FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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そして俺たちは頂上を目指す
妖精の尻尾にて・・・第三者side
「ギルダーツの奴、フィオーレ一のギルドって・・・」
「さすがに話でかすぎだっつうの」
ギルダーツの手紙を聞いたウォーレン、マックスがそう言う。
「そんなことはなかろう。上昇思考は良いことだ」
そんな2人にエルザがそう言う。
「7年前ならな」
「でも今は違う」
「剣咬の虎はもちろん」
「ラミアや天馬だって7年前とは比べ物にならない強大なギルドになってるんです」
「でっかいギルドよ!!」
エルザに天狼組じゃないギルドのメンバーたちが今のフィオーレ王国の力のあるギルドについて説明していく。
「それに比べてうちは主要メンバーが戻ったとはいえ・・・」
「天狼組の魔力は実質7年前のまま」
「うっ・・・」
「「大丈夫!!レビィは俺が守るから!!」
ビジターとラキの言葉を聞いたレビィは苦い顔をするが、ジェットとドロイがそう言う。
「この7年の差は埋めようがねぇよ」
「個人の魔力をとっても、ギルドの総合力をとっても、フィオーレーとはとても・・・」
マカオとワカバも今のギルドの状態では上にいくのは難しいと考えているようだ。
「なるほど。昔のように戻るには時間がかかりそうだな」
エルザもみんなの話を聞いてフィオーレーのギルドになるのがいかに大変なことかを理解したようだ。
それを聞いたロメオが机の上に立って話し出す。
「俺はもう7年も待った!!時間なんかかけたくねぇよエルザ姉!!」
「ロメオ!!」
マカオが怒鳴るがロメオは気にすることなく話を続ける。
「すぐにNo.1になれる方法が1つだけあるんだ」
「なっ!?」
「ま・・・まさか・・・」
「それは・・・」
ロメオの言ったNo.1になれる方法が何か分かったウォーレンたちは表情をひきつらせる。
「ダメだ!!あれには絶対参加しねぇって決めただろ!!」
マカオが席を立ち上がってロメオに言う。
「あれってなんじゃね?四代目」
ロメオたちが何のことか言っているのかわからないマカロフはマカオに質問する。
「その呼び方やめてくんねぇかな?六代目」
マカオは四代目と呼ばれるのが慣れないのか嫌がっていた。
シリルside
「あのばーさんがグランディーネ?」
「ウェンディが探してるドラゴンと同じ声?」
ウェンディの話を聞いてグレイさん、ルーシィさんが驚いている。
「それってどういうこと?」
「さぁ?」
「知らないわよ」
ハッピーが意味がわからずにセシリーとシャルルに聞くが2人もよくわかっておらずそう答える。
「ウェンディ、本当か?」
「・・・わかりません。でも、あの匂い・・・あの声・・・私のお母さん、天竜グランディーネと同じなんです」
「俺もポーリュシカさんに会った時に同じように感じましたよ」
懐かしさで涙を流しているウェンディをあやしながら俺も答える。
「こいつは確かめに戻る必要があるな」
「待てよ」
ナツさんがポーリュシカさんの元に歩き出したがグレイさんがそれを止める。
「もしグランディーネが人間に化けてるにしても、少しおかしくねぇか?」
「そうだよ。ナツやシリルやウェンディ、ついでにガジルも。あんたたちのドラゴンが姿を消したのって確か7年前・・・正確には14年前、777年。ポーリュシカさんってそれよりずっと前からマスターと知り合いなのよ。つまりドラゴンがいた時代とボーリュシカさんがいた時代が被るじゃない!これじゃあ辻褄があわないわ!同一人物のはずがない」
ルーシィさんがグレイさんの感じたおかしな点を説明してくれる。
「生まれ変わりとか化けてるって線は薄そうだな」
「うん」
グレイさんとルーシィさんがそう言う。ナツさんはどういうことかわかってないような顔をしているが・・・
「確かに落ち着いて考えてみればそうなんです、おかしいんです。声や匂いが同じでも口調や雰囲気が全然違う・・・」
「それに、ポーリュシカさんは人間が嫌いって言ってましたけど」
「あんたたち言ってたもんね、グランディーネとヴァッサボーネは人間が好きって」
「どうしよう、猫は嫌いだったら」
