FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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時のスパイラル
しばらくして・・・シリルside
「メェーン!!ルーシィさんとナツくんは、この一夜と、妖精の尻尾選抜メンバーが、必ず救い出す!!」
俺たちはクリスティーナ改の修繕が終わり、現在はクリスティーナ改のデッキの部分にいる。一夜さんは天馬の頭の部分に立っており、そう言った。
「それが漢!!俺たちを行かせようとレーサーに立ち向かった姉ちゃんのためにも!!」
「今行くぞ、ルーシィ、ナツ」
エルフマンさんとエルザさんもただ一点、無限時計だけを見据えてそう言う。
「二人は大丈夫かな?」
皆さん気合いの入っている、ウェンディだけは二人のことを心配している。
「絶対大丈夫だよ!!」
そんなウェンディにハッピーが言う。
「どうしてそういい切れるのだ?」
「オイラ信じてるんだ。ナツは絶対大丈夫だって!!」
リリーの質問にハッピーは手をあげて答える。
「じゃあルーシィは?」
「ナツが大丈夫ならきっと大丈夫だよ!!」
「ハッピーらしい答えだね~」
シャルルがルーシィのことを聞くとハッピーはそう言い、それを聞いたセシリーが楽しそうに言う。
「ウェンディ、ナツさんとルーシィさんが大丈夫じゃないわけないだろ?」
俺はうつ向いているウェンディの肩に手を置き、そう言う。
「うん!!そうだよね!!」
ウェンディは顔を上げ、笑顔でそう言った。
「ああ、俺もそんな気がする」
「ミラも絶対大丈夫だ!!」
「そう信じるのが漢!!」
グレイさん、ウォーレンさん、エルフマンさんがそう言う。皆さん、仲間を信じて疑わないのが妖精の尻尾のいいところだよなぁ。
「めでてぇ奴らだぜ」
ガジルさんは一人冷静にそう言うけど、ナツさんの強さはガジルさんもわかってるし、実は内心では 二人が無事なのを信じてる気がする。
「我がギルドが大陸に誇る天馬!!魔導爆撃挺クリスティーナ改よ、ゼントピア大聖殿へはもう少しだぁ!!メェーン!!」
先頭に立っている一夜さんがその視界にゼントピアを捉えたようだ。
俺も少し前に行き前を見る。そこには、ゼントピア大聖殿とその上にある無限時計が見えた。
「あれが・・・」
「やたらでけぇなぁ・・・」
エルフマンさんの言う通り、無限時計はもはや時計ってレベルじゃなく大きい。あれって本当に時計なのか?
「ん?」
俺は途中であるものを見つけた。それは、評議院の検束部隊が大砲を構えて無限時計から下ろされている鎖を撃とうとしていたようだった。
「あんなので意味あるのかな?」
俺は目を使ってその様子を見てみることにした。すると、隊長らしき人物が大砲を放とうと合図しようとした時、その隊長が子供になってしまった。
「なっ!?」
「どうしたの?シリル」
思わず声を出した俺を心配したウェンディが声をかけてくれるが、俺は「大丈夫。何でもない」とだけいい、その続きを見てみることにした。
すると、大砲から放たれた砲丸が鎖に当たる直前に急に止まり、評議院の方へと戻っていき、落下した。
運良く評議院の人たちは避難できたらしく、誰もけが人はいないようだが・・・
「軍もかなり混乱しているな、メェーン」
「これも、リアルナイトメアによる影響か」
「そのようですね」
一夜さん、エルザさんの言葉に俺はうなずく。大人を子供にすることができるとは・・・俺とかウェンディ消えちゃうんじゃね?
「っざけんな!!こんなもん、てぇしたことはねぇ」
ガジルさんの声の後半が力なかったので、違和感を覚えた俺たちは後ろを向くと、そこには老人の姿になったガジルさんがいた。
「何それ!?」
「これは・・・」
驚く俺とエルザさん。そのおかしな現象は、違う人たちにも広がっていた。
「ふざけている場合か!!」
ウォーレンさんはエルフマンさんをも凌駕するほどの筋肉マンに、
「人のこと言えないだろお前」
グレイさんは何とも可愛らしい子供の姿に、
「それでも漢かぁ」
エルフマンさんは紙みたいに薄っぺらになっていた。声も全然力がねぇ!!
