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転生とらぶる

作者:青竹
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マブラヴ
  1058話

 空を飛んで移動した俺が真っ先に見たのは、天から降り注ぐ雷光だった。
 確か、神鳴流の真・雷光剣とかいう決戦奥義だったか? 以前に桜咲が使っているのを見た覚えがある。
 同じような雷光は他に幾つか降り注いでいるが、それでも今俺が見たのは他の雷光とは比べものにならない程の大きを誇っていた。
 これが、近衛詠春。紅き翼の名前は伊達じゃないか。
 そんな風に考えつつ移動していくと、やがて決戦の場所へと到着する。
 関西呪術協会の長でもある近衛詠春。
 鬼達を纏め上げている酒呑童子。
 両勢力のトップ2人が一騎討ちをしているという、とても集団同士の戦いとは思えない戦い。
 周囲にはその2人以外は一切存在しておらず、隔離されたかのような戦いとなっている。
 ただ、これはしょうがないのだろう。こうして見る限りでも、戦場では至る場所に大きな被害が出ている。
 周囲にある木々は折れ、鳥居は破壊され、参道には幾つもの深い穴が空いていた。
 その中心部部分にいる1人と1匹は、それぞれが多少の傷がありながらも致命的な傷は負っていない。
 ……さっきの真・雷光剣を食らっても殆どダメージがないのか? それとも単純に命中しなかっただけか。
 酒呑童子の方は武器を持っている様子が見えないが……伝承通りだと貴族の姫を斬り殺すのに刀を使ってたって話だったんだがな。
 まぁ、俺の知っている伝承なんて軽い表向きのものでしかない。実際には刀を使っていなかったと言っても驚くべき事でもないだろう。
 改めて酒呑童子の姿を確認する。
 皮膚は赤く、身長は2mを超えているが、その身体はミッシリと筋肉が詰まっているのが分かる。
 額には左右二本ずつの角が伸びており、髪とも鬣とも取れる色は緑。
 その迫力は、こうして見ているだけでもかなりのものがあるが……それでもこの程度か、というのが正直な気持ちだ。
 確かに普通の鬼として考えれば十分以上に強力なのだろう。日本の三大妖怪に数えられる程なのだから当然だ。だが、鬼神と呼ばれたリョウメンスクナノカミに比べると一段落ちるし、何よりも修羅王、バジュラクイーン、ダークブレイン、シュウ・シラカワ操るネオ・グランゾンといった者達とは比べるまでもない。
 もっとも、それらと比べるのが元々間違っているのだろうが。
 事実、詠春と互角に渡り合っているというのを考えれば、その実力は一級品なのは間違いない。
 あの酒呑童子が本物なのかどうかも、まだ分からないんだけどな。
 なら、まずはお手並み拝見とさせて貰おうか。
 ニーズヘッグの類は出さずに、この戦いに参戦する事を決意する。
 まぁ、これだけの乱戦になっている状況でビームとかを使えば、間違いなく関西呪術協会側で巻き添えになる奴が出てくるだろうし。
 ニーズヘッグのファントムならあるいは……とも思うが、そもそも今回の主目的は酒呑童子をスライムによって吸収することなんだよな。
 その辺を考えると、やはり生身で戦った方が確実だろう。

「行け」

 右手を白炎へと変え、そして20匹の獅子と虎、狼、鳥といった炎獣へと姿を変えて放つ。

『GYAAAAAAAAAA』

 20匹の炎獣は、特有の鳴き声を上げつつ酒呑童子へと迫る。
 それに気が付いたのだろう。今にも大太刀で斬り掛かろうとしていた詠春はその動きを止めて後方へと飛び退る。
 酒呑童子の方も迫る炎獣に気が付いたのだろうが、全く気にした様子も見せずに詠春へと鋭い爪で引き裂かんと振り下ろそうとして……

『GYAAAAAA』

 そこに炎獣が殺到する。
 噛みつき、引っ掻き、白炎で出来た身体で燃やし尽くそうとするその動きは、酒呑童子にしても厄介だったのだろう。苛立たしげに攻撃を回避しながら、爪を振り下ろす。

「邪魔じゃぁっ!」

 振るわれるその爪は、獅子の炎獣の頭部をあっさりと破壊する。
 ……へぇ。これには驚いた。基本的には炎獣というのは白炎で身体を構成している以上、物理攻撃は効果がない筈なんだが。
 それをああもあっさりと砕くという事は、恐らくあの爪には何らかの力が備わっていると見ていい。
 鬼であるのを考えると、気が妖力か……
 ただ、炎獣というのは確かにある程度の意識を持っているが、その実は完全な生命体ではない。当然死を恐れるような恐怖心の類もなく、残り19匹の炎獣が酒呑童子へと襲い掛かっていた。
 それを見ながら、俺は詠春の隣へと着地する。
 いきなり現れた俺を見て驚いたのだろう。詠春が大太刀を構えたままで大きく目を見開くのが分かる。

