遊戯王ARCーⅤ 〜波瀾万丈、HERO使い少女の転生記〜
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十四話 ー権現坂流・不動の決闘ー
"修行"
それは決闘者において、決闘の腕を磨くのと同じほどに重要なものである。
例えば、クマを一頭伏せ、ターンエンドしたり……。
例えば、体にモンスターを装着して、リアルファイトを挑んだり……。
はたまた、衝撃増幅装着を使用して決闘しても耐えたり……。
何かと決闘者は体が資本である事がわかるだろう。
特に今私が居る舞網市、もとい遊戯王ARKーⅤの世界では、フィールドを実際に駆け回りながら行うアクションデュエルが行われているため、肉体強化のための修行は欠かせない。
だが、少し待ってほしい。身体を鍛える必要のない者が必要以上の鍛錬を重ねる必要があるか。答えは否だ。
そして、私は地雷とも言える転生特典により、"健康的で強靭な身体"なるものをもらっているのである。
つまり、何が言いたいかという……
「なんで、私が山登りなんかやんなきゃいけないのよ⁉︎」
『ぶつくさ言ってると思ったら、急に叫び出して。優希さん、意外と元気ですね〜。』
「あんたは浮いてるだけで楽でいいね……!」
隣から軽い調子の声が聞こえ、思わず殺意が沸くがグッと堪え、浮遊しながらついてくるデスガイドに返答する。
『しっかし、決闘の前に対戦相手に山登りさせるとかどんな鬼畜ですかね。試練云々って言ってましたけど、これ絶ッ対に嫌がらせ……、もしくは疲れさせて勝ちやすくするためですかね?なんて狡い真似を!』
さっきからデスガイドはこの調子である。もはやため息しか出ない。
そして山登りを開始し、精神的にも、肉体的にもライフをガリガリと削られ、およそ一刻。ようやく中間地点の立て札を発見する。
「……はぁ。」
あと半分と、安堵の気持ちが半分。あと30分も登らねばならないという落胆の気持ちが半分混ざったため息を吐くと、再び足を進める。
そもそもどうして私が山登りをしなければいけなくなったかというと、遡る事数刻、今回の対戦相手である権現坂道場に着いた時の事だ。
私こと、神崎 優希は舞網チャンピオンシップへの出場権利を得るための六連戦の内、初戦である闘勝塾の鬼龍院を下し、幸先の良いスタートを切ると二戦目であるエレガント塾の"幻獣機"使いを倒したのだ。
そして、続く三戦目は我らが遊勝塾とも関わりが深い権現坂道場が選ばれた。
ちなみに誰が相手になるかなど御察しである。
そして、一戦を交えるために権現坂道場の門を叩いたのだが、門兵曰く、『権現坂の者に挑む者、この山越えるべし』。
要するに権現坂道場が所有する土地内にある山の上に決闘場があるから歩いていけ、という事だ。そして、この山の急なこと。登るのに、最低でも一時間はかかるそうだと。さらに仲間の薄情な事。応援に来てくれた徹や柚子などや年少組のメンツは頑張ってと全くありがたみの感じられない声援だけを送り、引き返していったのだ。
というわけで、現在私一人寂しく山登りをしているわけである。
『優希さ〜ん、私の事忘れちゃ、ヤーですよ?』
訂正。一人と、一体で寂しく山登りしているわけである。
ー◆◇◆ー
山登りを開始し、一時間と数分。ようやく、ゴールである道場の門が視界に映る。
