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ランス ~another story~

作者:じーくw
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第1章 光をもとめて
  第8話 消滅の対戦


~リーザス城 コロシアム控え室~


 もう1つの準決勝が行われる直前の事、ユーリはランスの試合を見終えた後、控え室へと戻ってきていた。

 《ランス VS ユラン》

 あの戦いでの最後の一撃。確かに威力は確かに凄まじい。戦士としての才能は 素晴らしいものだと改めて実感していた。それは、敗れはしたものの、ユランもそうだ。
 ……ランス・アタックと言う名は知らないが(自分の名前入れてるだけだから)あの一撃と衝撃波。出鱈目に見えるのに、それに反比例しているかの様に強い一撃だった。久しぶりに、血肉脇踊りかねない程に……。
 そして、その試合に触発された者は他にもいた。

「ふふふ……、この世界の≪猛者(もさ)≫と言った所か。やはり この大会に出場したのは正解だったようだ。……今までは肩慣らしにもならなかったが。こいつは違うようだ」

 同じくランスとユランの戦いを見ていた男が笑みを浮かべながら呟いていた。この男こそが、今大会、ユーリと準決勝で当たる相手である。

(……聞かない名だな。だが、あの実力は並ではないのは確かか。……恐らく、ユラン以上か)

 ユーリは、その男をチラリと見てそう思っていた。
 今大会、圧勝で勝ち進んでいるのはランスや、ユラン、ユーリだけではない。圧倒的な速度、そしてパワーで相手をなぎ倒して 無傷のまま勝ち上がってきている。
 薄い金髪、そして身体つきは外見からは強くはなさそうだが、その身体は、鍛え上げ凝縮されているのが良く判る。
 様々な場所で、様々な者を見てきたユーリだからこそ、判るのだ。

「おい」

 モニター画面から視線を外し、ユーリの方へと声を掛けてきた。
 ……彼の横顔を見ていたから、気になられていたのだろうか?と一瞬思ったが、そこまであからさまに視線を向けていたわけではない。だから、自然に振舞った。もしも、クレームの類があるのであれば、非を詫びる事も考えつつ。

「なんだ?」
「……お前は強いな。戦っている所を見て、傍で見て、よく解る。次の仕合い……楽しみにしてるぞ。存分に……仕合おう」

 清十郎は、ユーリを見て、不敵な表情で笑っていた。

 だが、それは 自分が負ける事などまるで考えてない目だ。
 これまでで、ユーリはそんな目をしている者を何度か見てきた。……確かに、その中でも随一の実力者だと言う事は判る。ここまで接近し、相対したからこそ、判るのだ。

「楽しめるかどうか……は保障できないがな。手は抜かないさ」
「ふ……面白い」

 そう言うと、背を向け……先に舞台へと向かっていった。歩く後ろ姿にも、隙が見えない佇まいだった。 

「ふふ……」

 だが、能ある鷹は爪を隠す、と言うモノだ。負けん気も当然必要だとは思うが、強さと言う部分をも隠し通す事も、重要だと言っていい。……実力を出させる前に、倒す事も、正解だ。

「……楽しめそうだ」

 後者に関しては、ユーリは肯けない。男の戦いと言うモノは、相手にも全力を出させる事が重要だろう。そして、ユーリが言う様に楽しむためにも。

 ユーリはそう呟くと、少し遅れて舞台へと入っていった。

 戦闘を完全に楽しもうとしているユーリが、ここにはいた。





~リーザス城コロシアム 観客席~


 舞台のボルテージも冷め止まない。

 ユランが、敗れた事にショックを受けている客も何人もいるが、それ以上に、良い試合を見れたと思い、そしてその思いを声に変えて叫んでいたのだ。

 だが、正直な所、《ランス vs ユラン》以上の試合は恐らくこれから5~10年は来ないだろうとも思えていた。つまりは歴史的勝負の舞台に立ち会えたと思っていたのだ。
 歴史の証人になれた、との声も上がっていた。


 そんな熱気渦巻くコロシアム内に、1人の少女が駆けつけていた。

「はぁ……はぁ……、よ、良かった。なんとか、間に合ったよ……」

 肩で息をしつつ、間に合った幸運に感謝をしていた。
 確かに、今大会で絶対王者とも呼ばれたユランが敗れた事は少なからず動揺していたが、そんなの(失礼だけど)よりも、ずっと重要な一戦を見逃さずに来る事が出来て本当に良かったと。魔法ビジョンで、試合はなんとか見る事が出来ていたし、永久保存も済ませている。 だが、準決勝からは絶対に見に行くと、決めていたのだ。 なんとしても、仕事を全て終わらせて、この眼で()を見る、と。

「ユーリ……さん」

 ぽつりと、呟くその名前。
 彼の事を知っている人は殆どがその可愛らしい、と言えなくも無い顔造りだと、からかい、時には迫る人ばかりだが、純粋に想っている人も少なくは無い。これは、別話だが、≪大人になれる≫≪大人の階段を上る≫とか何とか言われ、床の経験も済ましていたりもしていると思われているユーリ。……それが真実かどうか、知る者は誰もいないけれど。

