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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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レギオンの猛威

その日の夜・・・

「ルーシィさ~ん!!」
「ミッシェルさ~ん!!」

辺りはすっかり日が落ちて、真っ暗になっている。ウェンディはシャルルに、俺はセシリーにそれぞれつかんでもらい、今は空から二人を探している。

「マスターを探しに行ってるにしても」
「一体どういうルートで通ってるの~?」

シャルルとセシリーはそう言う。

「心当たりはないのか?シリル、ウェンディ」

リリーが俺たちにそう聞くけど・・・う~ん・・・

「う~ん・・・なぜかルーシィさんの気配が掴めなくて・・・」
「匂いもイマイチわからないし・・・どうなってるんだ?」

なぜか二人の気配も匂いも全くわからない・・・おかげで探すのに手間取っている。
俺たちが上空からルーシィさんたちの捜索を続けていると、

ダダダダダダッ

「?」

下から何かが走ってくる音が聞こえ、俺たちはそちらを向く。

「待ちなさーーーーい!!」
「ココ?」

そこにはルーシィさんたちを追ったはずのココさんの姿があり、それは壁をかけ登り、俺たちへと迫ってきて、

「「「「「うわあああっ!!」」」」」

俺たちを蹴って地面へと叩き落とそうとする。

「ウェンディ!!」
「シリル!!」

俺はウェンディの手を素早く掴む。

「水竜の咆哮!!」

そのまま地面に向かってブレスを放ち、地面へとゆっくり着地する。

「9点8点10点!!」

ココさんはなぜか壁に着地すると自分で点数を付けている。

「点数つけてる場合か!!危ないだろココ!!」

リリーはそんなココさんに怒鳴る。しかし、ココさんは気にした様子もなく自分の話を進める。

「ルーシィ・ハートフィリアを見失いました。彼女の居場所を教えなさい!!それから私、ネコ嫌いなんで、馴れ馴れしくしないでください」

ココさんに嫌いと言われたリリーは顔を真っ白にして落ち込んでいた。エドラスでは仲良かったのかな?それだとかなりショック大きいよね・・・

「って、そんなこと言ってる場合じゃないよなぁ」

俺は壁に垂直に立っているココさんを見据える。まずはあの人を何とかしないと!!

「水竜の、咆哮!!」

俺がブレスを放つがココさんはそれを走って避ける。俺はココさんの動きを目で追って、

「そこだ!!水竜の・・・翼撃!!」

見切ったタイミングで攻撃を放つ。しかし、

「無駄ですよ!!」

その攻撃もココさんには全く当たらない。

「シリルの攻撃が全然当たんないよ~!!」
「どうしよう・・・」
「あんなに早くちゃ、どうにもならないわ」

ウェンディたちは俺の攻撃が当たらないのを見てそう言う。ココさんはその間も、壁を素早く走り続けている。おかげで照準がさっぱり絞れない・・・

「むぅぅ・・・」

リリーは何かを考えたあと、戦闘モードへと変身する。

「リリー?」
「倒すしかない。例え見た目が瓜二つでも、あれはエドラスのココではない。」

リリーはエドラスにいた時に仲のよかったココさんと今俺たちの前にいるココさんが重なってしまい、思うように戦えなかったようだ。

「大丈夫なの?」
「ああ。俺としたことが・・・」

リリーは相手を見た目で判断していたことを恥じていた。だけど、もう大丈夫ならそれでいい。

「やるぞリリー!!」
「うむ・・・」

リリーの顔にはどう見ても迷いがあるけど・・・そんなこと言ってられないや。

「水竜の鉄拳!!」
「ほっ!!」

俺がココさんを殴ろうとするがそれはジャンプで交わされる。しかし、

「うおっ!!」

そのジャンプした先にはリリーがいる。いける!!

