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ドリトル先生と森の狼達

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第三幕その十一

「その人達も」
「この中に」
「本当にひょっとしてだけれど」
「まだいて」
「あの鹿さん達を狩ってるのかな」
「その人達も」
「山窩の人達にとって山は家だよ」
 まさにそうした場所だというのです、山はその人達にとっては。
「まさにね」
「ううん、そうなんだ」
「だから奥に住んでいても普通なんだね」
「そうであっても」
「それでも」
「うん、可能性はね」
 山窩の人達にさらにお話する先生でした。
「かなり低いんだよ」
「現実としてはなんだね」
「山窩の人達がまだここにいることは」
 オシツオサレツも言うのでした、前後の頭で前だけでなく後ろも見回しています。
「やっぱりなんだ」
「可能性は低いんだね」
「その筈だからね」
「じゃあ森の奥まで?」
「村の人達が入っているんだね」
「やっぱりそうなのかな」
 先生はこれが一番可能性のあることだと考えるのでした。
「だとしたら村の人達も頑張ってるね」
「そうだね、鹿狩りにね」
「頑張られたんですね」
 王子とトミーも言うのでした。
「やっぱり」
「必死に」
「そうだね、地の利かな」
 こうも言った先生でした。
「長い間ここに住んでいるからね」
「だからだね」
「森の奥の方まで行けて」
「そしてなんだね」
「鹿退治が出来ているんですね」
「そうだろうね、けれど熊もいるのに」
 先生はこの生きもののことも言うのでした。
「頑張るにしても」
「命知らずっていうか」
「相当なことですね」
「熊も退治したのかな」
 先生はこうも考えました。
「やっぱり」
「鹿のついでにだね」
「熊もなんですね」
「退治していた」
「そうだったんでしょうか」
「そうかもね、ただ奈良県は熊の害は少ない筈だし」
 他の都道府県に比べてです。
「それに熊は人里に来ない限りは駆除されないよ」
「ああ、その辺りはね」
「日本も厳しいんでしたね」
「熊も絶滅が心配されていて」
「それで下手に撃ったら駄目でしたね」
「そうなんだ、日本も生きものの保護については考えているから」
 自然を大事にしようという考えからです、このことはとても素晴らしいことです。先生もその通りだと頷くことです。
「だから熊もね」
「人里に来ない限りは撃たれない」
「そういうことですね」
「そう、まして山の中はね」
「熊の縄張りだし」
「入る方が問題ですね」
「うん、そうだよ」
 先生が指摘するのはこのことでした。 
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