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メルヘン=ロケーション

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第三章

「捕まえてみる?私を」
「そうしていい?」
「捕まえられたらね」
 私は彼を誘う様にして言ってあげた、そしてだった。
 今度はメリーゴーランドに行って私は先の馬に乗って。
 彼は後の馬に乗った、そして手を差し出し合い握り合った。
 そのメリーゴーランドの後でだ、今度はお菓子の家に行った。童話のヘンゼルとグレーテルのお菓子の家そのままだった。
 中に入るとそこは喫茶店だった、彼が私に頼んでくれたものは。
「お菓子をふんだんに入れた」
「パフェだよ」
 それもかなり大きな。チョコレートにアイスクリーム、ポッキーが入っていてフルーツも一杯入っている。そのパフェをだった。
「お姫様にね」
「お菓子の家だからグレーテルでしょ」
「じゃあ僕は今度はヘンゼルかな」
「そうなるわよね」
「魔女は」
「いるじゃない」
 カウンターの娘が魔女の格好に扮している、その娘がまさにだった。
「あそこに」
「あっ、そうだね」
「もっとも悪いことはしないけれどね」
 子供を捕まえて食べようとすることは。
「魔女でもね」
「そうだね、悪いことをしない魔女だね」
「箒に乗って飛ぶこともしないけれど」
 箒は手に持っているけれどそれでもだ。
「魔女もいるわね」
「その魔女のお菓子の家の中でね」
「お菓子を一杯食べて」
「その次はね」
 彼もまた私にご馳走してくれたパフェを食べている、同じものを注文して。
 そのお菓子を食べた後で魔女の女の子にお勘定を払った。けれどこの魔女の人は別に子供を食べたりはしない。ごく普通の可愛い娘だった。
 そのお菓子の家を出たら今度は射的場だった、私はおもちゃの銃を手にして的を見て横にいる彼に言った。
「今度は」
「そう、狼を撃とう」
「赤頭巾ちゃんね」
「そうなるね」
「また童話ね」
「うん、けれどね」
「私が赤頭巾だとしても」
 この場合はそうなるので言った。
「撃つのね、狼を」
「二人でね」
「そこが違うわね」
「強い赤頭巾だね」
「ええ、ただ私銃は使えないけれど」
 それでもだった、私の場合は。
「若し狼がいたらね」
「やっつけるんだ」
「そうしたいわね」
「また随分と気が強いね」
「だって食べられるならね」
 それこそだった。
「その前によ」
「例え何も出来なくても」
「これでも学生時代は剣道してたから」
 二段だ、それなりの自信がある。
「刀あったら斬るわ」
「そうするんだ」
「食べられるなんて御免だから」
 それこそだ、本当にそうされるよりはなのが私だ。自分でもそのことはわかっている。
「だからね」
「そうするのね」
「そう、それでね」
 それでとまた言ってだ、そうして。
 的に狙いを定めて撃つ、けれどそれは外れて。
 彼が狙うと的を正確に撃った、彼は的を撃ったことを自分で確認してから私の方に顔を向けて笑顔でこう言った。 
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