「ふん!!」
「よっ!!」

スカッ

「なっ!?」

リリーが繰り出したパンチはいつもよりも明らかに遅く、ココさんはそれをなんなく避ける。

「いい加減に白状しなさい!!」

ココさんは再度リリーに迫る。

「むぅ・・・ふん!!」

リリーはパンチを出すが、それも簡単に避けられる。

「リリー!!何してんのよ!?」
「しっかりしてよ~!!」
「ぬぅ・・・」

やっぱりリリーはココさんを攻撃するなんてできないか・・・いくら自分にあの人は違うと言い聞かせても、体が勝手に抑止力をかけているのだろう。

「リリー!!下がってろ!!」
「ここは私たちがやろう!!」

俺とウェンディはアイコンタクトを取り、魔力を溜める。

「水竜の・・・」
「天竜の・・・」
「「咆哮!!」」

俺とウェンディの咆哮が合わさり、広範囲にブレスが広がる。しかし、ココさんはそれを掻い潜っていたようで、相変わらずちょこちょこと走り回っていた。

「当たらない!!」
「マジかよ!!」
「あっちにこっちに忙しい子!!」
「ちょこちょこ逃げ回って~!!」

シャルルとセシリーは走り回るココさんを見て苛立ち始めている。

「こうなったら・・・ウェンディ!!」
「うん!!」

俺はウェンディに視線を向けると、ウェンディは何をしたいのかを察し、魔法陣を展開させる。

「天を駆ける俊足なる風を!!バーニア!!」

ウェンディのバーニアにより俺の体が光り、一気に速度を増してココさんに迫る。

「どりゃあ!!」
「きゃっ!!」

俺のけりがようやくココさんにヒットし、ココさんは地面へと落ちていく。だけど、きれいに着地を決めた。

「8点9点10点!!」
「のんきに点数をつけてる場合じゃないですよ!!」

俺はポーズを決めて点数を言ってるココさんにすかさずパンチを放つ。しかし、ココさんはそれをジャンプでよけ、再び壁を走り出した。

「ダメだ。キリがない」
「でも、今の感じならシリルもココさんについて行けるんじゃない?」
「そうね」
「いっちゃえシリル~!!」

ウェンディたちはさっきのバーニアで速度を上げた俺の攻撃を見て、いけそうと判断したらしい。よし!!ここまできたら攻め続けてやる!!

ドォォーーン

俺がココさんに向かって走り出そうとした時、空に緑色の光が灯る。

「あれは」

ココさんはそれを見ると、壁を上っていってしまう。

「あ!!待て!!」

俺も壁を走って追いかけようとしたが、

「さっきのお返しです!!」

崖の上からココさんは石を蹴ってきて、それが俺の頭に当たる。

「痛ッ・・・あっ!!」

石が当たった衝撃で俺は足を止めてしまい、地面へと落下してしまう。

「シリル!!」
「ちょっとあんた!!」
「大丈夫~?」

心配してセシリーたちが駆け寄ってきてくれたけど、背中から落ちたし、そこまで高い位置から落ちた訳じゃないから大丈夫そうだ。

「ココさんは!?」

俺はココさんが上っていったところを見る。しかし、そこにはすでにココさんの姿はなかった。

「むぅ~・・・」
「あの光を見て走っていったよね?」
「あれって・・・信号弾~?」

唸る俺とココさんがいなくなった理由を考えているウェンディとセシリー。まさか、ルーシィさんが捕まったのか?

「落ち着いて!!まだそこまで遠くには行ってないはず。跡をつけましょ!!」
「そうだな。シャルルの言う通りだ」

冷静に分析するシャルルとリリーがそう言う。てかリリーはもう大丈夫なのか?

「よし、追いかけるぞ!!」
「うん!!」
「空から探しましょ!」
「僕がシリルは持つね~」

シャルルはウェンディを持ち、セシリーは俺を持って(エーラ)を出して飛び上がる。
しかし辺りは真っ暗闇、探すのは少し難しいかな?

「そうだ!!忘れてた!!」

俺はそこまで来て目の存在を思い出す。これでココさんを探せばいいんだ!!てか最初からこれでルーシィさんも探せばよかったんだ。
俺は目を使ってココさんの居場所を探る。

「見つけた!!あっち!!」
「わかったよ~!!」
「急ぎましょ!!」

俺たちはココさんのいる方角へと向かって急いだ。





























「シリル~!!あの人どこいったの~?」

セシリーがそう言う。俺はくまなく探しているんだけど、徐々に見える距離が短くなってしまい、完全に見失ってしまう。魔力切れかな?