「……また、会う事が出来そうで、……見られるのがとても嬉しいよ。ユーリさんっ」

 その表情が赤く染まる。
 走ってきたから火照っているのか?と思えなくも無いが、恐らく逸れはハズレだろう。ずっとずっと、強くユーリの事を想ってきた少女だから。



 そして、試合は開始の合図が高らかに出された。








~リーザス城コロシアム 舞台上~



「さあ~~、本日の2戦目の準決勝の始まりです~~!!」

 ナギサの仄々高らかボイスが会場に響き渡る。それにつられて歓声も沸き起こる。

「さぁ~て、これまでの試合、両者ともにほぼ無傷で勝利をしてきましたから~……、どちらが、優勢かわかりせんよね~?」
「そうですね……、申し訳有りませんが、これまでの戦いの相手は力不足としか言えません……。これで、真の実力がわかるかと思われますよ」

 相変わらず目元にマスクを装着しつつ、実況をする。噂では、その素顔はリーザス国家機密だったりしなかったりとか。真偽は定かではない。


 そして試合開始のゴングは鳴っている。だが、まだ動いていなかった、それは互いにだ。


「……楽しみにしていたぞ。こう相対すれば更によく解る。……真の強者だという事が。これまでの連中は家畜も同然の強さだったが」
「……敗者を虐げるのは感心しないな」
「ふ、今のオレにはお前という強者しか見えていない」
「そうか。生憎だが、オレは見られて喜ぶ趣味はないがな……」

 ユーリは、軽くため息を吐きつつ剣の柄を軽く握った。これが、彼の構えだという事は清十郎もよく解っている。だからこそ、彼も二本の剣を鞘から抜き、構えた。

「……神無城 清十郎」

 低く構えた後、自らの名前を言う清十郎。それが何を意味するか、ユーリも直ぐに察した。

「ん? ……ああ、成程。……ユーリ・ローランド」

 清十郎が名乗り、そして一瞬遅れてユーリが名を名乗った。戦いの前にアナウンスはされているのだが、習わしなのだろう。それを、ユーリは察して、名を同じく名乗ったのだ。

「いざ……参る!」
「来い」

 清十郎は間合いを凡そ人間とは思えないほどの速度でつめ、二刀の剣を交差させ左右に振るった。正確にユーリの首筋。だが、ユーリは事前にその軌道は読んでいたようだ。剣を一気に引き抜くと、真下から真上へ斬りあげる逆風の太刀。
 二刀が交差するその一瞬のタイミングで行った為、衝撃が二刀で受けきれず、弾き飛ばされてしまった。

「ぐっ!」

 清十郎は、衝撃を逃がす為、飛翔し後方へと退避した。目の前の男は一切動いていない。ただ、最短で、最速で、剣を振るったのみ。……思わず見とれてしまいそうになる程の太刀筋だった。はっきりと目に見えてしまったのだ。

「……」

 清十郎が、体勢を整えている最中、ユーリは、 ちんっ……と、音を立てながら、再び剣を鞘へと収めた。

 それは、居合いの型。

 これまでの試合では放棄か?とも思われていたが、もう知っている皆。そして、何より今の衝撃で空気が震えたと感じ取った観客は、一瞬沈黙したが、直ぐに大歓声となって、会場に響き渡った。

「す、すげええええ!!!」
「たった一撃で、こんなんなったんはじめてだーー!! ってか何だあれ!?」
「弾けた! 絶対空気を弾いたって!!」

 興奮冷め止まない観客だが、清十郎だけはそうは行かなかった。冷や汗が止まらないのだ。

(……我が祖国ではもう相手すらいなかった。異人を殺す為に血反吐を何度も吐く程の鍛錬を経てこの境地に来た。この異界に来てからも、相手と言う相手がいなかったが。この男は……)

 それは認めたくは無い事でもあった。
 自身の鍛錬の成果、それは出ている事は実感はしていた。ここに来てからも、それは変わらない。……が、それはあくまで、リーザスと言う比較的平和な国のモンスター、人間としか戦ってきていない。だから、見誤っていたのだ。だが、この時はっきりと認めた。

(……この男はオレよりも遥かに高みにいる)

 自分の力を遥かに上回っている事を、清十郎は理解し、認めたのだ。

「……一撃で、腰が抜けた……、とは言わないよな?」
「ふふ……馬鹿を言うな。もっと、オレを楽しませてくれ!」

 清十郎は一気に跳躍し、再びユーリと剣を交差させていた。再びコロシアムの中央で、両者の剣が交錯し合った。


「……本当に驚きました。ユラン選手とランス選手の戦いも、確かに凄かったです。……ランス選手の一撃も素晴らしいものでしたが、たった一撃でここまで、ここまで離れた場所にまで空気が震えたと感じたのは無かったですね」
「そ、そ~ですね……、ちょっと驚いてしまいました~。で、では! アイサツ代わりの一撃~と言う事だと思われますが、どうでしょうか~?」
「……そうですね、一瞬でしたが 清十郎選手の表情が強張りました。逆にユーリ選手は表情こそは見えずらいですが、雰囲気のそれは全く変わりませんでした.……根拠はそれだけですが、現段階では、ユーリ選手優勢と見えます」
「なるほど~……」
「でもまだ始まったばかりです。……勝負は、最後まで判りません」

