転生とらぶる
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マブラヴ
1037話
円とTボーンステーキを食べたデートから……もとい、テロリストのアジトと思われる場所に向かって空振りに終わってから1週間。
ちなみに、結局あの後は特にテロリスト共が通信機を使うような事もなかった為、恐らくはアメリカ辺りが具体的にどのくらいの通信察知能力を持ってるかを確認する為だったのではないか。そんな話が広がっている。
確かにあの時の事を思うと、通信を一度だけ使ったというのは色々と疑問がある。恐らくその予想は間違っていないだろう。例え違ったとしても、そう的を外した意見ではないと思う。
こうなると、つくづくテロリストというのは厄介極まりない。普通に真っ直ぐ攻めてくるBETAの方が余程に対処しやすい。
それだけテロリスト共も追い詰められてはいるんだろうが、だからこそ余計に尻尾を出さなくなっているんだろう。
ともあれ、今現在はアメリカを含めた国連がテロリストの捜査を続けている。
俺達もそれを興味深く見守ってはいるが、向こうからの要請がない限りは基本的に手を出す事はない。
まぁ、オーストラリアにある基地とかにテロを仕掛けてくれば、話は別なんだろうが。
そんな状況の中、俺達シャドウミラーのメンバーが何をやっているのかと言えば……
「GRUUUU」
今、俺の前にはワイバーンが大人しく頭を伸ばして喉を鳴らしている。
その頭を撫でているのが俺であり、シャドウミラーのメンバーや、あるいはホワイトスターにやって来ている他の世界の者達が興味深そうな視線を向けていた。
そのまま顔をこちらに突き出しているワイバーンの背へと向かって歩いて行き……
「ふっ」
軽く跳躍してから空を飛び、そのままワイバーンの背の上へと降り立つ。
一瞬、ワイバーンがビクリと動いたが、特に暴れる様子もなく俺を背の上に乗せている。
その瞬間、周囲でこちらの様子を見ていた者達がざわめきを上げる。
何をやっているのかと言えば、そう難しい話ではない。ワイバーンの背に乗れるかどうかというのを試していたのだ。
元々このワイバーン達は、門世界の向こうにあった帝国軍の竜騎兵が乗っていたワイバーンだ。当然人を背に乗せるのには慣れていたのだが、かと言って俺達の中でワイバーンに乗ってみようと思う者はいなかった。
……乗ってみたいと思う者は結構いたんだけどな。
一応竜騎兵からは情報の類を聞き出していたから、問題はなさそうだと判断し、こうしてもしワイバーンが暴れ出しても被害を受けない俺が騎乗を試そうとしたのだが……無事に成功したようで何よりだ。
竜騎兵として捕まった人間の方は、全て門世界の方に渡してしまっているんだよな。
こんな事なら、一応何人かはこっちに残しておくべきだったか。
まぁ、門が1年も経たないうちに崩壊してしまうとは思ってもいなかったのだから、しょうがない。何かあったら向こうの世界にいる竜騎兵から話を聞けばいいとばかり思っていたし。
ともあれ、それが不可能になってしまった以上は聞き出した情報を頼りに、こっちの方で何とか竜騎兵……とまではいかなくても、竜騎兵モドキくらいには出来るようにしておきたい。
そんな思いからの今回の挑戦だったのだが、ワイバーンは元々人に乗られるのに慣れていたおかげもあって、特に逆らう事もなく俺を背に乗せる。
そのまま羽を羽ばたかせながら、空中へと浮き上がる。
再び下から聞こえてくる驚愕のざわめき。
この辺に関しては、やはり色々と衝撃が強かったんだろう。
「よしよし、いい子だ。ちょっとその辺を飛び回ってくれ」
「GRUUUU」
俺の頼みに喉を鳴らしながら、それ程早くない速度で牧場区画の上空を飛ぶ。
うん、自分で空を飛ぶのとはまた違った感触があるな。
……ただ、この光景を見ればグリ辺りはいじけそうな気がしないでもない。
ワイバーンとグリフィンドラゴン。どっちの方が上位的な存在なのかは分からないが、それでもグリの場合は俺の血によって変化というか進化している。
間違いなくこのワイバーンよりも格としては上だろう。
そんな風に考えていると、俺の乗っていたワイバーンが滑空状態に入って地上へと降りて行き……やがて先程俺がワイバーンに乗るのを見ていた者達が再びこちらに手を振ったり、指さしたりし始めた。