「ごめん、見失った・・・」
「私も・・・さっきまで匂いを感じたんだけど・・・」

ウェンディはクンクンと匂いを嗅ぐが、どうやら匂いもわからなくなってしまったらしい。

『シリル!!ウェンディ!!聞こえるか!?』

俺たちが辺りを見回していると、念話が聞こえてくる。この声は、ウォーレンさんかな?

「ウォーレンさん!!」
『そっちはどうだ?まだ追跡を続けてるのか?』
「ごめんなさい・・・見失っちゃいました・・・」
『そっか・・・』

俺が見失ったことを伝えると、ウォーレンさんは残念そうな声を出す。

『他のチームも全部見失ったらしい。危ないから、これ以上は深追いしないで一度ギルドに戻ってこい』
「わかりました」
「はい!!」

そこでウォーレンさんとの念話は途切れる。俺たちはその指示に従い、ギルドへと戻ることにした。

「それにしても、なんであの人たちはルーシィさんの針を狙ってたのかな?」

俺たちはさっき、ウォーレンさんからの念話でことの次第を聞いたのであった。なんでもココさんたちはルーシィさんを連れ去ろうとしていたのではなく、ルーシィさんが持っているお父さんからの遺品ではある時計の針を奪おうとしていたらしい。そして、俺たちがココさんと交戦している間にヒューズが指揮術でルーシィさんを操って針を奪い取ったらしい。

「あの針に、何か意味があるのか?」
「さぁ?」

俺たちはなぜあいつらが針を狙ったのかわからず、そんな話をしながらギルドへと戻っていた。


















第三者side

「はぁ・・・はぁ・・・」

一人の老人が走っていた。そこは辺りは暗闇に包まれており、それを照らすように蝋燭が何本も立っていた。

「!!」

老人が急に立ち止まり、後ろを振り向くと、そこにはルーシィの父の遺品である時計の針が立っていた。その背景は、老人が先程まで走っていた暗闇の中とは全くの正反対で、清々しいほどの青空が広がっていた。

「時は刻まれ、やがて混沌が訪れる」

老人は針を見てそう言う。その足場は、なぜか海のようになっている。そして、老人がそう言ったのと同時に、辺りにどす黒いオーラが現れ、その中から巨大な目が、何かを覗くように不気味に見開かれた。






















シリルside

「っ!?」

俺たちがギルドに帰ろうとしていると、シャルルの表情が一変する。どうした?

「どうしたの?シャルル」
「何かあったの?」

ウェンディと俺はシャルルを心配して声をかける。

「ううん・・・何でもない・・・」

しかし、シャルルは首を振るだけ。一体どうしたんだ?
一抹の不安を感じながらも、俺たちはしばらくしてギルドへと到着した。

「ただいまー」
「ただいま帰りました」
「シリル、ウェンディ、無事で何よりだ」

帰ってきた俺たちをエルザさんが温かく迎えてくれる。けど、他の人たちはなぜかカナさんの周りに集まって何かをしている。

「あれ、何してるんですか?」
「実はだな・・・」

エルザさんの話では、今回俺たちを襲撃していたのはゼントピアというフィオーレ最大の教団の所有している戦闘集団、レギオン隊という軍隊だったらしい。
そのレギオン隊が聖戦というもののためにルーシィさんの持っていた針が必要だったらしい。
その針を取り返すためには奴等の目的を知る必要があるということになり、奴等が集めるであろう他の時計の部品の場所を、カナさんの占いで絞り込むことにしたらしい。