 そう言うそのマイクを持つ手が僅かながら力が入り、そして震えているのがわかった。恐らくは自身も戦ってみたいと、血が滾っている事だろう。将を関する男は、そう言うもの、なのだろうか。だが、この男は将は将でも、格が違う。

(ああ~~……、とっても戦いたそ~。流石は死神さん~と呼ばれる事ありますね~……)

 ナギサはそんな横顔を見つつ、苦笑いをしていた。 エキシビションマッチ……楽しみにしているのだろうと。

 そう、この実況席で解説をしている彼こそ、リーザス最強と称される赤い死神と呼ばれている将軍なのである。



 その後も、ユーリと清十郎は 一進一退の攻防を繰り返していた。

 だが、傍目からは ランスとユランの時の様に 五分の戦いをしている、と見えるだろう。だがそれは違った。完全に誘導され、攻撃の先の先まで読まれてしまっている。
 それが色濃く解っていたのが清十郎だ。

(身体能力は別としても、剣の腕は、明らかに向こうが数段上……か。これが、経験の差なのだろうか)

 清十郎はそう思っていた。
 自身のいた国……、世界では異人はいたものの そこまで戦いが多かったか?と問われれば明らかにこちらに比べたら少ない。訓練と実践の違い……比じゃないのはよく知っている。

(だが……!)

 清十郎は、剣の柄を握る手の力を上げた。

「遊ばれているのにも飽きたな……。いい加減本気を出せ。……お前の力をこの身で味わってみたい」

 決して、ユーリに手を抜かれている訳じゃない。だが、清十郎は まだ 相手は力を出し切ってはいないと直感したのだ。

「遊んでいるつもりは毛頭ないがな。これも戦術の1つのつもりだ。それに久しく見ない強者にであったから。楽しんでいるのは事実だな」
「ふふ……、確かに剣術においてはオレは貴様の足元にも及ばんだろう。……が、己を過信するなよ。このままで終わるとは思わないことだ」

 不敵に笑う清十郎。ユーリは、それだけ見て良く判った。清十郎は、まだ隠し玉を持っているだろう事を。

「(恐らくは切り札。……といったところだろうな) 面白い……」

 ユーリは、剣を鞘から引き抜いた。その所作に場が騒然となる。攻撃の起点は納刀した状態から。その構えから始まるのが 彼の戦闘スタイルだと皆が思っていたからだ。何度か打ち合い、間合いを取る度に、剣を納刀していたから。

「おおっと~~~! ユーリ選手! ここで初めて剣を抜いた状態で構えた~~!!」
「……戦術変更、スタイルチェンジ、と言った所でしょうか。中々に堂に入ってると言えますね。数多くの剣術を極めている可能性もありますね」
「ああ~、成程~! そして、対する清十郎選手は、二刀を下げた下段の構えだ~!」
「……清十郎選手は脱力を。……完全に 脱力しきってますね。あの構えであれば、例えどんな剣撃でも、反応し動けると思われます。まだ判りませんが、カウンターを狙っているのかもしれません」

 観客も実況も興奮している。それ程の戦いなのだろう。観客の1人が前言撤回をしていた。

「……こりゃ、さっきの試合と変わらない所かそれ以上かも知れねぇぞ? 歴史的名勝負が日に二度も見れるなんてな」
「へ、へははは……確かに、鳥肌立っちまったよ。こんな試合の目撃者になるんだからな」

 もう、酒を飲むのも忘れ魅入ってしまっている。何人かは、叫ぶのを止め手に汗握りっていた。

「ユーリさん……やっぱり凄いっ……。本当に今日間に合ってよかった。あの時と何も変わってない…」

 少女はユーリの姿を目に焼き付けながら呟く。町の外で助けてくれた時。トラブルに巻き込まれてしまったときに助けてくれたあの時。その時のままの、他者を魅了してしまう程の鮮やかな剣撃のままだった。型に嵌った魅せる剣技、舞踏と言うのは、実践では使えない。と言う意見が多いが彼は違った。凄まじい修練の成果だろうか、乱戦でさえその型が一切崩れないのだから。




 ユーリは剣の鍔元に手を宛がった。……そして、ゆっくりと切っ先へと手を動かしていく。

「煉獄」

 そう呟いたその時、まるで剣が燃えている様な錯覚に清十郎は囚われていた。

 赤く燃えたかと思えば、次はまるで漆黒。闇を纏っているかの様に、黒く染まる。その剣は まるで黒い水晶の様に美しくもあるが、纏っている気配は凶悪だ。
 ……殺気でここまでのイメージを具現化させるのか、殺気を武器に込め 他者の眼にまで、それを見せる事ができるのか、と感じていた。

「ふ……くくく、……ゆくぞ!!」

 清十郎は脱力したまま、一気にマックススピードまで速度を上げた。0から10まで、到達するのがとてつもなく早い。常人であれば、まるで瞬間移動したかのように錯覚するだろう。

