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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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戦いの不協和音

「はぁ~あ、相性か・・・」

俺たちは目的地へと続く山を今は登っているのだが・・・

「あ~もう・・・足痛いんだけどぉ」

エバーグリーンさんが俺とマックスさんから少し遅れたところでそう言う。

「でも、しょうがないと思いますよ?」
「ああ。普通ヒールで山登らねぇだろ」

俺とマックスさんはエバーグリーンさんにそう言う。普通山道をヒールでなんか登らないでしょ?ゴツゴツしてるから足くじくかもしれないし。

「だって、妖精なんですもの」
「意味わかんねぇし」
「ははっ・・・」

エバーグリーンさんの発言に突っ込むマックスさんと苦笑いする俺。

「でも、なんでこんな組み合わせなんでしょうね?」
「確かになぁ・・・本当に大丈夫なのかよ、カナの占い」

俺とマックスさんも山を登りながら少し不安になっている。なんだか嫌な予感がするけど・・・
















一方、ギルドでは・・・

「ハックショイチクショイ!!」

シリルとマックスが噂をしていた頃、カナが大きなくしゃみをしている。

「ま~た誰かが私のこと褒めてる」
「いや・・・違うんじゃないか?」
「どういう意味よ!!」

カナが鼻をすすりながらそう言うと、アルザックがそれを否定する。

「しかし、この占い・・・本当に大丈夫なのか?」

ギルドに残ることになったエルザが机に広げられている今回のチーム分けに使われたカードを見てカナに問う。

「大丈夫だよ。なんたって私の占いだからね!!」

エルザの問いにカナは胸を張って答える。それを見たエルザは「そうか・・・」と小さく呟くが、その表情は何か違和感を抱えている。

(このチームわけ、何か嫌な予感がする・・・)

エルザは一抹の不安を拭いきれないまま、ギルドの中で全員が帰ってくるのを黙って待つことしかできなかった。





















「大丈夫か?ウェンディ」
「はい!!頑張ります!!」

一方、ビックスローとウェンディのペアは、シリルたちと同様に山を登っていた。

「この峠を越えれば、目的地はもうすぐだぜ」
「はい!!」

二人が話をしていると、突然空に黒雲が現れ、青空を覆い隠した。

「なんだ?ありゃ」
「嵐・・・」

二人はその黒い雲を見上げてそう言う。

「山の天気は変わりやすいって言うが」

ビックスローが何か言おうとしたが、突然前方から水が押し寄せてきて二人にぶつかる。その水はもはや雨とかいうレベルではなく、まるで洪水のような勢いだった。

「なんだこりゃ!?こりゃひどすぎだろ!?」
「昨日の空模様は・・・思い出せない」
「「!!」」

二人がなんとか水から脱出すると、二人の上から声が聞こえ、見上げる。
そこにいたのは、岩の上に佇んでいるエリゴールこと、グリムリーパーだった。

「グリムリーパーとかって奴か、歩く異常気象だな、まるで」
「元鉄の森(アイゼンヴァルト)のエリゴールさん・・・らしいですよ」

二人はグリムリーパーを見据えながらそんな会話をしている。

鉄の森(アイゼンヴァルト)・・・?エリゴール・・・知らんなぁ」

ウェンディの言葉を聞いたグリムリーパーはその単語に覚えがないようだ。

「なんだよてめぇは!物忘れがすぎるんじゃねぇか?」
「だが、次の気象はわかる」

グリムリーパーは鎌を構える。

「上方からの突風!!」

グリムリーパーがそう言うと、黒風からウェンディとビックスローに風が襲い掛かる。二人はそれを横にジャンプしてよける。

「うおっ!!」
「ええっ!?」

二人は風が落ちた地面を見て驚く。そこにはグリムリーパーの攻撃により、大きな穴が開いていたからだ。

「時々横からの竜巻」

グリムリーパーは鎌から黒い竜巻を出して二人を撃とうとする。しかし、それをビックスローは人形たちを使って防ぐ。

「自然現象に抗うとは・・・ハエでもそんな真似はせんだろうに」
「こいつ・・・」
「ビックスローさん、サポートします」

ウェンディはビックスローと自分にアームズをかける。

「よっしゃあ!!俺たちはハエじゃねぇ!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士をなめんなよ!!」

