FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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花咲都クロッカス
シリルside
3ヶ月の修行(といってもほとんど何もしていないが)を終えた俺たちは久しぶりにギルドに帰ってきた。
「「「「「「「「「「はぁ~あ・・・」」」」」」」」」」
「着いたぁ・・・」
妖精の尻尾にたどり着いた俺たちは疲れ果ててしまいギルドの入り口の前で倒れています。
「お前ら何ぐだぁ~としてやがる」
「シャキッとしろ!!それでこそ漢!!」
そんな俺たちの前にギルドに残っていたマカオさんたちと3ヶ月の修行から帰ってきていたエルフマンさんたちが待ち構えていた。
「エルフマン!!お前ずいぶん筋肉つけたなぁ」
「私とミラ姉と一緒に山籠りして鍛えたのよ」
「筋肉こそ漢のロマン!!」
エルフマンさんはそういって力こぶを作ってみせる。確かに筋肉ついてる男っていいですよね、俺は付きにくい体質だから細いんだけどさ。
「俺もこの3ヶ月で嫌いだった納豆を食べられるようになったのだ」
「俺は苦手だった高いところを克服した」
「あまり役に立たないと思うけど」
「ていうかそんなことしかやってなかったの~?」
ビジターさんとウォーレンさんが自分たちの苦手な物を克服したことを自慢気に話してきたけどハッピーとセシリーが一蹴してしまう。
「私たちは銃の命中精度がさらに上がったのよ」
「ああ」
ビスカさんとアルザックさんは射撃能力がさらに上がったようだ。
「俺は全30巻のホラー小説を読み終えた」
「読んだだけかよ」
「お前はその腹を引っ込めろ」
ナブさんのこの3ヶ月のやったことにマカオさんが突っ込みワカバさんが揺れ動くお腹を見てそう言う。
「俺のサンドストームのさらにパワーアップした。もう一度戦えばナツにと勝てる!!」
「なーに!!」
マックスさんの発言にナツさんが怒る。また戦うのかな?
「みんなご苦労」
ナツさんとマックスさんの戦いが始まるかと思ったところにやって来たのはマスターだった。
「じっちゃん!!」
「それぞれ大魔闘演舞に向けて頑張ったようじゃな」
マスターは俺たちの顔を見てそう言う。海で遊んだり星霊界で遊んだり色々頑張り・・・いや、遊んでばっかで全然頑張ってねぇぞ?俺たち。
「とりあえずギルドに集まってくれ」
マスターにそう言われ、俺たちはギルドの中へと入っていく。そしてマスターの前に現在ギルドに来ているメンバーたちが全員集まった。
「では、大魔闘演舞に出場する代表メンバー6人を発表する」
参加メンバーは6人なのか。誰が選ばれるのかな?
「ナツ!!」
「よっしゃあ!!」
まずは最強チームの1人、ナツさん。
「グレイ!!」
「当然」
次はグレイさん。グレイさんは選ばれて当然って顔で決まってますね。
「エルザ!!」
「お任せを」
ナツさんグレイさんと来たら忘れちゃいけないエルザさん。なんたって妖精の尻尾最強の女魔導士ですもんね。
「まぁ、この3人は順当なところね」
「残るは3枠」
「そこで選ばれてこそ漢!!」
ミラさん、リサーナさん、エルフマンさんがそう言う。
「あと3人は・・・ルーシィとシリル、そしてウェンディじゃ!!」
「「えぇ!?」」
「やったぁー!!」
マスターは残りの3人を一気に発表した。俺は選ばれてガッツポーズする。だってお祭りなら見る側より参加した方が絶対楽しいからね!!
