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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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1期/ケイ編
  K13 リディアン音楽院防衛戦

 ケイがバイクをリディアン音楽院前に着けた時、すでに学校前庭はノイズと自衛隊の戦場と化していた。

 ――超大型の飛行ノイズが東京スカイタワーに現れた時、弦十郎は「本部の守りのため」だと言ってケイを二課本部のあるリディアン音楽院に呼び戻した。

 そして、この惨状だ。

(確かに一人くらいは守れる人間がいないといけねえ状況だよな!)

 大勢の自衛隊員が銃火器を使ってノイズを撃っているが、ノイズには物理的攻撃は通用しない。

 指導の際に了子が言っていた。難しい理論は分からなかったが、ノイズとは限りなく「無」に近い存在、あるいは幽霊のようなものなので、壁や弾丸をすり抜けるのだとケイなどは認識していた。



           「 ――Harmones A-lens toges tron―― 」



 ケイはA・レンズのギアを纏い、すぐさまアームドギアのプリズムレーザーを構えた。

(的がでかい分、やりやすい!)

 建物に取り付いて破壊し、ざぶざぶと小ノイズを生み出している大型のイモムシ型ノイズに照準を合わせた。

「 『俯かない 諦めない pray』――」

 ガジャコ!!

 レバーを力一杯引いた。

「 『Your Destiny』 !!」

 碧の中粒子ビームがイモムシ型ノイズを貫き、炭化させた。
 自衛隊にとっては予期せぬ応援だ。当然、隊員の目はケイに集まった。

(バイザーしててよかった~っ。これで顔バレは防げたよな)

「 『突破するんだ 心のmaze そして』 !! 『Your Future』 !!」

 ケイの歌がノイズを調律し、“こちら側”へと引きずり出していく。
 これで一般的な武器もノイズに通じるようになったと気づいてか、自衛隊員の攻撃が再開した。

(いつまで歌い続ければいい? どのくらいでこいつらは全滅する? いつになったら俺は未来のとこへ行ける?)

 じれったいが、後ろにあるのは無辜の――否、勝てないと分かった戦いに出撃し奮戦した、勇ましい人々の命なのだ。放っていくなどケイにはできない。

「 『解き放て 胸の力 僕を駆り立てる不思議なメロディ 追いかけて闇へ飛び込む』 」





 ――その歌を何度か歌って、ようやくリディアン前庭は鎮圧できた。
 自衛隊員は生き残ったことに快哉を上げているが、それに加わる余裕はケイにはない。

 ケイは手近な割れた窓から校舎内に飛び込んだ。

 無人の廊下を走り、未来を探す。

「未来!? 未来ぅぅ!」

 本部になら何度も行ったが、校舎内は全くの未知の領域だ。シェルターがある場所にも行ったが、そこは無人だった。ここからは勘しか頼りにならない。


「誰か! 残ってる人はいませんかぁ!?」


 ――今だけはこの世にある神仏精霊全てに伏してもいいと思った。
 これはまぎれもなく未来の声だ。未来が近くにいる。

 駆け出そうとしたケイを邪魔するかのように、前庭にいたノイズの取り漏らしが校内に入ってきた。

「邪魔、だッ!!」

 低威力の中粒子ビームを最速で3射、ノイズに見舞ってやった。

 だが、侵入してきたノイズはそれらに留まらない。ケイはノイズを追って――その先にやっと未来を見つけた。

 緒川が未来を目指して駆けているのが見えた。

(なら未来の守りは緒川さんに任せて、シンフォギアでしかできないノイズ撃退は俺が!)

「未来に……」

 走りながらプリズムレーザーをサーベルモードに切り替えた。

「触るなああああああッッ!!」

 プリズムサーベルを横に薙いだ。横一文字の斬撃が飛ぶ。斬撃を食らった3体の球体ノイズが炭素分解され、崩れた。

「はぁ、はっ……未来! 緒川さんも。大丈夫でしたか?」
「何とか。二度目は上手くやれる自信はありませんね」

 未来にも、未来を庇った緒川にも、大きなケガはない。ケイは大きく安堵の息を吐いた。

「とりあえず本部へ行きましょう。このままだとまたノイズの恰好の的です」
「未来、まだ走れるか?」
「大丈夫よ。元陸上部だもん」

 ケイは未来と手を繋いで、エレベーターに向かう緒川を追った。





 二課本部への直通エレベーターに、緒川や未来と共に乗ろうとしたケイの耳に、ヒールが床を突く音が聴こえた。

 ふり返る。果たしてそこにいたのは。

「櫻井、コーチ?」
「まだその名でワタシを呼ぶか」

 金蘭の鎧を纏った、猛禽類のような瞳孔をした、櫻井了子と瓜二つの女だった。

「フィーネ……あなたが!」
「信じたくなくともこれが現実だ」

 理不尽の煮え湯も冷めやらぬまま、ケイはプリズムレーザーをサーベルモードに換えて正眼に構えた。

「二人とも先に下へ。ここは俺が」
「ケイッ!!」
「すまん、未来。遅れる」

 緒川と未来がエレベーターに乗り込んだ。エレベーターのドアが閉じた。

「ほう?」
「二人は追わせない。あんたは俺がここで止める」
「抜かしおる。アームドギアに振り回されるばかりの小僧が、ワタシを止められると?」
「できないって分かってても、男にはやらなきゃなんねえ時があるんだ!!」

 先手必勝。ケイはレーザサーベルでフィーネに斬りかかった。だがフィーネはネフシュタンの鎧付属の宝石の楔で、レーザーサーベルの刀身を巻き上げ、叩きつけた。当然、柄から手を離さなかったケイも、地面に叩きつけられる形となる。

「くっそ……がっ!?」

 フィーネの足のヒールがぐりぐりと、プリズムレーザーを握ったほうの手を踏みつけた。ここでレバーを引いても空撃ちにしかならない。

「安心しろ。元教え子だ。時間をかけてゆっくりと相手をしてやろう。光栄に思え」 
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