魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石
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第8話
恭介のお見舞いの為に病院まで行ったけど、検査があったのか会う事は出来なかった。その帰りに孵化しかけのグリーフシードを見つけて、そこかた孵化した魔女をマミさん達に倒して貰ったんだけど、その後あむの言っていた✖️キャラが出て来た。それも、あむが浄化して一件落着かと思ったんだけど、✖️キャラの声が聞こえていたまどか、あむ、キリカさんの三人から聞かされた話は、あたしにとって衝撃的だった。
「あの✖️キャラが恭介ので、こころに✖️がついちゃったのは腕がもう治らないからだなんて、嘘だよね、まどか?」
私がそう聞くけど、まどかは私に現実を突き付けた。
「あの声は間違い無く上条君だったよ。それで、確かにそう言ってた。」
「そんな・・・」
そんな。それじゃあ、恭介の夢は・・・
「落ち着いて、さやか。その上条君はきっと大丈夫だよ。」
すると、あむがそんな事を言ってきた。でも・・・
「恭介の事を何も知らない癖に、いいかげんな事言わないでよ!!」
あたしは、その言葉が信じられず、そこから走り去った。
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次の日、さやかは明らかにあたしを避けていた。まどかが何とかしようとしてくれてるけど、聞く耳持たない様子だ。
「日奈森さん。さやかさんと喧嘩でもしましたの?」
業間に志筑さんがあたしに聞いてきた。
「うん。昨日、ちょっとね。でも、心配しなくても大丈夫だから。」
「そうですか。でも、気を付けて下さい。さやかさんって頑固者ですから、上手くやらないと仲直り出来ませんわよ。」
「頑固かあ。確かに、そんな感じがする。」
「うふふ、やっぱり分かりますか?」
「うん。知り合いに結構頑固者が居るしね。」
イクトとか海里とか、あと歌唄がそうだったなあ。こう言う時って、あたしいつもどうしてたっけ?
そして、昼休み。今日、まどかとさやかは志筑さんと一緒の元々の仲良しグループでご飯を食べてるから、今日はあたしとキリカ、それにマミさんだけだ。
「そう。まだ美樹さんは昨日の事を引きずってるの。」
「はい。あたしも何度か声をかけようとしたんですけど、睨まれるだけで・・・」
「美樹にも困ったわね。もしかしたらこのまま勢いキュウべえに上条君の腕を治して貰って魔法少女になっちゃうかもしれないわ。」
「そっか、その手があったよね!」
マミさんの言葉にランが納得する。
「マミ、何だかその願いでさやかに魔法少女になって貰うと困る言い方をしてるけど、どうして?その方法なら一件落着になると思うんだけど。」
「そう言えば。」
キリカの疑問にランもようやくマミさんの言葉のニュアンスを理解した。
「自分じゃなくて、誰かの為の願いで魔法少女になるのなら考えなくちゃいけない事があるの。本当にその人の事を助けたいのか、それともその人を助けた恩人になりたいのか。そこをはっきりさせないと後で大変な事になるわ。」
「何だか難しいね〜。」
ランの言う通り、難しい話だ。でも、理解出来ない訳じゃない。つまり、さやかは上条君からの見返りが欲しいかどうか。これが問題なの。もし、キュウべえに願って治したとしても、魔法少女の事を上条君に説明する訳にはいかないから、見返りを貰う事なんて出来ない。だからもし、無意識に見返りを求めていたなら、そこから上条君との間に何かすれ違いが起きちゃうかもしれないから。
「その件も含めて、私からも美樹さんには話しておくわ。」
「お願いします。多分、マミさんの話なら聞いてくれると思いますから。」
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放課後、あたしは恭介の見舞いに病院に来たんだけど。
「何であんたが居る訳?」
何故か、あむが病院に来ていた。
「別に。ただ、上条君がちゃんと大丈夫か確認したかっただけ。」
「勝手にすれば。」
あたしが恭介の病室に向かうと、あむも勝手について来た。あたしも勝手にしろと言った訳だし、無視する事にする。そして、病室の前に着くと、ノックして仲に入った。
「恭介。あたし、さやかだよ。」
「うん。どうぞ。」
あたし達が中に入ると、恭介はいつも通りの様子だった。うん。これならきっとあれはまどかの勘違いだ。それなら、後であむに謝らないと。
「さやか、その子は?」
「この子はこの前うちのクラスに転校して来た日奈森あむ。」
「よろしく、上条君。」
「よろしく、日奈森さん。でも、何で僕に会いに?」
「さやかとまどかから、上条君がバイオリンやってるって聞いて。あたしの友達にもバイオリンをやってるのが居るから。」
これはあたしも初耳だ。あむって嘘をつくのは苦手そうだし、多分本当だと思う。でも、今はそれより恭介に確かめないといけない。
「ねえ、恭介の腕っていつ頃治るのかな?先生から聞いてない?」
あたしがそう聞くと、恭介は目を伏せた。ちょっと待って、何でそんな反応をするの?