「くぅ~!!無念!!」
「そう来たか・・・」
選ばれなかった皆さんは落胆の声を上げる。ジュビアさんはたぶん別のことを考えているんだろうけど。
「無理ですよ!!ラクサスさんやガジルさんもいるでしょ!?」
ウェンディは自分が選ばれたことに驚き、選ばれなかった実力者2人の名前を出す。
「だって、まだ帰って来ないんだもん」
マスターは本当は2人も出てほしかったのだろうが、どうやら修行から帰ってきていないらしい。
ラクサスさんは祭りとかやる気無さそうだし、帰ってこないかもね。
「マスターは個々の力より、チーム力で判断したんだ」
自信がないらしいルーシィさんの肩にエルザさんがそっと手を乗せて励ましの声をかける。
「選ばれたからには全力でやろう」
「うん、そうだね」
「はい!!頑張らなきゃ」
エルザさんの言葉でルーシィさんもウェンディも大丈夫そうだ。
「ガチで挑むならギルダーツとラクサスが欲しかったなぁ、と思ったり」
「「「口に出してんぞ!!」」」
マスターの心の声が駄々漏れだったことに俺とナツさんとグレイさんは思わず突っ込む。
「みんな!!この大魔闘演舞は妖精の尻尾の名誉を挽回する絶好のチャンスだ!!フィオーレ最強とされている剣咬の虎を倒し、我ら妖精の尻尾がフィオーレ一のギルドになるぞ!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」」
「燃えてきたぁ!!」
エルザさんの掛け声でギルド全員に気合いが入る。絶対フィオーレ一のギルドにするために、全力で頑張るぞ!!
クロッカスにて・・・
俺たち選出された6人は他のギルドの皆さんより先にフィオーレ王国の首都にして大会の開催される花咲都、クロッカスへとやって来た。
年に一度の魔導士たちの祭典『大魔闘演舞』、街はフィオーレ中のギルドの魔導士たちとそれを見に来た観客たちで溢れていた。
このクロッカスの西の山にあるのが大会会場、ドムス・フラウ。
これだけ盛り上がっていると観光の1つもしたくなるのが普通なのだが・・・
グテ~
俺たちは選出されたメンバーのほとんどが街の中で動けなくなっていた。
「いまだに調子が悪いなんて・・・」
「く・・・体が思うように動かない・・・」
ウェンディと俺は体の不調を訴える。
「本当に大丈夫だったのか?あの第二魔法源を引き出せるって魔法」
「でも魔力は上がってる気がする。まだ体の節々が痛むけど・・・」
グレイさんとルーシィさんがそう言う。俺たちの不調の原因は迷うことなくウルティアさんの時のアークである。特に俺は関節が痛い・・・筋肉痛みたいな感じなのかな?
「まったく・・・情けないぞお前たち」
俺たちを見てそう言ったのはエルザさんだった。エルザさんはいつも通りの計画性の感じられない量の荷物を運んでいるにも関わらずまったく調子が悪いようには見えない。
「なんでエルザは平気なの?」
「きっと元から第二魔法源があったんだよ」
「それは納得できる・・・」
ルーシィさんとグレイさんはエルザさんが体を痛く感じない理由をそう推測していた。確かにそれならあの魔力の高さも納得できますしね。
「それにしても、こんなでっけー街初めてきたな」
「あいー!!」
ナツさんとハッピーはクロッカスを見回しながらそう言う。
「私もです!!」
「エドラスの城下より大きいわね」
ウェンディとシャルルがそう言う。エドラスの城下も大きかったけど、確かにここはさらに大きいなぁ。7年前はそんなの全然気にしてなかったけど。
「また迷子になんかなるんじゃねぇぞ、シリル」
「探すの大変だったんだからね~?」
グレイさんは7年前にここで俺とはぐれて1日無駄にしてしまったことをまだ覚えていたらしい。みんなのいる前で言わなくていいいのに・・・
「大丈夫です!!俺はもう子供じゃありませんから!!」
「「「全然子供だろうが」」」
俺が胸を張って答えたらナツさんとグレイさんとルーシィさんに突っ込まれた。むぅぅ・・・
「やっと来たかお前たち」
俺たちが話していると後ろからマスターたちがやって来る。あれ?俺たちの方が先に出発した・・・ああ!!俺とナツさんが乗り物酔いするせいでいっぱい休憩したんだった。ナツさんの乗り物酔いはいつものことだからグレイさんも「走れ」とか言ってたけど俺が酔ってるの見たら皆さん超心配してたもんな。ウェンディのトロイアが切れるたんびに止まってしまったんだった。申し訳ないです・・・
「マスター」
「参加の手続きは済ませてきたぞ。ガハハハハッ!!」
頭にアスカちゃんを乗せたマスターは大笑いしている。
「妖精の尻尾の力、見せてくれるわい」
マスターがそう言うと近くにいた人たちの視線が一斉にこちらに集まる。え?なんで?
