インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
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第十二話《歯車》
前書き
「どう終息つけるか迷って失踪考えた人がいるんだってー」
「えーっ、まじー?ださー、きもーい。失踪が許されるのは小学生までだよねーっ」
やばい。今気付いたんだけどスコール・ミューゼルだった。ミュゼールじゃねぇ!(# ゜Д゜)
めんどいのでなおしません。(´・c_・`)
俺は、織斑千冬より。優れている!
俺は千冬姉と同じ刀。《雪片》を創り出し、中段で構えた。
今の俺なら、勝てる。
俺には力がある。
俺は一歩を踏み出すと同時に、千冬姉の後ろへ瞬間移動した。
――――が。俺は千冬姉の蹴りにより吹き飛ばされた。
俺は突然入った衝撃に戸惑いながらも素早く体制を建て直し、もう一度千冬姉の背後へと瞬間移動した。
俺は千冬姉の後ろへと回った。
だが、織斑千冬はそれに反応し、俺を見ていた。
俺を、見つめていた。
「どうして・・・」
俺は思わず声が漏れた。
瞬間移動が出来るなんてわからなかったはず。なのに2度も・・・なんでこっちを見て
――なんだよ。その眼・・・
今まで、俺は沢山の眼をみてきた。
でも、今の千冬姉の眼は、初めてみた眼だった。
後悔?蔑み?哀れみ?失望?悲しみ?怒り?諦め?驚き?恐怖?興奮?殺意?焦り?緊張?苦しみ?不満?無念?嫌悪?恥?軽蔑?嫉妬?罪悪感?郷愁?憧憬?思慕?切なさ?不幸?同情?悪意?憎しみ?疑い?困惑?絶望?孤独感?憎悪?恨み?怨み?焦燥?
わからない。なんだよ、その眼は。そんな眼で俺を、見ないでくれ。
俺が男だからか?俺が弱いからか?俺が敵側にいるからか?俺が辺りを壊したからか?俺が『私』じゃないからか?俺が人間じゃないからか?俺が生まれたからか?俺が久しぶりに会ったからか?俺が生きているからか?俺が強くなったからか?俺が弱いからか?俺より強いからか?俺に襲撃されているからか?俺が瞬間移動したからか?俺が装備が似ているからか?イライラしているからか?解らないからか?どうして?おれは?なんで?ここは?だれは?便覧?河川敷?ゆうひ?つめたい?いちたすいち?とんでいく?はざま?おかし?あお?しろ?はだいろ?とけた?なんで?どこは?いつは?いま?あれ?おれは?
*
織斑千冬は、ただ、後悔していた。
思えば、一夏が誘拐されてから、歯車が狂ったのかもしれない。
私がちゃんと一夏を守っていれば、一夏は一夏でいられた。
こんなことには、ならなかった。
全ての原因は、私にある。どうして、一夏がこうならなければいけなかった。
私が、モンド・グロッソで優勝しなければよかったのだ。
「一夏」
喉の奥から絞り出したその言葉は、慈愛に満ちていた。
だが、ほんの少し。遅かった。
*
黒く染まった空間には、相変わらず私と『私』が取り残されていた。
一面の黒。概念が存在しないその空間には、一つ、変化が起きていた。
「私ちゃん。このままいってしまったら、どうなるのでせうか。」
『私』は私を見つめた。
白の空間でも、さっきまでの黒の空間でも、相手の姿ははっきりと確認できた。
だが、今は薄い霧のような《闇》が、空間に立ち込めていた。
私はもう、話すことはしなかった。
ただうつむき、自分の手を弄んでいる。
霧は徐々に濃くなって行った。
*
俺の異変は突如始まった。
身に纏っていたISらしき装甲が、心臓のように鼓動を繰り返し徐々に膨らんでいき、次第に一夏を飲み込んだ。
一夏を飲み込んだそれは次第に形を形成していった。
三つの人型。まるで、手を繋ぎ歩く三人の影が質量を持ったようにそこに産まれた。
