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魔法少女まどか☆マギカ こころのたまごと魂の宝石

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第5話

鹿目さん達にしゅごキャラの事を教えた後、今度はあたし達が巴さん達の事について教えて貰える事になった。

「私と暁美さんはキュウべえと契約した魔法少女なの。」

巴さんはそう言うと、左手にはめた銀色の指輪を卵型の黄色い宝石に変化させた。

「魔法、少女?」

「そう、私達はキュウべえと契約して願いを叶えて貰う代わりに、人々に害を成す怪物“魔女”と戦っているの。そして、これが魔法少女の証、ソウルジェム。」

「これが・・・」

あたしがソウルジェムを見てると、ラン達とレンがそれに近づいていった。

「きれい〜。」

「いいデザインだね。」

「キラキラですぅ〜。」

「ええ。でも、何か違和感が・・・」

「ダイヤもそう思うかい?」

あれ?何だかダイヤとレンがソウルジェムから何かを感じ取っているみたい。

「魔法少女になれるのはキュウべえの事が見える女の子だけなの。鹿目さんと美樹さんはキュウべえの事が見えたから、魔法少女に勧誘されたんだけど、魔法少女になるか、なるにしても何を願うかを考えていた所だったの。」

「って事は、あたしとキリカも願い事を叶えて貰えるの?」

「それは無理だね。」

あっさりとキュウべえに言われて、あたしはずっこけた。

「君は既にしゅごキャラを生んでしまっているからね。」

「どう言う事よ。」

「ソウルジェムの一部は君の言うこころのたまごが元になっているからさ。」

『え!?』

それを聞いたあたし達は改めてマミさんのソウルジェムを見た。

「確かに・・・」

「言われてみれば・・・」

「たまごの気配がするですぅ。」

「違和感の正体はこれだったのね。」

「ああ。」

ラン達とレンもソウルジェムからこころのたまごの気配を感じ取ったみたい。でも、これって・・・

「日奈森さん?何だか怖い顔をしてるけど、どうしたの?」

その時、鹿目さんが私に聞いてきた。何だかあたし、無意識に怖い顔をしてたみたい。

「ごめん。こころのたまごをこんな風に無理矢理取り出して形を変えるのに、あまりいい気がしなくて。」

「どうして?」

「基本的にこころのたまごを無理矢理取り出すと✖️たまになっちゃうの。あと、悩みに漬け込んで夢を暴走させたナゾたまって言うのもあった。」

そう言ってあたしはキュウべえの事を睨むけど、そいつは無表情のまま答えた。

「僕はただ彼女達の力を効率良く引き出せるようにしただけだよ。」

「普通のキャラなりが非効率とでも言いたいの?」

「そうじゃないか。たまごを生んでも、直ぐにしゅごキャラが生まれる訳じゃないし、無事に生まれる保証も無い。その上、実際に戦えるキャラなりが出来るようになる確率も低い。これじゃあ、とても魔女との戦いを任せる事は出来ないよ。」

「あの、ちょっといいかな?」

その時、キリカがキュウべえに尋ねた。

「どうしたんだい?」

「さっき言ってた魔女って言うのはどう言うものなの?」

「魔女と言うのは呪いから生まれる存在さ。結界を作ってその中に閉じこもりながら、呪いで人間を自殺は犯罪に駆り立てたり、結界に引きずり込んだりするんだ。」

それを聞いたキリカはハッとしたような表情になった。

「どうしたの、キリカ?」

「私、その魔女って言うのと戦った事があるかもしれないんだ。」

「え!?それどう言う事!?」

「少し前、気が付いたら変な空間に居て、そこでえりか・・・私の幼馴染みなんだけど、その子が変な怪物に襲われてたの。」

「それ絶対に魔女じゃん!」

「でもちょっと待って、今貴方が生きてここに居るって事はまさか・・・」

「その、キャラなりして倒しちゃいました。」

『ええええええええええええ!?』

キリカの言葉に鹿目さん達だけじゃなくて、あたしも驚いて大声を上げてしまった。

「って言うかキリカ!キャラなり出来たのなら昨日手伝ってくれても良かったじゃん!」

「その、あの子のこころのたまごに✖️がついちゃったのがショックで・・・対処の仕方も分からなかったし。」

「・・・まあ、そう言う事ならしょうがないか。」

その魔女っていう怪物を倒したって言うなら、イクトの“ブラックリンクス”や海里の“サムライソウル”みたいに浄化技無しの攻撃特化型の可能性もあるし、それならあの子の✖️キャラを攻撃するのを躊躇ってもしょうがないかな。
そう考えていると、暁美さんが質問してきた。