《歩法・縮地》

 圧倒的身体能力・敏捷性がとてつもない者のみが使用する事が出来る高速の移動術だ。その速度から二刀の連撃に繋げる。

 だが、ユーリに斬りかかる刹那、清十郎は、この相手は『斬れない』。『斬る事が出来ない』と、即座に理解する事が出来た。

 それは、瞬きすら出来ない程の刹那の時間。はっきりと、見る事が出来、且つユーリの言葉も聞き取れた。

「乱閃」

 それは、凄まじい速度の剣撃だった。凡そ10……12……それ以上の剣閃。捌ききる事は出来ず、且つ自分の剣も届かない。 渾身の二刀の攻撃が届く間に、受けた神速の連撃。

「ぐあぁっ!!」

 その瞬間、血飛沫を上げるのは清十郎だった。万遍なく身体中を斬られてしまったようだ。
 斬られ、地に伏しかける清十郎を見て、数秒後、観客達も理解する事が出来た。

「……す、すごい」
「ま、まったく 見えなかった………」
「気づいたら、あいつ血だらけになってやがった……」

 騒然とした観客。騒然とするのは多分一瞬。直ぐに一気に湧くだろう。

「ぐへへ~~。さ~すがユーリだねぇ! ほんと、ごっつぁんです!」

 手を合わせているのはロゼだ。確かに、ロゼの言う通り 勝負アリ。……傍目に見ても決着はついている。死んではいないけれど、戦える様には見えない。それ程の状態だからだ。

「やー儲かった儲かった♪」

 ロゼはニヤニヤしつつ、試合終了宣言を待っていた。

「お、おいおい……、神官のくせにあんだけ斬られてるヤツ見て、そりゃねぇんじゃね?」

 全身から血が出ている相手を見て、流石に酔いがさめた者もいたのだろう。薄ら笑みを浮かべてるロゼにそう辛辣していた。

「あらあら、まぁまぁ! ほんっとに酷そうな傷です。試合が終われば一刻も早く癒してさしあげなければ! 金額は要相談と言う事ですね。はい」

 ロゼはひらひらと手を振りながらこれまたてきとうに対応していた。いい加減何を言っても無駄なのは理解できないのだろうか?ここの酔っ払いは。 

 



「これは決まりでしょう~」
「……ええ、そうですね。これ以上は清十郎選手が危険かと思われます。………」

 確かに遠目ではあるが、見た所、切創は 筋肉には達してなく、皮一枚程度だと思われる。 だが、それでも出血の量は多い。これ以上続ければ致死量に達し命に関わりかねないかもしれない。

 だが、死神は何か(・・)を感じていた。

 満身創痍にしか見えない清十郎の身体の状態。そして、流れ出る血。その全てが不吉に見えていたのだ。

「勝負ありだ。……認めろ」

 倒れた清十郎を見て、ユーリは、剣を収めた。
 すれ違い様に叩き込んだ連珠の剣撃。それは相手の身体を満遍なく斬っている。一応コロシアムでは殺しはご法度と言うルールはあるが、基本的にユーリは敵であっても外道以外は命を奪うまねはしたくないのだ。

 この時のユーリの誤算はただ1つだった。

 すれ違い様に攻撃をした為、手応えを感じただけで相手を見ていなかった事だ。

「くく……、オレに血を流させたな」

 清十郎の身体中から流れ出る血。鮮血に染まる全身。そしてまるで意図してこの状況を作ったかのような表情。

「っっ!! ゆ、ユーリさんっ!!」

 観客席から、何かを感じ取った少女が思わず声を上げていた。≪それ≫は、直ぐにやってきた。

「行け≪犠血≫……我が血を流させた者へ!」

 不自然なほどまでに流れ出た血が形を成した。まるで、それは伸縮自在の槍。無数の血の槍がユーリが立っている場所を一気に貫いた。地面に数々の穴をあけ、一気に砂埃が巻き上がる。

「こ、こ、これは~~!!! いったいどういうことでしょ~~!?!?」

 ナギサも突然の出来事に驚きを隠せないでいた。
 口調こそはいつも通りだが、その慌て具合はこれまでに一度も無かった事。その事自体にも驚きはある筈だが、清十郎の攻撃手段自体が特に驚きを見せた為、観客は気づいていなかった。

「これは、見たことの無い技ですね。自らの血に、何らかの術を仕掛けた……と言うのでしょうか? しかし……」

 解説であるマスクの男も口元へ手を宛がい考える。発動の条件。それのリスクを考慮したら決して優秀な力とはいえない。深手を負えば負うほど、その威力を増すが、その分重症を負ってしまうだろう。発動条件としては最悪。だが、発動すれば確かに虚をつき易い。