「ごめん、さやか。」
どうして、あたしに謝るの?
「僕の腕、もう治らないんだ。」
あたしは恭介の口から出た言葉が信じられなかった。
「や、やだなあ恭介。そういう冗談は止めてよ。」
「冗談じゃないんだ。先生が言ってたんだ。僕の腕は現代医学じゃ治せないって。」
「そんな・・・」
「でも、心配しないで。バイオリンが弾けなくなっても、音楽には関わる事は出来る。だから、僕はこれからは作曲家を目指すよ。それなら、腕が動かなくても出来るしね。それで、僕の作った曲を皆の前で演奏して貰うんだ。」
恭介は笑いながら言うけど、あたしの耳には殆ど内容が入って来なかった。
「上条君、あれなら大丈夫だね。」
病室を出て病院の廊下を歩いていると、あむがそんな事を言ってきた。
「大丈夫・・・?そんな訳無いでしょ!もう恭介はバイオリンを弾け無いんだよ!!夢が断たれちゃったんだよ!!!」
あたしはあむの胸倉を掴んで言った。でも、あむはあたしを真っ直ぐに見据えながら答える。
「確かに、バイオリニストとしての夢はもう叶えられないかもしれない。でも、ちゃんと新しい夢を見つけられてるよ。」
どうしてそんな分かったような口をきくの?あたしの方が恭介の事は分かってるのに。
「またあんたは。恭介の事をろくに知らない癖にそんな事を言って!!」
あたしはあむを突き飛ばして壁にぶつけると、その場から走り去った。そして、病院を出ると目の前にキュウべえが居た。
「君の願いは決まったかい?」
「うん。決まったよ。」
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さやかちゃんとあむちゃんが上条君の見舞いに行ってる頃、私とエイミーは仁美ちゃんを探していた。
二人と別れてから帰る途中、仁美ちゃんのママから電話がかかって来たの。仁美ちゃん、学校を出てから塾にも行って無いし、家にも帰って無いんだって。だから、友達の私やさやかちゃんに電話を掛けてきたそうなんだけど、何だか嫌な予感がするから、仁美ちゃんを探す事にした。
「まどか、あそこ!」
そして、やっとエイミーが仁美ちゃんを見つけた。私は急いで駆け寄る。
「仁美ちゃん、どうしたの!仁美ちゃんのママが心配してたよ!!」
私が肩を掴んで声を掛けると、仁美ちゃんが振り向いた。その目はとても虚ろだった。それに見覚えのあった私は仁美ちゃんの首元を確認する。そこには刺青のようなマーク“魔女の口付け”があった。魔女の口付けは魔女の呪いを受けてしまった人に現れるもので、これを付けられてしまった人は魔女に操られて自殺したり、犯罪を犯してしまう。
「ごきげんよう、まどかさん。まどかさんもご一緒にどうですか?」
「一緒にって、何処に?」
「とても素敵な場所ですわ。ほら、皆さんもそうですわよ。」
よく見ると、周りには仁美ちゃんと同じように魔女の口付けを付けられた人が同じ方向に向かって歩いていた。
「まどか、誘いに乗って。」
その時、エイミーが私にアドバイスしてきた。
「この人達は一箇所に集まって何かする積りよ。そして、その近くに魔女が居る可能性があるわ。」
「確かに、そうだね。」
「だから、マミさん達を呼んで何とかしてもらいましょう。」
「分かった、エイミー。」
「まどかさん、どうかしましたの?」
エイミーが見えてない仁美ちゃんが不思議そうに聞いてきた。
「何でも無いよ。私も一緒に行くけど、他にも何人か誘ってもいいかな?」
「もちろん、いいですわよ。」
「それで、何処に行くのかな?」
「○○町の外れにある廃工場ですわ。」
私は目的地の廃工場に向かいながら、ケータイでマミさんにこの事を伝えた。因みに、番号は今朝教えてもらった。また病院に出た魔女の時みたいにテレパシーの届かない所に居た時の為に教えてもらったの。
『そう。分かったわ。直ぐそっちに向かうから。無理はしないでね。』
「はい、分かりました。」
私は次にあむちゃんにも連絡を入れる。
『志筑さんが!?分かった、急いで行くから待ってて。』
「うん。場所は○○町の外れの廃工場だから。」
そして、最後にキリカさんに連絡する。
『今日は織莉子の家でお泊まりだったのに・・・』
「ご、ごめんなさい!」
『でも、まどかの友達が大変な事になってるのなら仕方ないね。名残惜しいけど、直ぐ行くよ。』
「はい、お願いします。」
そして、私はケータイをしまった。さやかちゃんに連絡を入れなかった。さやかちゃんは魔法少女でもキャラ持ちでもないから、危険な事には巻き込めないもの。
「着きましたわ、まどかさん。」
しばらく歩いていると、ようやく目的地の廃工場に到着した。まだ、マミさん達は来ていない。
「こちらへどうぞ。」