ビックスローとウェンディは岩の上に乗っているグリムリーパーに向かってジャンプする。

「下方からの、強風」

グリムリーパーが鎌を下から上に動かすと、ビックスローとウェンディの下から強い風が吹く。

「「っ!!」」

ウェンディたちは下からの風に気をとられてしまう。

「ふんっ」

グリムリーパーは鎌を降り下ろす。

「うおっ!!」
「きゃあああああ!!」

ウェンディとビックスローはグリムリーパーの鎌から放たれた強い風に押され、後ろの岩にぶつかる。

「どうした?口先だけか?」

グリムリーパーはウェンディたちを見下ろしそう言う。

「くそっ」
「今・・・治癒を」
「そんな暇はねぇ!!」

ビックスローとウェンディはなんとか立ち上がり、ウェンディはビックスローの治癒をしようとする。しかし、ビックスローはそれを止める。
その間に、グリムリーパーは鎌を高々と掲げる。

「あれは・・・」

グリムリーパーが鎌を上げた時、上空の雲から雷が落ち始める。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)・・・思い出せん。だが、次の気象はわかる」

突然、ウェンディたちに吹く風が威力を増す。

「嵐だ嵐だ!!前方からの嵐!!」

エリゴールはそう言い、鎌から雷を纏った黒い風を打ち出す。

「私が食い止めます!!天竜の、咆哮!!」

ウェンディはビックスローの前に立ち、勢いよくブレスを放ち打ち消す。

「あいつの魂・・・なんだありゃ?」

ビックスローは仮面の下で目を使い、グリムリーパーの魂を見ている。その魂には、何やらおかしな点があるようだ。

「のち後方からの雷」

凄まじい音と共に空から落ちた雷がウェンディたちを襲う。しかし、その攻撃はビックスローの人形によって塞がれる。ガードした人形たちは、力を失ったのか、地面へと落ちてしまった。

「かかったな!!」
「え?」

笑みを浮かべるビックスローと何がなんだかわかっていないウェンディ。

「すでに別の人形に魂を移しておいたぜ!!」

グリムリーパーの周りには、ビックスローが操っている人形が囲んでいた。

「食らいやがれ!!零距離バリオンフォーメーション!!」

ビックスローは魔法陣を展開し、グリムリーパーを狙い打つ。
しかし、その攻撃はグリムリーパーには当たらなかった。

「そんな!?」
「飛べるなんて卑怯だぞコラァ!!」

そう、グリムリーパーはビックスローの攻撃を空を飛んでかわしたのだった。

「そのようだなぁ、忘れていた」

グリムリーパーは自分が空を飛べることを忘れていたらしく、驚いていた。
グリムリーパーは先程までとは違う岩へと降り、ウェンディたちを見据える。

「ところでお前たちは誰だ?」
「おいおい・・・」
「もう忘れられてますよ私たち・・・」

グリムリーパーのあまりの物忘れの激しさにウェンディたちはあきれるしかなかった。
その間にも、グリムリーパーは鎌を振り、ウェンディたちを攻撃する。

「天竜の翼撃!!」

ウェンディはグリムリーパーの攻撃に対し、同じく攻撃で対抗する。

「気象を司る俺に風系統の魔法で挑むとは、身の程を知るがいい」

グリムリーパーはウェンディの翼撃を打ち消す風を生み出し、その風はウェンディたちに襲いかかった。

「うぅ・・・」
「ウェンディ!!危ねぇ!!」
「え!?」

ビックスローの声に驚いたウェンディは上空を見上げる。そこには、グリムリーパーの風によって運ばれてきた大量の牛が舞っていた。

「あわわわわ!!」
「強風による飛来物に注意」

グリムリーパーは風を弱め、ウェンディめがけて牛を落とした。

「くっ!!」
「きゃっ!!」

ビックスローは危ないととっさに判断すると、ウェンディを突き飛ばす。

「うご!!がっ!!うがっ!!ぎゃっ!!獣くせぇ!!」

ウェンディを助けたビックスローは、そのまま大量の牛の下敷きになってしまう。

「あ・・・そんな・・・私のせいで・・・」

助けられたウェンディは牛に押し潰されるビックスローの方を向く。そこには、山1つ分くらいはあるのではないかという程高い牛の山ができていた。

「ビックスローさーん!!」

ウェンディは大切な仲間の名前を叫んだが、ビックスローは返事をすることができなかった。

























その頃、シリルたちは・・・シリルside

「ねぇまだ~?」
「あと少しですよ」
「もうちょい頑張れ」

俺たちはまもなく目的の教会へと到着する。現在俺たちは、先頭が俺でそこから少し離れたところにマックスさん、またそこからも少し離れてエバーグリーンさんという順番になっている。
俺は目を使って教会を見てみる。そこにはすでに評議院がいて、教会を守っていた。