「アレは、後天的な力とは思えません。……恐らくは彼の先天的な力なのでしょう。特殊な環境化で得たのでしょうか。……狂気にさえ 似た力を」

 そう推察していた。血液を武器とする以上……発動している際は流血は止まるだろうが、終えれば再び流血するだろう。危険すぎる発動条件だから。

「これが 正真正銘最後の力でしょう」
「っ!! ……ユーリ選手はどうなったのでしょ~!?」

 まだ砂埃が舞い上がっており、姿を捉えることが出来ない。逆に清十郎は立ち上がり、血を鞭の様に振り回す。血の結界。そこを侵す者には見たとおり血の代償を連想させる。

「……今のは」

 だが、決して 清十郎のその表情には余裕は無い。それどころか、驚愕していた。明らかに今日一番のヒット。虚を突き且つがら明きの背中へと突き刺したと錯覚させた。

「今の業、異質とは言え申し分なし……。だが、残念だ」
「なっっ!!」
 
 いつの間にか背後より現れた影。客席の観客でさえ、清十郎と目の前にいるであろうユーリに注目していた為気づく事が出来なかった。

「確かに虚を付かれた。が……、想定外か? 想像以上か? と言われれば 別にそうでもない。……今回は 経験の差が物を言ったようだな」
「くっ……!! 舐めるなよ!?」
「舐めてない。……見事だった。だが……。」

 剣を水平に構えるユーリ。そして、込める闘気が増した。……凶悪とも思える殺気も。

「どんなものにも、上には上がいる」
「っっぁ!!」

 攻める姿勢を決して崩していない。だが、確かに気圧されている自分がそこにはいた。それを否定したくて……、無我夢中で血槍を飛ばした。

 ただ 数に物を言わせた攻撃。素人相手ならばそれでも良いが。

「……思考が乱れたな。それは悪手だ」

 ユーリはその血の槍の軌道を確認すると。剣の鍔元から切っ先まで掌を翳す。

「煉獄・斬光閃」

 凄まじい速度で剣を振り、閃光が生まれる。
 それが剣先を離れ、光を纏った鎌風となり、清十郎の血槍の全てを断ち切った。斬られた血は、そのまま通常通りの液体となり 地に夥しい量の血となって飛び散った。……が、その業が本命じゃなかった。ユーリの本命は……。

「ぁぐっ!! な……い、いつのま……に。」
「悪いな。アンタは諦めが悪そうだから。その身体で これ以上 無茶をして、死なれても困る」
「っ………」

 呆気にとられていた清十郎だったが、突如腹部に異常な痛みを感じた。痛いと感じたときにはもう遅い。いつの間にか目の前にあの男がいた。 
 ユーリは、攻撃の衝撃を煙幕の代わりとした後、一気に接近。剣の柄尻で清十郎の鳩尾を穿ったのだ。その衝撃は身体を突き抜けてゆく。

「へ……、ば……バケモノ、め……」

 清十郎はそう呟きながらゆっくりと地に伏した。だが、何処か満足そうな表情もしていた。

 自分がいた世界で、ここまで圧倒してくる相手などこれまでにはいなかったのだ。故に孤高の天才とまで言われ、相手に不自由すらしていた。それは、異人と呼ばれるその世界の敵であっても同じコトだった。この渇きを満たしてくれる者が、この世界にいたのだから。

(……この、世界。気に入った……な)

 そう再認識し、そして意識を手放した。この場に立っているのはユーリただ1人。

『うおおおおおおおおおおっっ!!!』

 今日一番沸き起こった歓声が彼の勝利を祝福していた。








~リーザス城 コロシアム 観客席南側C列~


 騒ぎに騒ぎまくっている観客席。その中で一際笑顔の女がいた。当然、ロゼである。

「うっひゃぁ……やっぱ強い強い。あいつの前で≪あのコ≫。なんて言えなくなっちゃうね~。あ~んな可愛い顔して凶悪なんだから。ひょっとして≪あっち≫も凄かったりしたりして」

 ロゼはぺロリと舌なめずりをしてユーリを見ていた。以前は逃げられてしまったが、試してみても悪くない、とか思ってしまったようだ。
 それは ユーリにとっては迷惑極まりない事。だが、ロゼはそう思った自分にちょっと戸惑いも見せる。悪魔とエッチばかりしてて、もう人間には興味ない。とまで思ったのだが。

「まぁ~。それだけの≪モノ≫をお持ちだろうと、本能的に察したって事よね~♪」

 ロゼはゲラゲラ笑いながら見ていた。……だが、別にユーリに恋愛とかそう言う感情は皆無なのである。(多分……)
 そして、当のユーリは丁度剣を収めようとしてる所、だろう。その時。

「ありゃ? 剣……折れちゃったみたい?」

 ロゼが、びっくりしながらユーリの方を見た。
 聞くところによると、あの剣は旅先で購入したらしいJAPAN製の≪刀≫。強度は申し分なし。と言う話しも聞いていた。だが、如何せん古い剣だった筈だ。その上、何度も打ち合っている。

「……相手も凄かった、って事か。あれがあそこまで痛んじゃうくらいだし」

 ロゼはそう呟くと勢い良く立ち上がった。
 軽く下着のホコリを叩き、そして食い込んでいる下着を伸ばして直す。とても色っぽい仕草なのだが……、淫乱神官だから、って事で普通普通、と周りが納得していた。