仁美ちゃんに案内されて中に入ると、そこには老若男女様々な人が居て、何故か一つのバケツを囲んでいた。その傍らには種類の違う二つの洗剤の便がある。
「仁美ちゃん。これから何をするの?」
「神聖な儀式ですわ。これから私達は肉体と言う枷から解放されますの。」
仁美ちゃんがそう言うと、集まった人達のうち二人が洗剤をバケツの中に入れ始めた。そこで、私はママから言われた事を思い出した。
『いいか、まどか。塩素系の洗剤と酸の洗剤を混ぜて使ったらダメだぞ。混ぜたら、有毒なガスが発生して死んじゃうからな。』
「ダメ!!」
私は飛び出すと、バケツを掴んで窓の外に投げ捨てた。良かった、これで・・・
「邪魔をした・・・」
「神聖な儀式の・・・」
「邪魔をした・・・」
と、思ったらまだ魔女の口付けの付いたままの人達が私に迫って来た。
「まどか!逃げましょう!!」
エイミーにそう言われて、私は奥に続く扉の中に入ると、扉を閉じて鍵を閉める。扉を叩く音が聞こえるけど、ここでマミさん達が来るのを待っていれば大丈夫。そう考えて奥の方を見ると、それが甘かった事を思い知らされた。目の前には魔女の結界が広がっていて、そこに箱型モニターのような姿をした魔女と、天使のような姿をした使い魔が居た。
「まどか!キャラチェンジを!!」
「うん。」
「「キャラチェンジ!!」」
私はエイミーとキャラチェンジして弓を構えた。すると、まず使い魔が向かって来る。
「マギカアーチェリー!!」
私は矢を放って使い魔を撃ち抜くけど、数が多すぎて対応仕切れない。そして、4匹の使い魔が私の手足に絡みついた。
「は、放して!!」
私は使い魔を振り解こうとするけど、使い魔は力が強くて振り解けない。やっぱり、私には無理なのかな?マミさん達みたいにカッコよく戦って、誰かを助ける事なんて・・・
「たああああああああああ!!!」
その時、叫び声と共に誰かが私の横を通り過ぎて使い魔を切り裂いた。その人はそのまま手に持った剣で魔女も真っ二つにする。
「今の声、まさか!?」
その叫び声に聞き覚えのあった私は、その主を見た。
「危機一髪だったね、まどか。」
それは、青いチューブトップの衣装を着て、白いマントを纏ったさやかちゃんだった。その腰には青い宝石が輝いている。
「その格好、さやかちゃんまさか!?」
「うん。キュウべえと契約したの。」
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上に登れば見滝原市を一望する事の出来る鉄塔。僕はそこで珍しくここにやって来た一人の少女と話していた。
「見滝原に来るなんて珍しいじゃないか、杏子。久々にマミに会いたくなったのかい?」
僕が隣に座る赤毛をポニーテールにした少女“佐倉杏子”に問いかけると、彼女は鼻で笑いながらこう答えた。
「ちげえよ。風の噂でグリーフシードを必要としない魔法少女が出たって話を聞いたから見に来たんだよ。」
「それはもしかしてオリジナル魔法少女、日奈森あむと呉キリカの事かい?」
「やっぱ知ってたか。つうか、オリジナル魔法少女?どう言う事だ?」
「僕達が魔法少女システムを作るにあたってモデルにしたものさ。彼女はその力が使えるんだ。」
「へえ。で、あたしらはその劣化コピーだから、グリーフシードが必要って訳か?」
「人聞きが悪いね。確かにそう言った部分的な所ではオリジナルには劣るかもしれないけれど、総合的に見れば君達の方が勝ってるよ。」
「ホントかねえ。でも、そいつらはグリーフシードが要らねえから、魔法使いたい放題のやりたい放題なんだろ?」
「いや、そんな事は無いよ?」
「何だと?」
杏子が突然不機嫌になった。全く、人間と言うのは僕が事実を伝えると時々こう言う反応をするから、困ったものだよ。
「彼女達、特に日奈森あむはマミのようにその力を他人の為に使っているんだ。」
「何だよそいつは。あたしらとは違って制限無しなのに、気に入らねえな。」
「まあ、彼女はガーディアン出身だそうだから、当然かもしれないね。」
「ガーディアン?何だそりゃ?」
「オリジナル魔法少女によって結成された組織さ。表向きには学校の生徒会として学校の為に活動しつつ、裏では学校や学校のある地域の為に魔法少女のような活動をしているんだ。」
「・・・仲良しこよしでんな事してたのか?おい、キュウべえ。その舟盛りとか言う奴の事教えろ。」
「いいけど、どうする積りだい?あと、舟盛りじゃなくて日奈森だよ。」
「当然。そいつらに教えてやるんだよ。現実って奴をさ。」
続く
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