「アクセル代表!? 避難するように言った筈ですが、何故ここに!」

 半ば怒っていると言ってもいいだろう叫びに、俺は酒呑童子に爪によって既に7匹にまで減っていた炎獣へと意識を向けながら、再度50匹の炎獣を生み出して襲撃させる。

「気にするな。こっちとしても、色々と考えがあって助太刀に来たんだ。別に恩に着せるつもりはない。……まぁ、恩に着てくれるんならこっちとしては大歓迎だが。その恩に関しては、貿易の方の条件で返してくれると助かるな」
「……貴方は……いえ、まぁ、完全なる世界と戦ってきたアクセル代表にしてみれば、酒呑童子を相手にするのもそれ程大変じゃないんでしょうね。ところで、さっきから出している、それが炎獣というものですか?」

 さすがに俺に関しての情報収集はしているか。
 もっとも、炎獣はこのネギま世界で――正確には魔法界で――幾度となく使ってきた技だ。多少情報を集めるつもりであれば、難しくはないだろう。
 詠春の弟子のクルトや、戦友のラカンとかも魔法界にはいるしな。

「ま、そんなところだ。それで、奴の強さは?」
「強い……ですね。それもナギのように魔法を使ったりした強さじゃなくて、どちらかと言えばラカンのように単純に強い。……もっとも、あの馬鹿程に強くないのはせめてもの救いですが」
「その割には随分と苦戦しているじゃないか。紅き翼のメンバーとして、それはどうなんだ?」

 次々に炎獣を爪で葬り去っている酒呑童子を見ながら、詠春に尋ねる。
 そんな俺の言葉に戻ってきたのは、苦笑だった。

「毎日暇をしているあの馬鹿と違って、私の場合は色々と忙しいですからね。ただ、これでも以前の件があってから、出来るだけ身体を動かすようにはしていたのですが……それで良かった、と言うべきでしょう。もしもあの時のままであったのなら、恐らく酒呑童子には対抗出来なかったでしょうし」

 なるほど、その程度には強い訳か。
 詠春にしても、フェイトの件があってからはそれなりに身体を動かしてたって話だし……さて、どうするか。
 正直、ここに来るまでは酒呑童子をスライムで吸収しようと思っていた。
 酒呑童子程に有名な鬼であれば、何らかのスキルを持っていてもおかしくないと思ったからだ。
 だがこうして炎獣への対処を見ていると、ただひたすらに爪で斬り裂くという行為しかやっていない。
 勿論それだけでも十分過ぎる程の脅威にはなっているんだが、それでもスキルという意味では美味しくはないだろう。
 まさか爪の斬り裂きというスキルを得ても、それがどうしたって話だし。
 他の陰陽師や神鳴流の剣士の指揮を執らせる為という理由で詠春を向こうの戦場に戻して、酒呑童子とは俺が戦おうと思っていたんだが……
 今の酒呑童子の戦い方を見る限りだと、強さも期待した程でもないし、ここで詠春と共に一気に倒してしまった方がいいのかもしれない。
 いや、寧ろ……

「本当に酒呑童子なのか?」
「何だとこらぁっ!」

 思わず呟くと、酒呑童子の方からそんな怒声が響き渡る。
 そう、もしかして俺達の前にいる奴はここに来る前に俺がちょっと考えた、酒呑童子の偽物……というか、その名を騙っている鬼なのではないか? そう思った為だ。
 そんな呟きに返ってきた自称酒呑童子の怒声は、その反応の早さからして……
 それ以前に、酒呑童子の言葉遣いが鬼というよりはどこぞのチンピラっぽいんだが。
 ただ、その強さは確かに酒呑童子を名乗るだけであって、爪の一振りで数匹の炎獣を斬り裂いていく。
 酒呑童子の周囲を覆っていた炎獣の数が10を切ったところで、再び炎獣を生み出して突撃させる。
 その数100匹。
 確かに酒呑童子は爪の一振りで炎獣を斬り裂ける。だが、無数に生み出され続ける炎獣をいつまでも処理し続ける事が出来るかどうかと言われれば、答えは否だ。
 そもそも、爪の一振りで攻撃出来る範囲なんて自分の周囲くらいだ。つまり、一度に屠れる炎獣の数も所詮は知れたもの。
 体力的に無限ではない限り、こうして延々と炎獣を生み出して数の力押し込み続けていればいずれ向こうの体力が尽きる。
 BETAの如き……あるいは、SEED世界の大西洋連邦の如き戦術だが、物量で押すというのは、やはり効果があるんだよな。
 もしも物量を押し返すのだとしたら、相当な精鋭が必要になる。
 それこそ、BETAに対するシャドウミラーの如く。
 それだけの実力があれば、物量を誇る相手であろうと対処するのはそう難しくはない。
 だが、酒呑童子にそれを覆すだけの力はない。
 ……他に何の隠し球もなければ、の話だが。