「よー 淫乱ねーちゃん! 次はどっちが勝つと思うんだ?」
「やっぱ、ランスか? あのユランを倒しちまったし!」
「でもよぉ……、ユーリも明らかに超一流だろ?」

 独自の嗅覚を持っている勝負師だと察した酔っぱらい達は、ここぞとばかりにロゼに訊く。それは宛ら ロゼは予想屋か? とも思える程だ。

「ん~~そうね、……全~くわかんないわ。だから次の試合は賭けはしないわよ。引き際が肝心ってね?」

 ロゼは、手をひらひらと振りながら、そう言っていた。どうやら、次の試合は賭けたりしない様だ。

「ああっ!! オレはやるぞ! ここまで来たんだ。負けも嵩んじまってるし、次で全部取り返してやる!」

 淫乱ねーちゃんと呼ばれても眉1つ動かさず、普通に会話しているロゼ。ここまでくればもう凄いと思ってしまうのは無理ないだろう。傍から聞いていた観客の1人はそう思っていた。そして、ロゼの言葉には従わず、受付へと向かう数人。

「ふぁぁぁ……、な~んか、こっちが疲れちゃうような戦いだったわ。それに、決勝まで見ていったら、帰りが大変よねぇ……。終わったらあのコからかおうか、とか思っちゃったけど。とりあえず無しの方向で」

 今日だけで、一体どれくらい稼いだのだろうか。寄付金で生活してる自分の年間収入からすれば、悠に4,5倍。……いや、準決勝の大勝で影が薄れてしまっていたが、それ以外の勝ち金を全て含めたら10倍以上の大台にのるだろう。

「やばっ……顔がにやけるわ。 やーだ 破顔しちゃうってのはこの事♪」

 ロゼは財布が、ほくほくとあったまってるのを再認識しつつ、コロシアムを後にした。







~リーザス城コロシアム控え室~


 試合を終え、控え室へと戻ったユーリ。軽く腕を回し、身体の状態を確認していた。

「……強かったな。間違いなくここ最近では最強の相手だ」

 受けた剣の一撃一撃の重さが腕を痺れさせ、そして名立たる名匠が打ったと言う訳ではないが、手入れもよくしてきた。なのに長らく共に戦ってきた愛刀を砕かれたのだ。

「時代は強者を欲しているようだ。だからあの男は《こちらの世界》へと来たんだろう。……あの男、もっともっと強くなる。……そうじゃないとな」

 ユーリはそう言いながら壊れた剣を眺めていた。自分が生涯を賭して追い続ける目標においてはそれが望ましい事だ。
 だが、たとえ何人強者が増えたとしても……虫が人間に、そして人間が魔人に挑むように無謀であり。その行為は 広大な海の水をコップで少しづつ掬い、枯渇させるようとする程膨大で途方もない事だ。

 だが、それでも進む先が変わる事はない。

「……母さん。親父。エレナ」

 ユーリが呟くのは家族の名だった。もう、遠い過去の様な出来事。だが、立ち止まってはならない。歩き出さなければいけないのだから。

「……ん。そういえばランスは、っとと、そうだったな。アイツは」

 ユーリは、ユランと ヤリたいヤリたいと五月蝿かったランスの事を思い出していた。どうせ、今頃は会場近くの何処かでお楽しみ中といったところだろうか。確認をした訳ではないが、確認をするまでもない事。

「やれやれ……。ん? 何だこれは」

 ユーリは控え室の机の上に置かれた手紙を手に取った。汚い字で書かれているが、誰が書いたのか一発で解った。

≪がはは。目標はユランちゃんなのだ。と言う訳で、後は全て任せるぞ! 下僕1号!≫

 置手紙……が置かれていた。あの男の性格から手紙なんか置かないでそのまま ばっくれるとばかり思っていたから、少し意外だった。だが、出て行ったのは予想通りだ。

「はぁ……、想像通りといえばそうか」

 ユーリはゆっくりと立ち上がる。
 この先の事を考えたら多少は頭が痛くなると言うものだが、それは主催者であるリーザス側。選手自体には関係がない事だから。 だが……、ユーリは同情はしているようだった。 ここまで盛り上がっている会場。 その決勝戦が始まる事に今からもう興奮の渦。なのに、結末はこれだから。

「だが、剣が折れてしまったのは、ちょっと誤算だった。……話によれば出てくるのは予想通りリーザスの赤将。……なら、万全で戦れないのは勿体無い、か」

 ユーリは、そう考えていた。
 ランスと戦う気があったか?と言えば、ランスの性格上面倒くさい事は避ける。そして、ユランを倒した以上は、こうなるだろうとも予測していたから、無いと十中八九思っていた。軍の将軍に、と言う話はランスにもしていた。男と会う事など、絶対に忘れる事だろう。

「……ランスと戦うか。間違いなく大仕事になる事は間違いないだろうな」

 あの男の戦いにくさは大体理解しているつもりだ。それは技量。Lvに関係なく。天に愛されていると言える技量も持っているようだ。即ち 技能 天運Lv2(仮名)。

「……天に、か。……オレは 正直ゴメンだな」

 レベル神と言った神であれば、そうでもないけれど、神にも色んな種類がある。心底憎悪する存在は……少ない。神は神でも頂点に君臨するもの。……存在する事すら、この世界で知っているものは殆どいないであろう神だ。