「ど・・・どうなってるんですか?」
なんだか大人びた綺麗な声が聞こえたと思い、俺がそちらを見ると、そこには大人になったウェンディがいた。
エドラスのグラマーなウェンディとは違う、スレンダー体型のウェンディが。
「・・・・・」
「どうしたの?シリル」
心配して顔を覗き込んでくるウェンディ。こんなの・・・こんなの・・・
「ありだと思う」
「そ・・・そう?」
エドラスのウェンディもよかったけど、こっちのウェンディもいいと思う。個人的な意見だけど。
「というかシリル・・・」
「何?」
ウェンディが俺のある一点を見つめて固まっている。すると、ウェンディは自分の胸を押さえる。
「なんで胸が大きくなってるの?」
「ええぇ!?」
言われてみて自分の体を触ってみると、エルザさん並みの大きな脂肪の塊が「脂肪って言うな!!」胸についており、お尻もなんだか大きくなっていた。そして、俺の大事なところがなくなってしまっていた。
「そんなバカなぁ!!」
思わず頭を抱えてしゃがみこむ俺。普段女の子に間違われるのはしょうがないと思うけど、本当に女の子になるのはダメだってぇ!!
「セシリー、あんたコアラになってるわよ」
「そういうシャルルはタヌキになっちゃってるし」
「ハッピーは犬になっているけどな」
「リリーは黒ウサギとか~。プププッ!!」
セシリーたちもそれぞれが猫ではない違う動物の姿に変わっていた。
「メェーン!!みんな、落ち着きたまえ!!」
そう言った一夜さんもめっちゃ細身の体型になっていた。顔はそのまんまだけど・・・
「もしかして、これがリアルナイトメアの影響?」
「えぇっ!?」
俺とウェンディは全員の姿が変わっているのを見て、二人とも胸を押さえたままそう言う。てかなんか動くと胸揺れて集中できないんですけど!!
「あれ?エルザさんだけ変わってないような・・・」
「本当だ?なんで?」
ウェンディと俺は何も変わっていないエルザさんを見てそう言う。
すると、エルザさんは換装し、ギルドで渡されたハンマーを取り出した。
「邪悪なものを寄せ付けないという、この古代の武器を使って、リアルナイトメアの波動を・・・絶ちきる!!」
エルザさんはそう言うと、叫びながら俺たちに走ってくる。嫌な予感が・・・
「「「「「「「「「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」」」」
「って、殴るのかよ!!」
エルザさんはハンマーで俺たちの頭を叩いたのだった。すると、叩かれた全員が元の姿に戻った。
「「「「「「「「「「戻った!!」」」」」」」」」」
やり方はどうあれ、戻ったことにひと安心。ちなみに一番嬉しいのは俺のような気がする。
「やった!!男に戻った!!」
さっきまでの女の子の体型じゃなく、元の男の体に戻れたことに俺は大喜び。二度とこんなことになってほしくないですな!!
「みんな!!気を引き締めろ!!ゼントピア大聖殿はもうすぐだからな!!」
エルザさんが頭を殴られて動けなくなっている俺たちにそう言う。というか、もう少し別の方法はなかったのかな?戻れたからいいんだけど。
しばらくして・・・
「妖精の尻尾だぁ!!大聖殿に近づけるなぁ!!」
大聖殿が目と鼻の先にまで見えてきたころ、かすかに大聖殿の方から声が聞こえる。そちらを目を使って見ると、魔法部隊と思われる奴らがこちらに攻撃しようとしていた。
「撃て!!撃てぇ!!」
魔法部隊は槍を構えると、そこから魔法弾が何発も連射されてくる。
「フフフッ。クリスティーナ改をナメるなよ!!」
しかし、それに気づいた一夜さんはそう言う。
「メェーン!!」
クリスティーナ改の船底についている大砲から砲丸が放たれ、それが魔法部隊に直撃した。
「うわ~!!」
「すっご~い!!」
大聖殿の方で魔法部隊がなぎ倒されるのを見てセシリーとハッピーがそう言う。
「メェン」
ちなみに攻撃を決めた一夜さんはドヤ顔でポーズ決めてます。一夜さんらしいです。
そんな一夜さんを横目に、俺は目を使って大聖殿の方を覗く。すると、バイロがこちらを見ているのを見つけた。
そのバイロが杖で何かを指示すると、後ろから巨大なタコがこちらに向かって飛んでくる。
「ちょっと!!タコがこっちに飛んで来ましたよ!!」
俺が慌てて一夜さんに状況を教えると、一夜さんはそのタコを冷静に視野の中に入れる。
「タコごときが、クリスティーナ改の敵ではない!!メェーン!!」
一夜さんのメェーンと同時に砲丸がタコに撃ち込まれ、クリーンヒットしたかに思えた。しかし、タコの頭に当たった砲丸は弾かれてしまい、タコにキズがついている様子はなかった。