「食べられちゃうかな~?」
ウェンディと俺は知っているグランディーネとポーリュシカさんの違いをあげる、ハッピーとセシリーは変な心配してるけど、それも問題ないと思うけどね。
「大丈夫だよ、絶対食べられたりしないから」
「グランディーネとヴァッサボーネは優しいドラゴンなんです」
俺とウェンディは立ち上がってそう言う。
「優しいドラゴンってのも想像できねぇなぁ」
「アクノロギアを見ちゃったからねぇ」
「イグニールも優しいぞ」
たぶんヴァッサボーネやグランディーネ、イグニールは人間が好きで滅竜魔法を教えてくれたから優しいドラゴンだってのはわかるけど、アクノロギアは違うから俺たちにあんな風に攻撃できたんだと思うなぁ。
「優しくなくて悪かったね!!」
「「!!」」
俺たちがドラゴンは優しいという話をしていると、グレイさんとルーシィさんの後ろからボーリュシカさんが現れる。
「ポーリュシカさん!!」
「びっくりした・・・」
ルーシィさんとグレイさんはポーリュシカさんの突然の登場にそう言う。
ウェンディはそのポーリュシカさんの元へと近づいていく。
「隠しておくこともないしね。あんたらだけに話しておくよ」
ポーリュシカさんには何か秘密があるのかな?もしかしてグランディーネと何か関わりがあるのかも・・・
「私はあんたが探しているグランディーネじゃない。正真正銘人間だよ」
「あっ・・・」
ポーリュシカさんに否定されたウェンディは涙目になっていた。でも、だったらなんで匂いや声が一緒なんだろう?
「でも人間嫌いって」
「んんん!!人間が人間嫌いで文句あんのかい!?」
「いいえ!!」
ポーリュシカさんに怒鳴られたナツさんはビビってそう言う。ナツさんをビビらせるなんてただ者じゃないですね。
「悪いけどドラゴンの居場所は知らない。私とドラゴンとは直接には何の関係もないんだ」
ポーリュシカさんはそう言う。“直接”には?
「じゃああなたは一体・・・」
「こことは違うもう1つの世界、エドラスのことは知ってるね?あんたらもエドラスでの自分に会ったと聞いてるよ」
ボーリュシカさんの言わんとすることが何となくだが分かったかも知れない。
「エドラスって・・・」
「まさか・・・」
「え?何?」
「ウソ・・・」
「?」
「へ?」
グレイさんとルーシィさん、シャルルも俺同様に気づいたみたいだ。ナツさんとハッピーとセシリーはイマイチわかってないみたいだけど。
「アースランドの人間から見た言い方をすれば、私はエドラスのグランディーネということになる。何十年も前にこっちの世界に迷い込んだんだ」
ポーリュシカさんらは淡々と俺たちにそう告げる。
「「「「「「「「どひゃぁーーー!!!!」」」」」」」」
ポーリュシカさんの言葉に俺たちは驚きの声を上げた。
「エドグランディーネ!?」
「向こうでは人間なんだ!!」
「びっくり~!!」
シャルル、ハッピー、セシリーかエドラスのグランディーネが人間だと知りびっくりしていた。
「・・・」
ウェンディはエドラスの人とは言え、グランディーネに会えたのが嬉しいのか、ただじっとポーリュシカさんを見つめていた。
「ひょんなことからマカロフに助けられてねぇ。私、すっかりアースランドが気に入っちゃったもんだから、エドラスに帰れるチャンスは何度かあったんだけど私は、ここに残ることにした」
「もしかしてイグニールやヴァッサボーネ、メタリカーナも向こうじゃ人間なのか!?つーかこっちにいるのか!?」
ナツさんは自分の親がエドラスではどんななのか気になってそう質問する。
「イグニールってのとメタリカーナってのは知らないよ。会ったこともない。けど、ヴァッサボーネはこっちの世界に来ているよ」
「!!」
俺はそれを聞いて驚く。エドラスのヴァッサボーネがこっちに来ている?
「どこにいるんですか!?」
「さぁ。もう何年も会ってないからね。第一、私とあいつはそんなに親しいわけでもないし」
ポーリュシカさんはそう言う。エドラスでは色々と逆だったけど、グランディーネとヴァッサボーネが仲が悪いのか。俺らの知ってる2人はいつも一緒にいるくらい仲良しだったのに。
「それと、私は天竜と、あいつは水竜と話したことがあるよ」
「「え!?」」
ポーリュシカさんがグランディーネと話したことがある!?
