ドリトル先生と森の狼達
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第七幕その一
第七幕 ニホンオオカミ
先生達は森の中で狼さんから直接お話を聞きました、そして。
そのお話の中で、です。トミーが先生に言いました。
「先生がお話してくれて時間にもあった通り大きさは」
「普通の狼君達に比べてだね」
「小さいですね」
「そうなんだ、森林地帯に住んでいるからね」
「しかも山の」
「だからね」
それでというのです。
「他の日本の生きものと一緒でね」
「ニホンオオカミは小型なんですね」
「そうだよ」
「そうなんですね」
「うん、あとね」
「あと?」
「ニホンオオカミは普通の狼とは違うんだ」
「っていいいますと」
トミーは先生に尋ねました。
「ニホンオオカミと他の狼との違いは」
「ユーラシアや北米のハイイロオオカミとはかなり前に分かれているかそもそも別系統の狼じゃないかとも言われているんだ」
「狼は狼でもですか」
「うん、かなり違うんだ」
「そうなんですね」
「日本は大陸から離れた島国だね」
「はい」
「だから生態系も島国になった時にね」
まさにその時にというのです。
「分かれて独特なものになって」
「ニホンオオカミもですか」
「かなり独特なものになったんだ、その証拠として」
ここで先生は狼さんの頭を見て言いました。
「頭骨、頭の骨が他の狼とは六つ程違うところがあるんだ」
「へえ、そうなんだね」
王子は先生のお話を聞いて目を丸くさせました。皆車座に座ってお話しています。
「それはまた」
「こうしたことがあるんだ」
「ううん、じゃあかなり特別な狼なんだね」
「まさに日本の狼なんだ」
「日本の自然の中で育った」
「そうした狼なんだ」
「そういえば日本の自然は」
王子は今回の調査で観てきたものを思い出しました。
「かなり独特で」
「そうだね」
「他の生きものもそうで」
「もっと言えば植物もね」
「それで狼もなんだ」
「そうだったんだ、だからニホンオオカミはそうした意味でも非常に貴重な種類なんだ」
かなり特別な種類の狼であり日本独特の生態系を表している生きものの一つでもあるからだというのです。
「だからいなくなったことが残念だったけれど」
「まさかですね」
「こうして僕達が会うなんてね」
「凄いことになりましたね」
「想像もしていなかったよ、僕も」
トミーと王子も言うのでした。
「まさに世紀の発見ですね」
「そう言っていいよね」
「うん、僕も嬉しいよ。ただね」
ここで、です。先生は皆にこうしたことを言うのでした。
「もっと狼君達のことを知りたいけれど」
「じゃあ群れに来るかな」
「そうしていいんだね」
「是非ね、先生ならね」
是非にとです、狼さんも答えます。
「お話させてもらうよ」
「有り難う、ただね」
「さっきから妙に考えてない?先生」
「君達のことでね」
「僕達のことで」
「うん、君達がいることはわかったよ」
まだ絶滅していなくて、です。日本に生息していることがです。
「ただ、そのことを公にするかどうかだよ」
「あれっ、これって凄い発見だよ」
「僕が発見されたのと同じでね」
オシツオサレツが先生に二つの頭で言ってきました。
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