「……ようやく来おったか。」
ぜぇぜぇと肩で息をしながら、そこまで辿り着くと不意に声をかけられる。
声のした方へと振り向けば、でかっ鼻にリーゼント。これだけ言えば、誰だかわかる。
そう、権現坂道場の跡取りであり、私の対戦相手。
権現坂 昇だ。
深呼吸をして、息を整えると権現坂を睨みつけ、ありったけの怨沙を込め一言。
「……権現坂 オ ボ エ ト ケ 。」
「っ!?」
ここまで登った駄賃を利子つけて返してやるから、デュエル、覚悟しとけ。と言ったのだが、あまりにも私の憎悪が溜まり過ぎていたため、気圧された権現坂がオロオロしだすという珍しい光景が見られた。
「あー!姉ちゃん、やっと来たよー!」
「え?」
門の向こう側からーー早々と帰った筈のーー我が弟、徹の声が聞こえ、権現坂への怨念を忘れ、耳を疑う。
そして、それは権現坂の説明によって解消される。
「お、おぉ、言い忘れておったがお前以外の面々は皆裏手にあるゴンドラで登って来ておるぞ。」
「おい、テメェ、なんつった?エェ⁈」
ほぼ無意識に権現坂の胸倉を掴みあげ、語調が荒くなる。
それほどまでに、今の発言は聞き捨てならないのだ。
「ま、待て……!い、一旦手を離せ!」
「ちっ……」
手を離せば、権現坂は冷や汗を拭いつつ、息を整える。
「てか、なんでに徒歩以外に移動手段あるなら使わせてくれないのさ!」
憤慨しつつ、尋ねれば、権現坂曰く「応援者のためだったり、親父さんも歳らしいからだ」と。
一応、私も花も恥じらう淑女なんですけど!
「それに、この山登りは親父殿の意向でな、権現坂に挑む者はそんくらいの根性を見せんかいっ!、と言って聞かんのだ。」
「くっ、なんて横暴な!その駄目親父ここに連れて来い!私の無限ループバーンで寿命ごと焼き払ってやるわ!」
ここまで溜めていた鬱憤がここに来て爆発する。
そして、騒ぎを聞きつけたのか門の奥からぞろぞろと見知った面々が現れる。
「おお、優希いたいた……って、早速穏やかじゃないな!?」
「えー、無限ループ?何それ、愉しそ〜!」
「素良さん、呑気なこと言ってないで、止めてください!」
上から順に遊矢、素良、徹だったりする。
結局、遊矢に取り押さえられ権現坂道場現党首に殴り込みには行けなかったが、代わりに周りに怒りをぶちまけてしまった。まぁ、ある程度スッキリしたのでよしとする。
主に被害は罪無きトマトヘアーが受けたが。
◆◇◆
「さて始めようか、権現坂?」
「あぁ、だが本当にいいのか?」
いいのか、とはおそらく私が"アクションデュエル"ではなく、"スタンディングデュエル"を選んだからだろう。
そもそも、私は山登りで体力の大部分を使いきっているため、いつものように動く気力はない。
そして、相手が動かないーー不動の決闘ーーなら、なおさらだ。
以上この二点より、私はスタンディングデュエルを選ぶ。
「それでは、今から遊勝塾 神崎 優希と権現坂道場 権現坂 昇との試合を執り行う。両者、礼!」
審判を務める権現坂道場の門下生の声に従い、一礼。
「デュエルディスク、展開!」
「いくぞ、優希!」
「「 決闘!」」
「先行は俺がもらう!手札から『超重武者 カゲボウーC』を召喚!そして、こいつをリリースし、効果を発動する!手札から『超重武者』モンスターを特殊召喚する。俺は『超重武者 ビッグベンーK』を守備表示で特殊召喚だ!