「おい!!妖精の尻尾だって!!」
「あいつらが?」
「万年最下位の弱小ギルド?」
男たちはそう言うと人を見下したような笑いをする。
「誰だ!?今笑ったの!!」
「よせ」
怒るナツさんをエルザさんが制する。
「どうせ今年も最下位だろ!?」
「優勝は剣咬の虎で決まりさ」
「ぬぅぅぅ・・・」
男たちのあまりのいいようにナツさんは怒りで震えている。
「笑いたい奴には笑わせておけ」
「じゃあ遠慮なく!!」
ハッピーはジェットさんとドロイさんの顔を見て口を押さえて笑い出す。
「「俺らを見て笑うなよ!!」」
「失礼だよ~、ハッピー!!」
怒るジェットさんとドロイさん。セシリーが珍しくまともなことを―――
「笑うなら全力で指さして笑わなきゃ~」
「それもそうだね」
「「その方が失礼に決まってんだろうが!!」」
セシリーはハッピーの笑いが中途半端なのがダメだと思ったらしい。指さして笑うとかその方が間違いなく失礼だけどな。
「よいか!!3000万ジュ・・・ゴホンッ!フィオーレーのギルドを目指すため全力を尽くすんじゃ!!このままではワシらの命を救ってくれた初代に顔向けできん!!」
マスターの言葉に俺たちはうなずく。
「さて・・・競技は明日からの訳だが・・・」
マスターはアスカちゃんを下ろしながら話をする。
「いかんせん内容がわからんのぉ」
「え?もう何年も出てんだろ?」
マスターが競技内容を把握できていないらしくナツさんが7年間ギルドに残っていた皆さんに質問する。
「競技は毎年変わるんだよ」
「私たちの出なかった年に射的があったり、とかね」
アルザックさんは抱っこを求めてきたアスカちゃんを抱き締め、ビスカさんは銃を構えながらそう言う。
「俺の出なかった年に競争だぜ?」
「いくつかの競技の総得点で優勝が決まるんだけど・・・」
「私も一応過去の記録読んだんだけど、競技に一貫性がないのよねぇ」
ジェットさん、ドロイさん、レビィさんがそう言う。総得点で優勝を決めるって、運動会みたいな感じってことかな?
「ま、出たとこ勝負ってことか。バトルだったらいいなぁ」
「俺は水泳とかなら誰にも負けない自信ありますよ!!なんたって水の滅竜魔導士ですから」
どんな競技があるのかわからない以上、どんなものにでも対応できるようにしておかないとな。俺の得意分野が来てくれればいいなぁ。
「エルザ!!」
マスターは何やら難しい顔をしているエルザさんに一冊の本を手渡す。
「明日までに公式ルールブックを読んでおけ」
「これを読めと?」
マスターの手渡したのはこの大会のルールブックらしい。しかし、1日で読むには分厚いような気が・・・
「任せて!!風詠みの眼鏡を持ってるから!!」
「さすがレビィちゃん!!」
読書家で有名なレビィさんが海合宿で俺とウェンディに貸してくれた風詠みの眼鏡をかけてルールブックを読み始める。
「かいつまんで説明すると、大事なことは3つかな?」
レビィさんはルールブックを読み終わったらしくそう言う。
「まずは、各ギルドのマスターは参加できないこと」
「まぁ、そうじゃろうな」
各ギルドのマスターなんか出てきたら大変なことになりますもんね。あまりにも強すぎて・・・
「ギルドの紋章を付けていないものを客人として参加させないこと」
「まぁそれも当然だな」
レビィさんの説明にグレイさんが反応する。だって客人とかありにしたらフィオーレーのギルドを決める大会にならないもんね。ただの魔導士たちの力比べになっちゃうよ。
「各競技は競技開始直前まで秘匿とし、各競技のルールもそこで説明される」
「大した情報はないな」
競技のヒントになりそうなこともないし、カミューニさんたちのお願いにも答えられそうなものもないな。
