もし俺がFate/Zeroの世界でランサーのマスターになった場合
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第十八槍
屋根づたいに走りながら冬木の街を駆け巡る。
あの殺人鬼がこの街にいることはわかっているが、アインツベルン襲撃の際にどこにいるのかなんて知らないからな。
故に方法は手当たり次第。他マスターにつけている使い魔以外で動かせる使い魔も動員し、捜索に当てている。
「にしても広い……」
言うまでもなく、この冬木が、だ。
既にランサーと別れてから三十分程が経過しているが未だに発見ができていない。
探知も併用しているが、マスターらしき反応もない。
「どうするか……キャスターの根城に突っ込むか? いや、穴通るときにあの化け物相手せにゃならんしなぁ……」
陣地防衛に優れるクラスのキャスターだが、今回のキャスターはあまり魔術師として有能ではない。そのため、陣地作製のスキルも低いのだが、あいつ、召還魔術で、大量にあの魔物を配置してやがるからなぁ…
ライダーみたいに行ければいいんだけども
あ、アサシンいるから無理だわ
「くそっ、ランサーにかっこつけて一人で来た俺、マジで情けねえ」
一応、目星はついているのだ。
うろ覚えだが、凛回で雨龍が使っていた地下のバー。あれが最有力の候補。だが如何せん、記憶が曖昧なせいなのかどこにあるのかよくわからん。いや、まず場所がはっきりと語られてないなんてこともあるかもだけれど
「せめて、あの殺人鬼の私物とかあれば……」
それさえあれば、確実に探し出せる自信がある。
「さて、どうするか……お?」
考え事をしていると、眼下で見たことのある人影が。
「ありゃ……佐藤と田中?」
今学校の友人だった。
確か、今日は田中の家でお泊まり会だと聞いていたが……罰ゲームの買いだしか何かか?
にしてはなんか焦っているような気もするが……
なにか別の理由なのだろうか
一度屋根から地上に降り立ち、曲がり角に身を潜める。偶然を装うにはこうするのがいいだろう。
そうやって考えているうちに、二人とはちあわせることになる
「お? 二人とも、なにしてんだ?」
「物部!? お前、うちの妹見なかったか!?」
「ちょ、田中、顔近い!」
なんかつかみかかってきた田中だったが、落ち着けと佐藤に頭をどつかれておとなしくなる。
「す、すまん。急に」
「別にいいよ。 それで? 何があった?」
「ああ、実はだな」
話をまとめると、だ。
他の奴等と田中家へ向かったのは良かったのだが、遊びにいったきり、妹が帰ってこないらしい。
妹はまだ小学二年。夜遊びなんてするはずもないし何かあったのではと友人総出で捜索中とののと。
「警察には?」
「一応、。ただ、最近は子供の誘拐事件が多発してるんだ。心配にならないわけがない」
「とまぁ、そう言うわけで俺達はいるわけだ。田中は生粋の妹ラブだからな」
「佐藤、ふざけてる場合じゃないぞ。分かった。なら、俺も探してみる。」
「すまない、物部。恩に着る」
頭を下げる田中、だが、俺の内心はひどく慌てていた。
それ、絶体あの殺人鬼が原因だよ!
まさか、自分の友人が巻き込まれているとは思わなんだ。兎に角、急がないと厄介なことになる
「田中、何か妹さんの私物とかないか?」
「あるが……いったいどうするんだ?」
「捜索に使うんだよ。確実に見つけ出せる方法がある」
「お、なんか凄そうだな。てか、今更だが、物部、何か用事あったんじゃねえの?」
「まぁなんだ。察してくれ」
「……分かった」
「……深くは聞かん」
まさか、友人に暗示をかけることになるとは思わなかった。できれば、今後、あまり使いたくはないな
「それよりだ。妹さんの私物とを」
「おう。これだ」
そう言って、田中がズボンのポケットから取り出したのは一枚の小さめの布切れ。広げると三角の形をしたそれは淡いピンク色だった
ていうかパ◯ツだった
「田中、お前……」
「……」
「ち、違うっ! 誤解だ!」
慌てる田中はすぐにそれをし舞い込むと、今度は逆のポケットから小さな髪飾りを取り出した。
「ほら、これだ」
「……」
「頼むから、その犯罪者を見るような目は止めてれ!」
犯罪者以外のなんなのだろうか
「……まぁいい。少しの間借りるぞ」
「ああ、手伝い、感謝する」
「んじゃ、俺らはあっち探してくるな」
手を振ると向こうへ駆けていく二人から視線を外し、魔術を使用
「追跡」
一瞬で把握。場所は……ここから一キロ西
身体強化を施し、もう一度屋根づたいで駆けた。
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