「会ったわけじゃない。魔法かなんかで、私たちの心に語りかけてきたんだよ」
だから直接には関わりがなく、居場所もわからないか・・・でも話したことがあるなんて、どんな話をしたのかな?
「あんたら、強くなりたいって言ってたね?そのウェンディって子とシリルって子なら、なんとかなるかもしれないよ」
ポーリュシカさんはそう言って2冊の冊子のようなものを俺とウェンディに差し出す。
「こっちは天竜には言われた通りに書き上げた魔法書、これはヴァッサボーネが水竜に言われた通りに書いたものらしいよ」
ウェンディと俺はその魔法書をポーリュシカさんからもらう。
「2つの天空魔法、“ミルキーウェイ”“照破・天空穿”あんたに教えそびれた滅竜奥義だそうだ」
「グランディーネが私に・・・」
ウェンディは渡された冊子を見てそう呟く。
「水竜のは後半部分はあんたに教えた滅竜奥義に少しアレンジを加えたものらしい。ただ、前半部分は意味がないものらしいよ」
「意味がない?」
俺はどういうことかわからずにポーリュシカさんに問いかける。
「水竜自らが隠した水の滅竜魔法の魔水晶の使い方を記しているらしい。だけど、ヴァッサボーネはその魔水晶を若い男に騙されて盗まれてしまったらしい。その責任を感じてか私にこの冊子を預けてどこかに雲隠れしてしまったよ」
間違いない。その男カミューニさんだわ。
「それなら心配ないです。その若い男の人からその魔水晶いただいたので」
俺は自分の目を指さし、軽く光らせてみせる。それを見たボーリュシカさんは少し安心したような顔をしていた。
「それはよかったね。その魔法はかなりの高難度だ。無理して体を壊すんじゃないよ」
ポーリュシカさんはそう言い残してその場を立ち去る。俺とウェンディはそのあとを追う。
「ありがとうございます!!ポーリュシカさん!!」
「絶対覚えてみせますから!!」
「「グランディーネ!!」」
俺とウェンディは頭を下げてそう言う。エドラスのとはいえ、会いたかったグランディーネに会えたんだ。俺とウェンディは嬉しくて、笑顔でそう叫んでいた。
しばらくして・・・
「ただいまー」
「お!帰ったのか」
俺たちがギルドに戻ってくると、気づいたマックスさんがこちらを振り向く。
「いい薬はもらえたのか?」
「ウェンディとシリルだけね」
「「えへへへ」」
俺とウェンディは笑顔で答える。しかし、ギルドの様子がいつにも増しておかしいことに気づく。
「父ちゃんにはもう決める権限ねぇだろ!?マスターじゃねぇんだから!!」
「俺はギルドの一員として言ってんの!!」
ロメオとマカオさんが何やら言い争っている。どうしたのかな?
「何の騒ぎだ?」
「親子喧嘩にしか見えないけど」
「ていうか服は~?」
グレイさんもその様子を不信に思ったが、シャルルの言う通り親子喧嘩にしか見えないのも事実。というか服を着てください。
「出たくない人!!は~い!!」
「「「「は~い!!」」」」
「あれだけはもう勘弁してくれ」
「生き恥を晒すようなものよ」
ロメオ以外の7年間ギルドに残っていた皆さんが手をあげてそう言う。ついでにアスカちゃんも手をあげてるけど、何の話?