「あ!最後に注意書きがある」
「なんてあるんですか?」
レビィさんがルールブックの最後に見つけた注意書きが何なのか質問する俺。
「参加者は指定された宿に12時までに帰ること」
「12時?」
「いつの?」
「今日の夜中ってことでしょ?」
「つまり明日みたいなもんだよね~」
注意書きにある文を読んだレビィさんとそれを聞いていた俺たちはそれぞれそう言う。
「12時までに帰るか、ガラスの靴を履いたお姫様みたいだな」
「俺たち男ですけどね」
グレイさんと俺がそう言う。
「12時までならまだたっぷり時間あるじゃねぇか!!」
ナツさんの言う通り街の時計は午後の1時を指している。あと11時間もありますね。
「せっかくこんなでっけぇ街に来たんだ!!探検するぞぉ!!」
「あいさー!!」
「いこいこ!!」
ナツさんとハッピーとルーシィさんは街を探検するために走り出してしまう。
「おい!!宿の場所はわかっているのか?」
「ハニーボーンでしょ?」
エルザさんの問いにルーシィさんが振り返らずに答える。
「必ず12時までに帰ってこい!!いいな?」
「あーいー!!」
ハッピーのいいお返事。エルザさんはまた難しい顔をしていたけど、ジェラールたちのお願いを気にしてるのかな?あまり気にしすぎると体がもちませんよ?
「シリル!!私たちも街を見てこよう!!」
ウェンディもクロッカスを探索したいらしく俺の手を引っ張る。
「うん!!そうだね!!」
「しょうがないわね」
「シリルが迷子にならないように注意してないとね~」
シャルルはいつも通りのツンデレな態度で、セシリーは俺の迷子を心配してついてくる。あれはお前にも責任あるからな?
そんな訳で俺たちはフィオーレの首都クロッカスを探索することにした。7年前も来たけどあの時はあまり見て回れなかったし、今日は時間がいっぱいあるから色々見て回るぞ!!
第三者side
「あれがカミューニを倒した奴だってのか?」
男は建物の陰からウェンディと手を繋いで街の探索に向かうシリルを見てそう呟く。
「特に強そうには見えないんだけど・・・なぁ・・・オーブラ」
男は自分の肩に乗せている黒い小さな生物に視線を向ける。オーブラと言われたその生物は「キキキッ」と笑うだけだった。
「というか、俺はあんなちびっこに構ってる時間はないんだけどなぁ・・・」
男は頭をポリポリとかく。が、すぐに視線をシリルたちへと向ける。
「でも、マスターイワンに言われたからには今はそっちの命令を優先しないとな」
男はそう言うと、シリルたちのあとをつけ始めた。
グレイside*
「グレイ様!!」
俺が1人で時間を潰していると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえたのでそちらに体を向ける。
「ジュビア」
そこにいたのはジュビアだった。なんか髪型変わったか?
「なんでお前が・・・」
「ジュビアだけじゃありません、ギルドのみんなが応援に来てますよ」
俺の質問にジュビアがそう答える。そういやマスターの他にもアルザックやらビスカやらもいたしな。他の連中も来てるってことか。
「ったく、暇な奴らだな」
まぁ、そこがうちのギルドのいいところなんだけどよ。
「あの・・・よかったらお食事でも・・・」
「あ・・・そういや腹減ってきたな」
時刻は夕方。日も傾きかけてきて辺りは夕日で赤く染まっている。こっちについたのは色々あったせいで昼を過ぎてたし、昼食も取ってなかったからな。そういうことならジュビアと飯でも行ってみるか。
「それならいいレストランがこの街にある」
「リオン!!」
俺とジュビアが食事に行こうとした時、後ろから突然リオンが現れる。こいつどこにいたんだ!?