「ところで日奈森あむ。随分、こころのたまご関係に詳しいけど、転校してくる前から✖️たまや✖️キャラに対処してきたのかしら?」

「そうだよ、仲間達と一緒にね。」

「仲間?」

「うん。」

あたしは自分のケータイを取り出して、転校前に聖夜中生徒会と聖夜小ガーディアンの皆で撮った記念写真を画面に映して見せた。

「これがあたしの仲間達。聖夜中生徒会と聖夜小ガーディアンだよ。」

すると、暁美さんだけでなく他の皆も覗き込んで来た。

「うわっ!何この美少年とイケメン!」

「女の子の方も可愛い子ばかりね。」

美樹さんと巴さんの言う通り、私の仲間達の外見は皆レベルが高い。それこそ、学園内にファンクラブが出来るくらい。まあ、あたしのファンクラブもあったりするんだけど・・・

「凄い・・・」

その時、鹿目さんが呟いた。

「どうしたの、まどか?」

「この子達、皆しゅごキャラ持ってる。」

「「「えええええええええええええええ!?」」」

それを聞いた美樹さん達しゅごキャラ見えない組は大声で叫んで驚いた。って言うか、暁美さんもそうやって叫ぶ事があるんだ。

「ちょっと待ってまどか。普通に男子とかも居るんだけど、マジで?」

「うん。男の子の隣にもちゃんと居るよ。でも何でだろう?」

「何でって、当たり前じゃん。別になりたい自分は女の子だけが持ってるものじゃないし。」

「え?って事は変身も・・・」

「出来るよ。」

「えええええええええ!?」

「落ち着いて、美樹さん。きっとタ◯シード仮面様的な感じよ。」

「そ、そうだよね。男子が魔法少女の格好をする訳じゃないよね。」

「うん。まあ、基本的にはそうかな。」

一応、なぎひこみたいな例外も居るけど。

「けど、仲間達って事は、この子達と一緒に✖️たまや✖️キャラの対処をしていたと言う事かしら?」

「そう。聖夜学園初等部の生徒会、ガーディアンは代々キャラ持ちがメンバーを務めて、密かにこころのたまご関係の問題を解決してきたの。あたし達はもう中学生だけど、中学の方で起こる問題に対処したり、たまにガーディアンの方を手伝ったりしてるの。」

「素晴らしいわね。でも、今まで魔法少女や魔女に会った事は無かったの?」

「え?」

巴さんの質問をあたしは一瞬理解出来なかった。

「魔法少女と魔女が居るのはこの見滝原だけじゃ無いわ。むしろ、世界中に居るの。だから違う形とはいえ、非日常と関わってるあなた達が全く遭遇していないとは思えないわ。」

確かに、マミさんの言う通り、魔女が世界中に居るのなら聖夜市に一匹くらい現れてもおかしく無い。どうしてだろ?
あたしは全く理由が思いつかない。でも、意外な奴が答えを知っていた。それは・・・

「それについては僕が知っているよ。」

キュウべえだった。

「あれは何年前だったかな?聖夜市でオリジナル魔法少女の組織が魔法少女と協力して街に魔女が入って来れないよう結界を張ったんだ。確か、その組織の名前は“ガーディアン”だったハズだよ。」

「ガーディアンって、まさか!?」

「日奈森あむがいた学園の生徒会の一つだね。彼らに協力していた魔法少女からは、温室を生徒会室代わりに使っていて、よくそこでのお茶会に誘われたと聞いてるよ。」

「温室?お茶?ハハハ、何いってんのキュウべえ?そんな生徒会ある訳無いよね。ね、転校生2号?」

「その、信じられないかもしれないけど、聖夜小のガーディアンで間違い無いと思う。」

「マジで!?温室が生徒会室でそこでお茶会するとか完全にマンガの世界じゃん!!」

美樹さんの気持ちはあたしも良く分かる。聖夜小に転校してきたばかりの頃はあたしも同じで信じられなかったから。まあ、色々と豪華な分、仕事は多いけど。

「でも、それなら納得ね。結界のせいで魔女が入って来れないのなら、魔法少女も必要無い。しかも、キュウべえの話だと何年も前の事だから、日奈森さんが知らないのも無理は無いわ。」

