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ロンリーファイター

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第四章

「明日は晴れて欲しいな」
「ですね。ボーナスが出ても」
「単独出撃は勇気がいりますよ」
 二人もこうブロッサムに答えた。
「列車砲に高射砲を幾つか潰したのは手柄でも」
「今日は夜間戦闘機が出ませんでしたから」
 ドイツ軍のだ。
「天候が悪いせいもありますけれど」
「それはよかったですが」
「明日出ることになって明日もとは限らないですからね」
「早く晴れて欲しいですね」
「全くだ、晴れろよ」
 ブロッサムは上を見上げて祈る様に言った。
「そうしたら単独出撃もなくなるからな」
「神様が俺達に味方してくれて」
「明日は晴れたらいいですね」
 二人もブロッサムに応えつつそれぞれのベッドに戻って寝た、だが次の日もだった。
 天候が悪く三人は出撃することになった、ブロッサムはこの日も夜の空を一機で飛びながらそのうえでエリックとクローリーに言った。
「おい、今日もだけれどな」
「はい、嬉しいですね」
「手柄を立てるチャンスですね」 
 二人はブロッサムの言葉にいささかシニカルに返した。
「じゃあやりますか」
「今日も精々頑張りましょう」
「晴れないな」
 昼にとだ、ブロッサムはいささかうんざりとして言った。
「フランスの空は」
「ですね、ドイツとの境の方は」
「冬は天気が悪いみたいですね」
「雨なんか降ってくれて」
「雪でないだけましですかね」
「雪なら完全にアウトだ」
 ブロッサムは機首の窓を濡らす雨を見つつ二人にこうも言った。
「俺達も出られない」
「ですね、包囲されている部隊への空輸も出来ていなくて」
「完全にお手上げでしたね」
「そうだ、そっちの部隊へのクリスマスプレゼントなんて無理だった」
 その空輸がプレゼントである。
「とてもな」
「けれど雪なら俺達も出撃していなかった」
「そうも言えますね」
「まあそうだな、けれど戦線は洒落になっていないことになっていた」
「それこそ今以上にですね」
「ドイツ軍に押されていましたね」
「流石に俺達の基地にまで来るとは思わないけれどな」
 ブロッサムもそこまではないと思っていた、だがだった。
「もっとやられていたな」
「じゃあまた雨だからですね」
「いいんですね」
「俺達は出撃していても」
「それでもですね」
「そうだ、まあプラスに考えていかないとな」 
 マイナスに考えても気が滅入るばかりだ、ブロッサムはそう思って二人に対してあえてこうも言ったのである。
「じゃあいいな」
「はい、攻撃をしてですね」
「それで敵にダメージを与えましょう」
 空からの夜間攻撃でだ、エリックとクローリーも応えてだった。
 敵軍の上に来た、今日も爆弾を投下したがここでだった。
 レーダーに反応があった、その方を見てだった。エリックはブロッサムに対して顔を顰めさせてこう言った。
「中尉、来ましたよ」
「その口調からして味方じゃないな」
「敵です」
 こうブロッサムに答えた。
「どうしますか?」
「爆弾は落としたしな」
 それで下の機械化部隊の戦車や装甲車を数両まとめて吹き飛ばしはした。 
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