからね」
「だからなんだ」
「こうした場所でも食べものを見付けられるんだ」
「あの人達の世界だから」
「それでなんだ」
「そうだよ、あの人達の世界だからわかるんだ」
何処にどんな食べものがあるのかということをです。
「それどころかお風呂だって入ったりするんだよ」
「えっ、山の中で!?」
「お風呂も入られるんだ」
「そんなの無理なんじゃ」
「幾ら何でも」
「それだけは」
「ちょっと」
動物の皆はお風呂と聞いて食べもののこと以上に驚きました、流石にそれは無理なんじゃないかと思ってです。
「川で水浴びならわかるけど」
「お風呂はね」
「どうやって入るの?こんな山で」
「一体」
「うん、何でもね」
ここで先生がお話する山窩の人達のお風呂の入り方はといいますと。
「やっぱりお水が一杯あるところの近くでね」
「まあそれはね」
「お風呂はお水がないとね」
「サウナじゃないのならね」
「やっぱりね」
「お水が必要だよね」
動物の皆もこのことには納得しました。
「どうしようもないからね」
「それでどうするのかな」
「お水だけじゃ駄目だよ」
「それだけじゃ」
「うん、穴を掘るんだ」
先生は皆に応えてお話しました、さらに。
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