これで俺はターンエンドだ。」
「す、スゴイ……。いきなり最上級モンスターを……。」
「へぇ〜、権ちゃん最初から飛ばすねぇ〜。」
いきなりのエースモンスターの召喚に会場が沸く。
ビッグベンーKは守備力3500とまさしく壁のようなモンスターだが、侮るなかれ。『超重武者 ビッグベンーK』はその効果により、守備表示のまま攻撃ができるのだ。
「ねぇ、権現坂。一つ、聞いていいかな?」
「真剣勝負の最中に質問とは些かいただけんが……。まぁ、いいだろう。なんだ?」
マナー違反だ、と軽く注意されてしまう。
「なんでさ、私を対戦相手に選んだのさ。ニコさんから聞いたけど、権現坂きっての要望があったって聞いたけど。」
「……余計な事を。だが、闘う相手には話しておくべきかもしれんな。」
権現坂は構えを解くと、暫く目を閉ざし、語り始める。
「先日、遊矢の試合を観に行った時だ。あいつは、窮地に立たされるも己の力で新たなる力の地平を切り開いた。……融合召喚という、新たな可能性をな。」
「へぇ……、そんな事が。」
おそらく私が知らないという事はちょうど私が二戦目の相手と戦っている最中だったのだろう。
「それで俺は思ったのだよ。俺が信じる不動の決闘とて、ただ動かないだけでは時代の流れに取り残されるだけだ、と。だからこそ、俺は見つけたいのだ。不動の新たなる極地を!」
「……だから、私を?」
私の言葉に対し、こくりと頷く。
「あぁ、シンクロ、融合、そしてエクシーズさえも操るお前なら……。お前と闘えば、何か見れるやもしれん。
さて、話しはこれくらいでいいだろう。……かかってこい、優希!」
強い意思を持って私に戦いを挑んできた事を確認できた。
これはもう、手加減なんてできない……。むしろ、権現坂の意地を踏み躙る行為に値する。
だから、私にできる事は……。
「いいよ、全力全開で……、完膚なきまでに叩き潰してあげる!
私のターン、ドロー!」
啖呵を切り、デッキからカードをドローする。
手札は上々。闘志は充分!
「私は魔法カード『ジェムナイト・フュージョン』を発動!手札の『ジェムナイト・ラピス』と『ADチェンジャー』を融合!現れろ、『ジェムナイト・セラフィ』!」
いきなりの融合召喚に驚く声とは別に、柚子が絶叫にも似た声をあげる。
「優希がHEROじゃない融合モンスターを!?」
「ジェムナイト⁉︎それって、LDSの光津 真澄の使ってた……!」
……他人が使ってるモンスターを使って悪いのか、オイ。
柚子からなぜか裏切り者を見たような視線を向けられ、不満を募らせる。
「さらに『召喚僧サモン・プリースト』を召喚し、効果で守備表示に。そして、墓地の『ジェムナイト・フュージョン』の効果を発動!墓地の『ジェムナイト・ラピス』を除外して、このカードを手札に加える。そして、サモン・プリーストの効果発動!『ジェムナイト・フュージョン』をコストにデッキから『E・HERO ブレイズマン』を特殊召喚!
そして、ブレイズマンの効果によりデッキから『融合』を手札に加え、そのまま発動!」
「っ⁉︎二度目の融合だとっ!」
『なにっ、融合は1ターンに一度ではないのか⁉︎』などと空耳が聴こえた気がしたが気のせいだろう。
「場のブレイズマンと手札の『E・HERO シャドーミスト』を融合!現れろ、『E・HERO エスクリダオ』!」そして、墓地に送られたシャドーミストの効果により、デッキから『E・HERO アナザーネオス』を手札に加える。」
「むぅ、二度も融合召喚を行い、まだ手札が二枚残るか。だが、いずれも俺のモンスターの守備力は越えられまい!」
自分の防御に絶対的な自信が存在するのか、弱気な態度を一欠片も見せない。だが、私もこれくらいで終わるつもりは毛頭ない。
「『ジェムナイト・セラフィ』の効果により、私はもう一度だけモンスターの召喚が可能となる。私はモンスターをセットする。
そしてぇ!墓地の『ADチェンジャー』を除外し、効果発動!セットした『メタモルポット』を表側に!そして、リバース効果を発動!手札を全て捨て、五枚ドロー!」
「んなっ⁉︎この後に及んで手札を五枚まで増やすだと!?」
ザワザワと会場が騒がしくなる。
