オズのカエルマン
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第六幕その七
「あの鍋は食べられません」
「極端に辛いからね、火鍋は」
「タイ料理も辛いけれど」
ジョージはこの国のお料理をここで思い出しました。
「火鍋はもっとなんだ」
「うん、ジョージも四川料理は知ってるよね」
「知ってるよ、アメリカのチャイナタウンでも四川料理のお店があるから」
「食べたことあるんだね」
「あるけれど辛いね」
「その四川料理の中でもですから」
ジョージにも言うのでした。
「お勧め出来ないよ」
「そうなんだね」
「辛いにも限度があるから」
「カレーよりも辛いんだ」
カルロスはこのお料理をここでお話に出しました。
「あれよりも」
「もっとだよ」
「もっとなんだ」
「本当に火を吹く位辛いから」
「本当にって」
「それはかなりね」
恵梨香とナターシャも神宝のお話に驚いてです、女の子二人でお話します。
「じゃあちょっとね」
「食べるのは止めた方がいいわね」
「うん、絶対にだよ」
神宝は女の子二人にも言います、忠告めいた口調になっています。
「あれだけはお勧め出来ないよ」
「じゃあ普通のお鍋でいくべきだね」
こう言ったのはカエルマンでした。
「やっぱりね」
「普通の、ですか」
「中華料理のね」
「じゃあ鶏ガラとかの」
「そのスープでいこう」
「わかりました、それじゃあ」
こうしてです、魔法使いはお鍋に鶏ガラのスープを出してそこに茸やお野菜、それに鶏肉を入れてでした。
生姜やお葱といった薬味も入れてでした、出来たところで。
皆で食べようとです、お箸とお碗も出しました。しかしここで。
ふとです、何処からか声がしてきました。
「美味しい匂いがするな」
「あっ、その声は」
カエルマンはその声に反応します。
「来たんだね」
「そうさ、この村のリーダーさ」
こう言ってです、出て来たのは。
豹でした。豹は素早いしなやかな動きで皆のところに来てでした、一旦毛づくろいを軽くしてから皆に言いました。
「これから皆で美味いものを食うんだな」
「うん、そうだよ」
カエルマンは豹に明るく答えました。
「丁渡今出来たところだよ」
「それは何よりだな」
「君もどうだい?」
カエルマンは豹も御飯に誘いました。
「それで」
「そうしていいかい?」
「遠慮は無用だよ」
「実は俺はまだ昼飯を食っていない」
「じゃあ丁渡いいね」
「いやいや、あんた達にご馳走になるのはいいが」
ここでこんなことを言う豹でした。
「俺が何も出さないのはよくない」
「そうした遠慮もいらないよ」
「だから俺はこの森のリーダーだからな」
「リーダーだからだね」
「そうさ、だからな」
「何か出してくれるのかな」
「ちょっと待ってくれよ」
こう言ってです、すぐにでした。
豹は皆の傍にあった木に飛び上がりました、そしてです。
すぐに美味しそうな果物を持って来ました、それは幾つもありました。
その果物を見てです、恵梨香は目を丸くさせて言いました。
「柿?」
「ああ、そうさ」
「紫だけれど」
色はギリキンのものです、ですがそれでもでした。
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