| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

色のささやき

作者:萩原正貴
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

一日目

子供のころ、よく眼病にかかった
その大抵の原因は学校のプール授業にあった

夏の中ほどに学校掛かり付けの校医が訪れ
児童の眼を覗く
眼病にかかった子供は水色の用紙を手渡され
それを嫌な気分で母親に渡した

ボクもそんな児童のひとりだった
『また橋本の先生に行かないとね』
母親のその言葉に去年の記憶が甦る

黄色いねばねばした薬を両目に塗られるだけの治療なのに何か酷く悪いことでもしているような
口には出せない気持ちにさせられる

『虫歯はないね、よかったわ』

母はそう言って水色の用紙を丁寧に折り
白い封筒に入れた

夏休みが始まる前後
最初の治療を受けに行くことになっていた 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