「GYAAAAAAA」
そんな声を上げながら、ワイバーンは先程自分がいた場所へと降りて行き……そのまま着地する。
何だ? まだ降りて欲しいとは言ってないんだが。
ワイバーンの行動に首を傾げていると、地上へと降りたワイバーンは近くにあるワイバーン用の水飲み場――噴水にしか見えない――に移動すると、そこに首を突っ込んで水を飲む。
ああ、なるほど。単純に喉が渇いていただけか。
あるいは腹も減っているのかもしれない。そう思いつつも人の集まっている場所へと向かうと、そこにいた皆が拍手をしながら向かえてくれる。
ワイバーンを自由自在に操っているように見えたのか? 実際には俺がコントロールするんじゃなくて、完全にワイバーン任せだったんだが。
「アクセル、次は俺! 俺にやらせてくれ!」
集団の中から真っ先に飛び出してそう告げたのは、アウル。
予想通りと言えば予想通りだよな。
元々この手の面白い出来事とかには興味がありそうだし。
「な? な? いいだろ?」
「いやまぁ、いいか悪いかで言えばいいんだが……何かあったりしたら色々と大変だぞ? 上空で振り落とされたりしたら……」
「大丈夫だよ。一応これでも虚空瞬動は使えるんだから」
「そう言えばそうだったか」
ちなみにこの虚空瞬動、アウルが使えるようになったのはそれ程昔の事ではない。実は、技術班の方が虚空瞬動に関しては習得が早かったりする。
エキドナやセシルから逃げ延びる為に必要だったのだが……そうなると当然追う方でもあるエキドナやセシルもまた同様に虚空瞬動を使いこなしているんだよな。
今では浮遊術の類を使えるようになっている者も増えているとか。
正直、どっちが実働班だって思わないでもない。
幾らエキドナやセシルが怖いからといって……ある意味、シャドウミラーの中で一番才能豊かなのは技術班じゃないのか? 勿論技術班という存在の最重要要因でもある技術力を抜かしても。
ちなみに、そんな技術班に対応する為に当然エキドナやセシルといった技術班の良心――エキドナは実働班所属だが――にしても虚空瞬動以外にもそれ相応の技術を身につけている。
特にセシルは魔力による身体強化魔法でもある『戦いの歌』を使えるようになっており、ロイドが色々な意味で怖がっているとか何とか。
まぁ、原作でもロイドはセシルに抓られたり殴られたりお仕置きされたりと、色々な意味で肉体的な被害にあっていたからな。
……その代わり、セシルはセシルでロイドの精神的な被害にあっていたが。
「なぁ、アクセル。頼むって。俺にも乗らせてくれよ」
アウルの懇願に押されるようにして、溜息を吐いて頷く。
確かに個人である程度の力量を持っているのは事実だ。こう言っては何だが、美砂に対抗する為にかなり生身での戦闘訓練も重ねたのだろう。
結局その恋は実る事はなかったが、それでも努力したということは間違いなくアウルの力となっている。
「分かった。ただし、危ないと思ったらすぐに逃げろよ。幾ら時の指輪の効果で不老になっても、あくまでも不老であって、不老不死じゃないんだから」
「分かってるって」
そう言いながら、ワイバーンの方へとむかって進んでいくアウル。
ちなみに、言葉通りにアウルやスティングも当然時の指輪の効果を得る事が出来る受信機を身につけており、不老になっている。
「ほーら、ほらほら。俺を乗せてくれるか? 大人しくしててくれよ」
「GURUUUUU」
アウルの言葉に短く喉を鳴らすワイバーン。
そこにそっと近づいたアウルが手を伸ばすと、大人しく頭を撫でられる。
お、これはいけるか?
そんな風に思ったのは、俺だけではなくアウルも同様なのだろう。小さく笑みを浮かべながら背の方へと向かい……
『あ』
思わず俺とスティングの言葉がタイミング良く呟かれる。
だがそれも無理はないだろう。ワイバーンの背に飛び乗ろうとした瞬間、そのワイバーンが身体をくねらせてアウルが背中に乗るのを拒否したのだから。
『ええええ』
背後からは様子を見ていた他の世界からの観客がどこか失望したような声を漏らす。
いや、けど何でだ? 別にあのワイバーンがアウルに対して懐いていないって訳ではでないだろう。でなければ、そもそも頭を撫でたりもさせないだろうし。
けど背には乗せない。……となると、恐らくは懐いてはいるけど背に乗せる程にアウルを認めている訳じゃないって事か?