「出たよ!!」

どうやらカナさんの占いが終わったらしい。

「どこだ!?」
「ここだよ」

カナさんはそういって地図を指さす。

「あ!!」

カナさんが指を指したところを見ると、ルーシィさんは何かに気づく。

「どうしたんですか?」
「ここって・・・」
































翌日・・・

「おお~・・・なんか見覚えが・・・」
「ハートフィリア邸だ」
「売りに出してたのかぁ」

俺たちは今、大きなお屋敷の前にいます。なんと、カナさんの占いで出たのはここ、ハートフィリア邸だったようです。
今は違うけど、元々はルーシィさんのご自宅だったらしいです。
以前にもナツさんとグレイさんとエルザさんとハッピーは来たことがあるらしく、懐かしそうに見ています。
俺とウェンディとシャルルとセシリーは初めて来たから、あまりの大きさに言葉を失っています。

「7年経ってるわりにはきれいだね」
「買い手がつくまでは定期的に掃除してるってことね」
「なるほどね~」

ハッピー、シャルル、セシリーはハートフィリア邸を見てそう言う。

「管財人さんの話だと、その買い手が全然見つからないって」
「立派すぎるんだろ」

グレイさんのいう通り、この建物はすごすぎる。買う方は相当勇気が必要な気がする。

「懐かしいなぁ。あの頃はお城みたいって思ってたけど、変わらないなぁ」
「ミッシェル、ここに来てたの?」

ミッシェルさんが懐かしんでいるのを見てルーシィさんが質問すると、ミッシェルさんはその場に座り込み泣き出してしまった。

「よく一緒に遊んだじゃない・・・」
「うん!そう・・・だったっけ?」

覚えてないんかい!!

「姉さん、私に服を作ってくれたり」
「そうそう!!・・・だったかも」

ルーシィさんはハンカチを噛みながら言うミッシェルさんに肯定するが、本当にそんなことをしたのか自信がないようだ。

「服をですか?」
「案外器用だったのね」
「ルーシィさんすご~い」
「可愛い話じゃないか」

ミッシェルさんの話を聞いて女性陣はみんな感心していた。

「色紙とか草花で作った服だったけど」
「うぇぇ!?」

ミッシェルさんの話を聞いてルーシィさんは顔を真っ赤にしている。

「おいおい・・・」
「なんかそれだけ聞くとかわいらしい話ですけど・・・」
「紙とか花でどうやって服作んだよ」
「そりゃおめぇら」

グレイさんとナツさんは上を向いて何かを想像する。俺はイマイチ感じがつかめてないから想像できなかったけど・・・

「「おおっ!!」」

二人は妄想が盛り上がっているのか、頬赤くして声をあげる。

「帰れ!!」
「「うわあああああ!!」」

変な妄想をしていた二人はルーシィさんによって蹴り飛ばされました。何やってんだか・・・




























「そろそろ本題に入りたいのだが、よろしいかな?」
「「異議なーし!!」」

ナツさんとグレイさんは蹴り飛ばされてからしばらくしてこちらに戻ってきたので、俺たちはハートフィリア邸の中に入りました。
ちなみにナツさんとグレイさんは怒っているエルザさんに殴られて頭から煙を出しています。

「あの、どこから始めます?」
「それに、何を探せばいいわけ?」

ウェンディとシャルルがエルザさんに質問する。確かに、何をすればいいのか俺もわかってないんだよなぁ。

「そのためにこれだけの人数でやってきたのだ。二人一組(ツーマンセル)で散開し、各部屋を徹底的に捜索。時計の部品、あるいは古い時計そのもの、例の一節を連想させるもの。古代ポタメリア語に関わる書物、何でもいい・・・『これは?』と思える物は何でも調べろ」

エルザさんにそう言われ、俺たちは二人一組(ツーマンセル)に作る。
ナツさんとハッピー、グレイさんとエルザさん、ルーシィさんとミッシェルさん、ウェンディとシャルル、そして、俺とセシリーというチーム分けになった。

「いいか!!何か分かったらすぐに連絡するんだぞ!!」
「「「「「「「「「オオッ!!」」」」」」」」」

こうして俺たちは別れ、家の中を探索することになった。





 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
どこまでこの話にまとめるか迷いましたが、ひとまずここで区切ることにしました。
次回もよろしくお願いします。 
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