「水族館と一体になっていてな、中々しゃれたレストランだ」
リオンはなぜかジュビアの背中から手を回し、肩を抱き寄せながら歩き始める。
「あれ?ちょ・・・これ・・・」
「てめぇ!!うちのもん勝手に連れてくな!!」
俺が呼び止めるとリオンはその場に足を止める。
「大魔闘演舞に出るんだってな、グレイ」
「ああ?」
リオンは俺に背を向けたまま話し出す。ジュビアはその隙にリオンから距離を置く。
「まぁ優勝するのは、俺たち蛇姫の鱗だがな」
「万年2位だったんだろ?」
俺とリオンは互いに額をぶつけ合う。
「お前らは万年最下位。うちは去年まで俺やジュラさんが参加してなかったにも関わらず2位。この意味わかるよな?」
「こっちにもエルザっていう化けもんがいるの忘れてんじゃねぇだろうな?」
メンチを切り合う俺たち。するとリオンは俺から一歩距離を取る。
「1つ賭けをしよう!!蛇姫の鱗が優勝した暁には・・・ジュビアは俺たちのギルドがもらう!!」
「「なんじゃそりゃあ(なんですかそれ)!!」
リオンの提案に思わず突っ込む俺とジュビア。
「お・・・俺たちが勝ったら?」
「ジュビアをお前たちに返そう」
「元々俺たちのギルドだよ!!」
こいつ実はアホなんじゃねぇのか?
「男と男の約束だ。忘れるなよグレイ」
「賭けになってねぇだろうが!!ふざけんな!!」
俺が怒鳴り散らすとリオンは不敵な笑みを浮かべる。
「負けるのが怖いのか?」
「なんだと?」
俺とリオンは睨み合う。
「ググ・・・グレイ様!!ジュビアを取るかリオン様を取るか、はっきりしてください!!」
「お前・・・全然話し見えてねぇだろ・・・」
手足をバタバタさせるジュビアを見て俺はますますカオス状態に陥ってしまう。ったくなんでこんなめんどくせぇことに俺が巻き込まれなくちゃいけねぇんだよ!!
あまりの理不尽さに俺は心の中で毒づくしかできなかった。
その日の夜・・・第三者side
「この街って至るところにお花があるのね」
「花咲都とはよく言ったものだね」
ルーシィとハッピーが頭に花でできた冠を被りながら周りの様子を見てそういう。
『ケンカだぁ!!』
そんな中、ナツたちの耳に男の声が聞こえてくる。
「お!!祭りにケンカはつきものか!!どれ!!」
「フィオーレ中のギルドが集まってるんだもんね!!」
ナツとハッピーは声の聞こえた方向へと向かって走り出す。
「ちょっとナツ!!」
ルーシィがナツを呼び止めようとするが2人が止まるはずもなく走り去ってしまう。
「ん?この匂い」
「どうしたの?」
ナツは自分の向かっている方角から匂ってくるある匂いに気づく。
「ドラゴンに似たような匂いだ。 まさか・・・」
ナツは頭の中であることに考えがいたり目の前の人混みへと突っ込んでいく。
「どけどけぇ!!」
人混みを掻き分けるナツ。その中央では1人の男の顔を踏みつけている者がいた。
「まだやるかい?」
「お話になりませんね、ハイ」
「フローもそうもう」
「やめとけフロッシュ、さすがに危ないから」
「もう遅いでしょ?グラシアン」
スティングが頭を踏みつけながらそう言い、それをレクターが横から見守り、フロッシュが倒れている内の1人の鼻を木の棒で突っつき、グラシアンがそれを止めようとし、キセキはそれをただ見ているだけだった。、
「なんだ?」
ようやく先頭に四つん這いで到着したナツ。そのナツを見た途端、スティングたちの表情が一変する。
「おい・・・」
「あんたは・・・」
「ナツ・ドラグニル」
「?」
ナツは目の前にいる名も知らぬ男たちが自分の名前を呼んだことに驚いている。
「猫!?」