それもそうだ。遊戯王において、手札は勝利のために必要な要因の一つ。
八咫烏ドローロックなんて決められたら、何もできないのと同じことだ。
「五枚、ドロー!魔法カード『影依融合』発動!手札の『シャドール・ビースト』と『E・HERO アナザーネオス』を融合!影纏いて現れよ!『エルシャドール・ネフィリム』!」
「三体目、だと⁉︎」
三枚目の融合カード、三回目の融合召喚。ここまでできるのは、私の知る限りではますみんくらいだろう。
「ジェムナイトに、HEROに、シャドール⁉︎なんなのさ、この混沌としたデッキは!」
とりあえず、全てのカテゴリを知っているーー教えたーー徹は訳がわからないと叫び声をあげる。だが、これくらいで驚かれては困る。まだまだ隠し玉はこのデッキに用意されているのだから。
「ネフィリムとビーストの効果発動!ビーストの効果でデッキから一枚ドロー!そして、ネフィリムの効果で『シャドール・ヘッジホッグ』を墓地に。そして、ヘッジホッグの効果で『シャドール・ビースト』を手札に加える!」
三枚も使用したのに手札消費が一枚しかないという……。恐ろしい、シャドール。
「さて、ようやくバトルできるよ。」
「……お前は一人でどれだけやれば気がすむのだ。」
権現坂に呆れるが笑って誤魔化す。
それにソリティアなんて現実では当たり前、日常茶飯事だ。
「じゃあ、バトル!『エルシャドール・ネフィリム』でビッグベンーKを攻撃!」
「っ!正気か!?ビッグベンーKの守備力は3500!対するネフィリムの攻撃力は2800だぞ⁉︎」
ネフィリムはその両手に光を溜め、ビッグベンーKめがけ放つ。
「全くの無問題!ネフィリムは特殊召喚されたモンスターと戦闘を行う時、バトルせずに破壊する!」
「なにぃ!ならば、俺は手札から『超重武者装留 ファイヤー・アーマ』を捨て、効果発動!ビッグベンーKの守備力を800下げ、このターン戦闘及び効果で破壊されなくなる!」
しかし、放たれた極光は寸前で破壊大盾に防がれる。
「ちっ、防がれたか。」
「当たり前だ!不動の極地を求める者として、そう易々とはやられぬわ!」
思わず権現坂の意思の強さをかっこいいと思ってしまう。
ちなみに、いきなりワンターンキルをするにあたり、仲間からドン引きされていたりする。
「じゃあ、メインフェイズ2に移行。私はレベル8のエスクリダオとネフィリムでオーバーレイ・ネットワークを構築!」
「っ!融合の次はエクシーズか!」
2体のモンスターが光球となり、床に現れた光の渦へと吸い込まれていく。
「エクシーズ召喚!ランク8『神竜騎士 フェルグランド』!」
黄金の洋風甲冑に身を包んだ騎士が姿を見せる。
特殊な召喚方法2連続とだけあって、権現坂の門下生達も驚いている。
「くぅぅ〜!融合に、エクシーズ!痺れ〜るぅ〜!」
遊勝塾うちの痺れるデブも刺激が強すぎたようでいつも以上に痺れて、おかしくなっているが気にしない。
「さて、これが私の全力だよ。新たな極地だか地平だかわかんないけど、そこに辿りつきたきゃ越えてみろ!私はこれでターンエンド。」
「強くなれば、できる事もできん!超えろというのなら、望むところだ!俺のターン、ドロー!」
権現坂の気合に呼応するかのようにドロー時の風圧が勢いを増す。
「『超重武者 カブー10』を召喚!さらに手札から『超重武者装留 イワトオシ》を『超重武者 ビッグベンーK』に装備する。
バトルだ!カブー10で『メタモルポット』を攻撃!」
メタモルポットはカブー10に叩き割られ、虚しく退場する。
「次だ!ビッグベンーKでセラフィを攻撃!」
「攻撃宣言時、フェルグランドの効果発動!オーバレイ・ユニットを一つ使用し、モンスター一体を対象に発動する!このターン、対象となったモンスターの効果を無効にし、いかなる効果を受けなくする!私は『超重武者 ビッグベンーK』を選択!」
フェルグランドの大剣から放たれた光がビッグベンーKを覆う。
「っ!ビッグベンーKの効果が無効にされれば、守備表示での攻撃はできなくなる。」
「そゆこと。さらにオーバレイ・ユニットとして墓地に送られた『エルシャドール・ネフィリム』の効果発動!墓地から『影依融合』を手札に加えるよ。」
権現坂の攻撃を防ぎ、これで次のターンへの布石も揃えた。
