黄金バット 第五話フー=マンチュー博士
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第四章
だからです、警部も言うのです。
「君や俺だけで行ってもだ」
「返り討ちに逢うだけですね」
「そしてテロを成功させてします」
国会にガスを撒かれてしまうというのです。
「この情報を掴めただけでも奇跡だったというのに」
「フー博士の計画のことがわかっただけでも」
「あの博士は国際的にマークされている」
世界征服を企む怪人だからこそです。
「それで各国の調査機関にもマークされていて」
「常に情報が集められていて」
「この情報を自衛隊の特別調査班が掴んで」
「そして、でしたね」
「阻止する為に動けている」
「それならですね」
「絶対にフー博士の計画を阻止する」
「その為にも」
神谷さんは警部に強い声で応えました。
「僕や警部さんだけが行くんじゃなくて」
「武装した警察官、それも特殊部隊の精鋭を連れて」
「そしてですね」
「あの博士を捕まえる、捕まえることが無理なら」
「射殺もですね」
「覚悟しないとな」
最後の手段まで使ってというのです。
「さもないとあの博士は止められない」
「他の怪人達と一緒で」
「行くぞ、神谷君」
警部は強い声で神谷さんに告げました。
「そしてだ」
「この計画を止めましょう」
「絶対にな」
こうお話してでした、神谷さんと警部はです。
完全に武装した警察官の人達を大勢連れてです、そのうえで。
深夜の国会議事堂に入りました、夜の国会議事堂はしんと静まり返っていて誰もいません、お昼の喧騒は嘘みたいです。
その静かな議事堂の中を見回してです、神谷さんは言いました。足元の赤絨毯も今は暗いその中にあります。
「ここもお昼は騒がしいですけれど」
「夜はな」
「はい、人の気配がありませんね」
「そうしたものだ、夜の公の場所なんてな」
「静まり返りますね」
神谷さんはあらためて言いました。
「やっぱり」
「こうした感じでな」
「そういうものですね」
「それでだが」
「はい、これからですね」
「その道はもう見付けてある」
その忘れられた防空壕、フー博士が密かにアジトを作っているのではないのかと思われる場所への道はというのです。
「後はだ」
「その道に入ってですね」
「防空壕まで行こう」
「そして防空壕まで行って」
「フー博士がいればな」
「捕まえますか」
「捕まられないとな」
その時のことも言う警部でした、そして。
議事堂のある場所に行きました、そこは議事堂の片隅で。
壁の下を押すとです、そこが開いてでした。
下に続く階段がありました、長いその階段を降りますと。
天井が高い、十メートルはある広くて古い造りの地下道がありました、しかもその地下道はといいますと。
「長いですね」
「先が見えないな」
先を電灯で照らしつつです、警部は神谷さんに応えました。後ろにはその精鋭の警官さん達がずらりと揃っています。
「凄いな」
「こんな風になっているとは」
「思わなかった」
「僕もです」
「こんな場所が忘れられているとは」
「いや、世の中何があるかわからないです」
「全くだな」
警部は唸って言いました。
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