「評議院は行動早いなぁ」

俺はそんなことを言っていると、突然後ろから爆発音が聞こえる。

ドドンッ

「!?なんだ!?」

俺は驚き後ろを見る。そこでは、さっき通ってきたはずの道に大きなクレーターができていた。

「己の声に滅べ」

砂煙から現れたのは、六魔将軍(オラシオンセイス)のコブラだった。

「ぐはっ・・・」
「うぅ・・・」

そのクレーターの中では、マックスさんとエバーグリーンさんがキズを負って倒れている。

「マックスさん!!エバーグリーンさん!!」
「おめぇらに聞きてぇことがある」

俺が二人を心配していると、コブラは平然とそう言う。

「キュベリオスを知らねぇか?」
「キュベリオス?」

俺はその質問に対して呟く。なるほど、以前聞きたかったのはそのキュベリオスってののことだったのか。

「そうか・・・知らねぇか」
「何勝手に納得してやがるてめぇ!!」

コブラに体を起こしてマックスさんは叫ぶ。

「この人は相手の思考や動きを聴く魔法を使うんです」

俺はコブラの魔法について説明する。

「それ、軽くセクハラじゃないの!?」

エバーグリーンさんはコブラの魔法を聞いて驚いているが、今はそんなこと言ってる場合じゃないよね。

「もうおめぇらに用はねぇ」

コブラは指を鳴らす。すると、以前のような声の圧力が俺たちを襲う。

水竜の盾(ウォーターシールド)!!」

俺はマックスさんとエバーグリーンをその声から守るために水の盾を展開する。
コブラの魔法の威力で辺りは爆発を起こしたが、盾のおかげで全員無事だった。

「なんだ?今のは」
「聴くだけの魔法じゃない」

俺の後ろにいるマックスさんたちはコブラの魔法を初めて見た感想を述べる。だけど、前回と違って今回は目を使う余裕があったから、あいつの魔法の仕組みがわかったぞ!!

「聴いた声を増幅して撃つ魔法・・・つまり、空気の振動って言ったところか」

悪魔の心臓(グリモアハート)にも振動を使う奴がいたなぁ。でも、そいつよりもコブラの方が格段に力は上か。

「だったら・・・」

俺は自分の体に水を纏う。これで少しは、空気の振動を緩和できるんじゃないか?

「聞こえる・・・水を纏うことで振動を緩和しつつ、一撃入れようということか」
「そういうことだ!!」

俺はそのままコブラに突進する。

「水竜の鉄拳!!」

俺が拳を振るうと、コブラはそれを頭だけ後方へと下げて避ける。

「聞こえる」

俺は反対の腕でコブラに続けざまに攻撃を撃つが、それも当たらない。

「その動き、その太刀筋」

俺は攻撃を交わされたせいで体勢を悪くしており、コブラにわき腹を叩かれ、

「ぐはっ!!」

振動も混ざり合ったそれの攻撃を受ける。

「くそっ・・・」

俺はバランスを整えて着地し、コブラを見据える。

「さすがだな、水竜。7年前よりもはるかに力を増している。グリモアのカミューニを倒しただけのことはある」
「そりゃあどうも」

俺たちは互いを睨んだままそう言う。確か、7年前ナツさんがこの人に勝った時は、何も考えない攻撃と最後は大声で勝利したって聞いたけど・・・

「そりゃ7年前の話だろ。今の俺には通用しねぇ!!」

だ、そうです。それに、俺に何も考えない攻撃なんかできないし、あんな大声も無理。だったら・・・

「目を使って相手の動きをギリギリまで見切る!!」

俺は目を使いコブラの動きをギリギリまで見ながら戦うことにする。
俺はコブラに突っ込み、鉄拳を入れる。目を使ったおかげで、奴の正面に拳が入っ―――。

パシッ

「なっ!?」

俺の拳をコブラは難なく受け止める。捉えることに集中しすぎて威力が全然足りてなかったか。

「7年前・・・俺は、てめぇらのせいで・・・」
「「シリル!!」」
「キュベリオスを失った!!」

俺を助けようとしたマックスさんとエバーグリーンさん。しかし、コブラの音の振動の前に俺たちは全員飛ばされてしまう。

「ぐっ!!」

俺たちは全員が倒れる。

「友を・・・キュベリオスを返せ!!」

コブラは腕を組み、怒りに満ち溢れている。
キュベリオスが誰かはわからないけど・・・今はそんなことに構ってられない。

「水竜の・・・咆哮!!」

俺は避けられないように広範囲に広がるブレスを放つ。これならいくらなんでも、

「それも聞こえてるんだよ!!」
「!?」

いつの間にか目の前に来ているコブラ。そして、

『咆哮!!』

俺の声を増幅させ、俺たちに攻撃を放つ。

「「「ぐわぁぁ!!」」」

俺たちはコブラのいう通り、完全に自らの声で滅ぼされそうな展開になってしまっていた。









 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
今回のチームではウェンディが活躍してるからウェンディのチームも出させていただくことにしました。
次回もよろしくお願いします。 
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