流れは完全にこっち側だ。
「むぅ、俺はこれでターンエンドだ。」
「私のターンドロー。手札から『ジェムナイト・アレキサンドラ』を召喚する。」
「その時、カブー10の効果が発動!『超重武者』モンスターを全て守備表示にし、さらに守備力を500アップさせる!」
さっそくビッグベンーKの守備力が4000へと達し、神や幻魔とならぶ。
「なら、アレキサンドラの効果発動!自信をリリースし、デッキから『ジェムナイト』通常モンスターを特殊召喚する。来い、『ジェムナイト・クリスタ』!」
鉱石の騎士は水晶へと昇華され、新たなモンスターへと生まれ変わる。
「『ジェムナイト・アレキサンドラ』を除外し、『ジェムナイト・フュージョン』を手札に加える。そして、『ジェムナイト・フュージョン』をコストにサモンプリーストの効果発動!デッキから『E・HERO エアーマン』を特殊召喚!さらにエアーマンの効果により、デッキから『E・HERO ブレイズマン』を手札に加える。」
「っ!レベル4のモンスターが二体!」
「レベル4の『召喚僧サモンプリースト』と『E・HERO エアーマン』でオーバレイ!現れよ、『ラヴァルバル・チェイン』!」
新たに炎を纏った痩躯を竜が光の渦から姿を見せる。
「『ラヴァルバル・チェイン』の効果!オーバレイ・ユニットを一つ使用し、デッキからカード一枚を選択し、墓地に送る。私が選ぶのは『ADチェンジャー』。さらに『影依融合』を発動!手札の『シャドール・ビースト』とフィールドの『ラヴァルバル・チェイン』を融合!神炎を纏い現れよ、『エルシャドール・エグリスタ』!」
煌々と炎を纏ったモンスターが姿を現し、権現坂にさらなるプレッシャーを与える。
「墓地に送られた『シャドール・ビースト』の効果で一枚ドロー!」
そしてぇ!レベル7の『エルシャドール・エグリスタ』と『ジェムナイト・クリスタ』でオーバレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!」
3度目となる光の渦が展開され、そこに二体が吸い込まれていく。
「大きな愛は世界の全てを包み込む!私はあなたを許しましょう!ランク7、ビッグアイ!」
大きな単眼のモンスターがフィールドへと現れる。
そして、その効果は大きな愛情を持ってして、相手を寝取る。
「ビッグアイの効果!オーバレイ・ユニットを一つ使用し、相手モンスターのコントロールを得る!私はビッグベンーKを選択!『最大の愛情』!」
「なんっ⁉︎ビッグベンーKが!」
ビッグアイの瞳が妖しく輝き、それに惑わされたビッグベンーKがフラフラとこちらへとやってくる。
「墓地に送られたエグリスタの効果により、『影依融合』を手札に加える。
そして、魔法カード『ダーク・コーリング』発動!手札と墓地のモンスターを除外し、融合する!私は手札の『EーHERO マリシャス・エッジ』と墓地の『エルシャドール・エグリスタ』を融合!現れよ、大地の覇者よ!『EーHERO ダーク・ガイア』!」
ヒーローとは決して呼べないほどの禍々しいほどの闇のオーラを纏った戦士がフィールドへと君臨する。
「ダーク・ガイアの攻撃力は融合素材とした二体の攻撃力の合計の数値となる。よって……。」
「攻撃力ご、5050……だと!?」
権現坂のビッグベンーKを1000上回る数値を叩きだし、騒然となる会場。というか、そのビッグベンーKも私の手中にあるのだが。
「バトル!ダーク・ガイアでカブー10を攻撃!そして、この攻撃宣言時、ダークガイアの効果発動!相手フィールド上のモンスターを全て攻撃表示にする!」
「っ!カブー10の攻撃力は僅か1000。」
「もし、この攻撃が通ったら権現坂の負けだ!」
「ていうか、オーバーキル!?」
なぜか遊勝塾のメンツが権現坂を心配しだす。そして、なぜだがものすごく嫌な予感がする。
「かかったな、優希!ダーク・ガイアの効果が発動した瞬間、『超重武者装留 ビッグバン』の効果を発動する!その発動を無効にし、破壊!その後フィールドのモンスター全てを破壊し、互いに1000ポイントのダメージを与える!」
「なっ!全滅!?」
突如現れた球体が、 大 爆 発 !