ゲーム風に言えば、好感度が足りないって奴だ。
「おいっ、何でだよ! アクセルは乗せただろ! なのに、何で俺の時は乗せないんだよ!」
そんな風に叫ぶアウルだが、ワイバーンは全く気にした様子もなくアウルの怒りをスルーし、餌として置かれている生肉へと口を伸ばす。
「あー……駄目だな、ありゃ」
溜息と共にそう呟いたスティングが、アウルの代わりにとワイバーンへと近づいて行く。
「ほら、アウル。ちょっと代わってくれ。俺がやってみる」
「いや、けどよ」
「お前はまだこいつに認められてないのは見て分かっただろ? 後は時間を掛けるしかないって」
言い聞かせるようなスティングの言葉に、アウルは何か言いたげにしたが……やがてここで粘っても何の意味もないと悟ったのだろう。そのまま数歩下がる。
そんなアウルを見たスティングは満足そうに頷き、次は自分の番だとばかりにワイバーンへと手を伸ばし……
「GURUUUUUU!」
その瞬間、肉から口を離したワイバーンに威嚇の声を上げられた。
「……あはははははっ! な、何だよスティング。ワイバーンの頭すら撫でられないなんて、俺よりよっぽど下じゃん!」
「……も、もう1度だ」
そう告げ、改めてワイバーンの頭へと手を伸ばそうとしたスティングだったが、再び唸り声を上げられる。
そして再びアウルの口から出る笑い声。
いや、アウルだけではない。俺の背後にいる見物客からも同様の笑い声が上がっている。
「おい、どういうつもりだ? 何でアウルにはあっさりと頭を撫でさせたのに、俺の手は避ける?」
「GYUU?」
何を言っているのか分からないといった風に首を傾げるワイバーン。
確かにワイバーンはそれ程高い知能を持っている訳ではない。
というか、そもそもワイバーンよりも上位の古代龍である炎龍にしても明確な知識はなく、殆ど本能に従っている動物の如き存在だった。
普通高位のドラゴンであればそれなりに高い知能を持っていて、人間と話が出来る者も多いってのがパターンなんだが……どうやら門世界のドラゴンに関してはその辺が当て嵌まらないらしい。
「あー、スティング。そいつらに言葉は通じないから、自分自身の力をもって認めさせるしかないぞ」
そう呟き、ふと納得する。
そうなると、俺にあっさりと背中に乗るのを許したのは、力の差を理解していたからこその服従だったのか?
確かにそれは普通にありそうだが……俺としては、素直に懐いて欲しかった。
「ちょっと待て。それじゃあ何か? 俺ってこいつにアウルよりも格下だと思われてるって事か?」
「さて、その辺はどうか分からないが……そこまで正確に相手の力量を見抜けるって訳でもないだろうし」
野生の獣の本能で相手の力量を大まかに感じ取れはするかもしれないが……いや、牧場にいる時点で野生でもなければ、ワイバーンなんだから獣でもないのか?
「ぬぅ……なら、こっちにも考えがあるぞ。ちょっと待ってろ!」
そう告げ、スティングはワイバーンの前から走り去る。
向かう先はこの牧場で作られたソーセージやチーズ、牛乳を始めとしたお土産が売られている売店。
……おい、まさか。
そんな風に思った俺の予想は見事に当たったのか、1分も掛からずに戻ってきたスティングの手にはブロックのベーコンが存在していた。
「ベーコンを手にしてるけど……まさか餌付けとか?」
「うーん、確かにワイバーンってのはドラゴンなんだから、一応肉とかは好きなんじゃないの?」
「でも、そんなに上手くいくかな?」
「あのベーコン、美味しそうね。後で帰りに買っていこうかしら。今日の夕飯はあのベーコンを使ったパスタなんていいかもしれないわ」
「どっちかと言えばアスパラと炒めたのとかがいいんだけど」
背後から聞こえてくるそんな声。
最後の方には夕飯のメニューになっているけどな。
そんな声を聞きつつ、ベーコンを持ってワイバーンの近づいて行くスティングをアウルと共に見つめる。
「ほら、ベーコンだぞ。お前がいつも食ってる餌よりも随分上等なものの筈だ。だから大人しく食べて、俺を乗せ……」
そう告げた、その時。
パクり。
まさにそんな擬音が相応しいような感じに、ワイバーンはスティングの頭部に噛みつく。
それを見た瞬間、ワイバーンに攻撃を仕掛けようかと思ったが、その噛む力が殆ど強くない、いわゆる甘噛みという奴だと気が付き、攻撃の態勢を止める。
「ちょっ、おい、アクセル! スティングが! いいのかよ、おい! あれ!」
混乱したように呟くアウルだが……
「うわっ、臭い、濡れてる、湿ってる、動けない、顔が動かないぞ! おい、何だよこれは! おい!」
ワイバーンに食べさせようとしたベーコンを手に持ち、あたふたと騒いでいる声が聞こえてきたのか、安堵の息を吐く。
背後の観客達も一瞬息を呑んだが、今のスティングを見れば、これが何らかの悲劇の類ではないと理解したのか、その緊張感もあって思わず笑みを漏らすのだった。
「おい、何か笑い声が聞こえてくるぞ? おい、一体何がどうなってるんだよ!」
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:350
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:1179
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