そんな中、巴さんは冷静に分析していた。とりあえず、今度司さんにこの事を聞いてみるかな。そう考えていると、暁美さんがあたしに聞いてきた。

「それで、日奈森あむ。これからあなたはどうする積りかしら?」

「どうするって、やっぱり今まで通り学校に通いながら✖️たま狩りかな?あ、でも必要なら魔女退治の手伝いとかもする積りだけど。」

「それはお勧めしないわ。」

「え?」

「魔女との戦いは常に命懸けよ。遊びじゃないわ。半端な覚悟で首を突っ込まれると迷惑なの。」

「・・・✖️たま狩りは遊びとでも言いたい訳?」

「そうよ。生徒会活動の片手間でやっているようじゃ、そうとしか思えないわ。」

「ちょっと転校生!そんな言い方は無いでしょうが!」

「そうだよ!」

「失礼しちゃう!」

美樹さんとラン、それにミキが怒鳴るけど、暁美さんは涼しい顔でこう返す。

「でも、それは事実よ。私も巴マミも魔女との戦いに集中する為に部活には入って無いわ。」

「バカじゃん。」

暁美さんの言い草にムカついたあたしは、思わずいつもの言葉を口にした。

「他の事をせずにそれだけやる事だけが一生懸命やってる事になる訳無いじゃん。」

「それじゃあ、あなたは片手間でやってた事を一生懸命やっていたのかしら?」

「その片手間っていうのがそもそも間違い。✖️たま狩りは生徒の学校生活を守るガーディアンの仕事の一部。だから普段の活動と一緒に一生懸命やってるの。」

「・・・そう。でも、これだけは覚えておきなさい。魔女を“殺す”と言う事は、✖️たまを“浄化する”こととは別物よ。」

そう言うと暁美さんはここから去ろうとした。

「何処に行くの。」

「聞きたい事は全て聞いたから、ここにはもう用は無いわ。」

そう言って数歩進むけど、一度立ち止まって振り返った。

「いえ、一つだけ聞き忘れてたわね。日奈森あむ。しゅごキャラが✖️キャラになる事ってあるのかしら?」

「・・・あるよ。あたしも一度、ダイヤに✖️を付けちゃったし。」

「そう。なら鹿目まどか。あなたのしゅごキャラを✖️キャラにしたく無ければ、魔法少女の件からは手を引く事ね。」

そう言うと、今度こそ暁美さんは屋上から去って行った。すると、美樹さんが不機嫌そうに言う。

「全く。相変わらず感じ悪い。」

「暁美さんって、いつもあんな感じなの?」

「魔法少女に関してはね。ホント、何がしたいんだか。」

「確かに、彼女の行為は不可解な点が多いわね。」

「どう言う事ですか、巴さん?」

「暁美さんはキュウべえを襲って鹿目さんや美樹さんが魔法少女になれないようにしようとしていたの。」

「キュウべえを襲った!?何で!?」

「魔女を倒すと魔女の卵“グリーフシード”を落とす事があるの。これは魔力回復用のアイテムとして使えるから、魔法少女同士でよく取り合いになるのよ。だからてっきり、自分の取り分が減らないように魔法少女を増やさないようにしようとしていたと思っていたのだけれど・・・」

「確かに、まどかがしゅごキャラを生んで、キュウべえと契約出来なくなった結果、グリーフシードが必要無くなったのにあんな事を言ったのは不可解だね。」

ミキも冷静に分析する。それじゃあ、暁美さんがキュウべえを襲ったのは、回復アイテムの取り分を確保する為じゃないって事になるけど、じゃあ何が理由なの?

「皆、その理由はゆっくり考えていきましょう。」

あたし達が頭を悩ませていると、ダイヤが声をかけてきた。

「でないと、昼休みが終わっちゃうわよ。」

そうだ。まだ時間はあるけど、このまま悩み続けていたら今日はお昼抜きになっちゃう。

「あの、とりあえずこの話はこれでお開きにしよっか。ほら、お昼食べる時間無くなっちゃうし。」

「そうね。それなら日奈森さん。今日はここで皆で一緒にはどうかしら?」

「あたしも賛成ー!今度はしゅごキャラの小難しい話じゃなくて楽しい話が聞きたいし。」

「私も、いいかな?」

「私も、しゅごキャラ仲間とは仲良くしたいわ。」

「私も同じ意見だ。キリカはどうする?」

「私も、あむが良ければ。」

「もちろん、オッケーだよ。」

こうして、あたし達は屋上で弁当を広げながら賑やかにお喋りした。


続く

 
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