三人の真ん中。胸にぽっかりと穴の空いた小学生ほどの人型の影から、薄暗い球が広がり、地を、風を、光を。すべてを飲み込み始めた。
*
《闇》がひろがり、私の姿が見えなくなりました。
『私』は、これからどうなるのでしょうか。
徐々に、『私』の精神が、体が、消えていくのがわかります。
私はもう、消えてしまったのでしょうか。
*
球の規模は徐々に広がっていく。瓦礫を、ISや人の残骸を飲み込み、ゆっくりと、侵食を進める。
千冬に為す術はなかった。
ありとあらゆるものが吸収されていく。近づくことなどできやしない。
ただ、様子を見ることしかできなかった。
いつの間にか、三つあったはずの人型は、二つになっていた。
二つ存在していた背の高い影の変わりに、少しだけ背の高い影が生まれていた。
球の規模が広がると同時に、その影は成長していく。
「これは、私達だ。」と、千冬は確信した。
胸に穴の空いているのが一夏。そのとなりが私・・・。
ならば、次に起こることは、わかっていた。
一夏の胸の穴は、成長するごとに徐々に広がっていく。
そして、一夏であろう影が、中学生ほどに達した頃。
千冬の影が、消えた。
千冬の影が消え、一夏の胸の穴は更に広がり、闇を纏った。
織斑千冬は、自然と涙をこぼしていた。
私は最初、生計をたてることしか考えていなかった。
生計をたて、一夏には良い暮らしをさせたかった。
だが、生計を十分にたてられるようになっても、私は一夏より、ISを選んだ。
私は、自分の『才能』に溺れていたんだ。
モンド・グロッソで優勝し、世界から光を浴びた。白騎士事件とは違い、私自身へと向けられた光。
酔っていたんだ。私に。力に。
その結果として、一夏を失ってしまった。私にとっても。一夏にとっても。
全て、私が悪かったんだ。
千冬は、《白騎士》のエネルギーを全てのシールドに回し、球へと一歩踏み出した。
爪先が球に触れると、黒電が大きな音を立て、千冬の侵入を拒んだ。
「一夏っ!!」
聞こえるかどうかも解らないが、千冬は叫んだ。
一瞬、走る黒電が弱まった。
千冬は、意を決し、球の中へと脚を踏み入れた。
*
その様子を、不機嫌に見つめる姿があった。
スコール・ミュゼール。
金色のISを身に纏い、高くから球を見下ろしていた。
*
球が私を拒み、反発力を強める。
少し油断をすれば、弾き出されてしまいそうだ。
織斑千冬は、一歩、また一歩と、一夏に近づいた。
一夏の影は、いつの間にか三つに増えていた。
保育園児程の影、中学生程の影、高校生程の影。どれも、胸に穴を開けていた。
近づく度に、反発力は強くなっていく。
じきに、白騎士のシールドエネルギーの消費が《絢爛舞踏》を上回った。
シールドが徐々に縮小していく。
肩部装甲がシールドから外れ、球に飲み込まれ、消える。
織斑千冬はもう、進むことができなくなった。
*
『私』の視界は、もう自分の指先も見えないほど《闇》に呑まれていました。
――もう、お仕舞いなのかな。
そんな考えがよぎった矢先。《闇》が支配していた眼に、光が入った。
とても、わずかな光。だけど、確かに暖かさを『私』に届けてくれている。
『私』は、この暖かさを知っている。
これは、お姉ちゃんの暖かさ――。
『私』は、闇を探りながらゆっくりと、光に向かって歩きだした。
*
白騎士にはもう、限界が来ていた。
《絢爛舞踏》の光も弱まり、球の力にも打ち負け、徐々に後ろへと押されている。
織斑千冬が限界を感じた時。
真ん中の、中学生程の影が、千冬に向かって一歩、踏み出した。
後書き
物語を考える→書き込む→考えていたものと別物になる→( ; ゜Д゜)←ずっとここ
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