「だけど今回は天狼組がいる!!ナツ兄やエルザ姉がいるんだぜ!?妖精の尻尾が負けるもんか!!」
それでもロメオは一人皆さんを説得しようとしている。
「けど天狼組には7年のブランクがだなぁ・・・」
「うっ・・・」
「レビィはそのままでいいんだよぉ」
ウォーレンさんの痛い一言をレビィさんが気にしているとドロイさんがそう言う。そのままでいいわけはないと思いますけど。
「さっきから出るとか出ねぇとか何の話だよ」
ついにナツさんが何の話をしているのかを聞くことにした。
「ナツ兄たちのいない間にフィオーレーのギルドを決める祭りが出来たんだ」
「うおー!!」
「そりゃあ面白そうだな!!」
ロメオから祭りと聞いたハッピーとナツさんは盛り上がる。
「フィオーレ中のギルドが集まって、魔力を競い合うんだ。その名も、
大魔闘演舞!!」
ロメオは指をたてて声高らかにそう言った。
「おおおお!!」
「大魔闘演舞!!」
「楽しそうですね!!」
「だな!!」
「まさに祭りってわけか」
ナツさん、ルーシィさん、ウェンディ、俺、グレイさんも面白そうと思いテンションが上がる。
「なるほど。現在フィオーレーと言われているギルドは剣咬の虎だったな」
「そう!!剣咬の虎を倒して優勝すれば、フィオーレーのギルドになれるんだ!!」
「「「「「「オオッ!!」」」」」」
その言葉を聞いて天狼組はにわかに騒ぎ出す。
「しかしぃ・・・今のお前らの実力でそんなことが可能かのぅ・・・」
「そうだ!!そうなんだよ!!」
マスターが顎に手を当てて悩ましげに言い、マカオさんがそれに乗っかる。
「優勝したら、ギルドに賞金3000万J入るんだぜ?」
「出る!!」
「マスター!!」
ロメオに賞金が出ることを言われたマスターは手のひらを返して参加に賛成することとなった。
「無理だよ!!天馬やラミア」
「敵は剣咬の虎だけじゃないんだ!!」
「ちなみに、過去の祭りじゃ俺たちずっと最下位だぜ?」
「威張んなよ」
ジェットさんたちはなおも出ることに難色を示している。うちはずっと最下位だったからフィオーレー弱いギルドなのか。
「そんなもん!!全部蹴散らしてくれるわい!!」
「剣咬の虎か、燃えてきたぞ!!」
「やかましい」
マスターはシャドーボクシングを始め気合いを入れ、ナツさんは文字通り燃えている。
「その大会いつやるんだよ?」
「3か月後だよ」
「十分だ。それまでに鍛え直して妖精の尻尾をもう一度フィオーレーのギルドにしてやる!!」
ナツさんは拳と手のひらをぶつけてそう言う。
「いいねぇ」
「うん!!みんなの力を1つにすれば・・・」
「出来ないことはない」
グレイさんたちも妖精の尻尾をフィオーレーのギルドにするために気合い十分だ、
「グランディーネからもらった魔法、それまでに覚えないと!!」
「俺も魔水晶の使い方と新しい魔法を確実に覚えるぞ!!」
ウェンディと俺はさっきボーリュシカさんからもらった魔法書を見てそう言う。
「祭りだよ!!シャルル!!セシリー!!」
「このギルドは年中そうでしょ?」
「でもでもすごく楽しみだよ~!!」
ハッピーとセシリーは踊り、シャルルは一人冷静にそう言う。
「漢!!祭りといえば漢だぁ!!」
「ギルダーツの願い、案外すぐに達成できそうじゃない?」
エルフマンさんとカナさんがそう言う。
「マジかよ・・・」
「本気で出るのか?」
「いいじゃん、出てみれば」
「や・・・やめといた方が・・・」
それでもドロイさんたちはあくまで参加に賛成しようとしない。
「ナツが考えてるようなバトル祭りとはちょっと違うのよ」
「え?違うの?」
ビスカさんに言われてナツさんは心底驚いている。
「地獄さ」
ウォーレンさんは腕を組み一言だけ言う。でも、逆にその方がなんか燃えてきますよ!!
「出ると決めたからにはとやかく言っても仕方あるまい!!目指せ3000・・・目指せフィオーレー!!チーム妖精の尻尾、大魔闘演舞に参戦じゃ!!」
「「「「「「「「「「《オオオッ!!!」」」」」」」」」」
マスターの声に俺たちは腕を掲げて答える。大会まで3ヶ月、それまでに必ずこの魔法書の魔法を使いこなしてみせるぞ!!
後書き
いかがだったでしょうか。
カミューニが過去で話していた魔水晶をくれた男は実はエドラスのヴァッサボーネでした。
たぶん読んでいた人の中でも薄々気づいていた方もいるでしょうが・・・
次回は海合宿です。
次回もよろしくお願いします。
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