「全部弾き返されちゃってるねぇ」
「こ・・・これは・・・」
ハッピーと一夜さんがそう言っている間にも、タコはこちらに近づいてくる。やがて、タコはクリスティーナ改に絡み付いてきた。
「危険な香り!!」
「船から叩き落とすんだ!!」
エルザさんの指示で俺たちはタコをクリスティーナ改から引き剥がそうと魔法で攻撃する。しかし、あまり効いているようには見えなかった。
すると、タコが口から墨を吐いて攻撃してくる。
「危ねぇ!!」
墨がこちらにも飛んできたので下がって避けたら、墨が落ちた場所が溶けてしまった。
「いかん!!このままでは、7年前の二の舞!!」
7年前のニルヴァーナの時に六魔将軍によって落とされたことを思い出す。あの時は誰も乗ってなかったからそこまで被害が出なかったけど、今回は一夜さんも俺たちも乗っている。これって不味いんじゃ・・・
「メェーン!!スパイラルアンカー射出!!」
すると、一夜さんはそのようなことを言う。それと同時にクリスティーナ改の至るところから鉤爪が現れ、タコを逃がすまいと縛る、
「このタコは、クリスティーナ改もろとも始末する。みんなはその前に脱出しろ!!」
一夜さんは天馬の頭から俺たちを見てそう言う。
「でも・・・それじゃあ一夜さんが・・・」
「いいから行くんだ!!」
ウェンディが一夜さんの心配をするが、一夜さんは俺たちに背を向ける。その背中は、俺たちにただ1つ、「仲間を助けろ」と言っているような気がした。
「「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」」
一夜さんのその姿に俺たちは言葉を失う。次第にクリスティーナ改は大聖殿へと近づいていく。
「みんな!!行くぞ!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」」
俺たちはクリスティーナ改から大聖殿に飛び移る。俺たちが飛んだのと同じぐらいのタイミングで、クリスティーナ改は羽が折れ、あらぬ方向へとフラフラと飛んでいく。
「行け・・・友よ・・・メェーン!!」
一夜さんを乗せたクリスティーナ改は、タコと共に大聖殿の下へと落ちていってしまった。
ドゴォン
クリスティーナ改が見えなくなったと思ったら、爆発音と黒い煙が俺たちのいるところから見える。
「「・・・・・」」
黒い煙を見て押し黙ってしまうウォーレンさんとガジルさん。
「「一夜さん・・・」」
俺とウェンディは落ちていった一夜さんを心配してそう呟く。
「あの野郎・・・カッコつけやがって!!」
グレイさんも落ちたクリスティーナ改の方を見てそう言う。
「漢の中の漢!!」
エルフマンさんは一夜さんの男気に涙を流している。
「どんなに危険な目に会っても、しぶとく生き延びるのが一夜だ。我々は、ナツとルーシィを助けに行くぞ!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」」
エルザさんの言葉に力強く返事をした俺たち。俺たちは一夜さんの思いも受け継ぎ、大聖殿へと向かって進み続けた。
数分後・・・
「着いたようだな」
「ですね」
俺たちはようやく壁を登り切り、大聖殿へと侵入した。
「!!」
俺たちがナツさんたちを探そうと走っていると、ウォーレンさんが突然立ち止まる。
「どうした?」
「ギルダーツの声が届いた!!」
ウォーレンさんは念話によって、先にこちらに来ていたギルダーツさんから情報が入ったらしい。
「大司教は枢機卿のラポワントに、操られていたらしい!!」
「何!?」
ウォーレンさんの言葉に俺たちは驚く。
「それと、ナツがラポワントのことをマスターゼロがどうのこうのって・・・」
「マスターゼロだと!?」
俺たちはマスターゼロという言葉に反応する。六魔将軍のマスターまで出てきたのか?
「急いでギルダーツのところに向かうぞ!!」
「「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」」
俺たちは事情を知るため、ギルダーツさんたちがいる大司教の部屋へと向かった。
後書き
いかがだったでしょうか。
個人的にはリアルナイトメアのウェンディもありのような気がするのでシリルにもそうなってもらいました。
次回もよろしくお願いします。
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