リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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Another32 勇気の翼
前書き
グレイモン超進化。
大輔「太一さん。俺とブイモンはマスターティラノモンの所に向かいます。太一さんとアグモンはトリケラモンを!!」
太一「…ああ、分かった。気をつけてな!!」
大輔から聞いた話ではトリケラモンは完全体らしい。
グレイモンでは勝てる可能性が限りなく低いが、いつまでも大輔達に甘えている訳にはいかない。
太一「やってやるさ…」
大輔無しでやってやる。
ゴールドブイドラモンがいなくてもヒカリを守ってみせる。
太一「ヒカリ、お前は絶対守ってやるからな」
ヒカリ「お兄ちゃん…」
大輔とブイモンと別行動してしばらくした目の前には大人しそうな草食恐竜型のデジモン。
大輔とブイモンからしてみれば大した敵ではない。
しかし全ての面に置いてグレイモンを大きく上回る完全体のトリケラモンは成熟期への進化が精一杯の太一とアグモンからすればとてつもない強敵なのだ。
トリケラモンが十字路を通り過ぎようとした時。
グレイモン[うおおおおおお!!]
アグモンからグレイモンに進化し、真横から全力の体当たりをトリケラモンに喰らわせるグレイモン。
トリケラモンは多少、ふらついたくらいですぐに体勢を立て直してグレイモンを尾で吹き飛ばす。
グレイモン[ぐっ!!]
太一「グレイモン!!」
体格は殆ど差はない。
それでも圧されるのは成熟期と完全体の隔絶とした力の差があるからだ。
グレイモン[ぐ、うう…!!]
トリケラモンと力比べをするが、グレイモンとトリケラモンではパワーに差がありすぎて、建物に叩きつけられた。
そのまま痛みに悶えるグレイモンをトリケラモンは何度も殴る。
太一「グレイモン!!」
グレイモン[ぐっ!!]
尾を勢いよく振るい、トリケラモンの体勢を崩して顎に頭突きを喰らわせた。
反撃を喰らったトリケラモンは怒りの表情で頭部の角を向けた。
トリケラモンの必殺技トライホーンアタック。
グレイモンは危機感を感じ、トリケラモンにメガフレイムを放つが、トリケラモンの頑強な皮膚には火傷すらしない。
グレイモンが直撃を受けて建物に激突した。
太一「ああ…!」
ヒカリ「グレイモン…」
プロットモン[グレイモンでトリケラモンに勝つなんて…無理だわ…]
太一「無理なもんか…!ブイモンだって今の俺達と同じ状況で勝ったんだ。俺達に出来ないはずない!!最後まで諦めるなグレイモン!!」
グレイモン[うん…!!]
太一の言葉に勇気が出て来たグレイモンが立ち上がろうとする。
その時、一瞬だけ紋章に光が灯った。
トリケラモンは太一とヒカリに気付き、敵と判断したのか、2人に向かって駆け出した。
太一「ヒカリ!!」
ヒカリ「お兄ちゃん!!」
太一はヒカリの手を引いてトリケラモンから距離を取るために走り出した。
しかし体格の違いからか、徐々に距離を詰められていく。
ヒカリ「追いつかれちゃう…」
太一「くそ!!」
トリケラモンと太一達との距離が後僅かというところでグレイモンが追いついてトリケラモンを羽交い締めにした。
太一「あ!!?」
ヒカリ「グレイモン!!」
プロットモン[あんた…]
グレイモン[太一、ヒカリ!!早く逃げるんだ!!]
暴れるトリケラモンを必死に抑えるグレイモンの気持ちを無駄にしない為に太一とヒカリは走り出した。
プロットモン[くっ、デジタルワールドならテイルモンの姿を維持出来たのに…]
まだ身体が現実世界に慣れていないためか、成熟期の状態を維持出来ずに成長期に戻ってしまったプロットモンは唇を噛み締めた。
とうとうトリケラモンを抑えられなくなったグレイモンは弾き飛ばされた。
そしてグレイモンを弾き飛ばしたトリケラモンは太一達を追いかける。
グレイモンもすぐに立ち上がった。
グレイモン[(ブイモン…僕は君みたいに強くもないし、ゴールドブイドラモンみたいな進化が出来るわけでもない。でも君の今までの戦いを見て分かったことがあるんだ。男なら、例え負けると分かっていても戦わなきゃいけない時があるって…!!それが今、この時だって!!!)]
そして行き止まりにぶつかり、とうとう追い詰められるが、太一はヒカリの前に出てトリケラモンを睨んだ。
太一「ヒカリには手を出させないからな!!」
後ろにいる世界でたった1人の妹を守るために勇気を振り絞る。
太一「俺は逃げない…絶対に!!」
グレイモン[太一の勇気が…僕の中に流れ込んでくる…!!]
紋章からオレンジ色の輝きが放たれた。
グレイモン[グレイモン超進化!メタルグレイモン!!]
太一の正しい勇気により、とうとう進化を遂げたグレイモンの正当進化系、メタルグレイモン。
敵の変化に唸り声を上げるトリケラモンだが、メタルグレイモンは油断なく左腕のトライデントアームを構えた。
トリケラモンがメタルグレイモンに頭部を向けて駆け出した。
必殺技のトライホーンアタックだ。
メタルグレイモン[トライデントアーム!!]
左腕のトライデントアームを射出し、トリケラモンを拘束する。
トリケラモンは暴れるが、パワーはメタルグレイモンが上回っているのか、拘束を解けない。
太一「イケる、今なら。ぶっ飛ばせメタルグレイモン!!」
メタルグレイモン[うおおおおおお!!]
トライデントアームを振り上げ、トリケラモンを上空に投げ飛ばし、口を大きく開いた。
メタルグレイモン[オーヴァフレイム!!]
口から放たれた業火はトリケラモンの頑強な皮膚すら焼いた。
トリケラモンの苦痛の叫び声。
太一「やった!!後少しだメタルグレイモン!!」
後少しでトリケラモンを倒せると思った太一であったが、突如周りの空間に異変が起こった。
プロットモン[な、何…?]
周りがセピア色になってしまった。
気のせいか身体が異様に軽い。
大輔「何だ?」
ゴールドブイドラモンがマスターティラノモンを気絶させた瞬間。
いきなり周りの景色がセピア色になってしまったことに驚く大輔。
少しずつ少しずつ、身体が空に浮かんでいく。
大輔「そうか、デジタルワールドに強制送還されるのか、フェイト達がやってんのかな…?」
今頃、事故で現実世界に来てしまったデジモン達の強制送還作業に追われているのかもしれないフェイト達を哀れんだ。
太一「大輔、これは一体…」
大輔「多分、事故で迷い込んだデジモン達を強制送還するためのゲートだと思います。多分デジタルワールドに戻れます」
太一「デジタルワールドに…」
ヒカリ「コロモンやブイモンやプロットモンのいた世界…」
ブイモン[さてさて、これから忙しくなるぞ]
デジタルワールドに戻り、これからが冒険の本番だ。
これからの敵はかなり手強くなるだろうから。
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