ドリトル先生と森の狼達
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第七幕その七
「その動物は怖くなくなるよ」
「僕達を知っているからこそ」
「君達を怖がらないんだ」
「成程ね」
「むしろ君達の習性を面白いとも思うよ」
「僕達も?」
「君達は人の後ろをついて行くよね」
人から見ればついて来るになります。
「そうするよね」
「うん、縄張りに入ったりするとね」
「人が縄張りから出るまではなんだね」
「ついて行くんだ」
「そうなんだね」
「あと人が夜道を歩いていたら何か自然とついていったりもするね」
そうしたこともあるというのです。
「お祖父さんのお祖父さんのお祖父さんはそうしていたらしいよ」
「送り狼だね」
「僕達は確かにそうするね」
人の後ろについて行く修正が確かに存在しているというのです。
「言われてみれば」
「そうだよね」
「それも一匹でね」
「それが印象的だね」
「成程ね、ただ」
「ただ?」
「その習性が僕から見ればね」
先生からしてみればというのです。
「いや、生物学的に面白いんだ」
「そうなんだ」
「送り犬ともいうね」
「ああ、妖怪の」
「あの妖怪の話も君達からきてるね」
「よく知ってるね、先生」
狼さんから見ても感嘆するものでした。
「そんなことまで。流石だね」
「流石かな」
「先生日本の人じゃないよね」
「うん、イギリスから来たんだ」
「僕人は殆ど見たことがないけれど」
それだけ山奥に住んでいるということです、人が来ないまでの。
「それでもね、先生はこの国の人じゃないことはわかるよ」
「外見でだね」
「そう、髪の毛の色も目の色もね」
そのどれもがというのです、勿論お肌の色もです。
「違うからわかるよ、けれど日本のことを知ってるんだね」
「そうだよ、先生は民俗学も詳しくてね」
「そっちの論文も書いてるのよ」
動物達が狼さんに先生のことをお話します。
「民俗学は妖怪のことも勉強するけれど」
「先生はそっちにも詳しいんだよ」
「それで日本の妖怪のことも詳しくて」
「送り犬も知ってるんだ」
「そうなんだね、先生は凄い人なんだね」
狼さんもしみじみとして言いました。
「動物のことだけに詳しくないんだ」
「本職はお医者さんだけれど」
「それでもなのよ」
「あらゆる学問に造詣が深くて」
「学問なら何でもなのよ」
尚恋愛学は全く駄目です、そしてスポーツも苦手です。ですが動物の皆はここではそうしたことは狼さんにお話しませんでした。
「狼さんのことも妖怪のことも知っていて」
「だから送り犬とかも普通にお話に出るからね」
「そこは日本人よりも凄いかも」
「そうした人なのよ」
「そうみたいだね、いや噂には聞いていてもね」
それでもというのです、狼さんも。
「立派な先生だね」
「褒められるのは困るな」
「じゃあそれは止めるね」
「そうしてくれると有り難いよ」
「それでね、まあとにかく僕達のその習性が面白いんだ」
あらためて言う狼さんでした、このことについて。
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