「うがああああああああああっ! 面倒くさいんじゃ、お前等ぁっ!」

 酒呑童子の怒声が周囲に響き、今までよりも大きく爪を振るう。
 大きく爪を振るった分だけ、多少ではあるが広範囲にいる炎獣を纏めて斬り裂き……次の瞬間、酒呑童子の目が微かに光ったかと思うと、周囲にいた炎獣の動きが乱れた。
 ある炎獣は動きが鈍り、またある炎獣は身体を形成している白炎に黒い何かが混じる。他にも紫や緑の斑点が炎獣の身体に浮かんだり、全く見当違いの方へと飛んでいったり、仲間の炎獣に対して攻撃を仕掛けたり、動きが止まったりというような風にだ。

「……何だ?」

 酒呑童子が何かの攻撃を仕掛けた。それは分かる。
 だが、それにしては炎獣が受けた攻撃の種類が見るからにバラバラだ。
 目が光った瞬間ってことは、恐らく魔眼の類か? けど、俺が知ってる限りだと酒呑童子が魔眼の類を持っているって伝承はなかった筈だが。
 やっぱりこいつは本当の酒呑童子じゃなくて、何か別の鬼が酒呑童子の名前を騙っている可能性が強まった、か。
 こうして見た感じだと、何らかのマイナスの効果……いわゆる状態異常を相手に与えるみたいだが、その種類が1つじゃないのは疑問だ。
 ただ、魔眼は魔眼でも一撃で相手を死に至らしめるような類の魔眼でなかったのは助かったと言うべきか。
 そして……

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……どうじゃ、みたかぁっ!」

 息を切らせながら叫び、同時に混乱している炎獣へと爪を振るっては斬り裂いていく。
 爪を振るう速度は炎獣の動きが混乱している事もあって明らかにこれまで以上にスムーズとなり、殲滅速度は急激に増していく。
 その様子を見ながらも、先程の魔眼ついて考える。
 まず、どうやら魔眼を使うのにはかなりの消耗があるらしい。
 恐らくだが、魔力や気、妖力といったものを消費すると思われる。だが、鬼というのは基本的に肉体派的な存在であり、その類の力は少ない筈だ。その少ない魔力や気、妖力といったものを消費してあの魔眼を発動したが故に、あそこまで消費している。
 完全に予想でしかないが、多分そう間違ってはいない筈だ。
 そして次に、何故か魔眼の効果があったのが炎獣だけであり、俺と詠春には被害が及んでいない事。
 この辺の理由に関しては、単純に想像するしか出来ない。
 単純に魔眼を使いこなせていないからか、それとも何らかの制限があるのか。
 ともあれ、酒呑童子の様子を見る限りでは連発出来るようなものでもないらしい。
 最後に……あの魔眼の能力が、格別だということか。
 相手に状態異常を与えるという能力自体は、それ程珍しものではない。それこそ石化に魅了といったものはよく聞くし、中には見ただけで殺すといったものすらもある。
 俺のスライムの元になったFateと同じ世界観の月姫ってゲームでは死の線が見える直死の魔眼とかもあるし。
 それらを思えば、状態異常を付加するというのは割と有り触れている能力であると言ってもいいだろう。
 何種類もの状態異常を付加するというのはちょっと驚きだが、それでも驚くべき程でもない。
 何より今回俺が驚いたのは、魔眼の効果が炎獣に……つまり、生き物以外にもあった事だ。
 つまり、この魔眼は生物以外にも使用が可能という特殊な魔眼な訳だ。
 ……そりゃあ、そんな特別な魔眼を肉体派の鬼が使えば、ここまで消耗するのも当然だよな。
 ともあれ、今の魔眼のおかげで俺の中にある酒呑童子の評価は一気に上昇した。
 今までは詠春と共にこの酒呑童子を倒そうと思っていたが……

「詠春、ここは俺に任せて先に行け」

 俺の隣で大太刀を構えている詠春へとそう告げる。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1179 
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