瞬く間にフィールドがスッキリとする。
「これは酷い。」
「ふん、メタモルポットの手札交換が仇となったな。
俺は墓地へと送られた『超重武者装留 イワトオシ』の効果により、デッキから『超重武者 ビッグベンーK』を手札に加える。」
逆転の一打を決めた権現坂はドヤ顔を浮かべる。
「ちっ、私はモンスターを伏せ、ターンエンド。」
仕留めきれなかった事に若干不満を覚えつつ、権現坂に対しかかってこいと言わんばかりに好戦的な笑みを浮かべる。
「いくぞ、俺のターン、ドロー!」
ゴゥッとドローだけで突風が巻き起こり、危うく転びそうになる。
「墓地に魔法・罠カードが存在しない時、このカードは特殊召喚できる。来い、『超重武者 ビッグワラーG』!さらにビッグワラーGはダブルコストモンスターだ!
「っ!来るか!」
「おう!俺はビッグワラーGをリリースし、アドバンス召喚!動かざる事山の如し!不動の姿今見せん!出でよ、『超重武者 ビッグベンーK』!」
不動を体現するかの如く権現坂の前に佇むビッグベンーK。
まさしく壁のようだ。
「ビッグベンーKは召喚時、表示形式を変更できる。よって守備表示に変更する。さらに俺は手札から『超重武者装留 イワトオシ』、『超重武者装留 ダブルホーン』を装備する!」
腕に弩が装着され、兜は二本の大角が生えたものに変わる。
「権現坂、このターンで決める気だ!」
遊矢が権現坂の意図を汲み取ったのかそう叫んだ。
イワトオシはビッグベンーKに貫通攻撃を与え、ダブルホーンは二回攻撃の効果を付与する。そして、私の場にはセットモンスターが一体で、残りライフが3000。
……少し不味いかも
「バトルだ!覚悟しろ、優希!ビッグベンーKで裏守備モンスターを攻撃する!」
発射された矢を影のようなモンスターが体を張って受け止める。
「破壊されたのは『E・HERO シャドーミスト』!効果で、デッキから『EーHERO マリシャスエッジ』を手札に。」
「かまわん!イワトオシの効果により、ビッグベンーKは守備力を超えただけ、戦闘ダメージを与える!」
「くっ……!」
超過ダメージ、2100をもらい、残りライフが900とレッドゾーンへと入る。
「ダブルホーンを装備している超重武者は1ターンに2度攻撃が可能だ!これで終わりだ!」
「ところがどっこい!そうは問屋が下ろさねぇ!ダメージを受けた瞬間、手札から『BK ベイル』を特殊召喚!」
「なにっ!?」
二つに等分された盾を持った戦士が私の目の前に登場。そして、残り900だったライフは3000まで回復する。
「ベイルの効果により受けたダメージ分、ライフを回復し、このカードを特殊召喚する!」
「なにぃ!?」
もと通りとなった私のライフを見て、ひどく困惑する権現坂。惜しい、あと一歩だったのに。
「くっ……、ビッグベンーKでベイルを攻撃だ!」
「ライフで受ける!」
超過ダメージ分、1700を受け、私のライフは半分以下の1300まで削られる。
ライフを大きく削ったというのに権現坂の顔色は優れない。
「さすがにそう簡単には行かぬか……。俺は装備状態のダブルホーンを守備表示でフィールドに特殊召喚し、ターンを終える。」
