とある英雄の学園生活
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第41話 キングオーガとの戦い
「……」
「……」
「……」
俺達は会話のないまま3時間ほど通過した。
なるべく戦闘は避けたかったので俺はシヴァの力を借りて感知魔法を最大限に使い魔物と遭遇しないように心がけた。
シェリルさんやエルフ兄妹も警戒しつつ俺の後についてくる。
樹海に慣れたのかエルフ兄が俺にいろいろ文句を言い出した。
「おい、本当にこの道で合っているのか」
「……」
「貴様が言っていた湖はまだつかないのか?」
「……」
(道は合っています。 あと2時間ほど歩けば湖に着くかと)
「迷っているんじゃないだろうな」
「……」
俺は無視して歩いた。
最初は返事をしていたのだがエルフ兄の上から目線の会話にムカついたので無視することにした。
だが湖まであと2時間かかるのか……少し休憩したほうがいいかもしれないな。
「おい! 貴様聞いているのか!」
エルフ兄は俺の肩を掴み強引に振り向かせようとするが俺はその手を払いのける。
「き、貴様!!!」
「ジェフ、いいかげんにしなさい」
俺達のやりとりを見てシェリルさんがエルフ兄に一喝する。
一喝されたエルフ兄はプルプル震え後ろに下がる。
これで少しは静かになるかな。
「キラさん」
シェリルさんもこの道で合っているのか不安そうな表情で俺を見る。
うむ、ちゃんと説明したほうがいいかもしれない。
「大丈夫ですよ、シヴァがちゃんと道を覚えていますので迷うことはありません」
「そうですか。同じようなところをグルグル回っている気がして迷ったのではないかと思いまして」
同じ景色が続くから不安にだったんだろうな。
俺の言葉にシェリルさんとエルフ妹は安堵した表情をするがエルフ兄は激高した。
「だったら最初からそう言え!貴様が……」
「ジェフ!いいかげんにしなさい」
再度怒られるジェフ。
「しかしシェリル様この人間が……」
まだ何か俺に言いたそうなエルフ兄だがシェリルさんに逆らえないのか言いたい言葉を飲み込んだ。
見渡しのいい場所を見つけ30分ほど休憩した俺達はその後1時間半ほど進んだのだが湖の入り口付近で2匹のキングオーガに遭遇し戦闘になった。
俺の前に1匹、ジェフの後ろに1匹と挟まれてしまった。
キングオーガは俺たちの倍ぐらいの身長で大きな棍棒を振り回す獰猛な魔物だ。
かなりの生命力がありまた物理攻撃は並の武器でないとキズさえ与えるのは厳しく普通は魔術メインで倒すのだが、魔術も中級以上でないと倒すのは辛いだろう。
魔物レベルはAクラス。
「前の1匹は俺が相手をするので後ろのは3人に任せます」
俺の言葉にシェリルさんが心配そうな表情で
「わかりました、キラさん1人で大丈夫なんですか?」
「俺は大丈夫です。少し時間がかかると思いますが、そっちは無理そうなら俺が倒すまで時間稼ぎをしていてください」
「なめるな人間、貴様の力など借りずともオーガごとき下等生物ワタシ1人で倒せる」
俺の言葉に怒りのスイッチが入ったエルフ兄は剣を抜きオーガに突っ込んでいった。
(あの馬鹿死にたいのか?)
(若さでしょうね)
俺が1人でキングオーガと戦うことに変に意識したんだろう。
俺は魔人剣の加護があるから1人でも大丈夫だが、なんの加護もないエルフ兄は1人で戦うなど死にに行くようなものだ。
「シェリルさんはジェフに対物理防御魔法をサラは雷魔術でキングオーガの気をそらしつつジェフの援護を頼む」
「わかりました」
「言われなくたってわかってるわよ」
「あとは、ここの判断で対応してくれ」
俺は剣を抜きキンヅオーガとにらみ合う。
キングオーガは右手に持っている棍棒を大きく振りかぶり俺の頭をめがけて振り落とす。
俺はかわさず氷の突剣で棍棒を真っ二つに切り落とした。
キングオーガは巨大な体には似合わない速さで俺から離れ魔術詠唱をするが俺はキングオーガより先に無詠唱で氷魔術〈氷の吹雪〉でキングオーガにダメージを与え魔術詠唱をキャンセルさせた。
〈氷の吹雪〉でよろめくキングオーガに俺は一気に距離を縮め左胸めがけて剣を突き刺すが、キングオーガは左腕で攻撃を受け止めたが、突き刺さった左腕が一瞬で氷ずけになった。
「があああああああああああああぁ」
キングオーガは痛みで叫んでいるのかわからないが狂ったよう叫びながら残りの右腕で俺に殴ろりかかってきた。
俺は後ろに飛びそれをさけた。
キングオーガはバランスを崩し俺は再度左胸めがけて氷の突剣を突きさした。
「ぐあぁぁぁぁぁっぁ」
キングオーガは叫んだが突き刺さった左胸から一瞬で体全体が氷漬けになった。
(ふう~)
(お見事です綺羅様)
(俺が強いのはシヴァとイフリートのおかげだよ)
(ふふ、そうでもないですよ)
3人の方を見るとエルフ兄が突き刺した剣がキングオーガの頭に刺ささり殺ったと思ったエルフ兄が油断したところキングオーガの左パンチをくらい吹っ飛ばされエルフ兄。
うわー痛そうだ。
「兄さん!」
「サラはそのまま詠唱を唱えなさい。私がジェフを見ます」
シェリルさんはエルフ兄に駆けつけ治癒魔術をかける。
サラはキングオーガに突き刺さった剣めがけて雷魔術〈雷光〉を放った。
キングオーガの頭部の剣に電光が直撃したキングオーガは絶命した。
「大丈夫ですか、シェリルさん?」
「私とサラは無傷です。ジェフも今は意識を失っていますが、怪我の方は治癒魔術で回復させましたので大丈夫です」
さてどうするか。
あと30分ぐらいで湖につくのだが、エルフ兄の意識が回復するのを待つか、
それとも置いていくか。
置いていくのは冗談だがここで意識が回復するのを待つのはあまり得策ではないような気がする。
背負って行くか。
野郎など背負いたくないのだがここは恩でも売っておくか。
「あと少しで湖なので襲われることはもう無いと思うので、俺がジェフを背負います。」
「よろしいのですか?」
「ええ、一応念のためシヴァを人型に戻ってもらい警戒してもらいますので」
(ふふ、ホント大人になりましたね綺羅様)
(何が)
(昔の綺羅様なら、彼を背負う行動などしなかったと思います)
(嫌な奴だけど今は仲間だからな)
(ふふふ)
(なんだよ)
(いいえなんでもありません。人型になりますね)
シヴァは剣の姿から人型になってもらい先頭に歩いてもらい次に俺がエルフ兄を背負って続きシェリルさん、サラの順番で隊列を組み30分かかる湖を周囲に警戒しつつ1時間以上かけて目的の湖に到着した。
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