一方ハッピーはスティングたちの連れているレクターたちを見て驚いていた。
「なんですかこの間抜けな顔した猫は」
「マヌケ」
「てか頭の花飾り何?」
「しゃべったぁー!!」
「あたし、突っ込まないとダメ?」
ハッピーは猫なで声たちが人間の言葉を話していることに驚いていたが、自分も猫だということを忘れているのだろうか・・・
「何なんだよお前ら」
「おいおい、剣咬の虎の三大竜、スティングとローグとグラシアンを知らないのか?」
3人に何者か聞いたナツに野次馬の1人がそういう。
「フィオーレ最強のギルドの一角だぜ!?」
「じゃあこの人たちが・・・」
「剣咬の虎か」
ルーシィとナツは男たちを見てそう呟く。すると突然、ナツを見たスティングは大笑いしながら歩み寄ってくる。
「大魔闘演舞に出るって噂、本当だったんだ」
「俺のこと知ってんのか?」
ナツはスティングにそう問いかける。
「アクノロギア・・・ドラゴンを倒せなかった滅竜魔導士でしょ?」
「っ!!」
ナツはスティングの言葉に怒りを露にする。
「それって滅竜魔導士の意味あんの?」
「ああ!?」
「これでも昔は、あんたに憧れてたんだせ。ちなみにこいつはガジルさん」
スティングはローグを指さしながらそういう。
「同じ滅竜魔導士として気になっていただけだ」
「滅竜魔導士!?まさかそいつも・・・」
ナツはグラシアンに視線を向ける。
「ああ、そうだぜ。それもただの滅竜魔導士じゃねぇ」
「真の滅竜魔導士。俺たちならアクノロギアを倒せるよ」
グラシアンとスティングはそう言う。
「あんたたち、アクノロギアを見たことないからそんなこと言えるのよ」
「そうだそうだ!!」
ルーシィとハッピーがそれに対して反撃しようと口を開く。
「頭の悪そうな猫ですね」
「顔つきがなんかバカっぽいもん」
「レクターとキセキは頭いいよね」
ハッピーに対してレクターとキセキがそう言い、フロッシュが2人を誉める。
「見たかどうかは関係ない」
「ようは滅竜魔導士としての資質の差」
「そういうこと。意味わかる?」
3人は立ち上がったナツに向かってそう言う。
「私が説明しましょう」
レクターはそう言い以前ラクサスがシリルにしてくれた説明をする。
ドラゴンに滅竜魔法を教わった第一世代、滅竜魔法の魔水晶を体内に埋め込んだ第二世代。
「そしてスティングくんたちはあなたのように本物のドラゴンを持ちつつ竜の魔水晶を体内に埋めたハイブリッドな第三世代!!」
「シリルの他にもいたっていうのか!?」
ナツは自分の知っている第三世代の滅竜魔導士である少年のことを思い出す。
「第一世代と第三世代ではその実力は雲泥の差」
「比べるまでもなくグラシアンたちの勝ちってこと」
レクターとキセキがそう言う。
「お前たちも、777年にドラゴンがいなくなったのか?」
「まぁ、ある意味では」
「そう言う言い方も当たってるよな」
ナツの質問にスティングとグラシアンは含みのある言い方をする。
「はっきり言ってやる。俺たちに滅竜魔法を教えたドラゴンは自らの手で始末した。真の滅竜魔導士となるために」
「ドラゴンを・・・殺した?」
「人間が・・・ドラゴンを・・・」
ローグの言葉にルーシィとハッピーは驚く。
「親を・・・殺したのか・・・」
一方のナツは、自らの親を手にかけた非情な3人に怒り、睨んでいた。
後書き
いかがだったでしょうか。
グレイとリオンのやり取りにレオンを出そうと思い書いてみましたが結局タイミングを掴めずにそのままになってしまいました。
次回もよろしくお願いします。
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