「私のターンッ!ドローォ!魔法カード『ダーク・フュージョン』を発動!手札の『EーHERO マリシャス・エッジ』と『冥界の使者 ゴーズ』を融合!出でよ、最凶のHERO……!『EーHERO マリシャス・デビル』!」
ヒーローとは形容し難い、まさしく悪魔の如しモンスターがビッグベンーKと対峙する。そして、その攻撃力は3500。ビッグベンーKの守備力と互角。
「さらに『ミラクル・フュージョン』を発動!墓地の『E・HERO アナザーネオス』と『E・HERO シャドーミスト』を融合!光の戦士、ここに剣山!出でよ、『E・HERO The シャイニング』!」
マリシャス・デビルと対になるかのような神々しい光を纏ったヒーローがフィールドに並ぶ。
「これで仕上げ!墓地の『ADチェンジャー』の効果発動!墓地のこのカードを除外し、ビッグベンーKを攻撃表示に!」
「なんっ……、だとっ!?」
いくら最硬の守備力を持とうとも攻撃表示にしてしまえば、関係ない。
この二体のモンスターの攻撃が決まれば、私の勝利が決まる。何もないと、いいな……。
「バトルだ、権現坂!マリシャス・デビルでビッグベンーKを攻撃!斬り裂け!エッジ・ストリーム!」
「ぬぐぉぉぉぉぉ!」
守備力3500を持つビッグベンーKでも攻撃力は僅かの1000。
マリシャス・デビルの攻撃力とその差、2500。
その衝撃全てが権現坂を襲い、耐え切れず背中を床へとぶつける。
「これで、トドメ!The シャイニングでダイレクトアタック!喰らえ、オプティカル・ストーム!」
容赦ない光の奔流が権現坂を飲み込んでいき、残ったライフに0を刻みこむ。
「しょ、勝者……、遊勝塾、神崎 優希!」
そして、私の勝利がここに確定した。
後書き
ジェムシャドールEーHERO……。なんだこのデッキは!?
主に融合デッキとして、名高い奴らを組み込んだデッキです。……ちゃんと回りますよ?(事故率から目を逸らしつつ)
しっかし、権現坂もとい『超重武者』。シンクロの有無では強さがだいぶ変わりますね。主にアタッカーの用意し易さ。
それに『シュテンドウーG』や『スサノーO』の効果も地味に強力ですし……。
そして、アニメARKーⅤで出たキュウーBは二体を上回る脳筋っぷりには驚かされました。ついでにクロウがちゃっかりデルタアクセルシンクロやってるところも……。やはりアニメの衝撃展開は全く予想がつきませんね。
それでは、感想待ってます。( ´ ▽ ` )ノ
TFSP風オマケ
出現条件:光津 真澄に50回勝利する。
神崎 優希
パートナー・デッキ:『HERO使い少女の超融合』
お気に入り:《E・HERO アナザーネオス》
初期段階『HERO使い少女の四軸融合』ジェム、シャドール、Eー、E・HERO
二段階目『HERO使い少女の素早い融合』水属性HERO(素早い軸)
三段階目『HERO使い少女の変身/融合』M・HERO
禁止・制限デッキ『槍VS砲台《やりたいほうだい)』氷結界の龍 トリシューラ(槍)、ダークダイブボンバー(砲台、エラッタ前)
機嫌+2: デスガイド、徹
機嫌+1: 光津真澄、沢渡シンゴ
機嫌-2:柊修造、赤馬零児
ps、感想くれれば次回投稿早まるかも?
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