 ユーリは、折れた剣を鞘に収め、控え室にあったメモ用紙を取り何かを書き出した。






~リーザス城コロシアム舞台上~


 そして、舞台は決勝戦。

 準決勝以上の歓声に包まれていた。まるで、観客の人数が倍以上に増えたのか?と錯覚しかねない程だ。歴史的な戦いだと、評価されている準決勝の2戦。その戦士達が頂点を決める戦いをしているのだから。

「さぁて~……ええ、おほんっ。≪れでぃ~すぇ~んどじぇんとるめ~んっ!≫皆様、大変長らくお待たせしました~! いよいよ決勝戦ですよ~! 果たして、栄冠を手にするのはどっちでしょうか~!?」

 仄々とした声色で、テンションを上げつつ 晴やかにそうアナウンスをするナギサ。いつも通り、自分を崩さない彼女だが、この時ばかりは違った。……まぁ 非常に判りにくいが、彼女なりに、興奮している様だ。

 ここまで来たら、自分自身も気になって仕方ないのだ。ユーリ選手とランス選手、いったい どちらが上なのかがナギサも気になる。

 観客もいつ始めるのかと待てない様子で2人を待っていたのだが……。出てきたのはユーリただ1人。

「あれ~? ユーリ選手しか出てきませんね~?」
「あ、大変です! ナギサさん! ユーリさんに先ほどのインターバルで渡された手紙の内容が……」

 カレンから手渡されたのは一通の手紙ナギサは、その手紙を呼んで見ると……。困ったような顔つきになっていた。

「うぅ~ん……。困りましたね~……。これだけ盛り上がったのに、不戦勝は~」

 煮え切らない状況だが……、言わないわけにはいかないだろう。ずっとこのままでは暴動がおきかねない。さっき高らかに宣言したばかりだったのに。

「え~っと~、大変申し訳有りません~。ランス選手は、そ、その~諸事情により棄権となりました~。よって、ユーリ選手が優勝です~~」

 流石にナギサと言えども、仄々と読み上げるような単語じゃないから、言葉を濁していた。ユーリは恐らくは後数秒で、肩透かしを喰らった観客が一斉に騒ぎ出すであろうと予期した為、軽く手を挙げると……、素早く最短距離で舞台から姿を消した。

 案の定、暴動に似た野次が沸き起こる。

「あ~でも、まだ終わりませんよ~? 帰らないでくださいね~ この後 エキシビションマッチがありまs「待ってください……」ほえ~?」

 カレンは続きがあるようで、もう1枚の手紙を渡した。それはユーリの物である。

≪ルールでもありますし、それに剣が壊れてしまった以上、申し訳ないが、エキシビションマッチについては辞退させてもらいます≫

 流石のナギサも言葉を失っていた。けど、直ぐに調子を取り戻す。仕事はしなければならないから。

「う~ん、仕方ないですね~ じゃあ~、中止の旨を伝えてきてくれますか~? 私はアナウンスしないといけないので~」
「わ、わかりました!」

 カレンは心底ナギサがいてくれて助かった。並の心臓じゃないとこの境地、耐え切れないって確信できるから。まず、自分じゃ無理だ。射殺される、と思ってしまう。

(ああ……ナギサさんに後光が……見えるよぉ……)

 だから、ほっとしつつ、自分自身もしなければならない事がある為足早にこの場所から出て行った。

 そして数秒後……、カレンの予想通り、まるで暴動が起きたかの様に、喧騒に包まれるコロシアム内。そして、所々から、酒瓶やら石やらが、コロシアム内に舞った。
 それを見て、ナギサも黙ってはいない。

『あの~~! お客さ~ん! コロシアムに物を投げないでくださいよ~~!! そーじ、だって大変なんですからね~! 文句があるならおねーさんがお相手しますよ~~!! ぷんぷんですよ~っ!!』

 最後の言葉通り、ぷんぷんと怒っているナギサ。とても可愛らしく、怒っている様に見える。 いつも通り、暴動に似た状況でも自分のペースを乱さない彼女。……だが、驚く無かれ、彼女はその華奢な体の何処から力が出てくるのか解らないが、中々の剛の者である。コロシアムにおいて、ぶたハンバラに近しい体型の相手を背負い投げした時、会場が沸いたのも記憶に新しいのだ。
 ……そして、ナンパ男や、酔っ払いに過剰に絡まれた時もその業の威力は冴える。一体何人一本とって来たのやら。

 その実力は折り紙つきであり、知っている観客、常連達は、≪お姉さんがお相手します~≫と言う言葉を聞いた途端に、場が静かになりつつあった。


 それは、リーザス王顔負けの統率力である。


 後に、戦場に、歴史上に名を馳せる猛将になる……のかもしれない。







~リーザス城コロシアム VIPルーム~



 コロシアム内もすっかり無人になっていて、随分と静かになっていた。

 確かに、決勝戦は肩透かしと言える展開なのだが、正直 あの準決勝のインパクトを思えば、十分すぎる程、満足はしている。不満は殆どないと言っていい。
 
 このコロシアムから立ち去る殆どの観客達は、何処か満足をしている様な顔で帰っていったのだ。

 そして場面はVIPルーム。そこは、豪勢なつくりであり、選ばれたもののみが使用できる部屋である。
 その場で1人甲冑に身を包んでいる者がいた。本来ならば、これから出番だったのだが、会場の状態がどうなっているのかはこの場からでもよく解っていた。

「と言うわけです。エキシビションは中止になって……、途中で武器交換禁止と言うルール、エキシビションでは無いと言っていればよかったんですが……」
「いえ、大会にそう言うルールがある以上は仕方ありませんよ」
「本当に申し訳有りません……。無理を言って解説とエキシビションを引き受けてくださいましたのに」
「そんな……、大丈夫ですよ。しかし……、闘えなかったのは残念ですね。お2人ともいなくなってしまうとは」

 カレンの言葉を聞かずとも、中止になったのはわかっていた。……が、それでも少し割り切れない様子で残念そうだった。その男こそ、解説中はマスクを装着し、素顔を隠していた男。今は甲冑に身を包んでおり、ますます素顔は解らず、特徴的な《忠》の文字が入ったヘルメットが更に素顔を覆い隠していた。

「リック将軍はあの2人と戦いたかったのですか……。罪悪感があります……」
「い、いえいえ、本当に気にしないでください」

 慌ててそう言うリック。死神と呼ばれる彼の名は《リック・アディスン》

 改めて、紹介するがリーザスでは知らぬものはいない、リーザス・赤の軍の将軍にして、リーザスはおろか、大陸中にその名が知れ渡っているリーザス最強の戦士。本名よりも、こう語られ、敵国からは恐れられている存在となっているのだ。リーザスの赤い死神と。

 そんな男がランスとユーリの2人に興味を抱いているのだ。

「あの2人……、本当に凄かったですからね」
「ええ……。剛のランス選手。技・速度のユーリ選手。あれ程の強者は滅多にお目にかかれません。ですが……」
「?」
「いずれ、戦うかと思います。あれ程の強者なのですから。……ここではなくとも、何処かの戦場で。……必ず」

 それは、同じ強者であるからこその、勘……なのだろう。勘と言うのは不確かな事だが、幾度となく自身の直感には救われてきたものだ。今回は種類こそは違うが、その勘が働いたのだ。その時を思い浮かべ……思わず笑みを浮かべるリーザスの赤軍。赤い死神。

 そして、はからずしも当たることになる。

 勿論、今の彼には知りえない事だが、リーザスに未曾有の危機が訪れた時。

 彼ら3人は共に肩を並べ戦うのだ。

 剣を交えるのではなく、共に戦友として人類の敵、魔人と。このリーザスで。

 
 

 
後書き
〜人物紹介〜


□ リック・アディスン

Lv38/70
技能 剣戦闘Lv2

リーザス第3軍こと≪赤の軍≫を率いる将軍。
その実力はリーザス軍最強を誇り、他国からは≪リーザスの赤い死神≫の異名で恐れられている。リーザス建国以来他国に軍事力を知らしめる役目を背負ってきたのが赤の将であり、代々受け継がれてきた魔法の長剣《バイ・ロード》と額に《忠》の文字が書かれたメットを戦場では常に装備しており、その素顔は国家機密だとか。

そして、文句なしの人類最強クラスの剣士である。

……なぜだか解らないが、ユーリと気が会う部分がありそうだ。



□ 神無城 清十郎 (ゲスト参戦)

Lv22/89
技能 剣戦闘Lv2 異能術Lv-

とある事情によって、この世界に飛ばされた異界の住人。
リーザスに立ち寄ったのは情報収集と元の世界へ戻る方法の模索。そして自身の力をつける事。元々いた世界では、この世界ほどモンスターも戦いも無い為、力を存分に発揮する機会が極端に少なく、この世界に飛ばされた事を少なからず感謝している面もあるようだ。

ユーリに敗れ、初めて敗北を知った彼は、これを糧に成長する事を誓った。

後の世界最強候補の一人になる。……だろう多分。

名前・性格?FLATソフト作品「うたてめぐり」より



〜技能名〜


□ 煉獄・乱閃 斬光閃
使用者 ユーリ・ローランド

≪乱閃≫
抜刀した状態より、鍔元から切っ先にまで闘気を集中させて放つ無数の乱撃。
納刀した状態に比べて技の出事態は遅くなるが、武器である刃に直接闘気を込める為、相対する者にその闘気、殺気が具現化したかのように見せる事が出来る程、力を込めている。その為か表情は険しく怒っているようにも見える模様。

そのお○ない顔で怒っても、ちょっと……。
だから、おさ○い言うな!!

≪斬光閃≫
纏わせた煉獄、闘気を飛ぶ斬撃として相手に撃ち放つ技。
基本戦士は遠距離の攻撃手段を殆ど持たない為、弓、魔法使い等の遠距離系の相手に重宝している技である。

□ 犠血
使用者 神無城 清十郎

異能術。この技は自らの大量の血で発動させる為、作中であるようにリスクも高い技だが、大量の血を見れば相手も大小は油断をするため、隙を付く事には長けており、伸縮自在故に初見でなくとも見切るのも難しい。

……でも、使い続けてたら貧血になりそうだ。
 
 
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